中海・宍道湖ラムサール条約登録一周年記念大会

〜上流と下流、そして世代を繋ぐ賢明利用〜

2005年11月8日、ウガンダ(アフリカ)で開催された第9回締約国会議において、中海と宍道湖は同時にラムサール条約湿地として認定を受けました。それから一年が経過し、この大会で、流域の小学校など8団体が一年間の取り組みを報告。参加者と澄田信義、片山善博両県知事との意見交換などを通じて、上流と下流、そして世代をつなぐ「環境保全」と「賢明な利用」の実現に向けて自分たちに何ができるかなどを考えました。

記念大会写真

日時:平成18年12月2日(土)13:30〜16:00

会場:境港市文化ホール

主催:島根県、鳥取県、境港市、米子市、松江市、出雲市、安来市、東出雲町、斐川町

協賛:財団法人中海水鳥国際交流基金財団、財団法人ホシザキグリーン財団、財団法人島根ふれあい環境財団21

後援:環境省米子自然環境事務所、国土交通省中国地方整備局出雲河川事務所、マスコミ各社

 

大会プログラム

○オープニングセレモニー:境高校吹奏楽部演奏

○中海・宍道湖ラムサール条約シンボルマーク披露及び表彰式

○映像で綴るぼくたち・わたしたちの一年間の取組み

 ・大切にしていきたい中海〜宍道湖・中海一斉清掃をとおして〜

 八束小学校

 ・10年で泳げる中海を取り戻す取組み

 鳥取県ジュニアヨット協会(財団法人日本ジュニアヨットクラブ連盟所属)スクール生

 ・KODOMOラムサール近畿・中国ブロック湿地交流(11/18・19)報告

 米子水鳥公園友の会

 ・アマモ、コアマモ再生の取組み

 未来守り(さきもり)チャイルドクラブ

 ・環境劇「"中海太郎"のふるさと本庄川を守ろう」〜私たちからのメッセージ〜

 本庄小学校

 ・ヨシポットによる自然再生

 NPO法人斐伊川くらぶ

 ・学んで知って親しむみんなの中海・宍道湖〜環境教育の支援〜

 島根県立宍道湖自然館(ゴビウス)

 米子水鳥公園

○子どもたちと鳥取・島根両県知事との意見交流

○大会宣言

 

中海・宍道湖ラムサール条約シンボルマーク披露及び表彰式

授賞式

 全国43都道府県、339人から寄せられた651点の応募作品の中から、広島県の桐原正人(きりはらしょうじん)さんの作品が最優秀賞となり、シンボルマークとして決定しました。

 そして、この大会において披露、並びに表彰式が執り行われました。
【シンボルマークの作者の言葉】

 中海・宍道湖を背に未来へ羽ばたく白鳥の姿を中央に据え、両湖と水鳥を同じ青色のラインで仕上げ一体感を出しています。白鳥が少し振り向き加減なのは、北帰行する白鳥の後ろ髪を引かれる思いを表現するとともに、県外で活躍している人たちがこの地に帰ってくるようにとのメッセージが込められています。

 ※シンボルマーク決定についての詳細はこちら宍道湖。中海ラムサール条約登録シンボルマーク

 

映像で綴るぼくたち・わたしたちの一年間の取組み(要約)

 

大切にしていきたい中海〜宍道湖・中海一斉清掃をとおして〜

 「ごみ拾い続け自慢できる海に」【松江市立八束小学校】

 平成18年6月11日のラムサール条約記念事業で、環境宣言と中海の清掃作業をしました。環境宣言では「ごみを海に投げたり、ポイ捨てをしない」「地域の人や観光客の方に中海の大切さを積極的にPRする」などを誓い合いました。

 澄田知事と片山知事と一緒に行った親水公園の美化運動では、いくら拾っても、ごみがなくなりませんでした。この公園ができた時はみんなで遊んだのに、冷蔵庫なども捨てられているのを見るとつらく、楽しく遊ぶことができなくなりました。
私の家は中海の近くにあり、満潮のときは潮の香りがします。おじいさんは舟で中海に出て、魚や貝を捕ってくれます。シジミ、アサリなどは味噌汁に、ゴズは甘露煮やてんぷらで食べます。中海は私たちに豊かな恵みを与えてくれます。この自然豊かな中海を、みんなと協力していつまでも自慢の海にしたい。

 

10年で泳げる中海を取り戻す取り組み

個人の努力が大切な財産を守る【鳥取県ジュニアヨット協会スクール生】

 発表鳥取県ジュニアヨット協会スクール生

 私たちはこれまで月一回、中海の周りを掃除してきて、すごく汚い中海の姿を見てきました。ごみの3割は家庭から出されるもので、7割が河川から流れてくるヨシや流木ごみなどだと分かりました。少しでも中海のためにと思い頑張って掃除していますが、私たちの力だけではかなり大変です。
中海を守っていくには、一人ひとりが意識してごみを出さないよう努力することが大切だと思います。中海が身近で大切な財産だと言うことに気付いてほしい。そして、その大切な財産を守っていきたい。
私たちはいつもヨットで使っている中海に恩返しをしようと活動しています。ボランティアというのは、道端に空き缶が落ちているから拾おうという簡単なものだと思う。みんなの手で中海を世界に誇れる美しい湖にすることが、私たちの願いです。

 

アマモ、コアマモ再生の取り組み

生態系を維持し、きれいな中海へ【未来守りチャイルドクラブ】

発表未来守りチャイルドクラブ

 イベントの時に大学の先生から、アマモについて教えてもらいました。実際にアマモを見たことはなかったけど、中海にとってアマモが大切な役割を果たしていることを知りました。アマモが増えれば中海がきれいになって、昔のように泳げる中海になればいいと思います。
今年五月には、中海の海岸でたくさんのごみを拾いました。ダイバーの方が、網でアマモの生えているところの魚を捕って見せてくれました。小魚に交じって、イカの赤ちゃんが捕れたのには驚きました。アマモが生えているところは小魚の遊び場で、敵から身を守ってくれるそうです。
今年から未来守り(さきもり)チャイルドクラブができて、私たちにとって身近な中海がラムサール条約に登録されたのだから、来年からもずっと清掃に参加したいと思います。

 

KODOMOラムサール近畿・中国ブロック湿地交流報告

 「日本代表する湿地へ保全必要」【米子水鳥公園友の会】

 発表米子水鳥公園友の会

 2005年、ウガンダで開かれたラムサール会議で、アジアやアフリカの子どもたちが湿地の話し合いを行い、世界中の代表の人たちに「湿地を残してください」とアピールしました。この経験を日本の子どもたちにも伝えるために今回、中海・宍道湖でKODOMOラムサール近畿・中国ブロックの湿地交流が開催されました。
近畿・中国の代表の子どもが集まり、宍道湖で捕れた魚を食べました。「湿地を守らないと、こういう魚は食べられない」と説明されて、より一層、宍道湖・中海を大事にしないといけない思いを持ったようです。
最後に、参加した子どもたちで湿地に対する思いをまとめました。「ワイズユース楽しもう親しもう身近な自然僕たちが未来の湿地をガイドする」というもの。2年後に韓国で開かれるラムサール会議で、世界の代表にもう一度発表したいと思っています。

 

環境劇「“中海太郎”のふるさと本庄川を守ろう」

 「分かりやすく汚染原因を表現」【松江市立本庄小学校】

本庄小学校の発表本庄小学校の横断幕

 本庄小学校六年生23人は、中海の水質悪化を題材にオリジナル環境劇の「"中海太郎"のふるさと本庄川を守ろう」を熱演。来場者から盛んな拍手が送られました。
劇は、同校校舎北側の枕木山山ろくから、約3キロ先の中海に流れている本庄川が舞台。上流にはサワガニやカジカガエルなどの清流にすむ生物が生息している。しかし、下流に行くに従って水質が汚れ、悪臭を放つようになった。この原因を突き止めるため、中海太郎が本庄川の水質悪化の原因究明に出るというストーリー。
家庭から出る食事の食べ残しや、食器洗剤やシャンプーなどの家庭排水が水質悪化の原因になっていることを分かりやすく表現し、きれいな水や川を守る大切さと、自然との共生の重要性を強く観客にアピールした内容でした。

 

ヨシポットによる自然再生

 「活動継続して湖全体覆いたい」【NPO法人斐伊川くらぶ】

 発表斐伊川くらぶ

 「宍道湖再生プロジェクト」と銘打って、ヨシ再生に取り組んでいます。先日は、1,400人が参加して宍道湖西岸で約1,500本の竹ポットにヨシを植えました。ヨシは水質浄化機能と生態系保全機能を持っています。ヨシ再生活動は、かつての宍道湖を取り戻し、次世代の子どもたちを主役にすることを目的に国土交通省、沿岸自治体、大学などの産・官・学・民が連携して活動を進めています。
年間23校、約千人の小学校児童が参加し、宍道湖に1,200本の竹ポットに2,400本のヨシを植えています。この植栽事業は今年で5年目となり、これまでに約1万5千本の竹ポットを植えました。最初に植えたヨシは、宍道湖西岸の斐川町で2メートル以上の群落を形成しています。

 

学んで知って親しむみんなの中海・宍道湖〜環境教育の支援〜

 【島根県立宍道湖自然館ゴビウス】

 発表ゴビウス

 ゴビウスは宍道湖・中海の汽水環境、島根の自然にこだわった展示をしている国内でも数少ない汽水域水族館で、5年前に完成しました。
ゴビウスでは三つの教育活動をしています。一つは、環境学習や調べ学習への協力。二つ目は生き物や環境に関するイベントで、講習会開催や生き物探しから一歩進み、飼育方法や繁殖、食文化などの分野にチャレンジする。三点目は調査、研究活動で、湖や川の環境を知り、環境がどう変わっていきつつあるのかを次世代に知らせるためにも大切だと考えています。

 

【米子水鳥公園】

 発表米子水鳥公園

 ラムサール条約が締結された2月2日は、毎年「世界湿地の日」になっています。米子水鳥公園でも2003年から、この日を前後にイベントを開催しています。
今年から、「子どもラムサールイベント」を始めました。毎月1回、湿地の生きもの観察会や、身近な自然物を使ったクラフト製作などを開き、毎回50人以上の子どもたちが参加しています。

 

 

子どもたちと鳥取・島根両県知事との意見交流

 

 子どもたちと知事が意見を交わすコーナーでは、小中学生が環境保全への取り組みなどを澄田、片山両県知事に質問。和やかな雰囲気の中で意見交流を深めました。
知事に質問する子どもたち子どもたちと両県知事との意見交換知事に質問する小中学生

 

大会宣言〜エンディング(ハンドinハンド)

 《大会宣言》

〇私たちの財産である中海・宍道湖の環境を保全再生し、豊かな環境を次の世代に引き継いでいきます。

〇中海・宍道湖の生態系を維持しながら、豊かな恵みを持続的に活用できるよう「賢明な利用」に努めます。

〇大人も子どもも、みんなで力を合わせて、一人一人ができることから、すぐに取り組みを始めます。

 

大会宣言エンディング(ハンドinハンド)

 

 この大会宣言は、未来守り(さきもり)チャイルドクラブのみなさんによって宣言されました。

 

 最後に、両県知事、発表者全員、会場も一緒になって手をつなぎ合い、上流と下流、そして世代を越えて、みんなが手をとりあい協力してこの大会宣言を実行していくことを誓い合いました。

 

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