出雲仁摩道路(仮称)環境影響評価方法書に係る知事意見

出雲仁摩道路(仮称)環境影響評価方法書に係る知事意見

 

(総括的事項)

 具体的路線のルート・構造や環境保全措置(例えば、騒音防止のための遮音壁や低騒音舗装の設置、希少な植物の移植等)については、今後の調査・予測の結果を基に、複数案の比較検討を行うことによる環境影響の回避・低減がなされるかどうかの検証を行う必要がある。

 また、環境影響評価を行う過程において、項目の選定及び手法の選定等に係る事項に新たな事情が生じたときは、必要に応じ選定項目及び選定手法等を見直すとともに、追加的に調査、予測及び評価を行う等適切に対応するものとする。

 なお、この見直し等にあたっては、必要に応じ専門家等の助言を得るなど、最新の情報と知見の収集に努め、適切に行うものとする。

 

(個別的事項)

1.大気、騒音及び振動の調査・予測・評価地点は、計画路線周辺に住宅密集地等があること、また、環境の保全についての配慮が特に必要な学校、幼稚園及び社会福祉施設等があることを考慮して選定する必要がある。特にインターチェンジやトンネルの設置等を計画する場合は、インターチェンジ部及びトンネル坑口部分等の特殊部についても住居等の状況を踏まえ、検討する必要がある。

 なお、インターチェンジ及び高架道路の設置を計画する場合は、計画道路と、既存の道路及び鉄道による複合的な影響についても考慮するものとする。

 

2.計画路線周辺における大気質の状況については、一般環境大気測定局が、平成10年度から出雲健康福祉センターに設置されていること、さらに平成12年度中には大田市内に設置される予定であることを踏まえ、これらの測定局によるデータの活用に努める必要がある。

 

3.計画路線周辺には、神西湖、静間川等の湖沼や河川があることから、工事に伴う濁水については、流域等における利水や水質の状況等を踏まえ、必要に応じ水質の予測及び評価を行うものとする。

 

4.計画路線周辺では、地下水が簡易水道等として使用されていることや、泉源があることから、切土工事等の事業計画を踏まえ、必要に応じ事業に伴う地下水への影響について調査、予測及び評価を行うものとする。

5.計画路線周辺に、廃鉱となった鳴滝鉱山や、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」に基づく農用地土壌汚染対策地域に指定され汚染防止対策が実施されたことのある農用地等があることから、次のような措置を講じる必要がある。

 

 (1)鳴滝鉱山から当該農用地等にかけての谷あい地点を中心として、ヒ素及び重金属の含有について底質又は土壌、及び地下水の現況調査を行い、鉱山による重金属等の影響が認められる地域についての土地改変は出来るだけ回避すること。

 

 (2)やむを得ない事情により、その地域の土地改変を行う場合には、当該土地改変に伴う環境影響について、予測及び評価を行い、環境保全対策に万全を期すこと。

 

6.計画路線周辺に、地すべり防止区域等があることから具体的なルートを踏まえ、工事に伴う地盤への影響について、必要に応じ調査、予測及び評価を行うものとする。

 

7.「しまねレッドデータブック-島根県の保護上重要な野生動植物-」等によると、計画路線周辺において、クマタカ等の希少な猛禽類の分布が示唆されているので、必要に応じ適切な調査を行ったうえ、予測及び評価を行うものとする。

 

8.現地調査において、希少な動植物が確認された場合は、必要に応じ適切な調査を行ったうえ、予測及び評価を行うものとする。

 

9.凍結防止剤及び工事中の濁水等による希少な動植物への影響についても、予測及び評価を行う必要がある。

 

10.計画路線周辺には、国史跡に指定されている石見銀山遺跡がある。特に仙ノ山や山吹城跡の山頂からの眺望は中近世の風景が偲ばれるものであり、これらの山頂から眺望される景観について調査、予測及び評価を行う必要がある。

 また、これ以外に、必要に応じ「島根県公共工事等景観形成指針ガイドプラン」が示している展望地から眺望される景観についても調査、予測及び評価を行うものとする。

 

11.建設発生土等については、搬出量、搬入量、再利用量、処分量及び搬出入方法等についても予測及び評価を行う必要がある。

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