現在の宍道湖・中海

宍道湖・中海の水質

近年の宍道湖・中海の水質を経年的にみると、COD(化学的酸素要求量)はほぼ横ばいで推移しており、環境基準の達成には至っていません。また、アオコ赤潮に見られる富栄養化の目安ともされる全窒素及び全りんについても、同様に横ばい状態で、これらについても環境基準は達成されていません。
CODの経年変化グラフ
全窒素の経年変化グラフ

全りんの経年変化グラフ

水質汚濁の原因

宍道湖・中海が汚れてきた原因の一つは、人口の集中化や生活様式の変化、産業活動の発展などにより、両湖に流入する汚濁物質の量が増加したことにあると考えられます。湖沼の水質汚濁の原因となる汚れの発生源は、大きく分けて「生活系」、「産業系」、「農畜産系」、「自然系」に分類できます。

「生活系」とは、家庭からの生活排水など、「産業系」とは、工場や事業場からの排水など、「農畜産系」とは、田畑や家畜からの排水など、「自然系」とは降雨に伴う市街地や山林からの出水などが該当します。

湖沼の水質を保全するためには、こうした各発生源から流入してくる汚濁負荷量を削減することが重要な対策となります。また、このような流域からの汚濁負荷のほか、湖底に堆積している底泥から溶け出す汚濁物質も水質汚濁の原因となっています。

 

宍道湖・中海から排出される汚れの割合グラフ

 

用語解説

環境基準
環境基本法に基づき国が設定する、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準のこと。
COD(化学的酸素要求量)
ChemicalOxygenDemandの略称。湖沼や海域における水中の有機物による汚濁の程度を示す代表的な指標。有機物等の量を過マンガン酸カリウムなどの酸化剤で酸化するときに消費される酸素量を表したもの。数値が大きいほど汚濁が進んでいることを示します。
BOD(生物化学的酸素要求量)

BiochemicalOxygenDemandの略称。河川の汚染の度合いを示す指標で、水中の有機物等の汚染源となる物質が微生物により無機化されるときに消費される酸素量をmg/で表したもの。数値が大きいほど汚染が進んでいることを示します。

75%値

年間のy個の日間平均値の全てのデータを小さいものから順に並べた場合のy×0.75番目の数値のことで、湖沼の水質環境基準の適否の判定などに用いられます。

全窒素、全りん

生物の成育にとって欠かすことのできない代表的な栄養塩類。家庭排水や工場排水などにより、湖沼の周辺から流入する水に含まれる窒素やりんが必要以上に増加すると湖沼の富栄養化を促進し、やがてプランクトンが異常に繁殖するようになります。

富栄養化

植物の栄養素である窒素やリンが水に多く含まれる状態を言います。

アオコ

植物プランクトンが異常に繁殖したとき、水面が緑色に濁るものをアオコといいます。

赤潮

植物プランクトンが異常に繁殖したとき、水面が赤褐色に濁るものを赤潮といいます。

企業広告
ページの先頭へ戻る