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高見議員

(問)学力向上の取り組みについて

1.算数を重点的に強化する現在の方針について、見直す考えはないか、伺う。

2.算数の授業改善推進校における授業改善の取り組みの成果と課題について伺う。

3.家庭学習状況の改善について、宿題の出し方について教員の間で共通理解を図りつつ、保護者の協力も得て取り組むべきだと考えるが、所見を伺う。

4.習熟の遅い子どもに対するフォロー体制について、現状と課題を伺う。

 

(答)教育長

1.4点のご質問にお答えをいたします。

 まず、算数を重点的に強化する方針の見直しについてであります。

 平成27年度から算数授業改善事業を行っておりますが、当初は、議員ご指摘のとおり、全国学力・学習状況調査の算数の平均正答率が全国平均に比べて低い結果が続いている、そのような状態を改善しようという目的意識のもとで、算数を強化する取組として着手いたしました。

 一方、平成28年度に入りまして、授業改善推進校を指定し、実際に現場の取組を進めるに際しまして、改めて事業の目的について議論し直したところ、単に算数の平均正答率を上昇させることを目的とするのではなく、全教科にわたる授業改善を進めるため、その導入時期において、まず算数という教科から始めるという位置づけに変更いたしました。

 これは、算数は、つまずいたらその先に進むことができにくい特性があり、さらに、改善の成果が測定しやすい教科であることを考慮したものであります。

 「勉強が好きだ」という児童を増やすことが、学力につながるという仮説を立て、このことを検証する試みとして、算数授業改善事業を進めております。

 したがいまして、議員からご指摘のございました方針の見直しについては、県教育委員会としても同じ見解のもとで、平成28年度から考え方を改めたところであります。

 

2.次に、授業改善推進校の取組の成果と課題についてお答えします。

 平成27年度に、5カ所あります教育事務所管内の代表校として、推進校8校と授業リーダー教員8名を指定し、平成28年度はその授業リーダー教員が、県内外での研修に参加し、公開授業を行っております。

 今年度はその授業リーダーの取組を指定校の校内全体に広めつつあり、校内の他の教員も公開授業を行うこととしております。

 推進校からの聞き取りによりますと、「対話を重視し伝え合う授業が盛んになった」、「全員が参加できるような授業の組み立てが増え、子どもたちの授業への参加意欲が高まった」という報告を受けております。

 一方、全国学力・学習状況調査における児童質問紙の「算数の勉強が好きだ」「算数の授業はよくわかる」という問いに対して、肯定的な回答をした子どもの割合が、昨年度に比べて上昇した学校はまだ半数にとどまっております。

 これは、推進校の校内全体の取組に未だ広がっていないという現状を反映したものと捉えております。

 今後は、授業リーダーの取組をその学校全体に広げるために、リーダー教員以外も積極的に公開授業を行う取組を進めてもらうこととしております。

 一方で、この取組を他の学校にも広げていく必要があり、具体的な実践例を公開授業の場だけでなく、DVDにして配付することも考えております。

 このように、授業改善事業の取組はまだ緒についたばかりの状態であり、現状では仮説を検証するまでにはいたっておりません。

 

3.次に、家庭学習の改善についてお答えをいたします。

 家庭学習については以前から課題がありまして、これまでも教育委員会からの広報紙の中で、家庭学習の時間を増やすようなよい事例を紹介したり、市町村教育委員会の担当者と意見交換をしながら、学校への働きかけを行ってきております。

 今年度の全国学力・学習状況調査の結果を見ますと、児童質問紙の「家庭で計画的に学習したり授業の復習をする」など、家庭学習に取り組もうとする児童の意識面の改善の傾向が見られるようになりました。一方、学校質問紙では、「保護者に対して児童生徒の家庭学習を促すような働きかけを行っている」あるいは、「家庭学習の取組として、調べたり文章を書いてくる宿題を与えている」これらの取組がまだ十分ではないという状況があります。

 家庭学習の質と量を高めていくためには、授業と家庭学習とを、連動・一体化させるようなやり方、具体的には、例えば授業と関連して調べ学習や文章を書く課題を与えるなど、課題の提示の仕方を工夫する必要があると考えております。

 議員からご指摘がございましたように、各学校において、「主体的・対話的で深い学び」の視点による授業改善を進めるとともに、宿題の重要性をよく理解し、保護者の協力も得ながら、共通認識をもって取り組んでもらいたいと考えております。

 

4.最後に、習熟の遅い子どもへの支援についてお答えをいたします。

 本県では、昨年度で小学校1年生から中学校3年生まで、すべての学年で35人学級が実現をいたしました。この他、特別な支援が必要な児童に対しては、にこにこサポート事業による非常勤講師の配置や通級指導などを実施しており、児童生徒一人一人を丁寧に、きめ細かく指導支援するという、個の支援を重視する教育を進めてきております。

 さらに、児童生徒の習熟度に沿った少人数指導等を進めるためには、国による加配定数を用いて、小学校で64校に115人、中学校で56校に107人の教員を加配しております。

 このように県単定数や国の加配定数等により、教員配置を充実してきたことが、教員が一人一人の児童生徒に対してきめ細かく指導支援できることにつながっております。

 こうした中で、島根の先生方は、やはり習熟の遅い子どもを特に意識しながら、一人一人を大切に指導していただいておりますが、このことが上位層を伸ばしきれていないという課題につながっている面もあるのではないかと考えております。

 一方、習熟の差に応じた学習支援の取組は、学校教育だけでなく、いわゆる公設塾や公民館における学習支援など、行政の絡んだ社会教育の力で補完されている状況もございます。

 また、教員配置の充実だけでなく、授業改善を図る中で、子ども同士が教えあったり考えを出し合ったりすることが、個々の児童生徒の学びを進めることにもつながる面があり、今後、各学校が次期学習指導要領に記載されております「主体的・対話的で深い学び」の視点による授業改善を進める中で、子ども同士の学びあいが進み、それが習熟の遅い子どもに対する支援につながっていくことも期待されると考えております。

 このように、充実した教員配置のもとで、授業改善を進めていく着実な取組こそが、子ども一人一人の力を最大限伸ばしていくことにつながるのではないかと考えております。

 「授業改善にぶれずに取り組むことが何より重要」との議員のご指摘と同じ考え方を私も持っております。以上でございます。

 


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