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平谷議員

(問)いじめの実態について

1.本県のいじめの実態について伺う。

2.「学校ネットパトロール事業」の現状と成果、課題を伺う。

3.いじめを減らすためには、今のいじめが起こりやすい学校環境を根本的に見直すことが必要と考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.いじめに関します3点のご質問にお答えをいたしします。

 まず、島根県内の学校におけるいじめの認知件数についてであります。

 文部科学省がこのほど公表した調査では、平成27年度、県内の国立・公立・私立の小学校・中学校・高等学校・特別支援学校におけるいじめの認知件数は、次のとおりとなっております。

 小学校は、前年度比142件増の537件。中学校は、前年度比96件増の306件。高等学校は、37件増の112件。特別支援学校は、7件増の30件。合計で282件増の985件となっております。

 いじめの内容としては、「冷やかしや、からかい」が最も多く、次いで「軽くぶつかられたりする」。そのほか「仲間はずれや集団による無視」といった行為が多くなっております。

 認知件数は全ての校種で増加しておりますが、県の教育委員会と学校現場の共通認識として、いじめが疑われる早い段階から学校が的確に関わりを持ち、子どもたちからの訴えを真摯に受けとめ、いじめを隠したり軽視したりすることなく、積極的に認知していくよう取り組んできております。これが学校現場に浸透してきたものと受け止めております。

 このことは、いじめの問題を解決する上で良い方向に向かっているものと考えております。

 なお、このような取り組みの方向性については、「島根県いじめ防止基本方針」に明記しておりますし、また、それぞれの学校が作成した「学校いじめ防止基本方針」にも定められていると承知をしております。

 

2.次に学校ネットパトロール事業についてお答えをいたします。

 この事業は、平成25年7月から専門の事業者に委託して運用しており、主な業務内容としては、いわゆる学校非公式サイト等の検索や監視を行っております。問題のある書き込みを検知した場合は、サイト管理者やプロバイダに対する削除依頼代行も行ってもらっております。

 今年度は、公立小学校は年2回、公立中学校・公立高等学校・公立特別支援学校は年4回、それぞれ不適切な書き込みや個人が特定される書き込みなどがないかチェックをいたしまして、該当事案があれば、学校や関係機関へ報告するように求めております。

 平成27年度の検知件数は、中学校で718件、高等学校で1,945件、特別支援学校で1件、合計で2,664件を検知をしたところであります。これを前年度と比較しますと、1,619件の減少、率にして38%の減少となっております。

 検知した書き込みの内容をリスクのレベル別に4段階に分類しておりますが、ほとんどが、「緊急性がなく必要に応じて適切な指導・対応が求められる」という最低レベルのものでありました。いずれの事案も、報告が上がってきた段階で、適切な指導を行っております。

 先ほど述べましたように、減少の傾向があるわけでございますが、ネットパトロール事業を通した指導の効果が表れた面もあると考えられますけれども、一方で、委託事業者からの報告や学校現場の声を聞きますと、これまでの手法では検知できない水面下の書き込みに移行していると見るべき、との意見も多くある訳でございます。

 議員ご指摘もありましたとおり、スマートフォンの無料通話アプリなど、公開制限されているソーシャルネットワーキングサービス、SNS上への書き込みについては、本人や関係者からの申し出等がない限り、実態の把握は難しい状況に至っております。

 このため、今後でありますが、ネット上の書き込みの検知もさることながら、やはり、小学校の早い段階や中学校入学時などの節目を捉えて、児童生徒及び保護者に対し、ネット上に個人情報は載せないこと、他人を傷つけるような書き込みは絶対にしない、といった情報モラルの教育・啓発に力を入れていく必要があると考えております。

 また、ネット上で嫌な行為にあった場合の相談のしやすい環境づくりについて、学校・家庭・地域の連携を働き掛けるとともに、児童生徒に対しては、「困ったり悩んだりしたら身近な大人に相談してみよう」というメッセージを繰り返し伝えていきたいと思っております。

 

3.最後に、いじめが起きやすい学校の環境を根本的に見直すべきである、とのご指摘についてお答えをいたします。

 議員からは次の2点についてご指摘がございました。

 1点目は、いじめの問題に対し、学校の中だけで自己完結的に対処するのではなく、外部の関係機関と連携を図ること、2点目は、暴力的ないじめについては、社会的制裁を受けることを理解させ、いじめの抑止力とすること、であります。

 学校現場では、実際に、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの助言や支援を受けたり、児童相談所や市町村の福祉部局と一緒になって対応に当たったりすることも多く、外部の関係機関との連携については積極的に進めております。

 いじめの問題は、未然防止に加えて、いじめの初期の段階で関係機関と連携しながら対応していくことが大事であると考えております。

 2点目の「社会的制裁」を抑止力とするという考え方についてでありますが、学校教育法にも、いじめを受ける側の学習権を保障するという考えから、素行不良であって他の児童生徒の教育の妨げになると認められる場合には、保護者に対し、児童生徒の出席停止等を命ずる「教育上の懲戒」ができることとされております。

 この措置は、あくまでも教育上の観点から指導の一環として行われるものであり、それが必要な場合には市町村教育委員会の判断で行うこととなりますが、「懲戒」という制裁の力によっていじめを抑止するという考え方では、かえっていじめを、例えばSNS上の仲間はずしや無視といった、認知しづらい陰湿な形態のものへと向かわせてしまう懸念もあります。必ずしも期待どおりの効果を生まないのではないかとの懸念もあるわけでございます。

 やはりいじめをなくす基本は、初期の段階からいじめに気づくことができる感覚を磨き、教員が一人で抱え込まず、学校の組織全体で対応する体制づくりをしていくこと、また、学校生活の中での様々な教育活動を通して、子どもたちが自己有用感を持てるようにし、他者を思いやる心を育んでいくこと、さらに、「いじめは絶対にあってはならない」というメッセージを、子どもたちや保護者、地域社会に対し、繰り返し繰り返し強く訴えていくことであると考えております。

 これらを通して、引き続きいじめの問題の解決に努めてまいります。以上でございます。

 


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