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高見議員

(問)教職員人事権の移譲について

1.教職員人事権の移譲を求める動きが起こってから約半年が経過したが、これまでの対応について伺う。

2.教職員人事権を移譲することにはどのような課題や影響があると考えているか伺う。

3.特に人事異動に関するルールについては、多くの自治体が現状にあっておらず、改善すべきと考えているが、この点について所見を伺う。

4.教職員の本拠地が東部に偏っている状況が続いているが、中長期的に解消を目指して努力していく考えがあるか伺う。

 

(答)知事

1.この問題につきましては、松江市と他の市町村の考え方に違いがあるわけであります。私は、教育の実務に携わっている県の教育委員会と市町村の教育委員会との間で、よく話し合うことが必要であるということで、この考えを、松江市及び他の市町村、そしてその教育委員会に伝えてあるわけであります。

 なかなかその話し合いが進んでおりませんけども、話し合いが進まなければ現状のとおりになるわけでありまして、そういう状況でございます。

 教育委員会の方で、いずれにしても松江市と市町村との間で話をするとこれをやってもらいたいということでございます。

 

(答)教育長

1.まず、これまでの主な経過についてご説明いたします。

 6月14日、松江市長が6月定例市議会におきまして、教職員の人事権を移譲するよう県に強く要請するという所信を表明されました。

 8月2日、松江市長が知事に対し、人事権を移譲する方向で県として調整してもらいたいという要望をされました。

 これに対し、8月29日、町村会が知事へ現行制度の維持を要望しておられます。

 9月14日以降、全ての町村の議会が知事・教育長に対しまして、現行制度の堅持を求める意見書を提出しておられます。

 10月19日、17市町村の教育長が知事・教育長に対しまして、現行制度を堅持したうえで、制度の運用面の工夫・改善を図るよう要望されたところであります。

 県教育委員会としての対応についての考え方は次のとおりであります。

 この問題は、全ての市町村における学校教育に大きな影響を及ぼしかねない問題でありますので、一部の教育委員会だけの判断で検討を始めるのではなく、県内の全ての教育委員会の合意のもとで検討を進める必要があると考えております。

 このため、どのような検討の場であればすべての市町村教育委員会が参画して建設的な話し合いを始められるのか、「検討の入り口」を丁寧に探っていくことが大切と考えております。

 現時点で、松江市と17市町村の主張には、大きな隔たりがあり、また、市町村によっては、地方自治法に基づく議会の意見書が議決されているケースも多く、そのような場合には、議会の意思が教育委員会の判断に大きな影響を及ぼすこともあります。このため、今後、この調整には、やや時間を要することも考えております。

 議員もご指摘であったと思いますが、私は今後の調整にあたりまして、島根の教育にとって、何が一番良いのか、あるいは現場の先生方がすでに不安感を感じていらっしゃいますが、その現場の先生方の不安感を払拭するにはどうすればよいのか、こうした点を大切にしながら、また、基本に置きながら、今後「検討の入り口」を丁寧に丁寧に探っていくべく、汗をかいて参りたいというふうに考えております。

 

2.9月定例会で、細田議員のご質問に答弁をいたしましたが、県教育委員会では、これまで町村の教育委員会や学校現場等から次のような問題点があるという声を聞いています。

 教員採用試験の志願倍率が長期的に低下傾向にある中、県教育委員会とは別に、松江市が独立した任命権者として教員採用を行うことになれば、松江市に志願者が集中しかねず、中山間地域や離島での勤務も求めることになる県教育委員会では、人材を確保しづらくなるのではないか。

 中山間地域・離島では、現状でも都市部からの異動希望者が不足し、毎年度の定期人事異動に苦労しておられるわけですが、松江市が独立した任命権者として採用・人事異動等を行うことになれば、中山間地域・離島の教員配置に重大な支障が生じて、県内全域の教育水準を確保できなくなるのではないか。

 松江市を「生活の本拠地」とする教員の数が、松江市の小中学校の教員定数を約300人上回っているため、仮に人事権が移譲されますと、超過する教員が松江市内で勤務できなくなり、その人生設計に大きな影響が及ぶのではないか。

 約300人超過する状況の中、松江市が、どのような基準で、どのように教員を選抜するのか、既に学校現場で不安が広がっている。

 仮に、松江市が、県教育委員会との間で人事交流を行うのであれば、「生活の本拠地」が松江市以外の教員が松江市内で勤務することになり、かえって超過人数が拡大するのではないか。

 このような問題を踏まえ、17市町村の教育長は、人事権の移譲ではなく、むしろ現行人事制度の運用面での工夫改善を検討してはどうかとの考え方であります。

 先ほど述べました5点の他にも実務上は数多くの課題がありますが、今後私としては、「検討の入り口」を丁寧に探っていく必要がありますので、現時点でこれ以上の問題点を指摘することは控えたいと考えております。

 

3.そもそも人事異動ルールは、広域での人事異動を教職員に促すことによりまして、県内全域の教育水準の確保を目指すものであります。また、教職員が県内の様々な地域に赴任して、その地域の歴史・伝統・文化や地域課題などを知ること、そしてそれぞれの地域で育つ子どもたちにふるさと教育を実践することが、教職員としての力量の向上やモチベーションにもつながるなど人材育成面でも大いに寄与してきたところであります。

 しかしながら、近年、教職員の年齢構成が50歳台に偏ってきており、このためすでにルール解消を終えたベテランの教職員が増加いたしまして、広域での人事異動が十分に機能しなくなってきている実態もございます。

 こうした中、例えば市町村教育委員会連合会などから、人事異動ルールの見直しを求める要望を受けております。

 一方、人事異動ルールは、教職員の人生設計にも大きく関わることであり、丁寧かつ慎重に判断していきたいと考えております。

 

4.ただいま議員からご指摘がありましたとおり、教職員の「生活の本拠地」は東部に偏っているという実態があります。このため、これまで石見・隠岐地域の限定採用によりその偏りの是正に取り組み、一定の成果は見られております。

 具体的には、石見・隠岐地域において、学校に配置された教員総数のうち、その地域を生活本拠地とする教員数の占める割合、これを10年前と比較をいたしますと、石見地域では、平成18年度に71%であったものが、平成28年度には82%と、11ポイントの上昇になっています。また、隠岐地域においては、平成18年度に65%であったものが、平成28年度には89%と、24ポイントの上昇になっており、このように一定の成果はみられるものと考えております。

 引き続き、広域での人事異動と地域限定採用をバランスよく組み合わせながら進めていきたいと、このように考えております。

 また、今後、県教育委員会と市町村教育委員会との話し合いが始まれば、このような問題についても、建設的な議論をしてみたい、建設的な議論ができればよいのではないかと、このように考えているところであります。

 


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