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須山議員

(問)しまね教育ビジョン21について
1.平成16年から平成25年を計画期間とした「しまね教育ビジョン21」をどのように総括しているのか伺う。
2.朝食を毎日とる児童生徒の割合を改善するために行った具体的施策と、数値が伸び悩んでいる原因の分析及びその対応策について伺う。
3.全国学力・学習状況調査において、全国を100とした時の県の値を改善するために行った具体的施策と、目標値を達成できなかった原因の分析及びその対応策について伺う。
4.平日に家や図書館で全く読書をしない児童生徒の割合を改善するために行った具体的施策と、目標値を達成できなかった原因の分析及びその対応策について伺う。
5.ビジョンが描く島根の教育像など第2期ビジョンの概要と、第1期ビジョンとの連続性について、所見を伺う。

 

(答)教育長
1.しまね教育ビジョン21の総括についてであります。
平成16年度から平成25年度を計画期間とした第1期のビジョンは、「生きる喜び、学ぶ楽しさを通して、一人一人の可能性を開花させ、社会の一員として自立して生きていくことができる子どもを学校、家庭、地域社会が連携して育む」を基本理念に掲げ、本県の特色を生かした教育として、ふるさと教育の推進、地域の教育力を生かした教育の推進、少人数指導の充実と拡大などに取り組んできました。
その結果、小・中学校の「ふるさと教育」において、年間1万2千人を超える地域の方に関わっていただき、ふるさと教育推進のための知見や経験が蓄積されたり、本県独自の「ふるまい向上」の取組みにより、あいさつなどふるまいに対する意識づけが図られたり、今年度からの少人数学級の拡大に向けての道筋ができたなど、一定の成果があったと考えています。
そのほか、この10年間には、学校司書等の全学校への配置、特別支援教育における「にこにこサポーター」の配置や特別支援教育コーディネーターによる指導体制の整備など、子ども一人一人のニーズに応じた教育のための環境が整ってきました。
一方、学力の向上や学習意欲、朝食を毎日食べるなどの家庭での基礎的生活習慣の形成における課題、あるいは不登校の子どもへの対応など、今後、取り組みの強化が必要な項目もあると認識しています
 

2.児童生徒の望ましい食習慣育成のために行った具体的施策の主なものについては、次のとおりです。
一つ目は、県内の全ての学校で食育担当者を決め、指導計画を作成し、学校全体で食育を推進する体制の整備、二つ目は、食に関する指導の中核になる栄養教諭の配置と、授業力の向上をめざして担任と栄養教諭が協同で授業を行う授業研究会の開催、三つ目は、家庭で保護者とともに食の学習ができる島根県版「食の学習ノート」の全児童配布であります。
数値が伸び悩んでいる原因については、平成22年度独立行政法人日本スポーツ振興センターの報告によると、朝食を食べない理由として、小中学生ともに「食欲がない」「食べる時間がない」の割合が多く、島根県においても同様の傾向にあること。
また、「保護者が朝食をとる習慣がない」「子どもにやせたいという思いがある」「経済的な理由で準備されない」などの理由が原因で、少数ではありますが、朝食を食べない児童生徒が見受けられること、などが挙げられます。
今後の対応については、幼・小・中・高の発達段階に応じた食育の充実と「親子料理教室」や「生産者を招いた給食交流会」など、家庭や地域を巻き込んだ取組をさらに進めるほか、個別の指導が必要な児童生徒や保護者に対しては相談体制を整え、きめ細かい指導を行ってまいります。
 

3.3点目は、学力調査結果を改善するために行った具体的施策、目標値を達成できなかった原因の分析及びその対応策についてであります。
平成18年度から今年度にかけて学力向上プロジェクト事業を実施しておりますけれども、主な施策は次のとおりです。
一つ目は、児童生徒の学力や学習状況を把握し、施策の充実と指導の改善を図るために、島根県学力調査を小3から中3で実施しています。二つ目は、教員の授業力の向上や教科リーダーの養成のための研修を、教育センターや学校などで実施しています。三つ目は、基礎学力の向上や家庭での学習習慣の定着を図るため、国語、算数・数学の学習プリントを学校へ配信しています。
また、目標値を達成できなかった原因については、次のように分析しています。
一つ目は、学力調査結果の分析を活かした各学校での授業改善の状況の確認など、実施施策の検証が不十分な面があったこと。二つ目は、教員研修の成果を校内研修に広げたり、学校へ委託した研究成果を他の学校で実践したりするなど、研修や研究の成果を十分に活かすことができなかったことです。
結果として、児童生徒の学習意欲を高めたり、上位層の学力を伸ばせなかったりして、目標を達成することができなかったと考えています。
今後の対応については、市町村教育委員会と共同で作成した「しまねの学力育成推進プラン」により、県教委と市町村教委の協同組織を設置するなど、学力育成のための体制を整備したところであり、学力調査結果を分析するシートを各学校に配付し、課題に対応した指導法を工夫できるようにするなど、児童生徒の学習に対する興味・関心を高め、学力定着につながる授業改善を進めてまいります。
 

 

 

 

4.4点目は、平日に家や図書館で全く読書をしない児童生徒の割合を改善するために行った具体的施策と、目標値を達成できなかった原因の分析及びその対応策についてであります。
子どもの読書の底上げを図るために、子どもにとって身近な学校図書館の読書環境の改善を図ってきました。
具体的には、司書教諭の養成と研修、学校司書等の配置のための市町村への財政支援、地域の協力をいただきながら、使い勝手や居心地の良い図書館への改造などであります。
また、就学前から本に親しむための取組として、親子読書を推進する「親子読書アドバイザー」事業等を展開して参りました。
目標値を達成できなかった原因については、本を読まない児童生徒に対する直接的な指導を積極的に行わなかったこと、メディア接触時間の増加の影響などが挙げられると考えています。
今後の対応については、本を読まない児童生徒への指導や、就学前から本に触れ、親しむ機会を確保するための家庭における読書活動など、これまでの事業を継続し、さらに充実させて参ります。
 

5.5点目は、第2期しまね教育ビジョンの概要、第1期ビジョンとの連続性についてであります。
第2期のビジョンでは、ふるさと島根の自然、歴史、文化、伝統などに対する愛着や誇り、理解を土台に、「島根を愛し世界を志す心豊かな人づくり」を基本理念に掲げ、これからの社会を生き抜くための子どもに必要な力として「学力」「社会力」「人間力」の3つを島根の教育目標に設定しています。
さらに、「知識」などのいわゆる「学んだ力」と「学習意欲」などの「学ぶ力」を「学力」と定義づけ、系統的に育成することとしたほか、関係者が共通認識を持って取り組めるよう、就学前から高等学校までの発達段階における目標をいわゆるキャリア教育の視点で示しています。
このほか、この10年間の状況の変化についても、ICT機器やネットワークの進歩など、情報化の進展への対応として情報活用力の育成のほか、生活習慣への影響など情報化の弊害に関する保護者等への理解の促進や、特別な支援が必要な児童生徒の増加への対応として、子ども一人一人のニーズに応じた指導の充実なども盛り込んでいます。
教育は安定性・継続性が重要であることから、例えば議員から御指摘のあった目標未達成の項目についても、第2期ビジョンで引き続き取り組むなど、1期からの連続性を踏まえた内容としております。
今後はこの第2期ビジョンの目標の達成に向けて、県民一体となって施策の推進に努めてまいります。

 

 

 

 


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