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報告第57号

(清井生徒指導推進室長)

 報告第57号平成21年度生徒指導上の諸問題の現状についてご報告する。

 先般、8月25日の教育委員会会議において、平成21年度の小・中学校における不登校の状況についてご説明したところである。これに続き、9月13日に文部科学省が資料5の1に記載している7項目について公表したため、併せて本県の状況を公表したものである。

 5の2をご覧いただきたい。本県の暴力行為の発生件数について、全国の小・中学校の件数は4年連続で過去最高という報道があったが、本県は6件増で、増加率は2%とわずかであった。平成20年度から21年度では、小学校は減り、中学校が増えている。全体では全国に比べて1,000人あたりの発生件数は少ないという状況である。

 次にいじめの認知件数についてである。これは前年に比べて19件増えたが、全国と比べると少ない状況である。ただし、いじめについては、なかなか根が深いものがあり、事件が発生して表に出て分かってくるものもあるし、表面化せず裾野で広がっていくものもあるため、単年度ごとに単純に比較できるものではないことをご承知おきいただきたい。

 3番目に高等学校の長期欠席者における不登校の数ついてである。これは以前に安藤委員からご質問があったところであるが、前年に比べて13人増ということである。小・中学校の合計は減少してきているが、高校生は若干増えている。

 4番目に高等学校中途退学者である。これは前年度に比べて大きく減っており、51人減で、32.3%の減であった。以下5、6、7の項目については、資料に記載しているとおりである。

 5の3をご覧いただきたい。これまでは総体的な話であったが、少し部分的なご説明をさせていただく。まず、暴力行為について、1(1)をご覧いただくと、中学生は前年に比べて35.6%増えている。その内訳では(2)丸2の生徒間暴力が57件から90件と非常に増えている。これを分析すると、中学校1年生のところが増えていた。小学校から中学校に環境が変わるところで、コミュニケーションづくりが苦手な子どもたちが浮き上がってきたのではないかということである。(2)丸4の器物損壊は小学校、中学校とも増えており、その内容は自分の思ったことがうまく伝えられずに腹を立ててスリッパを投げる、プランターを壊す、カーテンレールを壊す、ガラスを壊す、消火器を壊すといったものである。また、加害生徒の学年では、小学校3年と中学校1年が多いという特徴がある。(4)、(5)、(6)については資料のとおりである。

 5の4をご覧いただきたい。いじめの発生状況についてである。2(4)のいじめの発見のきっかけに非常に特徴が表れている。高校のところをご覧いただくと、学級担任が発見したものは0件、アンケート調査などによるものが19件ということであり、教員など周りのものは把握できないが、アンケート調査などを行ったら、生徒の本音が出てきたということである。認知の難しさを感じるところである。(5)、(6)、(7)については資料のとおりである。

 5の6をご覧いただきたい。高等学校の長期欠席者についてである。3丸2の不登校となったきっかけと考えられる状況について、一番多いのは、その他本人に関わる問題となっている。本人に関わる問題とは、極度の不安や緊張、無気力等で、他に特に直接のきっかけとなるような事柄が見あたらないものである。4のところでは、大幅に中途退学者が減ったことを示している。

 5の7をご覧いただきたい。教育相談機関の設置状況である。相談箇所として支援センターが12箇所あり、相談件数を記載している。県では松江と浜田の教育センターの2箇所に設けており、そこへの相談件数などを7(1)、(2)に記載している。

 5の8をご覧いただきたい。平成11年度から21年度までの本県及び全国の暴力行為の状況を表にし、本県の状況はグラフ化している。

 5の9をご覧いただきたい。公立高等学校の高校生の中途退学の数が大幅に減ったことを示している。経年比較を行っており、棒グラフにも顕著に減少傾向が現れている。

 5の10、5の11ではこれまでご説明した内容を棒グラフ、折れ線グラフで示している。

(石井委員)

 器物損壊などの暴力行為の件数には、同じ児童生徒が繰り返したものが延べ数として全て入っているのか。また、5の5にいじめの対応状況が示してあるが、この対応によって明らかに好転したというような状況があるのか。

(清井生徒指導推進室長)

 件数は1人の児童生徒が何件も起こしたものも含めた全体の数である。また、好転したかどうかについて、この調査は教員がとらえた数字であり、その後、児童生徒がどうなったかということについては調査していない。

(渋川委員)

 けがをさせたら暴力なのか、けんかをして叩いたり、殴ったりしたことも暴力なのか、暴力の概念はどのようなものか。

(清井生徒指導推進室長)

 これは発生件数ということであるため、どこまでが暴力行為かということはなかなか難しい。例えば、けんかをしていたときに手が周りの子どもに当たったというようなものも含まれている。現場の教員が暴力行為ととらえたものが件数に入っており、どの段階からが暴力かという見極めは任せている。

(渋川委員)

 大きな子どもの場合は、明らかに暴力行為と分かってやっていることが多いと思うが、小学校低学年などの場合、幼いときにけんかなどで痛みを感じることが少なく、体でかかわることを避けていたため、感情が抑えきれず、暴力行為に至ってしまうこともあるのではないかと思う。小さなことを暴力行為ととらえて、子どもの気持ちを押さえ過ぎると、大きくなってから爆発するおそれもあると思うので、このデータを丸ごと受け止めるようなことはしないでいただきたいと思う。

(清井生徒指導推進室長)

 今年度から保・幼・小の先生の連携と研修を兼ねた小1プロブレム対策事業を開始しており、この大きな目標は子どもたちの発達心理を勉強しようというものであり、著名な先生方をお招きして勉強会を開催しているところである。講師の先生からは、感情が抑えきれず子どもが暴れるということは、発達心理から見て起こり得ることであるというお話しもあったところである。小学校低学年のところについては、そういった形で勉強を始めている。

(山本委員)

 中高の連携の中で、中学校で不登校傾向のある子どもが高校へ入ったときに、また不登校傾向になるようなデータがあるのか。

(清井生徒指導推進室長)

 小学校から中学校に上がる子どもについては把握している。中学校から高校ではそういった傾向を示すデータはないと思う。

(安藤委員)

 今の話に関連して、中学校では不登校だったが、高校でまた別の世界で自分を発揮できるということで、学校へ行きやすくなった子どもも多いのではないかと思う。義務教育が終わって自分の進路を選択する中学3年の時期に、自主的に勉学に励むという意識を持って、自分に合った高校を見つけることができれば、高校に入ってからの不登校が減っていくのではないかと思う。中高の連携ということで、そういった進路指導ができるとよいと思う。

(清井生徒指導推進室長)

 現在、子ども支援センターやしまね若者サポートセンターなどの支援機関があり、不登校となった子どもたちが相談に訪れて勉強の支援を受けたり、進学の方向性のアドバイスを受けたりすることができるようになっている。

(北島委員長)

 これだけ暴力行為やいじめがあるから何とかしなくてはということで、大人が一生懸命取り組んでいる報告を受けると、今の子どもたちは非常に恵まれた環境にあるのではないかと思う。学校を卒業して社会に出てしまうと、必ずしも周りの支援が受けられるわけではないので、学校で暴力行為やいじめがあったとしても、何とか自力で卒業できるように、試練に耐えて頑張れる気持ちを育てられるといいと思っている。非常につらい状況にある子どもたちに頑張る力を身につけさせることによって、ひいては大人になっても急に仕事をやめたり、投げ出したりしてしまわない我慢強い人間に育てることができるのではないかと思う。

 

 


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