掲載企業インタビュー  VOL.1

 

自動排泄処理装置「リバティひまわり」  株式会社リバティソリューション

島根の縁で生み出された未来の介護装置を実用化

経営者の写真

 高齢者や身体障害者の介護をする人たちの負担を大きく減らす自動給排水型自動排泄処理装置「リバティひまわりEZ(イージー)」を開発・製造販売するリバティソリューション(松江市西嫁島1丁目)。介護に付随する臭いと後始末の問題を解決する島根発の優れた介護機器として中国やベトナム、フランスなど海外を中心に販売し、業績を伸ばしています。

 

 高齢化が進む日本の介護現場では、おむつ交換の仕事が介護者の大きな負担になっています。同社が開発改良を重ねた最新型の排泄処理装置は、体に装着したカップユニットに内蔵されたセンサーが排尿、排便を検知して自動で排泄物を吸引し、排水配管を通して下水道に強制排水する仕組みで、タンクに貯めた汚物や汚水を取り出して捨てる必要がありません。また、カップユニット内で温水洗浄、送風乾燥しますので、介護者の労力やストレスを大幅に軽減させました。

製品の写真

 中国で介護機器の開発を手がけた同社の池田太樹会長が2008年、松江市に介護福祉機器開発・製造・販売の会社を設立。排泄処理装置に注目して十数年開発・改良を続け、16年に人体に付けて機能させる初代の「リバティひまわり」の販売を始めました。その後、排泄処理のロボットに関する開発研究(17年・経済産業省)と障害者向け機器の開発研究(18年・厚生労働省)で公募した2省の助成金を得て改良を進め、今は第4世代の装置が誕生しています。

 

 装置開発に当たっての最大の問題は、年代も体型も異なる要介護者が装着するカップ部分を、どう肌に密着させて隙間をなくし、尿漏れや水漏れを防ぐかでした。この難問をクリアできたのは、乳がんで乳房を切除した人たちのために人工乳房などを製造している中村ブレイス(島根県大田市)の存在。カップの開発に難航している時、古田みゆき社長が「肌に密着する女性用下着のヌーブラに似た素材ではどうか」と思い付き、すぐに池田会長と共に中村ブレイスを訪ね、協力を仰ぎました。2人は「肌にフィットする特殊シリコーンの素材を一目見た瞬間、これで大丈夫と思いましたね。島根に本社を置いたのが縁で、素晴らしい素材を見つけ、世界に誇れる装置を製品化できると確信しました」とその時の感動を振り返ります。

 

 「リバティひまわり」は国内特許、国際特許を取得し、本社と神奈川県相模原市の委託工場、中国・ハルピンの委託工場で製造しており定価は60万円。海外を中心に3年間で計900台が販売されています。先行販売した中国では病院や介護施設、富裕層の個人向けに約500台を販売、ベトナムやフランスなどEU諸国でも販売されています。国内では東京都内の施設のほか、島根県内では身障者の人に、鳥取県でも筋萎縮性側索硬化症(ALS)の人に利用されています。

 

 厚生労働省の推計によると、団塊世代が全て75歳以上になる2025年には、介護者が今よりも38万人多く必要になるとされています。介護現場の人材不足がますます深刻化すると予想される日本。池田会長は「要介護者が増えるのに対して介護現場に就く人材が極端に減少し、将来おむつ交換する人がいなくなります。そうした問題を解決するのがロボット、その中で最も必要とされるのが排泄ロボットだと思います」と製品化の意義を強調されました。必ず大きな市場になると見越して「常にイノベーションを図っておく必要があり、研究所のある東京大学工学部などの知恵を借りながらAIを使った次世代の排泄機の開発をさらに進めていきます」と将来の飛躍を見据えています。

製品の写真


株式会社リバティソリューション

代表取締役:古田みゆき

島根県松江市西嫁島一丁目2番7号

TEL 0852-61-3999  FAX 0852-61-2399

http://www.liberty-so.com(外部サイト)

企業広告
ページの先頭へ戻る