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有識者インタビュー4

遺伝子組換え作物研究や消費者の反応等の現状をどのようにお考えか

・安全性については、消費者が不安を抱かないように研究を進めている。安全性を無視して研究に走っている訳ではなく、この点は消費者に誤解がある。

・国の基本姿勢は、日本は外国に比べて研究開発が遅れており、追いつかないといけないというもの。日本は規制も大きい。EUは研究に関しては日本より進んでいる。

・国への不信感は、これまでのBSEなどでの不手際により生じたと思われる。

・今までのGM作物は、生産者メリットのみであり、消費者メリットはない。今後は、消費者メリットがある作物(第2世代)を作出することで消費者の支持を得たい(例:発芽玄米のような、生活習慣病の予防可能な作物の開発)。国のGM特別研究でも、来年までに第2世代の作物をできるだけ多く作出しようとしている。

・環境への影響は、今のところ、組換え作物から土壌細菌への遺伝子の水平伝播はまず起こりえないとされている。また、花粉は飛散しないような対策を取ることで、影響を最小に押さえることができると思われる。環境への影響については、農薬や従来品種の花粉による影響もあるので、GM作物を特別扱いするべきではない。また、規制をあまり強くするとGM作物の商品化はますます困難となり,研究開発意欲も失せてしまう。

・GM作物の薬剤耐性マーカー遺伝子については、安全性はチェックされているし、途中で当該遺伝子を除去する技術もできている。

・GM技術において、組み込む遺伝子やプロモーターを動物や細菌ではなく植物由来にするなど、できるだけ従来の育種に近いものに持ってゆく方向で研究が進められている。こうすると、消費者の理解も得やすいし,何か問題が起きたときでも、従来の育種の範囲に収まり,大きな問題へと発展する可能性はゼロに近い。

遺伝子組換え作物研究や食品流通の将来像をどのように見たらよいか

・GMで環境を浄化する植物作出し,環境浄化を行う、あるいは生活習慣病の予防が可能な作物を作出するなど、消費者メリットのある作物を作り出せば受け入れられると思う。

・現行のガイドラインはしっかりとしており、ガイドラインを遵守しながらの研究については安全性が高いと考える。

・日本の場合、飽食の時代であり、質が重視されているので、生活習慣病の予防、といった時代に合わせた付加価値をつけたGM作物を作出すれば、受け入れられると考える。

・稲作の現状は厳しいが、ギャバ富化などのように既存のコメに付加価値をつけることでコメの消費拡大にもつながることも期待できる。

県立研究機関としてどこまでの研究をするべきと考えるか

・GMは県の産業振興に有用

・ボタンは抵抗がないと思われるので、進める方がよい。島大も同様な研究をしているので、共同研究も可能。

・米は主食であり、高齢化に伴って食生活の改善を考えたときに血圧降下・コレステロール値の低減などに的を絞った,米などの GM 作物の開発は極めて有効と考える。島大では学内重点プロジェクト「健康長寿社会を創出するための医工農連携プロジェクト」がスタートし、生物資源科学部での機能性作物・食品を開発し,それらの有効性を医学部で検証し、将来的に地域貢献する予定である。

県農林水産技術会議が検討している方針についてどのようにお考えか

・県でGM研究の規制を強めると、大学の研究も影響を受ける。GM研究が可能な環境を残しておくことが必要(国が決めたガイドラインがあるのに,自治体が独自のガイドラインを条例化すると,国と対立することになる。場合によっては国からの研究・開発予算が出なくなる恐れがある)。

GM 規制で先行している自治体に追随するのではなく、島根は独自にGMを利用して産業振興を行う方向で検討して欲しい。


お問い合わせ先

農林水産総務課

島根県農林水産部農林水産総務課

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TEL:0852-22-5393 FAX:0852-22-5967
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