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大国議員

(問)高等学校進学時及び在学中の経済的支援について

1.制服や体操着、教科書、実習用具、PTA会費など、高校入学時の費用について、公立、私立の別に平均額を伺う。

2.義務教育には就学援助制度として「入学準備金」があるように、高校でも「入学準備金制度」の創設を求めるが、所見を伺う。

3.「奨学のための給付金」は、小中学校時代に就学援助制度の対象だった家庭が対象とならない場合が多いことが考えられるが、実態を伺う。

4.遠方の高等学校に通学する家庭にとって通学費の負担は大きく、支援策を求めるが、所見を伺う。

(問)夜間中学校の設置について

5.夜間中学に対する認識を伺う。

6.夜間中学の開設に向けて検討すべきと考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.6点のご質問にお答えします。

 まず、県立高校の入学時の費用についてであります。

 県立高校の入学時に必要となります費用は、入学料のほか、制服代、教科書代、PTA入会費等の諸会費などがあり、学科や選択する教科・科目によって多少の違いはありますが、平均的な金額は、普通高校、専門高校いずれも16万3千円余であります。

 内訳は、入学料が5千円余、制服代の平均額が5万3千円余、教科書代等の平均額が6万3千円余、そして、諸会費等の平均額が4万円余であります。

 

2.次に、高校における入学準備金制度の創設についてのご質問にお答えをいたします。

 義務教育では市町村が法律に基づいて「就学援助」制度を設け、小中学校入学に際して低所得世帯に「新入学学用品費等」の給付を行っており、ほとんどの市町村では、小学校では40,600円、中学校では47,400円の給付が行われております。

 実際に小中学校に入学する際に、どの程度の費用がかかるのか、1年前にサンプル調査をしたところ、主に学校で販売される文房具、楽器、体操服などの共通する学用品として、概ね3万円から4万円程度必要なことが分かりました。

 一方、お尋ねの高校においては、平成26年度から市町村民税所得割額が非課税の世帯に対しまして、授業料以外の教育負担を軽減するため、「教科書費、教材費、学用品費、入学学用品費」などの授業料以外の教育費に相当する「奨学のための給付金」を毎年1回給付しております。

 毎年の給付額は、第一子である生徒には75,800円、第二子以降の生徒には129,700円となっております。

 しかし、県立高校の入学の際には、先ほど御説明しましたように平均で16万円程度の費用が必要となっており、この給付金では足りていない状況であります。

 本県では、これまでも重点要望を通して国に対し「奨学のための給付金」制度の給付額の充実について要望を続けてきているところでありますが、引き続き要望していきたいと考えております。

 

3.次に、小中学校の「就学援助」制度の対象になっていたが、高校の「奨学のための給付金」制度の対象にならなかった家庭が多くあるのではないかとのご質問にお答えをいたします。

 小中学生がいる世帯が受ける「就学援助」制度には、国庫補助事業の要保護児童生徒への援助と、市町村の単独事業で行われます準要保護児童生徒への援助があります。

 要保護の認定は生活保護基準に該当する世帯に限られますが、準要保護の認定については、生活保護の基準額に一定の係数を掛けて基準をより広くしたり、税の減免を受けたり児童扶養手当を受けている世帯も対象とするなど、市町村の裁量で広く認定を行うことが可能となっております。

 一方、高校生対象の国の補助事業であります「奨学のための給付金」は、生活保護受給世帯又は市町村民税所得割額が非課税の世帯であることが認定基準となっております。

 これら二つの制度は、「就学援助」の対象となる準要保護の認定基準が市町村によって異なりますので、直接に対象者を比較することは難しい面がありますが、支給対象生徒が全生徒数に占める割合、これを比較してみますと次のとおりとなりました。

 平成28年度に高校の「奨学のための給付金」制度の対象となった生徒は、県内の全高校生の約12%であります。

 これに対しまして、この高校生が中学生であった3年前の平成25年度において「就学援助」制度の対象となった生徒は県内全中学生の約16%でありました。

 所得の状況が変化している世帯もありますので単純な比較はできませんが、この差が、16%と12%ということで約4ポイントもありますので、高校生になったときに制度の対象から外れた生徒が相当数いるのではないかと推察されます。

 したがいまして、この比較からは「奨学のための給付金」制度の支給対象者をさらに広げていくことが求められていると考えられます。

 これまで県教育委員会では、都道府県教育委員会連合会を通して、国に対し、所得制限の緩和による支給対象者の拡大を要望し続けてきておりまして、引き続き国に働きかけていきたいと考えております。

 

4.次に、高校における通学費に対する支援についてのご質問にお答えいたします。

 議員ご指摘のとおり、バスやJRなどを利用して遠方の高校に通う場合には、通学費が家計の負担となります。

 県内では、一部の市町村が地域振興の一環として生徒への交通費の支援を独自に行っている例はありますが、県としては、全県にわたる通学費の支援制度は設けておりません。また、中四国の他の県においても支援は行っていない状況であります。

 なお、全国の中には、所得制限を設けた上で通学費の一部を助成する制度を設けている例があると承知しております。

 現行の「奨学のための給付金」の積算根拠にはそもそも通学費が含まれておりません。このため、理論上は通学費相当額を算入するよう国に要望するやり方も考えられますが、先ほど答弁いたしましたとおり都道府県教育委員会連合会としては、まず所得制限の緩和による支給対象者の拡大を優先して要望してきたところでありまして、今後の対応については、他県とも意見交換を図りながら考えてみたいと思います。

 なお、この問題に関する本県独自の対応についての今後の検討のあり方につきましては、先ほど総務部長から答弁があったとおりでございます。

 

5・6.夜間中学に対する認識と開設に向けての検討についての考え方、これを2問まとめてお答えいたします。

 夜間中学は、戦後の復興期に様々な事情により昼間に働かなければならなかった学齢生徒が多くいたことから、そういった方々へ教育の機会を提供することを目的として、昭和20年代初頭に中学校夜間部として付設されたものであります。

 戦後70年余が経過し、現在では、昼間に働かなければならないために中学校に通うことができない生徒はいないと捉えております。仮に、そうした生徒がいれば、義務教育の仕組みの中で、市町村教育委員会が把握し、県教育委員会へ情報提供されることになります。

 一方、他県で事例のある現在の夜間中学は、不登校などの理由により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方や、日本語指導を必要とするなどの理由から学校に通っていなかった方などに対して、教育を受ける機会を提供する役割を担っていると聞いております。

 本県では、小中学校に在籍していたが、ほとんど登校していない児童生徒については、学校が生活や学びの実態をできるだけ把握し、保護者及び本人の意向を確認した上で、学習状況などを総合的に判断し、中学校卒業を決定しております。また、このようなケースで卒業を決定しなかった場合には、市町村教育委員会が把握し、県教育委員会へ情報提供されることになります。近年、そうした例はないと承知しております。

 島根県では、十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方には、多様な学びを提供する宍道高校及び浜田高校の定時制・通信制が、両校の通信制協力校であります大田高校、益田翔陽高校、隠岐高校とともに、いわゆる「学び直し」の場としての役割を担っております。

 両高校の定時制には、入学者選抜がありますので、希望しても入学できない場合もあり得ますが、一方両高校の通信制は、希望する生徒にはすべて入学を認めており、したがって、中学校を卒業した方に対する「学び直し」を含む教育機会としては、島根県では、基本的に確保されるよう取り組んできところであります。

 以上のことから、夜間中学を設置しなければ教育機会を確保できない対象者の方々が島根県内に実際におられるのかどうか、また、仮におられるとしても、そういう方々が、学校という形態の教育の場を求めておられるのかどうか、といったニーズが現時点でつかめていないのが実状であります。

 このため、近県の取組状況なども参考にしながら、今後、実態把握等の進め方について考えていきたいと思っております。以上であります。

 


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