• 背景色 
  • 文字サイズ 

尾村議員(無)

(問)特別支援教育について

1.養護学校の学校給食について、業者委託による給食方式の弊害及び子供たちや保護者の不安に対する所見を伺う。

2.養護学校における学校給食の在り方について、県としての基本的見解・認識を伺う。

3.松江清心養護学校において、子供・保護者・教員が安心する安全な給食を供給するため、学校に調理場を設置することを求めるが所見を伺う。また、調理場設置に係る費用の試算について伺う。

4.盲・ろう・養護学校の通学生に対して、通学用スクールバスの配備を求めるが所見を伺う。

5.通学用スクールバス配備に係る費用の試算について伺う。

6.就学奨励費の適用による通学支援の実施状況と課題について伺う。

(答)広沢教育長

1.まず養護学校における業者委託による学校給食についてであります。

 本来、学校給食は、自校方式であっても、共同調理場方式や民間委託方式であっても、安全、衛生面に配慮され供給されるべきものであるという点に変わりはないものと考えております。

 ただ、業者委託による給食においては、調理場が学校から離れている場合には、安全性や衛生管理に目が行き届かなかったり、学校までの運搬に時間を要することで、夏場においては、特に食事の安全性に留意しなければならない場合があると考えます。また、子どもの障害の状況に合わせ用意する「きざみ食」や「ペースト食」については、二次調理の面で、さらなる安全性の確保に注意しなければならないと考えます。

 県教育委員会としましては、保護者からの「安全な給食を願う。」「少しでも温かく、おいしいものを。」「一人一人にあった給食を。」などの声を真摯に受け止め、これまでも受託業者に対し、安全、衛生等の面に十分配慮するよう要請、指導しているところであります。

2.次に、学校給食の在り方についてであります。

 学校給食は、日常生活における食事について、正しい理解と望ましい食習慣を養い、栄養の改善及び健康の増進を図る等の目標を達成するために、学校給食栄養管理者の管理のもと、児童生徒に対し実施されるものであります。

 このことを踏まえ、県教育委員会としましては、基本的な考え方として、県立養護学校の場合は、設置者である県が調理場を設け、ランチルームで一人ひとりの児童生徒の実態に応じた食事内容と指導目標をもって、昼食を摂る方式が最も望ましいと考えております。

3.次に、松江清心養護学校の調理場の設置についてであります。

 県教育委員会では、かねてより、保護者からの強い要望を受け、すでに調理施設をもつ県立学校における共同調理や、市の給食センターからの配食の可能性について折衝、協議を続けておりますが、現時点で、まだ結論の運びにはなっておりません。

 学校給食の在り方は、今年三月の「しまね特別支援教育プラン検討委員会」の報告においても早急に検討すべき課題とされており、庁内にあらためて検討組織を設け、各学校において、安心で安全な給食提供のためにさらにどういう方法がとれるのか、その可能性について、具体的に検討することとしております。

 また、調理場を新たに設置する場合の試算でありますが、平成十二年度に開校した益田養護学校の例を参考にすれば、ランチルームを含め、約一億三千万円程度必要になります。

 このほか、栄養士や調理師を配置するための人件費なども、毎年約一千四百万円程度必要になると考えております。

4.次に、養護学校等のスクールバスの配備についてであります。

 本県の特殊教育諸学校の通学用スクールバスについては、松江ろう学校が移転した際の通学不便を解消するため、昭和五十四年から学校と松江しんじ湖温泉駅間を運行しております。

 他の学校については、これまで施設に併設して整備してきた経緯から、ほとんどの子どもが施設から通っていたことや、遠方の子どものためには、寄宿舎を設けていることから、通学用スクールバスの需要が少ない状況にありました。

 しかしながら、その後、自宅から自家用車を利用して通学する子どもが増えてきていることから、先ほど申し上げました昨年度の「しまね特別支援教育プラン検討委員会」の報告において、スクールバスの運用の在り方についても検討するよう指摘されております。これを受け、同様に庁内に検討組織を設け、各学校が校外学習用として使用しているスクールバスのあり方や人件費等の経費の確保、寄宿舎への影響等について具体的に検討してまいります。

 なお、盲・ろう・養護学校の全ての児童生徒がスクールバスで通学できるようにする場合には、

○各学校とも、在籍する子どもの居住地が広範囲であることから、運行路線が一校当たり数系統必要となること

○利用する児童生徒の障害の状況によっては、障害に対する知識を持ち、看護師等の資格を有する介助者の確保が必要となること

などの課題があると考えております。

5.次に、養護学校等のスクールバス配備の試算についてであります。

 盲・ろう・養護学校の全ての児童生徒がスクールバスで通学できるようにする場合には、各校ともに在籍する子どもの居住地が広範囲であることから、本県の場合、一校当たり五系統、全体で六〇系統の運行が必要になると仮定し、これを民間委託するとした場合、近隣の県を参考にすれば、一系統につき年間約一千万円程度を要することから、年間約六億円が想定されます。

6.次に、就学奨励費による通学支援についてであります。

 平成十六年度の通学費に係る就学奨励費の支給実績は、盲・ろう・養護学校の自宅通学生三百二十五名のうち三百二十一名、及び付添人二百名に対し、合わせて約二千三百二十万円であります。

 通学に係る就学奨励費の支給は、原則としてバス、JR、電車といった公共交通機関を利用して通学する場合と、家庭の事情や子どもの実態から保護者が自家用車によって送迎する場合に、所得等に応じて適用となります。

 県教育委員会としましては、今年九月から、NPO法人等に送迎を依頼される場合にも、その費用を就学奨励費の支給対象とし、通学支援を積極的に行っているところです。

 しかし、この支援が認められるNPO法人は、道路運送法に基づく運輸支局長の許可を取得している団体である必要があり、未だ県内に二団体のみという現状では、通学支援のニーズに対応しきれないという課題があると考えております。

 今後、通学支援を行うNPO法人が各地に設置されることより、児童生徒の通学支援のニーズに応えられるようになることを期待しております。

【再質問】私も、今年三月にまとめられた「しまね特別支援教育プラン検討委員会報告」を読んでいるが、「スクールバスの運用や学校給食の在り方については、早急に検討する必要がある」とされている。この三月の報告ではあるが、この件については、もっと以前から要望があった。先ほどの答弁の中で、庁内での検討組織で話し合われるとあったが、是非とも、自校給食の実施とスクールバスの配備の方向で早急に対応願いたい。

 ついては、その検討はいつごろまでに結論が出せるのか。現状で無理のないところでもいいので回答いただきたい。

(答)広沢教育長

 特別支援教育への制度の転換期にあって、例えば「特別支援学校(仮称)」をどのようにするのかといったことなど多くの課題があり、検討すべき内容もたくさんある。これらのことについては、特別支援教育の全体の検討を広く行う中で検討することになるので、今ここで、いついつまでに結論を出すとは言いにくい状況にある。

 しかし、いつまでも先延ばしにはできないので、私の思いとすれば、基本的な方向については年度内に結論を出したいと考えている。

【再々質問】是非とも早急に対応していただきたいが、その際、保護者も参加した検討をお願いしたが、いかがお考えか。

(答)広沢教育長

 先ほど、「広く」検討を行うということを申し上げたが、検討は、学校の意見も集約しながら進めるということになり、その中に「保護者の参加」も含まれると考える。場合によっては、直接に聞くこともあろうと考えるが、いずれにしても意見の集約は行いながら検討を進めたいと考えている。

 また、私の思いとして「年度内にも結論を出したい。」と言ったが、これは来年度からすぐに行うということではなく、年度内に基本的方向性を示したいという私の思いである。


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp