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協議第3号

○鴨木生涯学習課長

 協議第3号第2次「島根県子ども読書活動推進計画」策定について協議をお願いする。

 第2次「島根県子ども読書活動推進計画」の策定作業に入ったということについては、昨年8月20日の教育委員会で報告させてもらった。その際、子ども読書活動推進会議を設置して議論を進めるということと、おおよそのスケジュールを話した。さらに、既にその段階で第1回推進会議を行っていたので、その主な論点として4点ほど申し上げたところである。まず、第2次計画においては、「子ども読書県しまね」を標榜したい。具体性のある計画にしたい。絵に描いた餅に終わることのないよう、実現を担保する力、裏づけを持った計画としたい。さらに、市町村の積極的な取り組みを誘導できるような計画としたい。このようなことが議論されたという旨を8月20日の教育委員会で報告させてもらったところである。その後、2の2ページに記したようなスケジュールで、この推進会議を中心に第2次計画の素案について熟度を高めてきたところである。

 2の1ページをご覧いただきたい。そのような経緯で策定作業を進めていたが、今回、3番にあるように、第2次計画の素案をパブリックコメントにかけ、計画素案に対する県民意見の募集を行いたい。パブリックコメントの期間は、3の(2)に記載しているように、本日の教育委員会で了承いただいた後、明日、2月13日から3月6日まで3週間を予定している。その後、県民の意見を踏まえ、計画案を最終調整した上で、3月下旬の教育委員会に議決事項として付議したい。このような予定を考えている。

 この第2次計画素案については、2の1ページの4番に、今回の計画素案の特徴を幾つか整理しているので、その説明をもって代えさせてもらいたい。

 今後、平成21年度から25年度の5年間の第2次計画の基本的な考え方であるが、特に、子どもが自立的な読書に向かう上で重要な学齢期に焦点を当てたい。そういった観点で義務教育段階における「学校図書館活用教育」を集中的に全県展開したい。そして、この取り組みをけん引役にしながら、「子ども読書県しまね」の実現を図りたい。機運醸成を図りながら幅広い県民運動に結びつけたい。このような基本的な考え方で計画素案を策定している。

 4番の1、2、3、4であるが、学校図書館に人材を配置し、人のいる図書館を目指したい。さらに配置した人材の専門性を高めるような人材養成研修を、主として県立図書館の使命として推進していきたい。さらには学校図書館の蔵書の整備については、本来の責任である市町村に「学校図書館図書標準」の達成を要請していくが、そうは言っても、必要な蔵書が確保されるのには時間がかかるので、それまでの間の臨時措置として、県立図書館から各小・中学校への図書の団体貸出を強化したい。さらに4点目であるが、「学校図書館活用教育」を計画的、系統的に推進するためには、それぞれの学校の中において年間指導計画あるいは教育課程上の位置づけが重要である。管理職をはじめとする教職員の理解を深めるための研修や校内体制の整備を進めて、県内すべての公立小・中学校で「学校図書館の活用教育」を推進したいと考えている。

 このほか、今回の第2次計画の素案には、広範多岐にわたる多様な主体が、それぞれの立場でどういうことをこの5年間にやってほしいかということをかなり具体的に書き込み、数値目標なども掲載している。

 本日のところでは、このような第2次計画の素案に対して県民意見の募集を行う手続に入りたいということについて了承をいただければと思っている。

 

○藤原教育長

 今日、平成21年度当初予算案の発表をしたところである。こちらの関係では、トータルで約1億5000万円の予算となっている。

 

○鴨木生涯学習課長

 当初予算は多岐にわたっているが、特に「学校図書館活用教育」の関係では、各小・中学校に学校司書等の人材を配置するための財政支援制度が1億3,000万円余である。これは市町村に対して交付金を交付するものであり、所管は義務教育課である。また、県立図書館において、人材養成のための研修事業を大規模に展開し、さらに各小・中学校へ図書の団体貸出を強化する。その予算が約1,900万円である。冒頭に申し上げた、実現を担保する力を持った計画という点について、予算上の措置はできたと考えている。

 

○藤原教育長

 学校図書館へ人を配置するのは基本的には市町村の業務である。だが、財政的に厳しいこともあるので、県から支援することによって配置を促していく。市は2分の1、町村は3分の2の補助率を現在考えている。また、学校によっては有償ボランティアの形をとるところもある。現時点で得ている情報では、21市町村すべてで取り組みを行うこととなった。

 

○北島委員

 図書購入費について、国からの予算が他のものに流用されるという話がニュースになり、島根県でもそういったケースがあったと記憶している。きちんと図書購入費に使われるようにすることはできないものか。

 

○鴨木生涯学習課長

 市町村の普通交付税に学校図書費として算入されている額に対して、島根県内の市町村が各小・中学校の図書費として予算計上した額は概ね50%弱である。つまり、交付税措置されていながら、実際に小・中学校の図書費に充当されているのは半分弱にすぎないという状況である。ただ、これは普通交付税であり、各市町村にとっては使途を限定されていない一般財源だという建前であるので、各市町村の判断で他費目への流用という実態があるわけである。

 すべての公立小・中学校で「学校図書館活用教育」を進める上で、図書は極めて重要な要素であるので、県としては、義務教育課や生涯学習課から、各市町村教育委員会にさらに強力に要請活動を行い、各市町村できちんと予算化されていくよう働きかけていく必要がある。

 そうは言っても、21年4月からすべての小・中学校に完璧な図書がそろうということは、物理的に不可能である。市町村には努力してもらうが、当面5年間、必要な図書については県立図書館から貸出ができるように、今回、小・中学校向けの団体貸出用図書費として1,200万円を21年度当初予算案に盛り込むことができた。よって、これを上手に活用しながら、図書の少ない小・中学校には県立図書館から支援を行い、「学校図書館活用教育」に必要な図書が確保されるようにしていきたいと考えている。

 

○石井委員

 計画の6ページに「県立図書館は県東部にあるため、石見・隠岐地域についてより一層の検証に取り組む」と書いてあったので大変うれしく思ったのだが、これは小・中学校に対する支援の形ということだろうか。次の議題である県立図書館振興計画の中で、県立学校についての支援についても手立てがあるのか。例えば高校が県立図書館から本を借り、返すときにその費用が学校負担となると、石見地域の学校はなかなか大変ではないかと思うが、その辺りの配慮はあるだろうか。

 

○鴨木生涯学習課長

 「子ども読書活動推進計画」として、今回の5年間は主として義務教育段階、小・中学校の図書館活用に光を当てているわけだが、次の議題で説明する「県立図書館振興計画」においては県立学校に対して県立図書館の相互貸借を強化していくことを盛り込んでいる。県内の市町村立図書館、県立学校、大学等の相互貸借が一層進むよう、物流システムを強化する。経費負担についても、県立図書館の負担で県立学校との蔵書のやりとりができるような計画をつくっている。

 

○渋川委員

 各家庭で眠っている蔵書を図書館に寄付してもらって活用できるよう、広く県民にアピールしていただきたい。

 

○北島委員

 学校図書館が大事だということはよくわかるが、家庭での読書も同じくらい大切である。親が読書している姿を見せないと、なかなか子どもに読書の習慣が根付かないのではないか。大人に対して、読書がいかに大事かということを啓発する活動にも重点を置いていただきたいと思う。

 

○鴨木生涯学習課長

 第2次の5カ年計画では「学校図書館活用教育」にスポットライトを当てるという面はあるが、計画全体としては幅広い内容を記載している。

 特に親の世代が読書し、その姿を子どもに見せるのは大変大事なことである。一つの典型的な活動は家読(うちどく)であるが、そういったものを広く進めようということは計画素案にもいろいろな箇所に記載している。「学校図書館活用教育」をけん引役にはするが、計画そのものは幅広く、県民運動として展開することを目指している。

 「子ども読書県しまね」を標榜するというのは、すべての県民の方々に子ども読書の重要性を認識してもらい、それぞれの立場で自分のできることをやってもらいたい、そのような計画にしたいということである。今後、計画の実施段階でも普及啓発、広報には特に力を入れたいと思っている。

 

○藤原教育長

 新しい学習指導要領の中で、言語力を高める取り組みを強化しようということが掲げられている。これともうまく関連づけながら、家庭での読書活動を進めていきたいと思う。

 

○山根委員長

 学校図書館への人材配置の補助は、今後何年間継続するのか。

 

○鴨木生涯学習課長

 建前から言うと予算は単年度のものであり、毎年度の予算議決をもって有効になるため先々のことを確定的には申し上げにくい点があるが、5年間の制度であるということは財政当局へ説明しているし、県議会にも情報提供を行っている。6年目以降をどうするかという点は将来の課題ではあるが、5年間の成果を検証した上で議論することになる。

 

○北島委員

 7ページの数値目標の表の中で、「全校一斉の読書活動をしている小中学校の割合」の平成20年度目標が、小学校は100%、中学校は90%となっている。中学校の目標数値が100%となっていない理由は何か。

 

○鴨木生涯学習課長

 こちらは5年前に第1次計画で目標として掲げた数値である。18ページをご覧いただくと、今回の第2次計画においては「全校一斉の読書活動を始業前に取り組んでいる学校の割合」を25年度に小学校、中学校それぞれ100%にしたいという数値目標を掲げている。

 

○山根委員長

 すばらしい計画であるので、ぜひ全県に展開していただきたいと思う。今日意見が出た蔵書の活用や、家庭における読書活動の普及といったことも参考にしていただきたい。

 


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