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須山議員

(問)教育の魅力化について

1.改めて島根県の目指す教育の魅力化とはどのようなものか、教育長の思いを伺う。

2.平成23年度から実施している「離島・中山間地域の高校魅力化・活性化事業」の成果と課題について伺う。

3.高校魅力化活動費交付金の対象校は、これまでの8校から23校に拡充されると考えるが、所見を伺う。

4.これまでの事業では、魅力化コーディネーターの配置が実施要件とされ、人件費の増となる市町村にとっては大きな負担と考えられるが、これまでの魅力化コーディネーターがどう配置されてきたのか、また、今後はコーディネーター配置を実施要件とするのか伺う。

5.来年度新規事業の「教育魅力化」推進事業の概要について伺う。

6.高校と小中学校の校種を越え、教育魅力化を一体的に実施していくためには市町村への働きかけが重要と感じるが、県の取り組みについて伺う。

7.統括プロデューサーについて、高校魅力化・活性化事業で配置している魅力化コーディネーターとの役割の違いを踏まえ、その配置の目的を伺う。

8.市町村を交付対象としている教育魅力化支援交付金は、既存事業との棲み分けが曖昧で、交付目的を明確にする必要があると考えるが、所見を伺う。

9.県立高校の寄宿舎に入っている生徒数と、民間の下宿に入っている生徒数について伺う。また、それぞれの平均的な一か月の費用について伺う。

10.県立高校の寄宿舎と民間の下宿費用の差額を地元自治体と県とで折半で助成するスキームを創設してはどうかと考えるが、所見を伺う。

11.高校の魅力化に取り組み、入学希望者が増えた場合に受け入れることができるよう、入学定員の弾力的な運用も含め、何らかの対応が必要と考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.「教育の魅力化」とは、次代を担う若い世代の人たちに、島根が魅力ある地域であることを実感してもらい、移住・定住の地として選択してもらうために、島根の教育をより一層魅力あるものに高めていこうというものであります。

 そのためには、島根で育つ子どもたち一人ひとりにとって魅力的な教育とはどのようなものか、そして教育に関するどのような取組を進めることが「地域の魅力」につながっていくのかといった論点について、それぞれの地域においてよく議論していただきたいと思っております。

 また、「教育の魅力化」とは、ないものを取って付けるような全く新たな活動を唐突に導入するようなことではなく、むしろ今ある島根らしい教育の魅力をより一層充実するような方向性のものでないかとこのように考えております。

 こうした基本的な考え方のもとで、「しまねに定着、回帰・流入する人の流れ」をつくるという「総合戦略」の基本目標に貢献していくことが、「教育の魅力化」の目指すものと考えております。

 

2.高校魅力化・活性化事業の対象になりました8つの県立高校でありますが、地元町村と危機感を共有しながら、平成23年度以降6年間にわたりまして、高校の魅力発信、地域課題学習、地域の方々との交流など取り組んできておられます。

 また、地元の町村におかれては、公設塾の設置、寄宿舎の増設、スクールバスによる交通手段の確保、部活動の支援など、多大の貢献をしていただき、その結果、魅力的な学校づくりが進んでまいりました。

 地元中学校からの進学率の向上や、「しまね留学」による県外入学者の増加を通じまして、学級数を維持するなど、地域の教育力を確保するという面でも成果がでてきております。

 一方、島根らしい教育をより一層充実していく上で、高校段階の3年間の取組だけでは、子どもの力を十分引き出すことが難しいといった点が、8校に共通した課題として浮かび上がっておりまして、幼稚園・保育所、小学校、中学校、高校、特別支援学校を貫いて、一体的・系統的な取組に発展させなければ、本物の魅力につながらないのではないか、との現場の声を聞いております。

 

3.これまでの成果を踏まえまして、今後、中山間地域・離島の意欲ある市町村とともに、高校魅力化の対象となる県立高校を、順次拡大していきたいと考えております。

 高校魅力化の事業スキームは、高校と地元市町村、地域の方々などで協議会を組織していただきまして、その活動に対して交付金による財政支援を行うというものであります。従いまして、地域を挙げて高校を支えようという熱意が大前提となっております。

 中山間地域・離島の市町村と話し合いを重ねる中で、熟度が高まった地域から、順次、対象を拡大していくことになると想定しております。

 現在はまだ、市町村との話し合いが途上にありますので、何校まで拡大できるのか、現時点で確たる見通しを述べることは難しいと思っております。

 

(再質問)高校魅力化活動費交付金の適用の可能性がある学校は23校でよろしいか、伺う。

 

 仮定をおいた上でですね、可能性の数字を述べるということは、現時点では必ずしも適切ではなかろうと思っております。

 

4.これまでは、事業の交付要件の一つといたしまして、対象高校に魅力化コーディネーターを配置していただくことをお願いしてまいりました。

 平成23年度に事業開始した当初は要件としておりませんでしたが、平成26年度に再検討した際、新たに要件に加えたものであります。

 現在、8つの高校には、合わせまして19名の魅力化コーディネーターを配置していただいております。その配置方法は様々でありまして、例えば、町の職員が兼務しておられたり、地域おこし協力隊や集落支援員の職務の一環としてコーディネーターを担当していただいたり、様々でございます。

 魅力化コーディネーターの配置を引き続き要件とするかどうかにつきましては、今後、市町村のご意見をよく聞いて、検討したいと考えております。

 

5.「教育魅力化推進事業」は、三本の柱で構成をしております。

 まず、高校魅力化の取組を、中山間地域・離島の意欲ある市町村とともに、順次拡大していくものでありまして、これは、学校、市町村、地域の方々などで構成される協議会に対しまして、「高校魅力化活動費交付金」を交付しようとするものであります。

 二つ目は、中山間地域・離島の高校魅力化に取り組む市町村が、小中学校から高校・特別支援学校までを貫いて一体的・系統的に「教育の魅力化」を進めようとする場合、そのソフト事業に対しまして「教育魅力化支援交付金」を交付しようとするものであります。

 三つ目は、ふるさと教育について、これについては、全ての公立小中学校で継続的に取り組んでいくことが重要との考え方から、中山間地域・離島であるかどうかにかかわらず、県が引き続き支援をしたいと考えているものであります。

 

6.ご指摘の通り「教育の魅力化」は、県と市町村が連携して取り組むことが重要であると考えております。昨年の9月定例会以降、県としての「教育の魅力化」の基本的な考え方を市町村に説明をし、意見交換を重ねてまいりました。9月、10月、11月には、全市町村との意見交換の機会を設けまして、その後、個別の相談にも入っております。

 現在、県議会で予算案をご審議いただいておりますし、また、市町村の議会はこれから開会されてまいります。

 従いまして、本格的な市町村との協議・調整は、それぞれの議会を経てから進んでいくことになると思います。

 今後、市町村とよく話し合った上で、連携して「教育の魅力化」を進めてまいります。

 

7.この度の「教育魅力化」推進事業の中で、市町村が配置する「統括プロデューサー」について、人件費などへの財政支援を予定をしているところであります。

 「統括プロデューサー」は、小中学校から高校・特別支援学校までを貫いて一体的・系統的に「教育の魅力化」を進めようとする際、複数の校種の間や、学校と地域との間の総合的な調整を担ってもらう、このほか、地域の「教育の魅力化」の機運を醸成する役割も期待しているものでございます。

 これに対しまして従来の「魅力化コーディネーター」は、配置されている高校を中心に、具体的な教育活動などを調整するということを役割としております。

 このように両者は、活動の範囲や役割が異なるものでございます。「統括プロデューサー」を配置する市町村においては、両者の連携を通じまして、高校の魅力化を校種を貫いた「教育の魅力化」へと発展させていくことを期待するものであります。

 

8.「教育の魅力化」の具体的な取組内容につきましては、今後、学校と市町村、地域の方々などで構成されます「教育魅力化協議会」、仮称でありますが、そのような場でよく検討された上で、企画立案・実施されていくものでありまして、それは「金太郎飴」のようなものにはならないと考えております。

 このため、特定の取組だけを支援対象とするメニュー型補助金とするのではなく、それぞれの地域の創意工夫を尊重し、目的や期待される効果に着目して、幅広い取組を包括的に支援することができる交付金としたところであります。

 なお、既存事業との棲み分けに関しましては、小中学校等におけるソフト事業を県による財政支援の対象としておりますのは、各小中学校に一律7万円を配分しております「ふるさと教育推進交付金」などに限られておりまして、従いまして、既存事業との棲み分けという論点は、今後、市町村が交付対象となる取組を検討する上で、実態上、問題にはならないと考えております。

 

(再質問)地元で設置されている協議会において、「教育魅力化」に寄与すると考えられ、提案されたものについては、基本的には全て交付対象とするという、かなり自由度の高い交付金と考えられるが、そうでよいか伺う。

 

 自由度の高い交付金にしたいと考えておりますが、ただ、目的や期待される効果については、十分に意見交換をさせていただきたいと、そのように考えております。

 

9.県立高校の寄宿舎に入っている生徒数は、平成28年5月1日現在で857名であります。下宿生数はアパートに入居している生徒も含めまして84名であります。

 また、平均的な一か月の食事付きの費用としては、寄宿舎は約3万8千円、下宿は約6万円となっております。

 

10.下宿やアパートに対する家賃助成の是非につきましては、「教育の魅力化」を進めていく中で、今後の検討課題になりうると考えています。

 一方、平成28年度、下宿生・アパート生が在籍する高校は14校にのぼりますが、その中には魅力化の対象校やそうでない高校が混在しております。地元市町村の県立高校に対するスタンスも実はまちまちでございます。

 従って、今後、下宿生・アパート生への経済支援の是非を検討しようとする際には、高校の置かれた状況によって様々なケースが想定されますので、検討の主体をどうするかや、検討の進め方などの面においても、県内の高校生に不公平感が生じることのないよう、十分な配慮のもとで、丁寧な検討が求められると考えております。

 

11.県立高校の入学定員については、地域毎の中学校卒業者数や志願者数の状況などをもとに設定しております。

 志願者増への対応については、例えば、かつて隠岐島前高校がそうでありましたように、県外からの入学希望も含めまして、志願者数が入学定員を超えるような状況が続くと見込まれる場合には、たとえ地域の中学校卒業生数が増加に転じないような状況でありましても、入学定員を増やすという対応はあり得ると考えております。そういった意味での弾力的運用は、今後も考えていきたいと思っております。

 


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