浜田の新たな水産ブランド「沖獲れ一番」
「沖獲れ一番」出荷開始!
島根県浜田市は漁業が主要産業で、最近テレビ番組などでよく取り上げられる、どんちっちアジ、ノドグロの他にも多種多様な魚が色々な漁業により水揚げされています。
沖合底びき網漁業は浜田漁港の全水揚げ量の2割以上・全水揚げ金額の約2分の1を生産する主力漁業となっています。この漁業は2隻の船が1つの網を曳いて海底に生息する魚介類を漁獲するもので、一度出漁すると概ね6日間連続して操業を行ってから帰港するというサイクルで操業を行っています。長期にわたって操業を行うこともあって、これまでは漁獲物の多くが干物等の加工用原魚として利用されてきました。
平成25年度以降、この漁業の収益性を改善すべく当地を根拠とする5ヶ統全ての船団において漁船の船体をリシップ(大規模修繕)するのに合わせて海水冷却装置等の機器を整備し、漁獲物の鮮度管理の徹底に取り組んできました。これまでも、「刺身で食べられる高鮮度ミズガレイ」のほか複数の魚種で同様の取扱いをした高鮮度規格商品の生産を行ってきましたが、今年の休漁期(6月1日〜8月15日)明け以降の平成28年度操業からは、新たに定めた商品規格・基準等を満たしたものについて「沖獲れ一番」ブランドとして出荷しています。なお、浜田市内および周辺地域には「沖獲れ一番」を用いた料理を常時提供する予定の飲食店もありますので、機会があればぜひ注文をしていただき、抜群の鮮度に裏打ちされた美味しさを味わっていただければと思います。
「沖獲れ一番」とは?
※「沖獲れ一番」は鮮度にこだわった高鮮度処理方法を基準としたブランドです。
対象魚種:
ミズガレイ(ムシガレイ)、マダイ、バトウ(マトウダイ)、ヒラメ、ノドグロ(アカムツ)、レンコダイ(キダイ)、アンコウ、アナゴ、キス、サゴシ(サワラ)、マアジ等。
取扱い:
市場出荷前日に漁獲
沖合底びき網漁業では6日間程度連続しての操業を行ってから帰港をしますが、帰港前日に漁獲した魚のみを使用しています。
しっかり冷やし込み
魚を漁獲後の早い段階で冷海水を用いてしっかり冷やし込み、魚体温度が5℃以下になっていることを確認した上で氷入りスチロール箱に箱詰めをしています。
再選別せずに持ち帰り
通常、漁獲物を冷海水で冷やし込んだ後には銘柄別に仕分けるための再選別作業を行ないますが、鮮度低下を極力避けるためこの作業を行ないません。漁獲物をスチロール箱に収容した後は蓋を一切開けることなく港まで持ち帰ります。
科学的根拠に基づいた品質管理
新ブランドの「沖獲れ一番」は下記の内容により科学的根拠に基づく商品基準と品質保持体制を新たに定めたことが特徴となっております。基準の指標として採用したのは魚の鮮度を示す客観的指数のひとつであるK値(※1)です。
沖獲れ一番の商品基準 |
1.帰港前日に漁獲した魚のみを出荷の対象とする。 2.漁獲後は速やかに漁獲物の冷やし込みを行い、魚体温度が 5 ℃以下になっていることを確認した上で氷入りスチロール箱に箱詰めし、出荷まで箱のふたを開けない。(箱内の不要な温度上昇を防ぐ。) 3.漁期中に必ず品質(鮮度:K値)の検査を実施する。 |
---|---|
品質維持体制 | ※品質検査について 鮮度指標の一つであるK値を用いて科学的に品質(鮮度)の検証を行う。K値の測定には漁獲後の取り扱いによってK値の変化(上昇)が顕著に表れる魚種(ミズガレイ)を基準に用いる。
※品質維持について 品質検査の結果、基準値を満たしていないことが確認された場合は、直ちに原因の究明を行うとともに、船上での取り扱いについても再点検を実施し、改善が確認できるまで「沖獲れ一番」としての出荷を停止する。 |
(※1)K値とは?
魚類の筋肉中にはアデノシン三リン酸(ATP)という運動のエネルギー源となる物質があり、魚の死後は分解によりATP→アデノシンニリン酸(ADP)→アデニル酸(AMP)→イノシン酸(IMP)→イノシン(HxR)→ヒポキサンチン(Hx)と変化をしていきます。分解速度は魚種によって異なりますが、活きの良い魚肉にはATP、ADP、AMP、IMPが多く、活きが悪くなるにしたがってHxR、Hxが増えていくことになります。
K値はATP分解生成物全量に対するHxR十Hx量の百分率であり、次の計算式により算出されます。その値が小さいほど生鮮度が良好なことを示しており、魚種によるものの一般的にその値が20%以下であれば生食可とされています。
K(%)=(HxR+Hx)/(ATP+ADP+AMP+IMP+HxR+Hx)×100
商品表示
「沖獲れ一番」として生産した商品については、その品質の証として出荷用スチロール箱側面(片側)に生産した船に応じていずれかの船名入りステッカーを貼付して出荷します。
お問い合わせ先
浜田水産事務所
島根県浜田水産事務所 〒697-0041 島根県浜田市片庭町254 浜田合同庁舎5階 電話番号 0855-29-5630 FAX番号 0855-22-5637