島根県水産技術センター研究報告第6号(2014年3月)

全文(PDF,25,755KB)

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島根県沖で漁獲されたサワラ若齢魚の冷凍耐性と加工試験(PDF,1321KB)

岡本満・井岡久

(要旨)島根県で漁獲されるサワラ若齢魚(サゴシ)の冷凍耐性を調査するとともに調味加工品の試作を行った.バラ凍結とパン凍結の比較では,16週間の貯蔵中明らかな差が認められなかった.バラ凍結解凍後の保水性は,マアジには劣るがマサバよりは優れる傾向を示した.サゴシを原魚としたみりん干しとくん製(冷くん)は,解凍原魚は生鮮原魚よりも水分が少なくタンパク,灰分,炭水化物,食塩量が高い傾向を示し,くん製がみりん干しに対して高い保存性を示した.また,加工によってIMPが減少しK値が上昇したことから,加工工程における低温管理の重要性が示唆された.

 

資料

2012年の高津川におけるアユ産卵場造成について(PDF,9,125KB)

曽田一志・寺門弘悦・安木茂

(要旨)島根県西部の主要河川である高津川では,近年の夏季から秋季の小雨傾向と,河川構造物による砂利供給量の不足により,下流部のアユ産卵場の環境は年々悪化している.そこで,アユ産卵場としての機能回復を「造成」によって図り,さらにそこでの産卵状態を検証した.造成は虫追の瀬および長田の瀬で行い、造成面積は5,651m2,産卵面積の割合は86%であった.また,産着卵の埋没深は虫追の瀬及び長田の瀬で10cm以上に達し,造成の効果があったと判断できた.

 

2012年の江の川におけるアユ産卵場造成について(PDF,7,656KB)

高橋勇夫・寺門弘悦・曽田一志・安木茂・沖野晃

(要旨)江の川のアユ産卵場環境は近年の夏季から秋季の小雨傾向と河川構造物による上流からの砂利供給不足により年々悪化している.本河川の谷住郷・長良の瀬のアユ産卵場としての機能回復を造成によって図り,産卵状況を自然産卵場と合わせて検証した.造成面積はそれぞれ1,890m2と1,940m2であり,産卵面積の割合は22%と55%であった.また産着卵の埋没深は一部を除き10cm程度であり,造成効果があったと判断できた.一方,自然産卵場は,セジリの瀬では産着卵が確認されたが,イチノセ,ハネノセでは確認されなかった.

 

宍道湖におけるヤマトシジミの初期生活史(PDF,4,282KB)

勢村均・曽田一志・石田健次・開内洋・浜口昌巳

(要旨)宍道湖のヤマトシジミの初期生活史を調査した.シジミ浮遊幼生は水平的には7月上・下旬に東部を中心に高密度に出現したが,8月下旬は中・西部に広く出現し,9月には西南部で多く出現した.垂直的には,平均殻長の小さい幼生群は中〜下層に分布する傾向があった.また,ホトトギス幼生は,塩分濃度5PSU以上の水塊に多く分布した.シジミ初期稚貝は7月から出現し始め,9月に最高密度となった.また初期稚貝は宍道湖内を広く移動しており,特に東岸では移出が多く,西岸では移入が多いと考えられた.

 

沿岸漁業の複合経営に関する研究−VI-島根県日御碕沿岸海域におけるブリ釣り漁業の漁業実態-(PDF,3,389KB)

森脇晋平・吉田太輔

(要旨)島根県の最大のブリ釣り漁場である日御碕沿岸海域におけるブリ釣り漁業の実態および漁況について調査した.経験年数の長い漁業者からの聞き取りによる操業実態および漁具・漁法について記述した.漁獲量および水揚げ日数の経年的な減少傾向並びにCPUE(kg/日・隻)の漸増現象は効率性の低い漁業者の廃業と近年のブリ資源の増加を反映したものであると考えた.また海洋環境の変動にともなう回遊生態の変化がローカル漁場の漁況に影響を与えている可能性が示された.

 

日本海南西部山陰沿岸における1970年代〜‘80年代半ばのマイワシ漁況と2004年以降の漁況との対比とその特徴(PDF,2,579KB)

森脇晋平

(要旨)山陰沿岸漁場におけるマイワシ漁況について1970年代から1980年代半ばまでの漁獲量の上昇期と近年増加傾向に転じたとされる2004年以降のそれぞれの期間を比較・対比することによって,マイワシ資源の現況を分析した。漁況の季節変動パターンの推移や0歳魚漁獲尾数と同一年級群のその後の漁獲尾数との関係から判断して現時点(2012年)の状況は1970年代初期から中期への移行期に相当すると思われ、今後の漁況予測に関しては0歳魚の大量出現に注意する必要性を指摘した.

 

シンポジウム報告

第2回江の川の天然アユを増やすためのシンポジウム〜今,私たちにできる川づくりとは?〜(PDF,2,453KB)

 

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