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大屋議員(自民)

(問)教育問題について

1.親子関係が大きく揺らぎ児童虐待などが発生する社会現象に対する思いを伺う。また、現代の教育に何が足りず、何が必要とされていると思うか、所見を伺う。

2.県教育を預かる行政のトップとして、今後、島根の教育行政をどのようにリードし、どのように独自色を出していくのか、その意気込みを伺う。

3.児童・生徒の「知・徳・体」の育成について、どのような課題認識を持ち、今後,どのような取り組みを進めていくのか所見を伺う。

 

(答)教育委員長

 大屋議員の社会現象に対する思い、また、現在の教育に何が足りず何が必要とされているかというご質問にお答えします。

戦後、我が国日本は世界に例のない経済発展を遂げ、物質的な面での豊かさについては、世界有数の国となりました。しかしその反面、心の豊かさなど精神的な面では、憂慮すべき状況にあると感じております。

 議員がおっしゃられるように、人と人との絆、人を思いやる心や辛さを我慢する心、或いは年長者を敬う心など、補うべき部分が目につくようになってきたと感じております。

 振り返って見ますと、私が子どもの頃は、自然と年上の者が年下の者に、遊びの仕方や喧嘩のルールを教えておりました。きっと知らないうちに「相手を思いやる心」が培われていたと思っております。

 今の子どもたちは、「核家族化」「少子化」のせいでございましょうが、大人が子どもにべったりし、ゲームや携帯電話を買い与えられ、我慢する機会も与えられず、何不自由なく生活しているように見受けられます。

 自然体験や生活体験、家の手伝い、兄弟の世話といったことを小さい頃から日常的に体験することが少ないため、年相応に判断すべき大切なことが育まれずに抜け落ち、一足飛びに大人の世界に入ってしまっている感じがします。

 子育てについて考えてみますと、父母がそれぞれの異なる価値観が、子どもを育てることを通じて、ぶつかり合いながら同じ方向に向かっていくものと思いますが、現在の親自身が甘やかされ、大事にされ過ぎて育ったことで、「楽がしたい」という気持ちがそのまま前面に出てしまい、果たすべき役割から遠ざかっているのが多いのではないかと思っております。

 幼い頃の経験が薄いが故に、自己中心的、自分さえ良ければといった思考が強くなる傾向にあるように感じております。自分のことだけ考え、子どもにしっかりと愛情が注げない、家庭生活の中で親子で真剣に向き合うことができない状況も起きつつあるようで、歯がゆい気持ちを憶えております。

 私が理想として考えますのは、まずは、家庭でもって親が厳しさの中にも愛情を持って子どもにきちんと「しつけ」をすべきであり、その上で、学校は最後の砦として、家庭の補完的な役割を担うべきと考えております。

 折しも、島根県教育委員会では、ふるまい向上プロジェクトに取り組んでおり、子どものみならず親の世代に対しても「あいさつ」や「おもいやり」「感謝の気持ち」に代表される「ふるまい」全般を、着実に向上させたいと思っております。

 

(答)教育長

2.まず、私の教育行政に取り組む考え方についてお答えします。

 現在、島根の教育は、多くの課題を抱えております。一方で、この島根には、すばらしい自然、歴史、文化など、子どもたちにとりまして、多くの教材があると思っております。

 私は、島根の子どもたちが、こうした多くの資源に誇りを持ち、これらに触れる中で、確かな学力や豊かな心健やかな体、これらを兼ね備えた子どもたちに、成長していくことを願っております。そのためには、一人一人に応じて、子供たちの持っている力、可能性を最大限に引き出す教育や、集団行動での協調性や思いやりのある行動ができる心を育む教育、島根の伝統ある文化や、あるいは豊かな自然を実感させる教育などを充実する必要があると考えております。

 今後、大きく変化する時代の動向を見極め、直面する諸課題にスピード感を持って対応いたしますとともに、何よりも教育の現場と思いをひとつにいたしまして、しっかりと将来を見据え、島根の教育の充実に取り組んで参ります。

 

3.「知・徳・体」についてご質問がございました。「知・徳・体」の調和した健全な子どもたちの成長が大切なことは、ただ今申しあげたとおりでございます。議員のおっしゃることにも同感でございます。若干、重複いたしますが、これらの課題等についてお答えをさせていただきます。

 まず、「学力」につきましては、これまでの県の学力調査の結果から、基礎的な学力につきましては一定の成果が出ておりますが、学習習慣や学習意欲、知識・技能を活用する力、あるいは表現力などにはまだ課題があることが明らかになっております

 このため、

(1)児童生徒一人一人の実態を把握し、個々の指導に生かしていく

(2)あるいは、家庭と学校が連携いたしまして、学習習慣の定着を図る

(3)あるいは、学習意欲や思考力の向上を目指す

こういったことで、課題の解決に向けた取り組みを行ってまいります。

 「心の教育」につきましては、島根県でも先ほど委員長からございました子どもたちの規範意識の低下、あるいは人間関係の希薄さ、あるいはメディアへの過度の依存などによる生活上の様々な課題が生じております。

 こうした現状を踏まえまして、道徳教育の一層の充実を図ることはもとより、地域の教育資源を活かした自然体験、職場体験など様々な体験活動を取り入れたふるさと教育を進めてまいります。

 また、先ほど委員長から答弁もありました、今年度から新たにスタートいたしました「ふるまい向上プロジェクト」につきまして今後、家庭、学校、地域の連携を深めまして、県民運動としての広がりを持つような取り組みにしていきたいと考えております。

 「体力」につきましては、ご指摘のとおり、生活様式の変化や外遊びの減少等によって、子どもの体力・運動能力は低下傾向にございます。

 体力向上のために、学校教育活動全体を通して、体力づくりを推進するとともに、子どもたちが1日1回は運動をする習慣を身につけさせることや運動に親しませること、こういったことが大切であると思っております。

 今後とも工夫しながら、子どもたちが楽しみながら体力づくりができる環境づくりに努めてまいります。

 

(問)特別支援教育の在り方について

1.「今後の特別支援教育の在り方に関する検討委員会」を設置した意図について伺う。

2.検討委員会で年内を目途にまとめられる答申をどのように活かしていくのか、所見を伺う。

3.検討委員会委員のうち石見地域の委員が2名とアンバランスな人数配分になっており、地域の実情等を踏まえた適正な検討がなされるか不安に思うが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.2.次に、特別支援教育についてお尋ねがありました。まず、特別支援教育の在り方に関する検討委員会についてのご質問にお答えします。委員会を設置した目的と、答申を受けた後の対応についてです。県教育委員会においては、平成十九年の学校教育法の改正の趣旨を踏まえて、同年ですが、「今後の特別支援教育の推進に向けた盲・ろう・養護学校から特別支援学校への転換基本計画」、こういう計画を策定し、複数の障がい種に対応できる学校づくり、或いは地域における特別支援教育のセンター的機能の充実、これらの取り組みを進めてきました。

そうした中で、近年においては、

(1)小学校等における通常の学級に在籍する発達障がいのある児童生徒数の増加や、

(2)知的障がい特別支援学校高等部の生徒数の増加、

(3)また、特別支援学校に在籍する児童生徒等の障がいの、重度・重複化、或いは多様化、

(4)さらには、教育内容及び教育環境の改善など、多くの課題が顕著となってきました。

 このため、これらの課題を踏まえ、中・長期的な視点から島根県の特別支援教育の在り方を検討する、こういったことから今回この委員会を設置しました。

 なお、県の教育委員会としては、この答申を受けた後、県としての特別支援教育の在り方についての計画を策定することとしています。

 その際、パブリックコメント等を実施し、県民の意見を反映したものにしたいと考えています。

 

3.最後に、この検討委員会の委員の構成について質問がありました。この委員会の委員については、医療・福祉・就労支援・保護者・教育、これらの幅広い分野から、十七名の委員の方々に委嘱をしております。

 委員の選出にあたっては、それぞれ各分野から推薦をいただいたり、特別支援教育に特に造詣の深い学識経験者や、医療関係者の方々に参画をお願いしたりしたところです。

 その結果、議員から指摘のあった、石見地域在住の委員数が少ない構成となりました。

 委員の方々には、先ほど申し上げた課題は、全県的な課題であり、全県的な視点で今後の特別支援教育の在り方について検討いただけると思っています。

 その際、指摘のあった地域の実情を把握することは大変重要な事であり、そのため、委員会においても、県内各地域の学校を視察したり、保護者の方々の意見を伺う会も計画されています。

 委員会では、県内各地域での意見や、学校の現状を十分に踏まえながら、検討が進められるものと考えています。理解をお願いします。

 


お問い合わせ先

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