島根県ではbjリーグ島根スサノオマジックと連携して、会場の出店業者の一部の商品に「リユース食器」を導入するモデル事業を実施しました。
島根県では3R(スリーアール)のReduce(リデュース)の取組として、平成17年度から「しまねマイバッグキャンペーン」を行い、平成21年度から「しまねレジ袋削減キャンペーン」を実施しています。
その結果、現在では全市(8市)・1町でマイバッグ持参が取り組まれており、県民アンケート(平成24年1月実施)でも買い物をする時マイバッグ(買い物袋)を持参する割合は90%となりました。
この取組に続く新たな3R(スリーアール)の取組として、平成25年度から26年度にかけてReuse(リユース:再使用)の普及のため「リユース食器」に着目して、会場で「リユース食器」を継続使用することで来場者・出店業者に「リユース食器」が定着するか検証をしました。
(1)実施時期及び実施試合数
平成25年10月5日から平成26年4月27日の15試合(日間)
(2)実施会場
松江市総合体育館
(3)島根スサノオマジックの特徴
球団のエコアリーナ宣言で飲食のごみは基本的には持ち帰りですが、店舗へ持参することも可能です。
ごみ箱は設置されていません。
(4)主な飲食の時間帯
入場から試合開始前まで(土曜日:16:40から19:00、
日曜日:10:40から13:00)
(5)出店業者数
10社
(6)来場者数
のべ25,687人(平均1,712人/試合(日))
このたびのモデル事業では
(1)県がリユース食器取扱業者からリユース食器を取り寄せて、各出店業者へ配付
(2)出店業者は、リユース食器に商品を入れて来場者に販売
(3)来場者は食べ終わったリユース食器をリユース食器返却所に持参(返却)
(4)県はリユース食器を汚れたままリユース食器取扱業者へ返却
という流れで実施しました。
<会場内での流れ>
※リユース食器取扱業者
利用した業者は、米子市社会福祉法人養和会の障がい福祉サービス事業所「エポック翼」(外部サイト)です。
(1)使用したリユース食器の種類と規格
ペタルカップM(540ml、ポリプロピレン(PP))
丼M(550cc、PP)
丼L(1,100cc、PP)
皿S(直径190mm、PP)
皿M(直径220mm、PP)
皿M(直径220mm、PP,ふちあり)
箸(木製・プラスチック)
スプーン大(ステンレス)
(2)リユース食器の料金(平成26年4月1日以降)
ペタルカップM、丼、皿は、25(26)円/点
箸、スプーンは、6(7)円/点
(注意1)リユース食器はビニール袋入りで届き、袋が未開封であれば未使用食器50%割引き(開封していれば「使用済み」とみなされる)されます。
(注意2)リユース食器が破損・紛失の場合は、100円/点がチャージされます。
(3)配送料
米子・松江間の配達料金、または、宅配便料金が加算されます。
(4)コスト
2日間の試合(集客人数規模は約3,500人弱)に係るコストは平均するとリユース食器代約34,000円と配達料約3,000円でした。
(株)山陰スポーツネットワーク、出店業者、ボランティアスタッフの御協力のもと、2013-2014シーズン中松江市総合体育館で開催された全15試合でリユース食器のしくみを導入しました。
10出店業者のうち、7出店業者がリユース食器を使用しました。
リユース食器が使用できるかできないかは、出店業者の商品づくりやイベント会場にどのように商品を持ち込むかに大きく関係があります。出店業者の使い捨て容器をすべてリユース食器にするのは困難ですが、下記のようなメニューや使い方にリユース食器は最適です。
会場で調理・盛りつける
メニュー例:ラーメン、牛丼、カレーライス
お店であらかじめ調理をしたものを会場に持参して盛りつける
メニュー例:ホットドッグ、フライドチキン、クリスピー、唐揚げ、汁もの
使い捨て容器に入れて販売し、リユース食器の箸かスプーンを添える
使用例:たこやきに箸を添える。カレーライスにスプーンを添える。
15試合で、12,705点取り寄せました。
試合は、土日の2日間(日のみの試合は1日分)分を一度に取り寄せました。2日間で平均1,682点、1日の時は、925点の取り寄せになりました。
リユース食器は、ビニール袋に入れられ蓋付きの折りたたみコンテナボックスで配達されますが、コンテナの数は7から8個/2日間になりました。
取り寄せたリユース食器は12,705点でしたが、実際15試合で使用したのは6,483点でした。
2日間で平均867点、1日で、412点使用したことになります。全体の使用率は約51%です。
食器の種類 | 点数 |
---|---|
皿M(直径220mm、PP) | 2,081 |
箸(木製・プラスチック) | 2,072 |
ペタルカップM(540ml、PP) | 1,018 |
スプーン大(ステンレス) | 513 |
丼L(1,100cc、PP) | 351 |
丼M(550cc、PP) | 279 |
皿S(直径190mm、PP) | 96 |
皿M(直径220mm、PP、ふちあり) | 73 |
(参考)
平成26年4月26,27日の大阪エヴェッサ戦でのリユース食器の使用割合(出店業者への聞き取り調査より)
全出店業者の販売点数:2,894点、うち、リユース食器を使用した商品の販売点数は、702点(24.3%)
全出店業者で商品とともに提供された箸・スプーン類、おしぼり、ビニール袋等の点数:1,962点。うち、リユース食器の箸等使用した点数は519点(26.4%)
シーズン通じてのすべての食器の平均返却率は、94.5%でした。
返却率を100%に近づける方法としてデポジット方式(例:購入の際に食器代100円加算して商品を購入し、返却したら100円戻る)がありますが、このたびは会場が狭いので取り組みませんでした。
使い捨て容器等のごみは、57.671kg/シーズン削減できました。
二酸化炭素削減量は、約300kgーCO2となり、この削減量は21本の杉の木が1年間に吸収する二酸化炭素に匹敵します。
(二酸化炭素削減量の計算方法)
1)皿、丼、カップの使用個数(3,898点)×77g(リユース食器1点あたりの二酸化炭素削減量)=300,146g
77gは、一般財団法人地球・人間環境フォーラム出典のLCA(LifeCycleAssesment)の結果をもとにNPO法人スペースふうが作成した数値です
2)300.146kg/14kg=21.439本
14kgは、杉の木1本が1年間に吸収できる二酸化炭素量(農林水産省林野庁「地球温暖化防止のための緑の吸収源対策」出典)
来場者が会場で混乱しないように、下記のような媒体でリユース食器をPRしました。
1)会場アナウンス(第2QオフィシャルタイムアウトでのPR、約60秒)
会場内でリユース食器のしくみをPR(初回の原稿)しました。
2)横断幕でPR
第2Q会場アナウンス時に島根スサノオマジックのアクアマジックが横断幕を持って会場内を1周しました。
3)試合プログラムへ「リユース食器のススメ」を連載しました。
認知の少ないリユース食器について話題を継続して掲載しました。
4)ポスター掲示
リユース食器返却所にポスターを掲示しました。
リユース食器を使う来場者の視点から「買う」→「食べる」→「返す」の流れを提示し、リユース食器自体はReuse(リユース:再使用)されることを表現したものです。
5)リユース食器返却所の幟作成
リユース食器を使用後に返す返却所を1階に2箇所、2階に2箇所設置しました。
視覚的にわかる目印として幟を作成しました。
食器の返却箱は、食器が目立たないようにするため既製品の深いごみ箱を使いました。折り畳みコンテナでも代用可能です。
(リユース食器返却所)
6)リユース食器を使用する店舗の表示
リユース食器を使用する店舗には
「リユース食器利用店」
「使い終わった食器はリユース食器返却所までご返却ください」
「返却所地図」をあらかじめ配付して、店頭で掲示してもらいました。売り場は、商品やPOPで賑やかになりますので相当目をひく掲示が必要です。
(出店業者店頭表示)
試合会場に来場されたお客様を対象に「リユース食器」の評価をお尋ねするプレゼント付きアンケートを実施しました。
当日は202名のお客様に御協力頂きました。ありがとうございました。
実施日:平成25年11月9,10日
実施場所:松江市総合体育館
有効回答数:202
・リユース食器のイメージは、エコが66%(64人)で最も多い。次いで、よい20%(19人)、リサイクル7%(7人)であった。 ・リユース食器は環境にやさしいというイメージを持つ人が多い。 |
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・今後、イベントで「ぜひ使いたい」と回答した割合は37%(68人)あり、全体の3分の1がリユース食器の使用を強く望んでいる。 ・「ぜひ使いたい」37%(68人)と「使いたい」47%(86人)を合わせると、全体の84%(154人)がリユース食器の使用を望んでいる。 |
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出店業者(10店舗)にヒアリングを行い、リユース食器を使用する前の気持ちと使用したあとの気持ちに変化があることがわかりました。
実際にイベントでリユース食器を使用する経験を通じ、リユース食器の良さに気づき、プラスイメージを増やしてもらうことが必要です。
実施期間:平成26年5月から6月
実施場所:出店業者のお店等
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導入前 |
導入後 |
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プラス |
マイナス |
プラス |
マイナス |
||
リユース食器の使用業者 |
A |
○環境によい |
・傷が付く |
○環境によい ◎ごみが減る ◎便利だ |
・中身が見えない ・持ち運びにくい |
C |
○環境によい ○ごみが減る |
・コストが増える |
○環境によい ○ごみが減る ◎使いやすい |
・包装商品には使えない |
|
D |
○ごみが減る |
・味気ない ・病院の食器みたい |
○ごみが減る ◎便利だ |
・味気ない ・病院の食器みたい |
|
E |
・コンパクト |
・使いにくい ・返却が面倒 |
★使いやすい ★返却かんたん |
・給食の食器みたい |
|
F |
○環境によい ○ごみが減る |
・衛生面が心配 |
○環境によい ○ごみが減る ★衛生的だ |
・給食の食器みたい ・認知不足 |
|
G |
○環境によい |
・衛生面が心配 |
○環境によい ◎使いやすい ★衛生的だ |
・持ち運びにくい |
|
J |
○ごみが減る |
・仕込が面倒だ |
○ごみが減る ◎コストが減る |
・仕込が面倒だ |
|
|
導入前 |
導入後 |
||
---|---|---|---|---|---|
プラス |
マイナス |
プラス |
マイナス |
||
未使用業者 |
B |
○環境によい ○ごみが減る |
・衛生面が心配 ・洗うのが面倒だ |
○環境によい ○ごみが減る |
・衛生面が心配 |
H |
○環境によい |
・洗うのが面倒だ |
○環境によい ◎ごみが減る |
・適サイズがない ・中身が見えない ・味気ない |
|
I |
○環境によい ○ごみが減る |
・コストが増える |
○環境によい ○ごみが減る ◎使いやすい |
・持ち運びにくい |
注:○印は導入前後で変わらないプラスイメージ、◎印は新たに発生したプラスイメージ、★印はマイナスイメージがプラスに変化したイメージ
●導入後は、全出店業者のプラスイメージが増えている(導入前14個→導入後25個)。リユース食器に対する意識が大きく変化している。
●使用業者の多くは、導入前にはなかった「便利だ」、「使いやすい」という新たなプラスイメージを導入後に持つようになった。
●リユース食器の使用業者のうち、「使いにくい」、「返却が面倒だ」、「衛生面が心配」というマイナスイメージを持っていたのが、導入後には「使いやすい」、「返却は簡単」、「衛生的だ」というプラスイメージに変わった。
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|
満足 |
不満 |
主な未充足ニーズ |
---|---|---|---|---|
リユース食器の使用業者 |
A |
・紙皿より手に取りやすい。 ・リユース食器の皿は、他の商品もいっしょにのせることができる。 |
・デザインが悪い(ホットドッグに合わない)。 |
・よいデザインの食器を使いたい。 |
C |
・丁度良いサイズである。 |
・デザインがシンプル過ぎる。 ・告知が不十分である。 |
・十分な告知をしてほしい。 |
|
D |
・形状やサイズが商品に適している。 |
・ラーメンの丼が熱くて持てない。 |
・耐熱性の食器を使いたい。 |
|
E |
・環境に貢献できた。 ・コストが削減できた。 ・お客がお店に返却するようになり、信頼関係がアップした。 |
・足りなくなった時、途中で追加できない。 |
・無くなったら追加してほしい。 |
|
F |
・特にない。 |
・認知が低い。 ・レンジ対応でない。 |
・認知を広げたい。 ・レンジ対応の食器を使いたい |
|
G |
・ごみ削減に貢献できた。 ・紙コップ代が掛からない。 ・持ち帰るごみが減少した。 |
・蓋がない。 ・イベント主催者の姿勢が弱い。 |
・蓋のあるものを使いたい。 ・イベント主催者は強い姿勢を持ってPRしてほしい。 |
|
J |
・ごみが減った。
|
・蓋がない。 ・デザインが素っ気ない。 |
・蓋のあるものを使いたい。 ・よいデザインの食器を使いたい。 |
|
|
満足 |
不満 |
主な未充足ニーズ |
---|---|---|---|---|
リユース食器の 未使用業者 |
B |
・ごみが減る。 |
・使っていないのでわからない。 |
|
H |
・ごみが減る。 |
・商品に適する形状やサイズの食器がない。 ・中身が見えない。 |
・商品に適した形状やサイズの食器を使いたい。 |
|
I |
・ごみが減る。 |
・蓋がない。 ・コストが高い。 |
・蓋のあるものを使いたい。 ・コストをかけずに使いたい。 |
●実際にリユース食器を使った出店業者は、「ごみが減った」、「環境に貢献できた」というリユース食器の効果に満足している。
●また、使い捨て容器に比べ、思いのほか「使いやすい」という評価をしている。
●不満として、「告知が不十分である」、「イベント主催者の姿勢が弱い」など試合観戦者に対するリユース食器のPR不足を上げている。
●リユース食器を使用しなかった出店業者は、利用したお店の様子を見ることで、「ごみが減る」という満足を感じている。
イベントにリユース食器のしくみを導入するにはコストも必要です。
望ましいコスト負担について、様々な案が出てきました。リユース食器使用体験後に意見が変わった出店業者もいます。
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導入前 |
導入後 |
---|---|---|---|
リユース食器の使用業者 |
A |
※出店していない。 |
・最初は行政に負担してもらい、きっかけを作ってほしい。 ・理想はみんなで負担するのがよい。 |
C |
・フランチャイズなので価格へ転嫁できない。 ・イベント主催者が負担してほしい。 |
・普及したいのなら行政に負担してほしい。 ・負担の良いしくみを作ってほしい。 |
|
D |
・使い捨て容器の原価内であれば負担してもよい。 ・お客様に負担してもらうのは無理だ。 |
・出店業者の全額負担なら使わない。 ・イベント主催者に負担してもらいたい。または主催者と出店業者の折半でもよい。 |
|
E |
・現行の容器と同じコストであればよい。 ・出店料に加えリユース代が増えると厳しい。 ・お客様に負担してもらうのは厳しい。 |
・お客様の負担は必要ない。 ・主催者や出店業者が負担するのは当然だ。 ・県は何かの形で協力してほしい。 |
|
F |
・コストを負担してもらえるなら使いたい。 ・三方よしの精神でないと上手く進まない。 |
・お客様や出店業者は負担できない。 ・イベント主催者、スポンサー、行政に負担してもらいたい。 |
|
G |
・主催者、出店業者、お客様が負担すべきだ。 |
・主催者、出店業者、お客様が負担すべきだ。 ・イベント主催者の考え方一つだ。 |
|
J |
・使い捨て容器と同じコストなら負担してもよい。 |
・出店業者とお客で負担すればよい。 (主催者の負担にすると出店料や入場料のアップに繋がってしまうから) |
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|
導入前 |
導入後 |
---|---|---|---|
リユース食器の 未使用業者 |
B |
・使い捨て容器と同じコストなら負担してもよい。 |
・主催者と出店業者が負担するのがよい。 ・お客様に負担してもらうのは難しい。 |
H |
・イベント主催者、出店業者、お客様が負担し、そのための意識づけが必要だ。 |
・イベント主催者、スポンサーが負担するのがよい。 ・お客は入場料を払っており難しい。値上げすると会場外で買ったものを持ちこむ。 |
|
I |
・使い捨て容器の原価内であれば負担してもよい。 ・お客様に負担してもらうのは無理だ。 |
・出店業者の全額負担なら使わない。 ・イベント主催者に負担してもらいたい。またはイベントの広い関係者が負担するならよい。 ・お客様の負担は難しい。 |
コストを負担する者のパターン |
導入前 |
導入後 |
考察 |
---|---|---|---|
イベント主催者 |
1 |
2 |
イベント主催者は負担してほしい。 |
出店業者 |
5 |
0 |
出店業者だけでは負担が大きく利益が減少する。 |
お客様 |
0 |
0 |
値上げは売上を落とすことになる。 |
行政 |
1 |
2 |
認知するまでは行政が負担して欲しい。 |
主催者+出店業者+お客様 |
2 |
1 |
値上げは売上を落とすことになる。 |
主催者+出店業者 |
0 |
3 |
既存の使い捨て容器と同じコストであれば負担が可能。 広くみんなで負担するのが理想的だ。 |
主催者+スポンサー+行政 |
0 |
1 |
|
主催者+スポンサー |
0 |
1 |
|
出店業者+お客様 |
0 |
1 |
主催者負担は出店料の値上げに繋がる。 |
●リユース食器は出店業者の商品の一部だが、それを買う来場者と出店業者という狭い関係ではなく、リユース食器の利用は直面するごみの問題を解決し、イベントを実施する地域で発生するごみを抑制することができ、二酸化炭素排出量も削減し、地域の自然や環境を守ることに貢献しているので、イベントに関係ある地域の人々が広く負担していくこともコスト負担の方法の一つである。
イベントにリユース食器を導入すれば確実にごみが減り、CO2排出量の削減に直結し、地域の自然環境を地域のみんなで守ることに繋がっています。
一方、下記の課題もあることがわかりました。
(1)リユース食器のしくみの運営にはマンパワーが必要です。
リユース食器をイベントに取り入れようとすると、出店業者への説明、食器数のとりまとめ、出店業者への配付、混乱が起こらないよう返却所で来場者を指南する、返却されたリユース食器を分別してリユース食器取扱業者に返却する等スタッフ・ボランティアがイベントの規模に応じて必要になります。
新しい取組なので最初は大変ですが、リユース食器を初めて使用した出店業者が「取り組む前は消極的だったけど、使い始めるといい取組に参加しているので気分がいい」と感想を述べていました。みんなで気持ちがいい活動に取り組んだあとはごみも減っていました。
(2)リユース食器のしくみの運営にはコストがかかります。
モデル事業では、シーズン通じてリユース食器のしくみの運営に300千円弱かかりました。1回(2日分)のお取り寄せに40千円前後のコストがかかります。
容器包装リサイクル法が完全施行された西暦2000年(平成12年)「循環型社会元年」から15年以上が経ち、出店業者のヒアリング結果からもイベントに関わりのあるすべての皆さん(イベント主催者、出店業者、地域のスポンサー企業等)で広く・薄くコストやマンパワーを負担し合うことに理解が得られる時代になったことがうかがわれます。
容器は出店業者の商品の一部であり買うのは消費者ですが、リユース食器にかかるコストを狭い範疇で考えるのではなく、リユース食器の使用により目の前のごみが減ることは地域の環境が美しく保たれることで、地球の温暖化防止にも繋がり、その恩恵を受けるのは地域の人たちなので、地域の人たちで負担し合おうと考えることもできます。
イベント主催者のリーダーシップのもと、それぞれの地域にあった負担のしくみを考えていく必要があります。
(3)島根県では「リユース食器」はこれからです。
県内では、リユース食器の使用例は少ないので、来場者・出店業者・イベント主催者の認知は低いです。
モデル事業では、のべ15回リユース食器のしくみを松江市総合体育館内で運営しました。県内各地のイベントでリユース食器がどんどん使われ始めれば参画者のリユース食器への興味関心が高まります。
ぜひ地域の最初のイベントには、市町村や実行委員会等が主催する産業祭や食のイベントでチャレンジし、ごみの減量化を共有し、環境保全と地域振興が両立するイベントを増やしていきたいものです。
島根県の3R普及啓発は、レジ袋削減を柱としたReduce(リデュース)の普及啓発が中心でしたが、このたび(株)山陰スポーツネットワーク、出店業者の御協力のもと継続的なReuse(リユース)の普及啓発に取り組みました。
Reuse(リユース)の代表格である「リユース食器」は、来場者アンケートや出店業者ヒアリングの結果からも十分島根県でも定着できると確認できました。
また、イベントに関わる関係者の強いニーズは
来場者・・・イベントを楽しみたい
出店業者・・利益をあげたい
主催者・・・地域を盛り上げたい
ということもわかり、残念ながら「ごみを減らしたい」というのは弱いニーズでした。これからいろんなイベントでリユース食器を使えばニーズはだんだん強くなっていきます。イベントならではの商品やサービス(イベント限定メニュー、ポイント交換、プレゼント企画等)を取り入れると、販売数も増え、来場者も楽しみながらごみを出さない取組をすることができます。来場者、出店業者の満足度があがればイベント主催者の満足度も上がり、その上イベント会場からのごみも減り、関係者がwin-winでとても気持ちのいいイベント開催ができます。
この取組を定着させるためには県内各地にリユース食器を使うイベントが誕生し、そのイベントを地域の皆さんが楽しみながら、かつ、ごみを減らす取組を継続させていくことが必要です。
今後は、このモデル事業で得られたノウハウや結果を地域振興部や市町村と連携しながら、地域のイベント等に広げていきたいと思います。
「Reuse(リユース)」というキーワードを聞けば楽しいイベントを思い出し、くり返しものを大切に使う行動とともに、「あらっ?このイベント、まだ使い捨て容器使っているの?!」と、リユース食器使用のイベントが島根県では普通だという時代が来るかもしれません。