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三島議員(無)

(問)クラスサポート事業等について

1.義務教育学校における学級崩壊等の実情について伺う。また、クラスサポートの拡充について所見を伺う。

2.三十人学級等の事業予算に対する給与改定の影響について伺う。

3.給与カットの財源が、クラスサポート事業等に充当されていることを広く知らしめることについて、所見を伺う。

4.給与カットの時限切れとなる平成十九年度以降の事業存続について、所見を伺う。

(答)広沢教育長

1.まず、義務教育学校における学級崩壊等の実情についてお答えします。

 今年度、公立の小・中学校において、児童生徒が教師の指導に従わず、授業が成立しない、いわゆる学級崩壊についての報告はありません。

 しかしながら、教師の指導を受け入れない児童生徒や、問題行動を繰り返す児童生徒の対応に苦慮し、学級崩壊につながりかねない学校が、小・中学校それぞれ数校あります。

 県教育委員会では、このような状況にある学校に、生徒指導専任主事やスクールカウンセラーを派遣し、対応の在り方や学校全体での支援体制づくりを指導・助言したり、必要に応じて児童相談所などの学校外の諸機関と連携したサポートチームづくりを援助するなど、児童生徒一人一人に応じた支援を行っているところです。

 次に、中学校クラスサポート事業につきましては、大規模中学校の一年生を対象に、きめ細かなサポート体制の構築を目的として、平成十六年度、十校に二十九名の非常勤講師の配置を開始し、今年度は、少し増やして十四校、三十九名に増員配置したところであります。

 今後、配置校の在り方や配置人数、非常勤講師の効果的な活用方法などのこれまでの成果を細かく分析、検討し、次年度以降この事業がさらに効果を上げるよう取り組んでいきたいと考えております。

 なお、来年度につきましては、中学校において、情緒不安、集団不適応など配慮を要する生徒に対して、広範囲に対応することが可能な通級指導教室の増室を検討しているところであります。

2.次に、三十人学級等の事業予算に対する給与改定の影響についてであります。

 この議会において、来年四月から教職員の給料水準を平均四.八%引き下げるという給与改定条例が提案されているところですが、この条例には、現給保障という経過措置を設けております。

 この措置が採られますと、当面、給与費総額に大きな変動はないこととなり、従って、給与カットも含めた財源を工夫して取り組んでおります三十人学級等の事業には、大きな影響を受けることなく、引き続き取り組んでいけるものと考えております。

(答)知事

3.4.次に、本県が独自に取り組んでいる三十人学級などの教育施策についてであります。

 現在、学校教育を充実させるための施策の一環として、財源を工夫しながら、小学校の三十人学級、スクールサポート事業、にこにこサポート事業、中学校のクラスサポート事業を実施しております。

 事業開始年度はそれぞれ異なりますが、いずれも、児童生徒一人一人の状況に応じて、きめ細かく対応することができ、落ち着いて学習に取り組めたり、集中力や意欲が増すなど、大きな成果をあげているところであります。

 これまで、会合や広報誌等を通じて各事業の目的や推進方法などを県民の皆様に紹介し、学校関係者にも情報提供してきたところでありますが、さらに、具体的な取組内容や教育効果について広くアピールし、一層のご理解とご支援をいただきたいと考えております。

 私としては、常々申し上げておりますように、次世代を担う人づくりは、県の重要な施策と位置づけ、小中学校における児童生徒の教育活動を支援する施策の充実は、誠に大切なことであると考えております。

 今後とも、これらの事業の成果を見極めつつ、財政状況との調和を図りながら、必要な予算の確保に最大限の努力をしていきたいと考えております。

(問)学力低下について

1.学力低下問題の中で揺らぐ「生きる力」の育成という学力観の転換について所見を伺う。また、読解力向上と読書教育との関係について所見を伺う。

(答)広沢教育長

1.次に、学力観についてであります。

 現行の学習指導要領の学力観については、近年、様々な議論が展開されております。

 その多くは、「基礎的な知識・技能」と、「自ら学び自ら考える力」とのいずれが重要かとの論点であると整理しておりますが、これらは二者択一的にとらえるべきものではなく、この両方を総合的に育成することが必要であると考えます。

 本県でも、昨年三月に策定しました「しまね教育ビジョン21」の基本理念の趣旨に示しておりますのは、「児童生徒に基礎基本を確実に身に付けさせ、自分の生き方を考え、決定し、行動していく力や問題解決能力を育むこと」であり、これが教育の不易の概念であると認識しております。

次に、読解力向上と読書教育の関係についてであります。

 昨年末に公表されたOECDの学力調査における読解力とは、「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」となっております。

 この定義に表わされているように、国語という教科の中の文章読解力のみではなく、より広く、社会で生きていく上で必要な力を育成することが重要であると考えます。このような読解力の育成のため、学校においては、教科の枠を超え、総合的な学習等の時間も含めて学校教育全体で取り組んでいかねばならないと考えます。

 中でも読書活動は、「思考力」「表現力」「言語知識」等の育成のために欠くことができないものであり、学校教育全体の中での読書指導、家庭や地域と連携した読書活動の展開が必要と考えます。

 県内の学校においても、国語以外の教科担任が学校司書や司書教諭と連携して授業のプランを練り、本を読み調べる学習を通して生徒の情報活用能力やプレゼンテーション能力の向上を図るなど、意欲的な取組がなされています。

 県教育委員会としても、このような事例を県内に広めるなどにより、学校教育における読書指導の一層の推進に努めてまいります。

(問)読書教育、学校図書館の充実について

1.松江市内の小学校等において図書整備費が減額されたとの話であるが、交付税措置されているはずの図書整備費の現状について伺う。

2.司書教諭の校務分掌の実情及び司書教諭配置による効果について伺う。

3.専任司書配置の状況と専任司書配置拡大について所見を伺う。

4.朝読書、読み聞かせなどの読書活動の取組状況について伺う。

(答)広沢教育長

1.次に、図書整備費の現状についてであります。

 地方交付税措置額に対する県内市町村全体の決算額等の割合は、資料が古いものしかございませんが、平成15年度は110%、平成16年度は111%となっており、県全体としては、毎年計画的に計上されているところであります。

 しかしながら、平成15年度の市町村別の措置状況をみますと、100%を上回る市町村もあれば、大幅に下回る市町村もあることから、引き続き交付税額措置に見合った図書の整備に努めるよう要請しているところです。

2.次に、司書教諭の校務分掌の実情と、配置による効果についてであります。

 小・中学校において司書教諭に対して校務分掌等で配慮されている状況ですが、本年度、授業時数を5時間から3時間程度軽減をしている学校は、発令校、要するに司書教諭を発令した学校ですが、92校のうち23校です。また、司書教諭の校務分掌を軽減したり、校務分掌上、図書館担当を複数制にする等、何らかの配慮がされている学校は73校となっております。

 配置による効果の事例としては、司書教諭の校内活動として、地域のボランティアや教職員による読み語りの実施を計画したり、児童会の図書委員会による読書集会や学級対抗読書パズルなど、多様な読書活動を指導するなどの活動が行われています。

 また、調べ学習や発展読書のための資料提供を支援するコーディネーターとしても活動しております。

 その成果として、子どもたちの学校図書館を活用した、読書意欲の向上や、情報活用能力の向上につながってきております。

3.次に、専任司書の配置状況等についてであります。

 学校図書館の専任司書の配置については、小中学校の場合、本年度は、具体的に安来市、松江市、出雲市、東出雲町、斐川町の3市2町で16名の専任司書が配置されております。

 専任の司書が配置されている学校におきましては、図書館利用のオリエンテーションを司書教諭とともに行ったり、司書教諭や学級担任と司書が連携しながら情報活用能力の育成を目指した授業を行うなど、学校図書館に専任の司書が配置されたことにより可能となった、多様な読書活動が行われております。

 また、このほか複数の市町で、司書資格はないものの、19人の専任職員が配置されており、学校図書館活動の支援や司書教諭等へのサポートが行われております。

 さらに、ボランティアの協力を得て、蔵書の整理や図書館の環境整備、本の貸し出しなどを行っている学校が相当数あり地域の皆様の協力に感謝しているところであります。

 県教育委員会といたしましては、各市町村教育委員会に対し、専任司書あるいは専任職員のさらなる配置、ボランティアによる支援体制づくりについて、引き続き積極的に要請してまいります。

4.次に、朝読書、読み聞かせなどの読書活動の取組状況についてであります。

 朝読書を含めた「全校一斉読書」の状況について、平成15年度には、小学校では96%、中学校では94%の学校で取り組んでおります。

 読み聞かせについては、ボランティアや教職員によるものや、子どもたちによるものなど多様な形で行われており、小学校では91%、中学校では23%の学校で取り組まれております。

 このほか、ブックトークやストーリーテリング、必読図書や読書ノートの活用等で、良い本と出会わせ読書習慣の定着化が図られるよう、様々な努力をしている学校が増えつつあります。

(問)歴史教育について

1.歴史教育の現状と基本的な考え方について伺う。

2.我が国の戦後の歴史認識に対する所見を伺う。〈参考・知事〉

(答)広沢教育長

1.次に、歴史教育についてであります。

 学習指導要領は、小・中学校の社会科及び高校の歴史の授業を通じて、「国際社会に生きる民主的、平和的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」ことを目標としております。特に、歴史教育においては、アジア近隣諸国との関係を含め、近現代史の学習の充実が図られており、これにより、「戦争を防止し民主的で平和な国際社会を実現することが重要な課題であることを認識させること」としております。

 本県においても、このような学習指導要領の趣旨に則り社会科の授業時数のうち、小学校で十%、中学校で四十%を近現代史の授業に当てており、近現代史を重視した学習計画を立て授業に取り組んでおります。

 戦後六十年が経過し、国際化が進展している現代においては、我が国の歴史に対する理解と我が国への愛情を深めるとともに、世界の国の歴史を学び、異文化を理解し国際協調の精神を養うことが一層重要になってきております。

 特に、島根県は日本海を介して北東アジアに隣接しており、今後とも歴史教育を通じて、島根の子どもたちに近隣諸国の歴史を理解し、友好関係を確かなものにしていく力を育んでいくことが、重要であります。

【参考】(答)知事〈政策企画局〉

2.次に、私の戦後の歴史認識についてであります。

 我が国は、二十世紀初頭の激動する国際情勢の中で戦争への道を歩み、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与え、世界で唯一の原爆被爆を経て敗戦を迎えました。戦後、我が国は世界平和を希求する国家として再出発し、廃墟の中から目覚ましい発展を遂げてきました。

 このような我が国の歴史を顧みるとき、現在の平和と繁栄は、多くの人々の犠牲の上に築かれたものであることに思いを致しますとともに、平和を愛する国家として、国際協調に力を尽くしていかなければならないと考えます。

 また、近・現代の歴史については、様々な評価があります。私は、歴史的な事実を正しく検証した上で、一人ひとりが、様々な考えや思いを持ち、相手の主張は主張として認め合いながら、現在そして未来に向けて、より望ましい道を志向することが歴史を学ぶ大きな意義であると考えております。

 戦後六十年、改めて先人が歩んできた歴史を正しく認識し、後世に伝えていくとともに、国においては、平和国家として歩み続ける我が国の姿勢を理解してもらうための外交努力を切に望むものであります。本県も国際交流と協力を通して、相互理解と友好関係をつくり上げ、世界の平和と繁栄の一翼を担いたいと考えております。

 未来への道は、自らが歩を進めて拓くものであります。島根の明るい将来を次の世代に約束すべく、全力を傾注してまいります。


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