• 背景色 
  • 文字サイズ 

池田議員(自民)

(問)学校支援体制づくり

1.イギリスの「学校理事会」に準ずる日本の学校評議員制度、学校運営協議会とはそれぞれどのようなものか説明を伺う。

2.学校評議員制度、学校運営協議会の県内の設置状況について伺う。

3.「学校運営協議会」の役割を強化し、地域による学校支援体制づくりをするべきと考えるが、所見を伺う。

4.総合学習の時間に「地域力醸成プログラム」のような、子どもたちの発表の場を設けるとかなりの効果があると考えるが、所見を伺う。

5.「教育課程特例校制度」を活用して特色ある教育を行っている教育委員会があると聞くが、本県の取り組み状況について伺う。

6.今後もっと教育課程特例校制度の実施が進むよう後押しするべきだと考えるが所見を伺う。

(答)教育長

1.学校評議員制度でございますが、平成12年に創設をされました。学校が保護者や地域の住民などから意見を幅広く聞く、そういう制度として発足をされました。

それから一方の学校運営協議会でありますが、これは平成16年に、今申し上げました学校評議員制度を一歩進めまして、保護者や住民等が学校運営の基本方針を承認したり、あるいは教職員の任用に関して必要な意見を述べると、こういった、より積極的に学校運営に参画できる制度として導入されたものでございます。

2.平成21年3月の調査では、学校運営協議会、これが、小学校で38校。全体の15%でございます。それから、中学校で14校。全体の13%であります。それから、学校評議員制度でございますが、これは、小学校で116校。全体の46%。それから、中学校で48校。全体の46%。これ二つ合わせますと、小学校、中学校それぞれ全体の約6割程度が設置をされているという状況でございす。

3.先ほど申しましたように、現在多くの学校が、保護者や地域の理解や協力を得るとともに、地域のニーズを学校運営に反映させる制度、これを取り入れております。

 先ほど二つの制度を取り入れているところが6割と申し上げましたが、実はこれ以外の似たような仕組みを入れて地域の意見を聞いている学校もございます。そういったことで、まずは、こうした学校運営協議会、或いは今の評議員制度、これらの制度をまずは活用いたしまして、各学校の状況をきちんとそれぞれ評価されまして、その成果を地域に情報発信していくということが大切ではないかと思っております。こうしたことによりまして、保護者や地域住民の学校教育への参画意識が高まり、地域による学校支援体制づくりが一層進んでいくものというふうに思っております。

(再質問)「学校運営協議会」に学校運営の権限と責任を持たせれば教員が教育に専念できると考えるが、所見を伺う。

(答)今議員おっしゃいましたご主旨よく分かります。我々の地域と学校が一緒になって、学校の運営をやっていくと理想的だと思っております。ただ、地域によりまして、地域の人或いは保護者の方がどこまで学校運営に関わっていったらいいのかという問題は、地域によってそれぞれ事情はあろうかと思います。そういった地域の事情を踏まえながら、地域と学校がなるべく一緒になって地域全体で学校を盛り上げていくということができれば、まさしく、まさにそういう方向で進めたらいいなというふうに思っております。

(再々質問)学校運営に責任を持った学校運営協議会の設置について是非とも考えていただきたい。

(答)先ほどございました学校運営協議会ですが、いずれにしましてもこれは市町村教育委員会が決定する権限をもっておりまして、現在出雲市の方で、導入がされております。全県的にそういうことを進められるように、また各市町村と意見交換をする中で検討していきたいと思います。

4.現在、島根の特色ある教育といたしまして、ふるさと教育、先程、議員もいろいろお話がございました、ふるさと教育を推進しているところでございます。

 こうした教育の成果を地域の皆様方に発表する場といたしまして、平成十七年度からの三年間、「ふるさと教育フェスティバル」というのを、県内の五教育事務所管内ごとに行ってまいりました。二十年度からは、市町村や学校これが主体となりまして、各地域で特色ある発表の場が設けられております。

 さらに言いますと、今年度は、隠岐で、夏でございますが、県内関係者が一堂に会しまして、県内各地の学校の児童や教員、さらに学習や活動に関わっっている地域の人々を交えまして、学習の成果を発表するという交流会を計画いたしているところでございます。

 今、お話にありましたように、これらの機会は、子どもたちの学習や活動に取り組む意欲や自信、あるいは人と関わる力や表現力等の向上にもつながるというふうに考えております。

5.この教育課程特例校制度でございますが、学校が地域の実態により即して、効果的な教育を実施するために、特別な教育課程を編成することができるという制度であります。

 全国で154の市町村、学校がやっていると聞いておりますが、県内にはこの特例校制度に指定されている学校は現在のところございません。

6.ご質問をいただきまして、私は県内の状況を調べてみました。今の特例校制度ではございませんが、実は各学校でいろいろ工夫を凝らして島根のよさを生かした特色ある教育課程を編成して実施をしてきております。

 いろいろ具体例ございますが、そんな中で今後、特例校制度を活用すればもっといい教育課程ができるものかなというものも当然あろうかと思います。したがいまして、今後、市町村教育委員会に対しまして、この特例校制度について情報提供に努めて、そういったものが可能であれば導入するように検討していきたいというように思います。


(問)教員の多忙感について

1.教員の多忙感の原因は何だと考えているか、所見を伺う。

2.50年前頃の一番子どもが多かった時代と現在の小学校の児童数、教員数と教員1人当たりの児童数の変遷について伺う。

3.各市町村教育委員会、各教育事務所の役割分担、仕事の内容を整理し、学校現場の支援を充実させることが必要と考えるが所見を伺う。

4.教員の多忙感をなくすための取り組みを是非進めてほしいと思うが、現在の取り組み状況について伺う。

1.教員の一日の実態を見ますと、児童生徒が学校にいる間は学習指導あるいは、生活指導に真剣に向き合っています。それから、放課後は、児童生徒への個別の対応、各種の会議や生徒指導にかかわる対策の検討、あるいは部活動の指導、資料の作成、報告書の作成、保護者への対応と様々な用件が重なっております。このことが教員の多忙あるいは多忙感につながっているだろうと承知しています。

 私も教育長就任以来、いくつかの学校を訪問いたしましたが、給食や休憩の時間であっても、食事の指導や安全の確保など、子どもが学校にいる間は心の休まる時がないと思いました。

2.今から五十年前の小学校の児童数は約十三万人、教員数は約四千四百人、教員一人当たりの児童数は約三十人であります。

 現在、平成二十二年の小学校の児童数は約三万八千人、教員数は約三千人、教員一人当たりの児童数は約十三人であります。

 五十年前との比較をすると、児童数、教員数、教員一人当たりの児童数、いずれも減少しているというのが数字上の現状です。

3.現場の支援をしていくことは、我々も一番大事なことだと思っています。

 市町村教育委員会が小中学校の直接の設置者でして、施設の整備、教育課程を直接管理運営する立場です。教育事務所は管内の教育水準の維持向上を図るという立場から、市町村立学校の教育課程や学習指導等に関する指導・助言を行う役割分担となっています。

 その中で学校現場の支援を充実することは大事な課題です。各教育事務所におきましては、これまでも、学校のそれぞれのニーズに応じた指導に出かけていくなどの支援を行ってきました。

 その中で、今年から、市町村教育委員会に指導主事を派遣する制度を導入しました。このことにより、各学校が抱えている課題について、学校現場にもっとも近い市町村教育委員会が主体性を発揮しながら充実した支援ができるものと考えております。

 今後とも、指導主事の派遣制度を充実させていきたいと考えております。

4.現在、教員負担の軽減、児童生徒の学習や生活の支援をするために、例えば、小学校低学年の三十人学級編制・スクールサポート事業、にこにこサポート事業、クラスサポート事業、それぞれサポート事業を実施しております。

 これらの事業によって、教員が一人一人の児童生徒と向き合う時間を確保するという目的が果たせていると考えております。

 こうした際に、講師として、教員OBの方々を積極的に活用しているという状況です。

 教員の多忙感については、学校で開かれる会議のあり方や、文書の処理方法についても、機会あるごとに工夫・改善を図るよう、指導しております。

 なによりも、多忙感を解消するためには、教員一人一人がやりがいをもって教育にあたることが必要であると思います。今年度当初の校長研修でも、教員一人一人がしっかりと教育ができる環境作り、それから、悩みや問題を相談できる校内の体制づくりについて各校長にお願いしたという状況です。


(問)不登校、引きこもり児童対策について

1.県内の不登校児童生徒数の現況について伺う。

2.その子たちは日常どのように暮らしているか伺う。

3.今年から始まる「不登校未然防止モデル事業」についての説明を伺う。

4.Q-Uテストについて、他県での取り組みの状況と成果について伺う。

5.不登校未然防止モデル事業の結果を踏まえ、今後この事業を広げていく考えがあるか、所見を伺う。

6.「連絡調整員配置事業」を有効に使い、仕事だけでなく通信教育や資格取得を進める取り組みをお願いしたいが、所見を伺う。

7.不登校の子どもたちが使用できる施設の現状及び県の支援策について伺う。

(答)教育長

1.不登校児童生徒数、年間三十日以上学校を休んだ児童生徒ということで申し上げますと、平成二十年度で、小学校で百八十二人、中学校で六百二十五人、高等学校で二百十人というふうになっております。

2.先程申し上げた小中学校の不登校児童生徒八百七人でござますが、これについて調査をいたしましたところ、ひとつは、市町が設置している教育支援センター、これらの施設に通うことが多い者これが、百三十九人。

 それから、外に出かける等比較的自由に過ごしている者これが、二百二十五人。

 それから、家に閉じこもりがちである者これが、二百三十三人。

 ということで、今申し上げた数字六百人程度ですが、八百七人のうち六百人程度は今のような状況でございます。

3.この事業でございますが、県内では二つのモデル地域、出雲一中校区内と浜田一中校区内の小中学校でございますが、これを指定いたしまして、不登校の未然防止のための実践研究を行おうというものでございます。

 具体的には、この研究では、まず、児童生徒一人一人の学校生活におきます意欲とか満足感など、あるいは実態を客観的に把握しようということで「QーUテスト」という心理テストを各児童生徒に行うというものであります。

 その結果を踏まえまして、早急に支援が必要な児童生徒、例えば、孤独感を抱えている子どもたち、こういう子どもたちを見つけまして、校内ケース会議でありますとか、民生委員、児童相談所等の関係機関も含めたサポートチーム会議により支援方法を検討して参ります。それに基づいて、スクールカウンセラー等と連携して不登校の未然防止に向けた適切な対応をしていこうということをしようとする事業でございます。

4.このQーUテストでございますが、正確な数値ははっきりわかりませんが、QーUテストを作成している民間業者これが調査した数値がございます。平成二十一年度で全国で取り組んでいる児童生徒数の割合ですが、小学校で十四%、中学校で二十六%、高等学校で七%。これらの生徒がこのQーUテストを受けているということであります。

 成果でありますが、他県の状況によりますと、いじめや不登校等の予兆をいち早く察知することができる、あるいは担任が学級づくりが適切に行われているかを振り返る機会となる、あるいは担任が他の教職員と学級の様子をありのままに情報交換しあう機会となる、こういったことが挙げられております。

5.モデル事業の結果を踏まえまして、県内の小中学校を対象といたしまして、この事業の実践報告会を行って、その成果を周知してまいります。

 それから、既存の各種の研修会等におきましても、モデル地域で取り組んだ未然防止策などの成果を県内の他の学校にも広めていきたいというふうに考えております。

 まずは、今年から始まりました今回のモデル地域の取組をしっかりと行いながら、他の学校にも成果を広げていくことが大事だろうというふうに思っております。

6.今、議員からご紹介がありました連絡調整員事業、本年度から始めることにいたしております。

 県内の東部と西部に二名ずつ配置をいたしまして、引きこもりがちになる生徒の支援をしていこうというものでございます。事業が始まってまだ二ヶ月でございますので、その成果はこれからわかると思いますが、この連絡調整員、生徒本人でありますとか、保護者と話し合いをしながら、いろいろな支援をしていこうということで、まずは、就職に向けた支援というものもございますが、今、議員からございました、例えば、高校へ再入学する、あるいは、通信教育のシステムを活用して高校卒業資格を取得する、こういった様々な支援を行っていきたいというふうに考えておりますが、いずれにしても引きこもりがちな生徒たちが、社会的な自立へと歩むことができるような支援を行っていきたいと考えております。

 

7.不登校児童生徒の学校復帰、こういうことを目的とした施設といたしまして、現在、市町が設置しております教育支援センター、いわゆる適応指導教室といっておりますが、これが県内十一市町に十二施設ございます。

 平成二十年度ですが、調査したところによりますと、この支援センターに通っている児童生徒数、小学校で二十三人、中学校で百十六人というふうになっております。

 これは、だいたい常時通っているということでありますので、何回か相談にいったというような生徒は、この他にかなりの数いらしゃるというふうに思います。

 県としての支援策でございますが、各施設に対しまして、事業実施に要する経費を交付金として、助成をしているということでございます。

 


 

(問)高等学校での進路指導について

1.中学校の教員や中学生の保護者に公立、私立高校の授業料がどのようになるのか、その内容について、どのように周知しているのか伺う。

2.中学生から将来の「夢」「希望」を持たせ、そのために何を学ばなければならないかを解らせるような指導が必要と考えるが、所見を伺う。

3.教員は子どもたちが「将来何になりたいか」を基準に進路の指導をするべきと考えるが、普通高校においてなぜその大学、学部に入るのか、指導体制が確立されているか伺う。

4.進学指導を行う教員に、どのような進学指導をすべきかが徹底されているか伺う。

5.このような進路指導体制の構築には、特に保護者と教員の意識改革と子どもを含めた意思統一が必要と考えるが、取り組みについて所見を伺う。

 

(答)教育長

1.高校の授業料無償化でございますが、今定例県議会に、専攻科を除く授業料等の不徴収を内容といたします島根県立高等学校等条例の改正を提案しているところでございます。

 今後、今条例改正案が可決されましたら、中学校の教職員を対象に今回の授業料無償化やあるいは各種奨学金の説明会を開催したいと思っております。あわせまして、中学校の保護者を対象にパンフレットなどの配布も行って、周知を図って参りたいというふうに思っております。

 

2.今の中学校から夢や希望をもたせて指導すべきだということであります。現在もそういう取組をしております。

 特に、小学校段階から、将来社会人として生きていくための基礎を学ばせております。

 その上で中学校では、そういったことをさらに一歩進めまして、例えば5日間程度実際の事業所で職場体験学習、これををすべての学校で今実施しているところであります。それから例えば、十年後や二十年後の人生設計を作らせて、自分の将来について考えさせる指導、あるいは、進路指導の際に、職業に就くための資格や進路を考えさせるといったことで取り組んでいるところであります。

 こういった身近なあるいは社会の体験をしながら、一方ではやはり大きな夢や希望をもたせるということも子どもたちにとっては大切なことであろうと思っております。いずれにいたしましても、各学校の段階で子ども一人一人の夢や希望を大切にした支援を行いまして、将来社会人・職業人として自立できるようにやっていく必要があるだろうという風に思っております。学校の現場でもそういう視点から教育、指導を行ってまいりたいという風に考えております。

 

3.普通高校におきます進学指導でございますが、段階を踏みながら、計画的、継続的に行っているところであります。具体的に申しますと、やはり最初は、自己の能力、適性について理解をさせる、それからそのうえで、職業研究あるいは学部、学科の研究、そして最終的に、受験先の決定、という段階を踏みながら進路指導をしているということであります。こういった指導過程を踏まえまして、学級担任、進路指導部等を中心にしまして、生徒の「将来何になりたいか」という夢を大切にしながら個別面談もしっかりと行いまして、学科、学部、大学を生徒が主体的に選択できるように指導に努めているという状況でございます。

 

4.実は将来の話というのは大変難しいと思います。私自身もなかなか高校時代を思い起こしますと、何になるかとはっきり言えない時代があったろうと思っております。そういった中で、今、御指摘がございましたが、教員は、生徒がただ単に大学の知名度や難易度のみによって進学先を決定するのではなくて、やはりどういうことに将来なりたいのかと、そういうことを、自分の意志で自らの目標を定め、進学先を決定していくように指導していくことが大切であろうというふうに考えております。

 これまでも高等学校におきましては、キャリア教育を推進してまいりましたが、今後とも働くことの意義や尊さを教えるとともに、将来の目標設定や職業意識を持たせるよう、各高等学校に指導を強めてまいりたいというふうに思っております。

 

5.進路指導の充実を図るためには、校内の組織体制の整備とともに、当然のことながら、家庭、保護者との連携を図っていくことが重要であろうと思っております。

 これまでも各高等学校におきましては、生徒との進路決定にあたりましては、保護者対象の進路説明会でありますとか、保護者との面談、これらを重ねながら指導にあたってきたところであります。今後とも、学校、家庭の共通理解をさらに深めながら、生徒一人一人の進路の目標が達成できるように、進学指導の一層の充実に努めてまいります。

 


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp