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岩田議員

(問)アクティブラーニング・・・主体的・対話的で深い学びについて

1.普通教室へのICT機器の配備について、その内容と狙いを伺う。

2.これまでの3年間の取り組みでの成果、また、全校で実施するにあたっての課題を伺う。

3.「学びの力向上チャレンジセミナー」の概要と来年度から中学生にセミナー対象を変えることの狙いを伺う。

4.来年度から新たに中学校に対象を移行するならば、中学校の教員や保護者へ向けてPRして、多くの生徒に参加してもらうべきと考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.4点のご質問にお答えします。

 まず、県立高校の普通教室へのICT機器配備の狙いについてであります。

 高等学校の新しい学習指導要領は今年度末に告示される予定であります。

 学習指導要領改訂の方向性としては、これからの社会、変化が激しく先行きの不透明な時代に必要とされる資質・能力の育成が重視されており、そのために「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指すことが必要とされております。また、2020年から新たに導入される「大学入学共通テスト」では、思考力・判断力・表現力など言語活動等を通じて育成された資質・能力を評価するために記述式問題の導入も予定されており、各学校における「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた具体的な授業改善が求められております。

 一方、現状での高校の現場では、知識・技能の習得やその内容理解に重きを置いた、教科書を講義式で教え込む授業が多いという課題があります。

 このため、平成30年度当初予算案において、第一段階のICT環境として県立高校のすべての普通教室に、短焦点プロジェクタ、実物投影機、教員用タブレット端末等を配備したいと考えております。

 各学校では、これらのICT環境を活用して、例えば板書時間などを短縮することで生徒の言語活動を充実させる時間を確保しながら、生徒の思考を活性化させるために効果的な画像や動画を提示したり、生徒自身が自分の考えをICT環境の中でアウトプットする、そのような活動を設定するなど、授業の効率化と学習効果の向上を図っていきたいと考えております。また、この第一段階のICT環境の整備のその先には、第二段階として生徒一人一台のタブレット端末等の利用を可能とするICT環境を将来的には見据える必要があると考えております。

 

2.次に、モデル校での成果と全校実施における課題についてお答えします。

 平成26年度から平成28年度まで、松江北高校、飯南高校、益田翔陽高校をモデル校に指定し、また、1年後には浜田高校を追加指定し、今回計画しております機器整備を先行して行いました。

 モデル校4校には、ICT環境を活用した授業の質の向上に向けた取組や、授業公開を積極的に行ってもらい、他の高校の教員の研修機会を提供するとともに、ICT機器の最適な導入方法や活用ノウハウの蓄積を先行して図ってもらいました。

 モデル校においては、教員のICT利用率が徐々に向上するとともに、生徒の授業内容の理解促進にも繋がっております。例えば、授業の中でICTを活用した割合は、導入当初の70%から平成28年度には78%に8ポイント上昇しております。また、「ICT機器を活用することにより授業が分かりやすくなった」と回答した生徒の割合は、導入初期の64%から平成28年度には79%へと大きく上昇しております。

 さらに、教員間でお互いの授業を見合う機会も増え、有効なICT機器の活用について校内のOJTも進み、導入当初は画像や動画の提示などにとどまっていた取組が、徐々に生徒が主体的に活動する場面が設定されていくなど、授業の質の向上も図られてきております。

 このICT環境を全ての高校に配備するに当たりまして、教員が単にICT機器を使って授業できるようになるだけではなく、「主体的・対話的で深い学び」の実現を目的として、ICT環境を有効に使いこなしながら、生徒が考えたくなる状況やより深く考えることの必要性にかられる場面などの、学びを動機づける機会をどのように創り出すかという視点が重要であります。

 この視点に立って、モデル校での実践を参考にすることはもちろんでありますが、各高校においてお互いの授業を見合うなどの校内研修を行い、試行錯誤を重ねながら授業改善の方法論を高めていくことが重要であります。

 さらに、こうした現場での取り組みに加えまして、教育センターに配置されている情報教育担当の指導主事を通じて、県内の優れた実践事例を広めていきたいと考えております。

 

3.次に、来年度の「学びの力向上チャレンジセミナー」と「夢実現進学チャレンジセミナー」についてお答えをいたします。

 今年度までは、高校1年生を対象に「学びの力向上チャレンジセミナー」を、そして高校2年生を対象に「夢実現進学チャレンジセミナー」を、いずれも広く県内全域から意欲を持った生徒を募集して実施してきておりました。

 「学びの力向上チャレンジセミナー」は、「学び」そのものについて考えたり「学ぶことが社会にどうつながっていくのか」ということについて考える場を与えることを目的としております。

 一方、「夢実現進学チャレンジセミナー」は、「学びの力向上チャレンジセミナー」からステップアップし、医学実習や法教育プログラム、国語、英語、数学の授業など実践的なプログラムを行っております。

 いずれのセミナーにおいても、県内全域から集まった志を同じくする仲間と生活を共にしながら学ぶ時間は、生徒たちに大きな刺激を与え、その後の学習意欲の向上に繋がっております。

 こうした事業の成果を更に発展させていくため、来年度は、まず中学生の段階で、幅広く「学ぶ」意義を理解するとともに将来の進路選択について考える機会を設け、さらに高校に入って進路実現に向けて「学び」を高める実践的なプログラムを実施するといった、発達段階に応じた事業の構成へと改良を加えたいと、このように考えまして、「学びの力向上チャレンジセミナー」の募集対象を従来の高校1年生から中学2年・3年生へと変更し、併せて「夢実現進学チャレンジセミナー」の募集対象を従来の高校2年生から高校1年生へと、それぞれ学年を前倒しすることにしたものであります。

 

4.最後に「学びの力向上チャレンジセミナー」に多くの中学生に参加してもらうためのPRの在り方についてであります。

 「学びの力向上チャレンジセミナー」の対象を従来の高校生から中学生へと変更したことに伴い、中学生に対する周知方法を工夫していかなければならないと考えております。そのためにはまず、中学校の教員にこのセミナーの目的やこれまでの成果を理解してもらうことが大切であります。

 本県では、全国で唯一、県が任用する指導主事を市町村教育委員会へ派遣して市町村の指導主事として働いてもらうという指導主事派遣制度を設けておりまして、中学校の現場に最も近いこの派遣指導主事を通じて、募集対象を中学生に変更した趣旨を徹底するとともに、Webによる情報拡散なども活用しながら現場の教員にしっかり伝えていきたいと考えております。このことが、意欲のある中学生にセミナーへ応募してもらうためのもっとも確実な方法であると、このように考えております。以上であります。

 


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