• 背景色 
  • 文字サイズ 

生越議員

(問)高校の魅力化事業について

1.市町村が深く関与するようになった高校教育の在り方をどのように考えているか伺う。

2.高校魅力化事業の現在までの取り組みの概要とそれに対する所見を伺う。

3.教育の魅力化の具体的なイメージを伺う。また、どういう状況になった時に、教育の魅力化が達成されたことになるのか、いわばその到達点はどこにあると考えるのか伺う。

4.小中高の連携はどのような形をもって理想とするのか、それを進めるため具体的にどのような取り組みを想定しているのか伺う。

5.高校の魅力化に向け、今後、どのような施策を展開していく考えか伺う。また、具体的には来年度、どのような取り組みを打ち出す考えか、どの市町村を取り組みの対象として考えているのか伺う。

6.新たな教育魅力化事業は、県が採択すれば一定の交付金が受けられると聞くが、その使い方は協議会の裁量に委ねられるのか伺う。

7.新たな教育魅力化事業について、少しでも早い段階での内示ができないものか伺う。

8.地域の生き残りをかけ、市町村が教育を軸に取り組むのであれば、県も地方創生の一つの柱として積極的に取り組んでよいのではないかと思うが、所見を伺う。

 

(答)知事

1.県立高校は、県教育委員会が学校設置者であり、県の責任において高校教育を進めていかなければなりません。近年地元市町村が「魅力化・活性化事業」を通じまして、県立高校を必死に支えておられます。

 離島・中山間地域におきましては、高校を存続できるかどうかが、地域の存立にも関わるほど重要な政策課題になっていると思っております。

 県は、地方創生や離島・中山間地域の活性化を進めるに当たって、こうした市町村の思いをよく理解したうえで、これに応えていかなければならないと考えております。

 

(答)教育長

2.魅力化事業の対象であります8つの県立高校は地元と危機感を共有しながら、平成23年度以降の6年間にわたりまして、県立高校と地元関係者が協働した形で、高校の魅力発信、地域の課題学習、地域住民の方々との交流等に取り組んでもらいました。

 また、地元の市町村の側におきましても、公設塾の建設・運営、寄宿舎の増設、スクールバスによる通学手段の確保、部活動の活性化等、高校の魅力化・活性化のために多大の貢献をしていただいております。

 その結果、魅力的な学校づくりが進んでまいりました。

 全県的に、子どもの数が減る中で、この8校におきましては、まず地元からの進学率の向上や、「しまね留学」による県外入学者の増加を通じまして学級数を維持するなど、地域の教育力を確保するという面で成果が出つつございます。

 

3.教育の魅力化については、それぞれの地域におきまして、教育に関するどのような取組を進めることが、地域の魅力につながっていくのか、「地方創生」や中山間地域の活性化の観点から議論を尽くしていくことが大切でありまして、それは決して金太郎飴的なものではないと思っております。

 これまで、市町村と意見交換した中では、次のような取組を行いたいと、そういう声を聞いております。

 まず、「ふるさと教育」と「キャリア教育」を一体的・系統的に進めることによりまして、地域を支える人材を育成していきたい。また、読書活動や学校図書館活用教育をさらに強化していきたい。そして、発達障がいのある児童生徒への支援をはじめとしまして、多様な個性を持つ子ども一人一人を伸ばす教育に力を入れて、これを若い世代に対する魅力として発信したい。あるいは、家庭の経済事情等に左右されずに教育機会をしっかり保障していきたい。そして、「公設塾」等によって家庭学習を充実させたい。あるいは家庭教育を支援していきたい。というような具体的イメージを聞いております。

 これらの取り組みを行うことで、その地域の教育が魅力的になり、それが地域の魅力につながれば、次代を担う若い世代から、移住・定住の地として選択されるという考え方であります。

 このように、教育に関する取り組みを出発点にしながら、「しまねに定着、回帰・流入する人の流れ」をつくることが、「教育の魅力化」の目指すべき到達点であると考えております。

 

4.幼稚園保育所・小学校中学校・高校・特別支援学校という校種を超えた連携についてでありますが、様々な形がございます。この点についても、それぞれの地域において議論を尽くして頂きたいと思っておりますが、まずは、地域の子供たちにどのような人間に育ってほしいのか、このような教育の目標・理念を明確にしていただいて、幼保・小中・高校・特別支援学校がそれを共有し、発達段階に応じて確実にバトンタッチしていくことが基本ではなかろうかと思います。

 このことを、例えば、ふるさと教育・キャリア教育に置き換えてイメージを表現してみたいと思います。

 就学前は、地元の郷土料理を食べたり、祭りに参加して地域の原体験・原風景を多く感じる。

 小学校では、地域の歴史、文化、課題、将来像などについて調べ、地域に対する愛着を深めていく。

 そして、中学校になりますと、実際に地域の行事やボランティア活動に参画し、地域の一員である感覚を芽生えさせていく。

 そして、高等学校では、他地域や異文化にも触れる機会を設けることによりまして、自らの地域について客観的に考える力を育み、自己実現に向け果敢にチャレンジしていくことができるようにする、というようなイメージでございます。

 このように校種を超えた連携を通じまして、その地域ならではの特色ある教育活動に一体性・系統性が生まれることを目指していこうと思っております。

 

5.これまで高校魅力化事業を第1期、第2期の合計6年間進めてまいりました。こうした成果を踏まえまして、今後は、いわば第3ステージとしての取組を進めていきたいと考えております。

 9月定例会で知事の答弁にありましたように、第3ステージでは、次のような観点を重視して施策を考えていきたいと思っております。

 1点目は、魅力化事業を実施している8校の地元だけでなく、「教育の魅力化」に取り組もうとする意欲のある他の市町村にも、事業を拡大していくこと。

 2点目は、高校だけでなく、幼稚園・保育所から小学校、中学校、特別支援学校も含め、地域を挙げて「教育の魅力化」に取り組んでいくこと。

 そして3点目は、教育の分野だけでなく、地域づくりや移住・定住対策との連携も強化していくこと。

 そして、対象エリアについてでございますが、今後は少なくとも中山間地域活性化条例で定めております条例上の中山間地域の全体にまでは広げていくことが必要ではなかろうかと思っております。

 ただし、市町村の意欲が大前提になりますので、引き続き市町村と協議・調整を続けてまいりたい、とこのように考えております。

 

6.活動交付金を含めまして具体的な制度設計は、今後の予算編成作業を通じて検討していくことになりますので、現時点で明確なことをお答えしづらいわけでございますが、まずは、それぞれの地域においてどういう教育を進めていくことがその地域の魅力につながっていくのか、「地方創生」や中山間地域の活性化の観点から議論していくことから始める必要がございます。

 従って、そのような議論のプロセスを経て企画立案された取り組みにつきましては、当然、それを尊重することが大切だと考えております。

 

7.市町村に対する財政支援の方法や支援の割合なども含めまして今後よく検討したうえで、来年度当初予算案の中で議会に提案させていただきたいと思っております。

 それ以降のスケジュールにつきましては、率直に申し上げて現時点で、お答えする材料は持ち合わせておりません。

 ただ、ご指摘ありましたように、意欲のある市町村ができるだけ早く事業着手できるような配慮を行うことが大切だと思っておりますので、引き続き市町村との意見交換、情報共有に努めまして、市町村側の準備に支障を生じないよう配慮していきたいと思っております。

 また、繰り返しになりますが、それぞれの地域において、議論を尽くしてもらうことが大切でありまして、この議論は今からでも始められると思っております。

 そういう意味で、すでに協議会を設置して議論を開始しておられる地域は、スムーズな事業展開が図られるのではないかとこのように期待しております。

 

(答)知事

8.9月の定例会のあと、教育委員会と地域振興部は、市町村と意見交換を重ねてきておりますが、市町村の考えは、先ほど議員と教育長とのやり取りの中にもありましたように、だいたい次のようなものだったと聞いております。

 一つは、県立高校と地域が一体となって取り組む高校魅力化を引き続き支援してもらいたい。

 そして更に、幼稚園・保育所・小中学校・高校・特別支援学校を貫いてと言いますか、教育の長いプロセスの中で、「教育の魅力化」にも取り組もうとする市町村を積極的に支援してもらいたいと。こういうことであったというふうに思います。

 このように「教育の魅力化」は、市町村の側に強い期待感があるわけでございます。

 議員が、「教育の魅力化」を地方創生の柱の一つとすべきだとご指摘でありますが、そういう観点も必要なことだろう、というふうに思います。

 今後、来年度予算編成が進むわけでございますけども、このプロセスにおきまして議会ともよく相談しながら、県としての具体的な対応を検討してまいりたいと考えているところであります。以上でございます。

 


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp