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協議第1号

(原田特別支援教育室長)

 協議第1号「今度の特別支援教育の在り方検討委員会」の設置についてご協議する。

 特別支援教育については、平成19年4月に特殊教育から特別支援教育へと転換された。特別支援学校、特別支援学級等で学んでいる幼児、児童、生徒だけでなく、幼稚園、小学校、中学校、高等学校に在籍している発達障がいのある幼児、児童、生徒も含めて、特別な支援を必要とする児童生徒が在籍する全ての学校において特別支援教育が行われるようになって3年が経った。

 島根県においては、小・中学校の特別支援学級や通級指導教室で学ぶ児童生徒の数、あるいは小学校、中学校、高等学校で発達障がいを含めた障がいのある児童生徒数が増加してきている。これに合わせて、その教育や支援のあり方が問われている。また、特別支援学校においても在籍する児童生徒の障がいが重度重複化したり、あるいは多様化している状況もある。特に知的障がい特別支援学校高等部の生徒が年々増加している傾向にあり、これらの望ましい教育内容や教育環境について適切に対応していくことが喫緊の課題となっている。

 様々な課題に対応するため、近いところでは平成17年に出雲養護学校に小・中学部の大田分教室を設置した。翌平成18年には松江養護学校と出雲養護学校の高等部対応ということで、高等部棟あるいはプレハブ棟を整備してきた。そして、平成21年度に松江養護学校の安来分教室、安来高校内の分教室、邇摩高校内の出雲養護学校邇摩分教室を開設した。今年度は4月に江津清和養護学校で病弱部門をスタートさせ、出雲養護学校にみらい分教室という情緒障がいに対応する病弱部門の教室を開いたところである。

 ただし、今後も特別支援学校の高等部の入学者、特に松江養護学校、出雲養護学校では増加が予想され、狭隘化対策や重複障がいの対応を検討する必要があり、先ほど申し上げた幼・小・中・高の通常の学級に在籍する特別な支援を必要とする幼児、児童、生徒の指導や支援のあり方について考えていかなければならない状況になっている。

 参考までに、資料1の1に小中の81条学級と特別支援学校の児童生徒数を足した数字を記載している。81条学級とは特別支援学級を指している。この数字が平成11年度の1,181人から平成21年度は1,844人となっている。今年度は1,894人と、更に50人増加している。これにより様々な課題が発生しており、特に特別支援学校においては、教室不足と老朽化の問題が出てきている。また、新たな発達障がいに対応する教員の在り方や高等部を卒業した後の自立と社会参加に向けた支援などについても喫緊の課題となっている。

 小・中学校においても、障がいの多様化により、特別支援学級とか通級指導教室を利用する子どもが増えているため、当然それに対応する学級を担当する教員も増加しており、専門家の不足にも繋がっている。

 こういった理由により、外部の検討委員会に今後の特別支援教育の在り方を諮問して、今後の島根県においての特別支援教育の方向性について、あるべき姿を検討していきたいと思っている。検討内容は、10項目を挙げている。これだけではないが、主にここにテーマを絞り込んで様々な角度から検討したいと考えている。

 1の2をご覧いただきたい。検討委員会の委員である。学識経験者、医療、福祉、就労、保護者、市町村、そして教育関係者というところから、専門家の方17名に委嘱をして、ご意見を伺いたいと考えている。

 1の1にお戻りいただきたい。今後のスケジュールとして、5月に第1回の検討委員会を開く予定で準備を進めている。教育長から会長に諮問して、第1回では課題の説明をしたいと思っている。その後、第2回から11月の第7回を目途に、月1回という非常にタイトなスケジュールで委員の方々にご意見を伺うような形で進めて行きたい。委員の方にも実際に学校を見ていただくため、5月、6月にそれぞれ1回学校視察を計画している。11月を目途に報告をまとめて手交式をし、その答申を受けて、教育委員会事務局でマスタープランを策定する予定であり、22年度末の完成を目指したいと考えている。

(北島委員長)

 全体的な生徒数は減る傾向にありながら、特別支援教育を必要とする生徒が増えているということについては、どういうふうに解釈したらよいか。

(原田特別支援教育室長)

 様々な要因が複合的に入っているが、まず、平成19年に特別支援教育制度に変わったことが大きな要因の一つであろうかと思う。これは、従来は通常の学級にいる生徒への配慮というものに重点を置いて、そういう体制づくりをしてきたが、特別支援教育というものが理解され、浸透した中で、保護者や教員が特別支援教育の場での個別指導などよりよい教育を求めて自立に向けた傾向が強まったということが増加の一因であろうかと思う。合わせて、保護者の方でも自閉症やLDやADHDといった障がいへの理解が深まり、通常の学級で授業を受けていた子どもが、より適切な就学ができるようになり、発達障がいという障がいの幅がすごく広がったことにより、支援を必要とする数が増加したと考えられる。これは特別支援教育制度になったことによるいい点の一つと言える。

 更に、特別支援学校には専門家が集まっているということを私どもも自負しているが、そこでは児童・生徒に個別に対応する教育、特に知的障がいの学校では就労に向けてきちんとした指導をし、現場実習等の回数も増えており、アフターケアも行っている。このような進路指導の理解により、将来の姿が見えるということへの期待も多々あるのではないかと思っている。

 また、ドクターの方も以前に比べて発達障がいを専門とする方も増えてきた。保護者や教員もそういった方のところに相談に行くので、いろいろな検査が行われ、今までよりも発達障がいかもしれないという診断が多く出てきているということもある。

 このように、これというはっきりとした理由があるわけではなく、生徒の数は減ってきているが、様々な要因により、支援を必要とする、あるいは障がいのある子どもの数は増えている状況にある。

(安藤委員)

 検討委員会の委員の任期はいつまでか。また、委員の中に西部の人材がほとんど入っていないが、特別支援教育という分野は、医学面も含めていろいろな分野から研究が進められている段階だと思うので、現場の様々な見解を聞くためにも、もっと西部の人材をメンバーに入れて欲しいという希望がある。

(原田特別支援教育室長)

 教育委員会への答申は11月を予定しているが、その後のことも考えて、任期は平成23年3月31日までと考えている。それから、委員の東部西部のバランスについては、当初は西部の方を委員に入れることを考え、各団体の推薦などいろいろな形で人材確保に努めたが、西部の人材の確保が厳しい状況となったので、結果的に西部の方が少なくなってしまったということであり、最初から西部を減らしていたわけではない。

(渋川委員)

 今、高校から養護学校へいく子どもが増えているが、小・中から支援が必要である子どもが高校からいきなり養護学校に入ると、現場ではとても大変だという話を聞く。一括りで養護学校へ行くというよりも、例えば通級や分教室などの形で、普通の学校へ行きながらそういう支援も受けるということについて、先生と家族の話し合いだけで決めるのではなく、こういう程度の場合は、こういう形で普通クラスから特別支援のところへも行くことができるよというモデルのようなものがあるとよいと思う。そのバランスが取れないと、逆に閉鎖的になってしまい、社会に出てからいきなり一般の人と出会うようなことになると、とても大変ではないかと感じる。また、普通の学校生活を行っている子どもたちにも、こういう子どもたちもいるんだということを体験させる必要があると思うので、普通の学校に送っている子どもたちと一緒に触れ合えるようなシステムを作っていただきたいと思う。

(原田特別支援教育室長)

 特別支援教育の理念は今おっしゃったとおりである。環境に配慮した上で、通常の学級で教育を行うことによって社会性を養ったり、あるいは学力が着いて自分のことを自分自身でできるようになるのが一番である。

 学校教育法第22条の3という規定があり、ここに規定されている障がいに合致しない子どもは特別支援学校の対象ではないということが決まっている。あとは、特別支援学級があり、子どもが自立活動等を含めて、より伸びていく教育課程が望ましい場合には、義務教育の場合、就学指導委員会があり、そこで小学校か特別支援学級か特別支援学校かということを決めていく。その際には、当然、保護者の思いや子どもの考え方等を取り入れながら、教育関係者も入って一番望ましい方法を選んでおり、その結果が通常の学級であったり、特別支援学級であったり、養護学校であるというような選択になっている。

 先ほどのお話にあったように、本来なら通常の学級で仲間とともに学ぶことが望ましいが、場合によっては、専門家に任せた方がより伸びるという判断をされ、特別支援学校を受験したり、特別支援学校へ転校したりというケースもある。子ども一人一人にとって望ましい教育の場を提供することは、しっかりやっていかなればならないので、通常の学級の先生には特別支援の理念というものをしっかりご理解いただいて、子どもたち一人一人がいい環境の中で学習できるように進めて行きたいと思っている。

(渋川委員)

 養護学校の先生は、時間外のところでの関わりがすごく多いようで、本当に大変だなと思っている。社会に出た子どもたちをサポートするNPOなどがあることは知っているが、実際に学校に通っている子どもたちを先生一人で背負い込むのではなく、地域の方と連携しながら見守るようなシステムはあるのか。

(原田特別支援教育室長)

 できるだけ先生一人一人が背負い込まないようにというのは、当然のことと思っている。今回の検討委員会の中でも、教育委員会だけでなく、障がい福祉課等関係部局も含めて行政の部分が繋がっていく、あるいは地域と繋がっていくことも連携方法の一つとして検討し、そこから発信していこうと考えている。

(渋川委員)

 ぜひお願いしたい。

(北島委員長)

 諮問して出された答申を受けて、教育委員会に今後の取組を決めるにあたり、我々は専門家の皆さんほど特別支援教育に詳しくないので、例えば、この検討委員会のスケジュールの中の視察に一緒に参加させていただき、現場を見せてもらったり、あるいは委員会で審議される際にオブザーバーなどの形で話し合いを聞かせてもらうことが可能か。

(今井教育長)

 視察については、調整させていただきたいと思う。それから、毎月1回開催ということなので、検討状況はまたご報告させていただき、教育委員の皆様のご意見をお聞きしたいと思う。

(北島委員長)

 我々も現場を見たいという気持ちをもっているので、視察については、是非お願いしたいと思っている。

(伊藤教育監)

 重要案件については、昨年度から協議会の場で事前に教育委員の皆様のお考えを伺う機会を設けている。原田室長から状況を報告させていただき、今後の方向性もご協議いだだくような場を設けたいと思っている。

 

 


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