第10回賢明な利用を語る会

テーマ:こどもたちが語る宍道湖・中海の未来ゴズ釣り

 

 2008年(平成20)年度第3回シリーズの第2回(通算10回目)の「賢明な利用を語る会」を、平成20年10月5日(日)に「米子水鳥公園」(鳥取県米子市)で開催しました。

 

 今回の主役は子どもたちで、宍道湖周辺と中海周辺の子どもたち30名が、中海で秋の風物詩「ゴズ」を釣って交流を深め、その後それぞれが行っている活動紹介と未来の両湖がどのようになったら良いか語り合いました。

 子どもたちが釣ったゴズは、天ぷらにして昼食にしじみ汁と一緒にみんなで食べました。

 

1.主催:島根県自然環境課、県立宍道湖自然館ゴビウス、(財)ホシザキグリーン財団、(財)中海水鳥国際交流基金財団米子水鳥公園

2.協力:鳥取県、米子市

3.日時:平成20年10月5日(日)午後10時00分〜午後3時

4.参加者数:30名(島根県の子どもたち:11人、鳥取県の子どもたち:19人)、オブザーバー(大人)20名

5.会場:米子水鳥公園(鳥取県米子市彦名新田665)

6.内容

 (1)交流プログラム〜秋の風物詩「ゴズ」を釣ってみよう、食べてみよう〜

 (2)子どもたちによる賢明な利用を語る会〜宍道湖・中海の未来を描いてみよう〜

7.概要

〔交流プログラム秋の風物詩「ゴズ」を釣ってみよう10:00〜12:00〕

 子どもたちが中海でハゼ釣りを行いました。1人で何匹も釣った人、1匹も釣れなかった人もいましたしたが、合計60〜70匹くらい釣れました。初めて釣りをする人もいて、はじめは餌(青虫)をなかなか付けることが出来なかったようですが、最後にはみなさん付けられるようになりました。釣れた魚は、米子水鳥公園友の会の方などに解説してもらいました。

針に餌を付ける様子

釣り針に餌を付けています。

釣っている様子

 みんなで釣っています。

釣った魚をはずす様子

ゴズが釣れました。

釣りの様子

魚の解説

釣った魚の説明を聞いています。

釣った魚

 大きいゴズも釣れました。

釣れたボラ

大きなボラも釣れました。

 

〔昼食12:00〜13:00〕

 子どもたちが釣った魚の一部は、捌いて天ぷらにしみんなで食べました。

 しじみ汁も事前に用意され、宍道湖の恵みと中海の恵みをそれぞれ堪能しました。

 また、中海での漁業について、「米子水鳥公園友の会」松本靖介さんにお話ししていただきました。

魚を捌いている様子

 釣ったゴズは捌いてもらいました。

昼食の様子

 天ぷらになって登場しました。

昼食の様子

グループごとに食べました。

昼食の様子

 


〔ラムサール条約と賢明な利用を語る会〜宍道湖・中海の未来を描こう〜13:00〜15:00〕

○あいさつ:島根県環境生活部山根淳史参事

 今日は島根県の子どもたちと鳥取県の子どもたちが集まって一緒に勉強することはとても良いことだと思います。午前中は一緒にハゼ釣りを楽しみました。私が小さい頃はハゼはバケツいっぱいに釣ることができました。ところが40年前くらいから水がどんどん汚れてきてハゼもなかなか釣れなくなってきました。最近は大人の取り組みもあって少しずつ水もきれいになり、ハゼも釣れるようになりました。

 さて、今日釣ったハゼのことをどのくらい知っていますか?私もこの前勉強したのですがハゼは中海で産まれます。そして夏になると宍道湖へ移動して大きくなり、そしてまた中海に戻ってくるのです。小さなお魚ですが島根と鳥取を旅していることが分かります。私も鳥取県米子市の生まれで、鳥取県の公務員ですが今は島根県に出かけています。ハゼのように島根の良いところ、鳥取の良いところを活かしていければいいと思っています。

 この中海・宍道湖は素晴らしいところだと思います。中海と宍道湖がつながっていることを知っている人はどのくらいいますか?中海と宍道湖は大橋川でつながっています。ハゼ以外にもスズキなども行ったり来たりして育っています。

 そして、この中海・宍道湖は3年前にラムサール条約に登録されました。それから一生懸命、大人だけではなく子どもたちも勉強などをとおして環境を良くするために取り組んでいます。これからもどんどん勉強して、この湖の大切な生物や環境を守ってほしいと思っています。

 

○中海での活動発表(発表者:米子水鳥公園こどもラムサールクラブ)中海の子どもたちによる発表

 「こどもラムサールクラブ」とは、小学生以上が対象の活動で、年度当初に参加申込を行うクラブ制の活動です。毎月第2日曜日が活動日で、自然観察や生物採集などの活動をとおして楽しく学ぶことを目的としています。現在は小学1年生から6年生までの28名が登録していますが、クラブを卒業した中学生以上の子どもたちもリーダーとして参加しています。

 昨年度の「こどもラムサールクラブ」の活動について、季節別に作成した壁新聞を用いながら発表してもらいました。

 

 (春の活動)

 身近な自然を観察して生きものの「食べる・食べられる」の関係について学んだことや、新緑の季節の大山に出かけて自然観察を行ったことなどを感想を交えて発表されました。

大山では珍しい鳥を発見したことに触れて、とても楽しかったことを伝えてもらいました。

 

(夏中海の子どもたちによる発表の活動)

メダカをたくさん捕まえたり変わった生きものを見つけたこと、それらについて勉強したことなどを紹介されました。その他毎年8月に開催されている中海体験クルージングに参加し、船から見る中海と湖岸についての感想を述べてもらいました。また、昨年7月に韓国の安山で開催された「日中韓こども湿地交流会」の様子について紹介されました。

 

(秋の活動)

 今日の活動にもあったゴズ釣りや、水鳥の観察、粘土で鳥のマスコットを作る活動を行ったことを報告してもらいました。

 

(冬の活動)

 2月の「世界湿地の日」を記念したイベントを行ったことや冬鳥の観察会の様子、そして1年間の活動を壁新聞にまとめた活動を発表されました。

 

○宍道湖での活動発表と「KODOMOラムサール」の活動発表(発表者:吾郷諒華さん)

 宍道湖や斐伊川での水質調査やゴミ拾い活動など、これまでの活動を発表されました。宍道湖の子どもによる発表

 また、「KODOMOラムサール」事業について、その目的や経緯、これまで吾郷さんが参加してきた交流会の様子について紹介されました。この「KODOMOラムサール」では、毎回「KODOMOメッセージ」と呼ばれる、子どもたちによるメッセージを作成されています。そのメッセージと参加者との交流を中心に発表をしてもらいました。

 参加者の中には、海外の子どもたちがいることもあり、活動をとおして湖が世界とつながっていることを実感したと述べられました。

 メッセージ作りは、参加した子どもたちがみんなで考えながら作成するもので、開催地の特色を出したり、これからの湿地を守るのは自分たちであるという意識から、そのようなキーワードを含めたメッセージ作りが毎回行われていているとのことでした。

 平成20年2月に松江市で開催された「宍道湖・中海全国湿地交流」では、参加者が多かったためメッセージ作りの意見集約には時間がかかったが、「命の源みんなの湿地(たから)〜ぼくらがつなげる命の輪〜」というメッセージを作り上げ、島根・鳥取両県知事へ手渡したことを話されました。

 また、8月に新潟県で開催された国際湿地交流はインドやタイなど多くのアジアの国の子どもたちが参加していたことや、湿地のハス刈り活動などの賢明利用の活動に参加したことを報告されました。

 最後に、湿地をとおした子どもたちの交流で多くのことを学び、これからも多くの人に伝えていきたいと締めくくられました。

 

○こどもたちが語る未来の宍道湖・中海班での話し合い

 4つのグループに分かれて、「(1)今日のハゼ釣りと試食した感想」、「(2)ハゼ釣りのように、宍道湖や中海でどんな遊びができるのか、またどんな遊びをしてみたいのか」について話し合ってもらいました。

 (1)については10分程度、(2)については15分程度の時間を設定し、グループ内で意見が出たところで、湖で遊ぶためにはどんなものが必要なのか、自分たち子どもにできることと大人にお願いしたいことなどを整理する時間をとり、最後に各班で発表を行ってもらいました。

 各班で出た意見は以下のとおりです。

 

(1班)

(1)ハゼ釣りと試食した感想

 いっぱい釣れてよかった。/岩のところにハゼがいたことが分かった。/1匹釣れてよかった。/1匹も釣れなくて残念だった。/初めてハゼを食べた。/ハゼは思ったよりもおいしかった。/骨が食べられるなんて初めて知った。

 

(2)どんな遊びを中海・宍道湖でしてみたいか

 水泳→きれいな海にしていきたい。/手で魚を直接とってみたい。/マグロとかでかいやつをとりたい。/サーフィンがしてみたい。

 クルージングがしたい。→きれいな水の方が・・・。/貝掘りをしたい。/サイクリングをしたい。/湖の探検をしたい。

 

(3)遊びをするためにはどんな湖にしていったらよいか。できることは何か。

 ヘドロをとって水をきれいにする。/ヘドロを掘り出す。/ヘドロを少なくするために排水をきれいにする。/シジミを増やして水をきれいにする。/水草が育つ環境にする。/生ゴミを排水溝に流さない。/くつ下で小さいゴミや大きいゴミを流さないようにする。/水をきれいにするために、お皿の汚れを布の切れ端を使って拭いたりする。

 

(4)まとめ

・湖で泳いだり遊びたくても水が汚いとそんな気にもならない。

・危ないので子どもたちだけでは出かけられないので見守ってくれる大人が必要だ。

・湖のことをもっと知るために探検もしてみたいが、いろんなことを教えてくれる大人がいないと前に進まないので、大人がもっと湖にかかわってほしい。

 

 (2班)班での話し合いの様子

(1)ハゼ釣りと試食した感想

 いっぱいとれてよかった。/岩のところのハゼがわかった。/釣れたから楽しかった。/1匹も釣れなくて悲しかった。/思ったより魚が釣れた。/思ったより岸の近くにいた。/初めて食べた。おいしかった。/ドロくさいと思っていたのでそんなことがなくておいしかった。

 

(2)どんな遊びを中海・宍道湖でしてみたいか

水泳。/手で魚を捕りたい。/サーフィンがしたい。

 

(3)遊びをするためにはどんな湖にしていったらよいか。できることは何か

 汚い水を流さない。/醤油などは拭いてから捨てる。/洗剤を流さないようにするため少しだけ使う。/水をきれいにするために水草やシジミを増やす。/家庭から汚れた水を流さないように心がける。

 

(4)まとめ

・ヘドロを掘り起こすなどして今の汚れを湖から取り去る。

・これから新しい汚れを入れないために汚れたものを流さないようにする。

・また、水をきれいにするためにシジミを増やしたり水草を増やすなど、生きものの力を借りる。

 

 (3班)

(1)ハゼ釣りと試食した感想

 なかなか釣れなかったけれど楽しかった。/初めてやって最初は全然釣れなかったけれど後から釣れるようになって楽しかった。/おいしかった。/ハゼの身はやわらかかった。/釣ったときはおいしそうじゃなかったけれど食べてみたらおいしかった。/最初はハゼなんて食べることができないかと思った(気持ちが悪くて)。/ちょっと生くさい気がした。/ジューシーだった。/釣りのエサが気持ち悪かった。/骨はかりかりしていたけれど小さかった。

 

(2)どんな遊びを中海・宍道湖でしてみたいか

 釣り。/きれいだったら泳げるけれど今は泳ぎたくない。/シジミ採り。/生きもの調べ。/つかみ取り。/遊びたくない。/海だったら泳ぐけれど砂あそびなどができないから泳ぎたくない。/脚が湖底についたら泳ぎたい。

 

(3)遊びをするためにはどんな湖にしていったらよいか。できることは何か

 湖を掃除してもらう。自分たちも掃除をする。/湖を広くしてほしい。/小麦粉のようなさらさらした砂浜があって、裸足でも歩きやすい湖岸を作ってほしい。/湖ではいつもお祭りなどをやってほしいが、花火など生きものに迷惑をかけるようなことはやめて、みんなが楽しめるお祭りをやってほしい。/湖岸にはたくさん動物がいてほしい。/湖の生き物を食べることのできる場所がほしい。

 

(4)まとめ

・湖をきれいにするためにはゴミをポイ捨てしないこと。湖をもっとひろくしたらよい。

 

(4班)

(1)ハゼ釣りと試食した感想班のリーダーによる発表

 人生で初めてエノハ(ヒイラギのこと)が釣れた。/マハゼにエサを盗まれたり、マハゼを釣ったりした。/昨年はハゼを食べることができなかったけれど今年は食べることができて良かった。/釣れなかったけれどエサの付け方などいい勉強になった。/エサの青虫をつけるのが嫌だった。エサがぐにょぐにょしていた。/初めて釣れてよかった。/コイはぐ食いつかず、しかしハゼはすぐ食いついた。/ハゼを食べるのは初めてで、思ったよりもおいしかった。/初めて食べた。/ドロの中にいたから食べられそうにないと思ったが食べた。/白身のところがとても柔らかくおいしかった。

 

(2)どんな遊びを中海・宍道湖でしてみたいか

 水泳。/水切り(石を投げる)/ウナギ採り。/シジミ採り。/稚魚の放流。/水クラゲ採り。/カニ採り。/つかみ採り。/クルージング。/中海の近辺を砂浜にする。/カワウなど鳥の観察。/海底トンネルを中海から宍道湖につなげてつくる。/中海と宍道湖のこどもだけの番組作り。

 

(3)遊びをするためにはどんな湖にしていったらよいか。できることは何か

 水泳をするためには浅瀬を作ったり砂浜をつくる。砂がないならば鳥取砂丘から持ってくればよい。/宍道湖中海のことを調べてまとめることで、湖の知名度を上げる。/お金がかかるのならば世界中に募金箱をおいてお金を集める。/宍道湖や中海を中から見て知ってもらうために海底トンネル作りは必要。

 

(4)まとめ

・水をきれいにするために洗剤の量を少なくすることやゴミ拾いをする。

・ご飯を残さず食べたりポイ捨てをしないようにする。

・何でも大人に頼りすぎないように募金箱を設置して自分たちで取り組んでいく。

・自分たちこどもももっと湖のことを知っていこう。(以上子どもたちでできること。)

・浅瀬を作ったり砂浜にすることや他県に湖のことを広める。(大人にしてほしいこと)

 

 上記のような意見を発表し、その中から大人にやってほしいことを参加している大人に質問する時間をとりました。

 大人からは浅場作りなどすでに進めている取り組みの紹介や、進めることのできる場所とまだ進めることのできない場所についての説明もありました。

 また、子どもたちが自分たちには何ができるのか、ということをしっかりと考えていることに驚き、私たち大人も米のとぎ汁を直接排水しないようにしたり洗剤を減らすようにするなどの感想もありました。

 そして、知名度を上げるということについて、島根県・鳥取県は全国的にも知名度が低いことを大人も気にとめていて、テレビドラマに取り上げてもらうなど「マスコミ」の力を借りることや、漫画の本に島根の位置が掲載されていることも紹介されました。宍道湖については知っている人は多いけれど中海については知らない人が多いことについても紹介され、子どもたちは驚いていました。知名度を上げることはその土地を知ってもらうことなので、大人も子どもも一緒に頑張りましょうと話された。

 

山根参事による感想

 これらを踏まえて山根参事から、「子どもたちがたくさんの意見やアイディアを持っていることに驚いたことや、このように宍道湖と中海の子どもたちが行き来しながら勉強をしたり、大人と子どもが一緒になって地域を勉強し活動を続け、大人になった時に宍道湖や中海は良いところだよと自慢できるようになると良い」と感想を述べました。

 

 最後に、子ども代表から、今日出された意見が少しでも役に立ったり実現すると良いと思うが、そのためには今日の意見を大人の人たちが仕事の場所に持ち帰って伝えてほしいと大人にお願いをして会を終了しました。

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