ツキノワグマの保護管理

なぜツキノワグマを保護するのか

 

 ツキノワグマは、日本の森林生態系の重要な構成種であり、生物多様性の保全の観点から、将来にわたって健全な状態で存続させる必要があります。

 また、島根県、広島県、山口県に生息する西中国地域のツキノワグマについては、他の生息地から孤立しているうえに、その生息数が限られているため、環境省の告示により平成6年度より狩猟が禁止されているほか、同省によるレッドデータブック(2014)においても「絶滅のおそれのある地域個体群」として掲載されています。

 こうした背景から、島根県は、広島・山口各県と連携して、特定鳥獣保護管理計画を平成14年度から策定し、3県共同でツキノワグマの保護管理を行っています(現計画は5期目で、令和4年4月1日から令和9年3月31日までとなっています)。
当該計画は、「ツキノワグマによる人身被害の防止及び農林畜産業被害の軽減を目指すとともに、将来にわたり西中国地域個体群が安定的に存続できる水準を維持する」ことを目的とし、その目的を達成するため、「ゾーニング管理」「個体群管理」「被害防止対策」「生息環境管理」「錯誤捕獲の予防と対策」「普及啓発」の各目標を定め、総合的な施策を実施することとしています。

 

生息頭数は何頭か

 

 令和2年度に島根・広島・山口の3県で、西中国山地の地域個体群を対象とした個体数推定調査を行っています。

 カメラトラップ法という調査方法により、当該個体群の生息数を767~1,946(中央値1,307)頭ぐらいと推定しています。

 

何を食べているのか

 

 春は山菜や草木の若葉・新芽、夏は広葉樹の果実やアリなどの昆虫類などを中心に食べ、秋にはミズナラ、シバグリ、クマノミズキなどの果実を越冬に備えてたくさん食べます。

 自然条件等により秋の果実が少ない年は、食べ物を求めて盛んに動き回り、人家付近に出没して柿なども食べます。

 

なぜ被害を及ぼすか

 

 ツキノワグマは、本来は森林の中で果実や蜂の蜜等を好んで食べていますが、自然条件等により十分な食べ物がない場合には、森林に隣接した地域の果樹園や養蜂場に加害することがあります。また、牛舎の飼料や造林木へのクマ剥ぎなどの被害も希に見られます。
ツキノワグマは食物に対し強い執着を持つ特性があることから、こうした被害は集中的に発生します。また、柿などの放置果樹の味を食べることで、一度に大量の食物が得られたということを覚え、何度も加害してくるほか、それらの情報が子供へも引き継がれることで、被害の拡大を招くことがあります。

 

有害鳥獣として捕獲できるか

 

 被害対策を講じてもなお農作物被害を受ける場合や、人身被害を受けるおそれのある場合は、知事が有害鳥獣捕獲の許可をします。

 

 

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