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報告第26号

(秋利義務教育課長)

 報告第26号教員採用候補者選考試験の現状と今後の改善についてご報告する。

 教員採用候補者選考試験実施に当たっては、これまでも試験内容や方法、試験システムそのもの等、様々な視点から検討を重ね、逐次改善に努めてきている。次の観点から改めて全体を見直して改善を図るということで、1つ目、より信頼性の高い、公正な試験システムの確立ということ、2つ目に受験者等に対する透明性、公開性のさらなる向上ということで、改善案等を考えている。

 資料1をご覧いただきたい。これは現在の採用試験の流れと、流れの中の改善をまとめたもので、網かけにしている部分が改善点である。全体の流れに沿ってお話をさせていただく。1次試験問題は、指導主事あるいは現場の教員が作成している。問題は、県教育委員会が準備したパソコンを使って、決められた場所でのみ作成することになっており、このパソコンは外部と接続されていないし、もちろん作成途中のデータ等も持ち出し禁止ということにしている。また、問題作成の際には常に、企画人事主事という人事担当の職員が立ち会っている。印刷は民間の業者を使っているが、印刷データの作成や印刷にそれぞれ企画人事主事が立ち会っていて、一日の作業が終了すると、印刷業者からすべてのデータを持ち帰って厳重に保管しているという状況である。

 それから、1次試験の採点では、受験番号を伏せて整理番号によって複数の者で採点している。面接試験では、受験者5人を1つのグループとして集団面接を行っているが、民間、指導主事、人事担当主事が面接員となり、評価はもちろん3人が独立して行っている。民間の面接員は、企業関係者あるいはPTA関係者にお願いしている。

 それから、得点の入力、チェックはすべて複数の者によって行っており、その上で成績一覧表を作成している。大分県ではこの成績一覧表データの改ざんが問題となっていたが、本県では幾度もチェックし、そういったことがないよう体制を強化しているが、さらなる確認を行うため、新たな取組として人事担当者以外の者でこの入力についてもチェックすることとする。これは先ほど報告の(1)にあった不正防止の強化である。

 その後だが、1次合格者を決定する合否判定会議に教育委員の方2名に入っていただき、8名で合否判定を行うことを考えている。公正性を高めたいという考えである。もちろん成績一覧表には氏名や受験番号等は記載せず、人物の特定は困難な状態にしている。

 2次試験についても大体流れは同じである。

 それから、関係文書の適切な保存について、これまで実施要項・登載名簿は30年間保存し、試験問題及び解答例、成績一覧表は5年間保存してきているが、答案や面接評価表については新規採用教員の辞令交付式が終了した後、既に一覧表に転記しているので必要ないということで廃棄していた。ただ、一連の事件を受け、必要なときの対応ということで、関係文書の保存年限を1年未満から5年間へ延ばしたいと考えている。

 資料2には、先ほどお話をさせていただいたこと以外で、実際に現在取り組んでいることを載せているので、参考までに見ていただけたらと思う。

 それから、資料3であるが、採用試験や管理職の昇任試験については常に点検を行って改善に取り組んでいるが、改めて外部の有識者によるシステムの点検を受けて御意見をいただくことは、信頼性を高める上で必要なことと考え、新たな委員会を設置して点検していただこうと考えている。趣旨はそちらに書いてあるとおりである。平成19年度に実施した教員採用候補者選考試験と管理職の昇任候補者選考試験について、調査点検していただく。答案等は既に廃棄しているので、それは点検ということにならないが、できるだけ今ある資料をすべて出して、システム全体について点検してもらいたいと思っている。

 外部有識者ということで、学識経験者3名、島根大学の元学長である北川さん、山陰中央新報の元論説委員の長野さん、総合教育審議会の委員である馬場さんに内諾を得ているところである。

 調査点検内容は3の(1)、(2)、(3)に書いているとおり、選考試験が公正に実施されているか、受験者への透明性や公開性があるか、改善を考慮すべき点があるかということについて、この8月中に点検していただく予定である。

(七五三委員)

 2点伺いたい。1点目は、現在の保存期間が1年未満であったものを5年間にするというのは、成績一覧表と試験問題解答例が5年間だから、関連する資料として5年間保存するという意味なのか。特に5年間ということにこだわられたのはどういうわけか。

 2点目に、19年度実施したものを今から点検するというのは、どういうメリットがあるのか。19年度のものを今さら、殊さらにやらねばならない必要性は何か。

(秋利義務教育課長)

 答案用紙の保存年限については、先ほど七五三委員がおっしゃったとおり、成績一覧表、試験問題、解答例等を5年間保存にしていることにあわせて、これもすべて5年間とした。

 それから、平成19年度についての調査点検をなぜ今行うのかということであるが、我々としては、当然これまでも厳正にやってきたところであり、それを点検されて何ら問題になるということはないと自信を持っている。これについて、教育委員会内部でいくら点検して大丈夫だと言っても、なかなか世間の方で納得されないというところがあり、19年度分を外部の方にしっかり見てもらって、我々として公正にやっているということを証明していただけたらと考え、こういう委員会を設置したところである。

(七五三委員)

 19年度はやる必要がないのではないかと思う。20年度からぴしっとやりさえすれば、今まで何ら恥じるところはなく自信を持ってやってきているんだから、という気がするのだが。

(藤原教育長)

 これは、今のシステムが適正に行われていることを外部の委員から評価してもらおうと考えているものであり、今後20年度以降毎年度実施するということは考えていない。19年度についてはすべて完結しているので、19年度分を点検してもらうということである。

(七五三委員)

 今後常設的に委員会を作ってそれをやるということであるならば、無理に19年度からやらなくても20年度から継続的にやっていったらいいのではないかと感じたから聞いてみたまでで、完結したものを、一回有識者に見ていただいて、確かに正確無比にやってありますよということを確認してもらうということであるならば、それはそれで了解する。

(山根委員)

 8月11日に記者会見をするということだが、今説明があったように、教員採用については、試験問題や解答、選考基準を公開していること、それから試験の1次、2次の結果を、本人が希望すればフィードバックしているというような、非常に適切な対応を従来から教育委員会はとっているということを具体的に伝えて、県民の皆さんの不信感を払拭すべきではないか。また、マスコミの皆さんも、そういうことを正確、冷静に伝えていただきたいと希望する。

(石井委員)

 先ほどの点検委員会のことをお尋ねしたいのだが、これは選考の手順、流れのこと等について評価をされるわけではなく、あくまでも平成19年度の選考が基準どおりに行われていたかどうかを確認されるのだという理解でよいか。

(秋利義務教育課長)

 流れ自体も含めて、評価していただく。我々としてはこういう形がベストだと考えているが、流れ、システムについての意見をいただくこともあろうかと思う。その意見をもとにして、教育委員会内で検討し、改善すべきところがあれば改善していきたいと考えている。

(藤原教育長)

 この流れに沿って、例えば昨年度の問題はこういう問題をこういう手順で作り、合否判定の協議はこういう資料を元にしてやっているというところを、具体的に物も見てもらいながら点検してもらう。

(北島委員長)

 この大分の事件が発覚してから最初に、島根県はそういうことは一切ないと、どこへ出しても、点を水増ししたとか不正に採用するようなことは一切なかったと自信を持って言えるという内容の報告を受け、私はそれを本当にうれしく思ったと同時に、それを信用するしかないと思った。たまたま大分で全国の総会があったときに大分県の教育委員長経験者の人の話を聞くことがあったのだが、出てきた一覧表などは全部きちんと点数が書いてあって、それをそのとおりだと信用して、合否の採決をしたと言っておられた。少なくともここにいる教育長以外の我々5人については、上がってくるものについては全面的に信用するしかない。これから教育委員が合否判定会議に2名加えていただくということになるが、考えようによればいくらでも操作はできるんだろうなという気はする。でも、やはり私は、人間はきちんと仕事に対して誇りを持ってやっている以上は、それを全うしていただきたいと思うし、それが島根県の教育庁に勤める人たちの誇りでもあろうかと思うので、最初にそうやって自信を持って、ないと言い切っていただいたことは、私はすごくうれしく思ったし、これをさらに強化して万全を図っていくということで、私はいい方向に進んでいるのではないかなと思うところである。

 


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