都市計画道路福光浅利線環境影響評価準備書に係る知事意見

(総括的事項)

 

1.計画路線及びその周辺には豊かな自然環境が存在し、大気・水環境にも恵まれた静寂な地域でもある。また、集落のほか、学校、病院、福祉施設など環境の保全についての配慮が特に必要な施設が存在する。さらに、希少動植物の生息・生育地で、生物多様性が保たれている。

 こうした現状に対し、環境保全上配慮するとした事項について適切な対応策を実施し、環境に対する負荷の回避・低減に努めること。

2.本事業は大規模かつ長期間にわたる事業であるため、環境への影響の予測に際して設定した条件が今後工事前及び工事期間中に著しく変化する可能性がある。このような変化が生じた場合には、調査、予測及び評価に係る結果並びに環境保全措置の効果を検証し、関係機関と十分な調整のうえ、必要に応じて適切な環境保全措置を講じること。

3.工事計画の詳細が決定される段階において、当初計画にない土地改変等が見込まれる場合、その箇所に係る環境への影響について改めて検討を行うとともに、施工中及び供用後における環境保全について十分配慮すること。

4.事業実施前、施工中及び供用後に、現時点で予測し得ない新たな環境への影響を及ぼす事態が発生、または発生するおそれのある場合には、速やかに関係機関と協力して、原因究明のための調査及び適切な環境保全措置を講じること。また、必要に応じて環境監視を行うこと。

5.実施することとされた環境保全措置については、施工中及び供用後に必要に応じて検証し、その内容を取りまとめ、関係住民及び関係自治体へ事業情報として提供すること。

 また、住民からの苦情、意見等に対する窓口を設ける等、利害関係を有する者とのコミュニケーション確保に努めること。

 

(個別的事項)

1.水質

(1)工事期間中に発生する濁水について、影響の及ぶ範囲に着目した適切なモニタリングを行うとともに、適宜必要な対策を実施すること。

(2)特に菰沢池への濁水流入防止について、工事による地形改変で新たに濁水が流入するおそれのある区域が生じないか詳細に検討し、適宜必要な対策を実施すること。

(3)計画地域内には都野津層の粘土層が存在し、沈砂池では処理が困難な濁水が生じることが予想されるので、適切な濁水処理を講じること。

 凝集沈殿法により濁水を処理する場合は、処理水の放流に伴う残留薬剤の水域への影響及び沈殿残渣の利用又は処分の方法を考慮し、適切な薬剤や処理方法を選択すること。

2.動物

(1)長沢池に生息するシンジコハゼの陸封の個体群について、貴重なものであり、その保全に関し十分に配慮すること。

(2)道路照明による重要な野生動物の繁殖等への影響を考慮し、照明光の漏れ防止に努めるよう配慮すること。

(3)工事中における猛禽類等希少鳥類の保全について、専門家の指導・助言を得て繁殖期を中心に丁寧なモニタリングを実施し、営巣活動などの状況に応じて、工事計画の見直しなど適切な保全措置を講じること。

 

3.植物

テリハナツノタムラソウ(植物注目種)について、2014年に新種記載された種で知見が乏しいため、移植等の措置を行う場合には、早い段階から措置の時期や手法を検討し、慎重に実施すること。

 

4.生態系

濁水による低地生態系への影響について、典型種としてカワニナに着目すること。

 

5.その他

(1)建設残土の適切な利用や処理に努めること。

(2)工事により、ヒ素を含む土の処理が必要となる可能性があるので、必要な場合は適切に対応すること。

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