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報告第6号

(鴨木総務課長)

 報告第6号公立学校等における「新型インフルエンザ対策」についてご報告する。

 資料3の1の「1これまでの経緯」の丸2のとおりWHOの現在の警戒レベルは上から2番目のフェーズ5である。ただし、WHOの警戒レベルは感染の地理的な広がりに応じて上下する仕組みになっており、必ずしも病原性の強弱、発症した場合の症状の重篤性と直接リンクするものではないという面がある。WHOは、現段階で渡航禁止や国境封鎖を求めないと表明している。

 一方、国内では丸3のとおり5月16日(土)に初めての国内感染が確認されたところである。国は新型インフルエンザ対策の段階を「第1段階(海外発生期)」から「第2段階(国内発生早期)」へ移行したところである。さらに本日午前中に国は大臣レベルの本部会議を開かれ、今の状況を分析、検討され、現段階では引き続き第2段階、国内発生早期を維持する決定をされたと聞いている。仮に今後さらに感染が拡大することになると、国では第3段階へ移行することも想定はされるが、国では感染拡大期、蔓延期、そして回復期に至る時期を第3段階として対応する予定になっている。

 そのような状況を踏まえ、「公立学校等における対応マニュアル」は3月の教育委員会会議で報告したところである。既に策定済みの対応マニュアルにより、現在、国内発生期の対応を実施している。具体的にはWHOの警戒レベルがフェーズ4に上がった4月28日の時点で、県教育委員会独自の危機管理対策本部を設置した。そして知事が本部長の県の危機管理対策本部と連携しながら対策を進めている。

 具体的な対策を実施するための教育委員会の体制は資料3の5のとおり総括班、広報班、健康指導班、教育指導班の4班を編成し、それぞれ対策を進めている。総括班は知事部局の対策本部との連絡調整、教育庁内の連絡調整、市町村教育委員会との調整、そして今後、学校の臨時休業、あるいは教育機関の臨時休館等を指示するような事態が生ずれば判断をすることになる。

 広報班は、関係先を通じて実態把握に努め、報道機関へ情報を提供する担当になる。

 健康指導班は、各学校及び教育機関等における感染予防対策、健康指導を徹底する担当になる。

 教育指導班は、今後、仮に島根県内の学校において臨時休業を行う事態になった際に、児童生徒が自宅で自習するための教育活動の支援、その方針を策定する担当になる。以上の4班編成で既に対策を進めている。

 資料3の1の「2対応マニュアル適用の考え方」について、3月に報告した策定済みの対応マニュアルは高病原性の鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)がヒト型に変異をすることを想定して策定したマニュアルで、強毒性が前提になっているが、本日時点でこの新型インフルエンザ(ブタ由来のH1N1型)は、感染の地理的な拡大はあるが、病原性は必ずしも強くないと見られている。今時点の知見では、病原性のレベルとしては通常の季節性インフルエンザとほぼ同等レベルであることがWHOを初めとする専門機関から表明されている。

 病原性の点で策定済みの対応マニュアルとは前提条件が異なっているので、この対応マニュアルをそのまま一律かつ硬直的に適用するのは現状に合致していないと判断している。したがって、マニュアルを基本としながらも最新の情報を収集し、それらを総合的に勘案して適時適切な判断を行っていくという弾力的運用を行うという考え方で対処を進めており、今後もそのような考え方で進めたいと考えている。

 「3国内発生期の対応方針」について、現時点で既にこの段階に入っているが、この国内発生期の対応方針についてもマニュアルに詳細な定めをしているが、その中の一部について適用を保留している。具体的には丸1で県外滞在者に対する対応として、例えばマニュアルではこの時期になると県外への修学旅行などは一斉に中止を指示する、あるいは県外へ研修、派遣に出している教職員を一時的に県内に帰らせる、あるいは教職員を県外に出張させることを自粛させることが定めてある。これについては、病原性の違いなども考慮し、教育委員会が別途指示するまでの間、適用を保留することにしている。今後さまざまな情報を分析し、特に国内での感染拡大の動向を踏まえ運用方針を随時決定していきたいと考えている。

 なお現在、神戸市、大阪府などを中心に、さらには国立感染症研究所が現場に実際に応援に入り、感染源、感染経路などを特定するための積極的疫学調査が実施されている。それにより今後、感染の地域的な広がり等が、次第に判明していくことになると思うが、本来であれば確定された科学的な知見に基づき、対策を打っていくのが本道であるが、昨日来、特に兵庫県、大阪府で感染経路を特定できないような蔓延期に既に入っている可能性に言及する専門家がいるという報道が既に入ってきている。

 この積極的疫学調査の結果が判明し、それに基づいて国としての対策方針が確定するまで待ってから対応するのでは、場合によってはリスク管理上、手おくれになる可能性もあると認識しており、そういう意味でこの適用保留をしている部分の一部について暫定的に現場に対して今朝、情報提供を行った。

 暫定というのは、今後、兵庫県、大阪府における感染実態が解明され、それに基づく感染拡大防止対策が講じられるときまでの当面の間の措置として、関西方面への修学旅行、あるいは部活動の遠征などを延期、中止してもらいたい旨を今朝、公立学校に対して指示、要請を行ったところである。具体的には、県立学校に対しては直接指示し、県の所管の教育機関に対しても直接指示した。さらには市町村教育委員会には情報提供を行い、県の対応をお知らせし、市町村所管の小・中学校などにおける対応を促したところである。

 今日の措置は場合によっては蔓延期に入った可能性もあるので、一部先取りで情報提供を始めたものである。今後、感染実態等に関する詳細な情報が判明次第、対応方針を改めて決定したいと考えている。

 今後、島根県内でも臨時休業が起こり得るわけであるが、そのときに備えて臨時休業期間中に自宅で自学、自習するための手引きをあらかじめ現場に通知、指示しておく必要があり、この点については、高校教育課と義務教育課で編成している教育指導班が、県立学校及び市町村教育委員会に対し、臨時休業期間中の生活、学習の指導の通知を5月13日に既に発出している。

 資料3の2以降については、今後、仮に県内発生期に至った場合にどのような対応をするのかについての案である。まだ国内発生時であり、現時点で県内での感染は確認されていないが、今後、そのような事態に至った場合に公立学校等においてどういう対応をするかであるが、県内発生期についてもマニュアルの弾力的運用を行いたい。マニュアルでは県内で1人でも感染者が確認された段階で、県内の学校すべて一斉に臨時休業に入ってもらうマニュアルになっている。これは強毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルスを想定したマニュアルであるためであるが、直ちにそのような運用を始めることは現場に混乱を及ぼすであろうということで弾力運用をしたい。現場としては県教育委員会の方針を示してほしいという要請があるので、文書については既に5月12日の夜から案の段階として現時点で考えている対応について現場に情報提供を始めている。その後5月16日の段階で国内発生を受けて、国としての対応方針を表明され、その中に、国として学校の臨時休業に対してどのような考え方をとっているのか詳細に資料で表明してあるので、それと県教育委員会の対応方針案が内容的に矛盾しないかを検証したが、整合性が確保されている。

 現時点でこのような考え方で対処したいと考え、既に現場への情報提供している。あくまでもさまざまな前提条件のもとでということになる。今後、仮に島根県内で感染が確認されるときにも、感染者、感染源、感染経路などが特定し得るような形で島根県内で発生するのか、それともそうではない形で蔓延状態になるのか、現時点では仮定の話なので予測できないが、実際の島根県内の発生状況により、そのまま適用できるのか、さらに検討を加える必要があるのかはその時々の情勢によって考えていく必要がある。

 現時点では島根県内で仮に発生しても、初期段階では感染者、感染者の濃厚接触者が特定でき、その疫学調査を通じて感染源、感染経路が把握できる、それに応じた対策が打てることを前提にして対応方針案を作成している。

 資料3の2の記の下であるが、県内発生期を初期と感染拡大期に分ける。初期は感染者、疑似症患者、濃厚接触者を特定することが可能、したがって感染源、感染ルートについての特定が可能な段階を想定している。さらに二次感染が拡大し、特定が困難になった段階を感染拡大期と記している。

 「2県内発生初期の対応方針」について、この初期においては感染者、疑似症患者、濃厚接触者に関する情報を県の健康福祉部から提供してもらうように要請をする。

 初期段階で情報を速やかに健康福祉部から提供してもらった上で、初期段階は県立学校の児童生徒または教職員が疑似症患者であることが判明した段階で、その学校を臨時休業に入ってもらう、そして疑似症の段階から感染者であることが確定する、あるいは感染者でないことが確定する、どちらかになるので、感染者であることが確定した場合には本格的な臨時休業措置に移っていくし、感染者でないことが確定したらその段階で臨時休業は解除をする。

 県立学校の児童生徒または教職員が感染者または濃厚接触者であることになると、その学校に対して臨時休業を指示し、基本的に臨時休業の期間を1週間と考えている。1週間ごとにさらに延長する必要があるのかないのかといった点についての判断をしていきたいと考えている。

 「丸2県の教育機関等に対する指示」について、図書館、博物館、青少年の家などの教育機関等の場合にはその職員が疑似症患者あるいは感染者、濃厚接触者となった段階で臨時休館の扱いにしたいと考えている。

 「丸3市町村教育委員会に対する要請」について、同様の考え方を市町村にとってもらうように速やかに情報提供し、臨時休業の要請をしたいと思っている。具体的には市町村教育委員会の所管になると公立小学校、中学校あるいは幼稚園が該当するが、あくまでも児童生徒または教職員が確認されたその学校を最小限臨時休業してもらいたい。ただし、特に小・中学校、幼稚園の場合にはそれぞれの発生地域の状況により、例えば生活圏の実態、交通網、通勤・通学流動、人口密度の状況に照らして、1つの学校ではなく、少し面的に休業措置をとる必要がある地域も島根県内にある。したがって市町村教育委員会が、その学校だけでなく、広く市町村内の所管学校を対象とするような臨時休業措置をとることができるように幅を持たせた書きぶりにしている。

 「3県内感染拡大期の対応方針」について、感染源、感染経路が特定できない状態になっているので、いわば広い地域において感染リスクが存在することになる。したがって、そういう段階になるとマニュアルどおりの一斉休業ということにならざるを得ないと考えている。その場合であっても島根県内の地形的な条件から考えて、例えば出雲地域、石見地域、隠岐地域、それぞれで段階を踏んで違った対応を行うことができるように考えたいと思っている。

 資料3の4にQ&Aを示している。

 資料3の2、3の3、3の4について、5月12日夜、現場が認識できたのは13日だと思うが、この案の情報提供を始めたところである。

(山根委員長)

 幼稚園や保育所の臨時休業の対応はどうなっているのか。

(鴨木総務課長)

 直接指示のできる対象は県立学校と県の教育機関であるが、同じ内容を市町村教育委員会にも伝えて、同様の対応をとってもらうように要請している。したがって市町村立の幼稚園、小学校、中学校、高校については、同様の対応を要請したいと思っている。

 保育所については、知事部局の健康福祉部が所管しており、具体的にどのような形で閉鎖に入るのかを現在検討されている。学校が臨時休業に踏み切る措置の内容と保育所が閉鎖に入る措置の内容は必ずしも連動するものではないと理解している。

 なお、私立学校については、公立学校における対応を準用するということで、その都度、知事部局から関係する私立学校には情報提供されていると聞いている。

(北島委員)

 この対応方針案の「案」はどの時点で取れるのか。

(鴨木総務課長)

 島根県内の発生時期がいつになるのかにもよるが、できれば島根県内で発生する前に「案」を取って、確定させたいと思っている。ただし、流動的な要素が2つあり、1つは国の対処方針である。国が現在は第2段階の国内発生早期で対策を進めており、国内発生早期を前提にした国の発表資料とこの対応方針案は整合性がとれている。ところが現在、兵庫県、大阪府で起こっている事象がいずれどのような感染であるのか解明されるが、その結果によっては、国が第2段階から第3段階に対策を進める可能性がある。その場合には、国も弾力対応をしたいといっているが、国が定めている強毒性を前提にした行動計画の第3段階の対応というのはかなり厳しいものになっているので、国がそのまま発動することになるとこの対応方針案との間に矛盾が生じることになる。したがって国が今後、第3段階に移行されるのかされないのか、第3段階に仮に移行した場合にどういう弾力運用をされるのか、そこを踏まえないとこの案を確定できないという事情がある。

 もう一つは、現在、兵庫県、大阪府で起こっている感染の実態、特に感染源、感染経路が特定できるかどうか、それにより島根県内で発生するときにもある程度、特定されるような格好で発生するのか、それとも島根県内でもいきなり特定できないような格好で発生してしまうのかということがある。以上の2点について流動的な要素があるために、現時点で「案」が取れない状況である。

(渋川委員)

 保護者、父兄は心配していると思うが、保護者、父兄への周知について対応は考えているのか。

(鴨木総務課長)

 保護者向けの文書等での通知は各学校が対応することになるが、報道機関に協力してもらい正確な情報を県民に伝えていくこと、教育委員会のホームページに一番新しい情報を常に載せ続けることの方法を組み合わせながら進めていきたいと思っている。

(山根委員長)

 感染者や濃厚接触者が誹謗中傷されることがないように世論が良識を持った対応をしてもらいたい。特に高校生や子どもの場合は慎重に取り扱うようにマスコミにも要請してもらいたいと思う。

(鴨木総務課長)

 人権侵害を起こしてはならないことについては、大変重要なことであると思っている。感染者は疾病の被害者であって、感染者や濃厚接触者が差別の対象になるようなことがあってはならない。私たち教育に携わる者はそのような事態を全身全霊で食いとめなければならないことを肝に銘じる必要があると思っている。


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