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浅野議員(自)

(問)防犯対策について

地域の安全協議の場として公民館を活用することが必要だと考えるが基本的認識を伺う。

(答)広沢教育長

まず、防犯対策についてお答えします。

 議員ご指摘のとおり、公民館は社会教育事業を実施する市町村の社会教育施設であります。

 公民館は、本来、「市町村の住民のために、教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与する」ため設置されていますが、時代の変化に対応して、特に近年、市町村合併の進展を踏まえ、住民の学習活動、まちづくり・地域づくり活動の拠点としての役割を担うことが求められております。

 現在、県内いくつかの公民館においても、地域の安全を守る活動が公民館の活動区域を単位として行われております。

 公民館を中心として、地域の住民が安全や防犯について考え、行動することは、地域づくりや人づくりに通ずる活動であり、生涯学習の観点から見ても、重要な要素であります。

 そうしたことから、県としても、こうした自主的活動の促進や意識の醸成が一層図られるよう、市町村と一体となって公民館を支える人材の育成などに努めてまいりたいと考えております。

 

(問)県立高校のあり方について

1.大学進学を目的とした中高一貫校の構想はないのか伺う。

2.県立高校の通学区域の見直しの検討状況と見通しについて伺う。

3.定時制・通信制独立高校の規模と設置時期について伺う。また、開設までの間、宍道・出雲の定時制高校に夜間部の設置を要望するが所見を伺う。

 

(答)広沢教育長

1.次に、中高一貫校についでであります。

 中高一貫教育には、連携型、併設型及び中等教育学校の三つの形態があり、現在、公立の中高一貫校は、全国に百二十校設置されております。

 本県では、飯南・吉賀・邑智の三校が、近隣中学校との連携型中高一貫校として、地域の教育力を生かしながら、特色ある教育活動を行っております。

 中国地方には、現在、本県の三校を含め、十四の「公立」中高一貫校がありますが、その中、昨年四月に広島県が新設した県立広島中・高等学校は、大学受験を強く意識した、併設型の中高一貫校であります。また、岡山県でも、それに先立つ平成十四年、進学校である県立岡山操山高等学校に県立中学校を併設しました。

 ただし、この二校は、いずれも大都市、もしくはその近郊に、多くの従来型普通高校や単位制高校などとともに、数ある選択肢の一つとして設置されております。

 このような中高一貫校を、地域の生徒数規模や学校規模が小さい本県に設置した場合、たとえば、既存中学校のさらなる小規模化を招き、教育活動に支障をきたしはしないか、あるいは、数少ない近隣の普通高校にどのような影響を与えるのかなどについて、慎重な検討が必要です。

 また、それに加えて、設置に必要な規模の施設をどう整備・確保するかという課題もあります。

 こうしたことから、現時点では、議員ご指摘のような併設型一貫校の設置構想はありませんが、県教育委員会といたしましては、他県の事例等を研究しつつ、本県にふさわしい中高一貫教育のあり方について、今後も、幅広い観点から検討を継続してまいります。

2.次に、通学区域の検討についでであります。

 県教育委員会では、本年八月、外部有識者等から成る「県立高等学校通学区域検討委員会」を設置し、通学区域のあり方について諮問いたしました。

 その際、具体的な検討事項としてお願いしましたのは、第一に、普通科、理数科及び一部専門学科における「東西二学区制」。第二に、普通科8校の「地域設定」と「地域外入学枠8%」。第三に、松江北・南・東三校の小学区制。以上の三点であります。

 今後、検討委員会において多角的な観点から審議いただくとともに、一般県民や生徒、保護者を対象とした県民意識調査や、県内各地での意見聴取会などを通して、幅広い意見をいただくことにしております。

 今後の見通しとしましては、平成十八年三月に検討委員会の答申をいただき、同年夏ごろを目途に、県教育委員会としての方針を決定したいと考えております。

 県教育委員会といたしましては、今後とも、「生徒にとって望ましい通学区域とは」という視点を最も重視し、検討を進めてまいりたいと考えております。

3.次に、定時制・通信制東部独立校についてであります。

 東部独立校については、定時制・通信制課程に学ぶ生徒の多様化に対応するため、その新設について検討を進めているところですが、この度、設置場所を、通学の利便性や周辺環境、遊休県有地の有効活用などの観点から、松江市宍道町の「県林業技術センター跡地」とすることに決定いたしました。

 この東部独立校は、そこで学ぶ生徒の状況を踏まえ、柔軟なシステムと多様な教育内容を持つ必要があると考えております。このため、定時制を昼間午前部、昼間午後部、夜間部の三部制として、生徒が学習する時間帯を選択できるようにすることや、単位制を導入し、多種多様な科目の開設や、科目選択の幅を拡大することによって、生徒が進路希望などに沿い、自分だけの時間割を作成できるシステムを備えた学校としたいと考えています。

 規模としては、定時制は昼間午前部二学級定員八十名、昼間午後部一学級定員四十名、夜間部一学級定員四十名、通信制は年間三百五十名としており、主要施設として、管理棟、教室棟、体育館、グランドなどを想定しております。また、建設費は三十億円程度を見込んでおり、開校時期は、平成二十二年四月を目標に準備を進めております。また、東部独立校開校までの間、松江南高校宍道分校と出雲高校定時制に夜間部を設置することについてでありますが、現在、この昼間部二校及び、県東部唯一の夜間部定時制である松江工業高校定時制の定員の充足状況が、いずれも定員を下回っていることや、実態として働きながら学ぶ生徒が激減している状況から、ご指摘の二校に新たに夜間部を設置するほどのニーズはないものと予測されますので、この二校に夜間部を設置する考えはありません。

 

(問)小中学校の教育指導について

全県的学力調査を実施するかどうか伺う。また、調査結果を教員の指導力向上に繋げるべきと考えるが所見を伺う。

 

(答)広沢教育長

次に、小中学校における学力調査についてであります。

 ご承知のように、国際的な学力調査の結果から、我が国の児童生徒の学力が低下傾向にあることが指摘されました。また、本県において、平成十五年度に実施した、教育課程状況調査の結果からも、中学校数学において理解が十分でない生徒が多い等、教科ごとに改善すべき課題が明らかになり、本県の児童生徒の学力の低下を危惧するところであります。

 このような状況から、県教育委員会としては、児童生徒の学力向上を図るため、教育庁内にプロジェクトチームを設置し、学習指導の在り方、教職員の指導力の向上、特に小・中・高校間の連携の在り方等の具体策について検討しているところであります。

 これらの具体策を、より効果的に進めていくためには、すべての児童生徒の学力の定着状況や生活習慣等の現状を客観的に把握することがどうしても必要であります。そのため最も効率的な方策で、できるだけ多くの学年、教科を対象に、全県的な学力調査を実施することを検討しているところであります。

 また、この調査は、県のみならず、小・中学校の指導を行う市町村教育委員会と一体となって行う必要があると考えており、具体的な実施方法について、現在、各市町村教育委員会と細部にわたる協議を進めているところであります。

 次に、調査結果の活用策ですが、教員の指導力向上を図るためには、教員一人一人が、自らの指導の結果を正確に把握した上で、指導方法の工夫改善ができるようにすることが必要です。

 そのために、一人一人の児童生徒の分析結果を教職員に周知し、各学校において、学校体制の改善・充実や、授業方法のさらなる工夫等に生かしていきたいと考えています。また、指導法の改善策等を教職員研修で取り上げて、研修の充実を図ること等を進めていきたいと考えております。

 さらに、各教育事務所単位でリーダーとなる教員の養成を図り、指導主事と連携して、各学校での指導力の向上への取組を支援していくこととしております。

 

(問)不登校問題について

 以下の点について伺う。

1.県内の不登校の現状に対する所見

2.不登校児童生徒に対する指導の現状及び効果

3.非行等について、学校と警察の連携が必要と考えるが、教育長の所見

 

(答)広沢教育長

1.2.次に児童生徒の不登校問題についてであります。

 平成十六年度における公立の小・中学校における不登校児童生徒数は一〇一八人であり前年度と同人数でした。一時期より減少したものの不登校児童生徒が一〇〇〇人を越すという状況は誠に憂慮すべき状況にあると認識しております。

 不登校になる要因は、児童生徒一人一人によって様々ですが、平成十六年度「不登校の状況等に関する調査」のまとめによると、対人関係への不安や集団生活に対する強い緊張感、生活リズムの乱れ、例えば昼夜逆転の生活などがきっかけと思われるものが最も多く、小・中学校合わせて二百七十一人、ついで友人関係を巡る問題が二百五十人となっております。

 こうした不登校の背景には、昨今の、情報化・少子化、家庭環境や遊びの変化、価値観の多様化など、児童生徒を取り巻く生活環境の変化などがあると考えています。

 こうした不登校児童生徒に対して、各学校においては対策委員会を設けて対応を協議し、担任を中心に定期的に家庭訪問を実施するなど家庭と連携した支援を行っているところです。

 また、県教育委員会では、各学校における教育相談体制の充実を一層進めるために、スクールカウンセラー配置の拡充に努め、本年度県内の全ての中学校、高等学校で相談に応じられるようにしたところであります。

 その他、県が任用している子どもと親の相談員、市町村が任用している指導員や相談員などによる家庭訪問による支援も頻繁に行われています。

 さらに、学校外の機関としましては、教育センターにおいて指導主事等による定期的な通所相談や電話相談、市町村設置の教育支援センターや民間施設における不登校児童生徒の学習支援、体験活動が行われており、県教育委員会としてもそれぞれに支援・助成を行っております。

 また、家庭にひきこもりがちな児童生徒が家の外に行動範囲を広げるきっかけづくりに資することを目的に、ニーズに応じた支援環境を提供する居場所を県内四箇所に開設しているところでもあります。

 こうした施策の効果や学校・教育支援センター等での努力の成果もあり、平成一六年度は約三〇パーセントの不登校児童生徒が徐々に登校できるようになっております。

 なお、不登校児童生徒に対しての取組に際し、現在も退職教員の活用をしておりますが、今後はより一層積極的に活用を推進して参りたいと思います。

3.次に、非行対策としての学校と警察の連携についてであります。

 最近の子どもたちの問題行動は、平成九年度をピークに減少傾向にありますが、暴力行為等の低年齢化、インターネットや携帯電話の使用に伴うトラブル等、問題の多様化、広域化の傾向が見られます。

 また、暴力行為や不良交友、飲酒・喫煙等の問題行動を繰り返す児童生徒への学校と警察の連携の必要性も高まっております。さらに、子どもたちが不審者被害に遭う事案も依然として発生しています。

 このような状況から、不審者対策につきましては、平成十四年度から、総務部・健康福祉部・警察本部・教育委員会の四部局連携によるキャンペーン等、啓発活動等を行い、被害防止の努力をしているところであります。

 また、昨年の秋には、警察の補導に加えて学校での継続的な指導が必要とされる事案や学校の対応のみでは解決が困難な事案に対し、学校と警察が緊密に連携して問題の解決を図り、子どもの安全確保、健全育成を目指す目的で、教育委員会、学校、警察との間において、協定書を取り交わしたところです。このことによって、不審者情報についての、相互連絡や注意喚起、非行を繰り返す児童生徒に対する指導が、一層充実してきております。

 なお、不審者被害への対応、子どもたちの安全を守る取組は、行政の対応だけではなく、地域の公民館活動として、また青少年育成団体などによる防犯パトロール、PTA等による登下校の子どもたちへのあいさつ運動など地域の取組も増えてきております。

 また、子どもたちが放課後や週末に様々な活動を行う心やすらぐ居場所の整備が、今年度、県内の八十九箇所で整備されたところですが、地域社会全体で子どもたちを心豊かでたくましく育むうえで有効な事業であると考えております。

 今後も、地域全体で子どもを支え、育てる取組をさらに推進していくとともに、学校と警察が一層緊密に連携をとりながら、子どもたちの健全育成に努めて参りたいと考えております。


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