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遠藤議員

(問)アレルギー対策について

1.学校でのアレルギー対策及び教職員などに対する研修機会の確保について伺う。

(問)通級指導教室の拡充について

2.通級指導教室の現在の教員配置状況と今後の配置の考え方を伺う。

(問)調べる学習コンクールについて

3.本県での調べる学習コンクールへの参加状況を伺う。

4.プレゼンテーションコンテストの評価と調べる学習コンクールに取り組むことについて、所見を伺う。

(問)公立学校の普通教室へのエアコン設置促進について

5.本県の小中高等学校・特別支援学校の普通教室のエアコン設置状況を私立と公立に分けて伺う。

6.高知県立高校では、PTAが普通教室に設置したエアコンのリース料は県負担とし、未設置校は県が整備することになったが、本県においても年次計画を立て、県で設置を進めるべきと考えるが、所見を伺う。

7.文科省の交付金が使いにくいことから市町村でのエアコン設置が進まないのであり、県として補助制度を整えるべきと考えるが、見解を伺う。

(問)学校の魅力化について

8.県立高校の魅力化については、全県で取り組むべきと考えるが、中山間地域・離島に限定した理由を伺う。

9.教員は高校の魅力化事業のない松江市・出雲市に異動することでモチベーションが下がり、底上げの支障となることを危惧するが、対応を伺う。

10.人口の多い松江市・出雲市の地域や学校・高校生の意識を変えることが重要と考えるが、高校の魅力化事業を全県に広げていく時期はいつ頃を想定しているのか伺う。

11.学校魅力化プラットフォームとの今後の連携について伺う。

 

(答)教育長

1.大きく5項目、11点のご質問にお答えをいたします。まず、学校でのアレルギー対策と教職員に対する研修についてであります。

 教育委員会では、各県立学校及び市町村教育委員会に対しまして、国が策定した「学校のアレルギー疾患に対する取組ガイドライン」の活用を推奨しております。特に個別の配慮事項などをまとめた「学校生活管理指導表」に基づく対応を促しております。

 また、県独自の「島根県食物アレルギー対応ハンドブック」を作成いたしまして、学校での積極的な活用を薦めております。このハンドブックの内容については、専門医、教職員、消防、福祉部局の職員などで構成します「島根県アレルギー対策連絡協議会」での検討を踏まえとりまとめたものであります。

 一方、各学校におきましては、アレルギーを起こす食品を誤って食べないように、例えば、給食の時間に献立表を本人と一緒に確かめながら盛り付けたり、複数の先生で確認したりするなどの取組を行っております。その際、友達の理解や協力を得ることも大切にしております。

 また、県教育委員会では、養護教諭や栄養教諭を対象といたしまして、アレルギー疾患への対応に関する研修を行ってきております。

 これを受け、各学校では、教職員が練習用のエピペンを使って正しく打てるよう実習をしたり、消防署の協力を得て緊急時の役割分担や動きを体験したりする研修を行っている例もございます。

 今後も研修内容の充実を図り、危機管理の意識を高めていきたいと考えております。

 

2.次に通級指導を担当する教員の配置状況と今後の配置の考え方についてお答えをいたします。

 現在、通級指導教室は、県内18の市町の53の学校で開設をいたしまして、合計87名の教員を配置をしております。その内訳でありますが、小学校が30校に55名、中学校が21校に28名、そして、ろう学校2校に4名となっており、ここ5年で13名増員をしてきております。

 議員からご指摘がありましたが、これまで通級指導担当教員は、国の加配定数として各都道府県・政令市に配分されておりましたが、今後は、対象の児童生徒数に応じて決まる基礎定数へと、段階的に移行することになりました。

 この基礎定数への移行は、全国的に発達障がいのある児童生徒が急増しているという状況を踏まえますと、中期的展望に立った計画的配置が可能になるという意味で有意義であります。

 しかしながら、全国に先駆けて通級指導に取り組み、児童生徒数の割には多くの加配数を獲得してきた本県にとりましては、やや不安もございます。

 このため、本県のこれまでの実績や、中山間地域・離島では都市部と比較して巡回指導にも多くの時間を要することなどにつきまして、引き続き国に強く訴えていきたいと考えております。また、教員配置につきましては、今後とも全県的視野に立ち、地域バランスの良い配置に努めたいと考えております。

 

3.次に「図書館を使った調べる学習コンクール」についてお答えをいたします。

 公益財団法人図書館振興財団が主催されております「図書館を使った調べる学習コンクール」は、子どもから大人までを対象に、図書館を活用した「調べる学習」と体験や創作などを結びつけた実践的研究に取り組むことをねらった全国コンクールであります。

 県内の様子をお答えいたしますと、浜田市では、この全国コンクールへの出品のため、市内の小学生・中学生を対象とした「浜田市図書館を使った調べる学習コンクール」を開催されており、今年度は1,499点の応募の中から、189点を全国コンクールに推薦されたと、このように聞いております。

 ただ、県内の他の市町村では、地域コンクールを実施されているところはなく、個人で全国コンクールに応募をされておりまして、今年度の応募件数は2点でありました。例年、同程度の数であると承知しております。

 この全国コンクールへの参加については、市町村教育委員会あるいは学校の判断により取り組まれておるものでありまして、県から全学校に対して一律に参加を求めるような性格のものではないと考えております。

 

4.次に県独自の「プレゼンテーションコンテスト」についてお答えをいたします。

 先ほど申しあげました、全国の「図書館を使った調べる学習コンクール」とは別に、島根県では独自に、平成24年度から、子どもたちが調べてみたい課題を設定し、図書資料等を活用して調べたことをわかりやすくまとめ、自分の考えを発表することで、情報活用能力を高めようと、このようなことを目的としました「しまね調べ学習プレゼンテーションコンテスト」を、小学生・中学生・高校生を対象に実施してきました。

 今年度の参加者は、小、中、高校合わせまして、合計18名で、これまでも30名を超えることはなく、開催時期を見直すなどして参加者数が増えるよう努力はしてまいりましたが、現状、事業効果を十分に発揮しているとは言いがたい厳しい状況にございます。このため、平成29年度はこの事業を実施しない方向で検討しております。

 一方、島根県内の各学校におきましては、子どもたちが学校図書館の図書資料等を活用して、調べ、考える学習、すなわち「学校図書館活用教育」を推進してきております。その学習の成果を、文化祭や地域でのフェスティバルなどで発表する機会も多くなってきておりまして、子どもたちは、大勢の人の前でプレゼンテーションできるようになるなど、情報収集と発信力の両面において成果が見られます。

 プレゼンテーションは、学校で取り組まれる言語活動の一形態でありますが、この言語活動で培われる力は、「生きる力」を構成する重要な要素であります知的活動、論理や思考、コミュニケーション、感性・情緒等の基盤となるものと考えております。このため、言語活動の充実については、次期学習指導要領でも、引き続き国語科を要として各教科等で重視することとされたところであります。

 このように、「学校図書館活用教育」は、読書活動だけでなく、言語活動の充実にも寄与するものでありまして、「主体的・対話的で深い学び」いわゆるアクティブラーニングを先取りしたような、特色ある教育活動であると考えております。

 従って県としては、今後も、「学校図書館活用教育」の推進に努め、児童生徒の学習の基盤となる言語能力、情報活用力、問題発見解決力等の育成を図っていこうと考えております。

 

5.次に、小学校・中学校・高校・特別支援学校の普通教室のエアコン設置状況につきまして、公立と私立別に、平成28年4月1日現在の状況をお答えをいたします。

 まず、公立学校につきましては、市町村立の小学校が13.4%、中学校が28.1%、松江市立女子高校は100%。

 次に県立でありますが、県立高校が88%、県立特別支援学校が98.3%であります。

 そして、私立学校につきましては、中学校が100%、高校が95.4%であります。

 

6.次に、県立高校の普通教室のエアコン設置についての費用負担に関するご質問にお答えをいたします。

 全国の状況をみますと、県立高校の普通教室のエアコン設置につきましては、そもそも設置していない北海道を除く46都府県でみますと、公費負担としているところが10県、私費負担としているところが10県、公費負担と私費負担が混在しているところが26県あります。

 全国的にもこの問題に苦慮してきている実態がございまして、現状もまちまちの対応となっております。

 このうち、島根県は、公費負担と私費負担が混在しておりまして、県立高校の普通教室の88%にエアコンが設置されている状況でございます。

 なお、県内で公費負担によりエアコンを設置しているのは、宍道高校と浜田高校の定時制・通信制のみであります。これは、全日制と比べまして夜間などに学習する生徒が、暑くても虫が飛び込んでくるために窓を開けることができないといった特有の学習環境を考慮したものであります。

 このように、これまで県立高校では、宍道高校等の特殊な事例を除きまして、保護者のみなさまのご理解を得ながら、エアコン設置を進めてきたところであり、未設置の残る12%の普通教室を公費負担に変更するためには、次のような検討課題があるのではないかと考えております。

 一つは、残る12パーセントの普通教室のみを公費負担とするのであれば、保護者負担で設置・管理してきた学校とのバランス面で問題が生じかねないのではないか。

 二つ目は、既設の88%の普通教室も含めて、全てを公費負担に切り換えるとすれば、600箇所を超える普通教室のエアコンを将来にわたって県の一般財源で設置・更新・管理していくことになりますが、そのような財源負担が可能かどうか。

 この問題につきまして、私どもも議員ご指摘のような課題意識を持ってはおりますが、今述べましたような検討課題もございますので、今後、学校側の事情や意見も聞きながら、丁寧に検討していくことが求められると考えております。

 

7.次に、市町村に対するエアコン設置の助成についてのご質問にお答えいたします。

 議員からもご指摘ございました文部科学省の学校施設整備改善交付金のメニューにある公立小中学校等のエアコン設置に対する補助につきましては、補助対象の下限が一校あたり400万円とされておりまして、この下限は市町村からすればかなりハードルが高いこと、また、国の予算が限られる中、耐震改修や学校統合等の特定の課題への対応などが優先されるため、補助採択を受けにくいこと。こうした点で、市町村としては活用しづらい状況にございます。

 従って県としては、これまで文部科学省に対し、学校施設整備予算の確保や補助要件の緩和等につきまして要望を行ってまいりました。

 小・中学校の施設・設備の整備につきましては、耐震改修や、学校統合に伴う新築・改築、老朽化に伴う大規模改修なども含め、県としては、市町村に対する財政支援は行っておりません。学校設置者である市町村の責任と負担で対応してきたものであります。エアコンに限ってこの原則から外れることは、県と市町村との間の財政秩序の観点からも難しいのではないかと考えております。

 

8.次に、教育の魅力化についてお答えをいたします。まず、県立高校の魅力化の対象についてであります。

 県立高校の魅力化については、中山間地域・離島において「地域の拠点としての学校を地域が協力して支える」という考え方を持つ町村と県立高校が協働いたしまして、8つの高校で取り組んできたところであり、県外からの入学生の増加、学校と地域との交流、学校・地域の活性化など、様々な成果を生み出してきております。

 こうした成果を踏まえ、今後は、中山間地域・離島の意欲ある市町村とともに、高校魅力化に取り組む対象高校を順次拡大していきたいと考えております。

 対象となる高校の考え方につきましては、9月定例会や11月定例会の質問戦や委員会の審議でご議論いただいたところであり、その後、県議会での議論も踏まえまして、「小さな拠点づくり」の一環として、中山間地域・離島における教育機能をいかにして確保するか。中山間地域・離島における移住・定住対策を進めるため「教育の魅力化」はどうあればよいか。

 このような課題意識のもとで制度設計を進めてきたところでありまして、このたび、先に述べた対象の考え方に基づき、予算案をご提案しているものであります。

 なお、この考え方につきましては、一昨年策定した県の「総合戦略」や、昨年策定した「中山間地域活性化計画」に記述された内容と整合がとれております。

 

9、10.次に、「教育の魅力化」を県内全域に広げていくことについての2点のご質問にまとめてお答えをいたします。

 このたびの予算案の中で提案しております「教育魅力化推進事業」1億4千7百万円余は、「小さな拠点づくり」の一環として、中山間地域・離島の移住・定住対策を進めるための特別な財政支援スキームとして制度設計したものであります。

 一方、島根らしい教育の魅力をより一層充実していき、若い世代の人たちに島根が魅力ある地域であることを実感してもらおうという「教育の魅力化」の基本的な考え方は、ある意味では、教育の理念や運動論のようなものでもあり、このような側面については、個別の予算事業の適用の如何に関わらず、できるだけ多くの方々の共感を得ることができるよう願っております。

 理念や運動論としての「教育の魅力化」に共感をいただきまして、学校の教育活動全体の質の向上を図り、児童・生徒の地域理解や地域への貢献意欲を育もうとすれば、例えば、次のような方法論も考えられます。

 国の予算事業を活用し、スーパーサイエンスハイスクールやスーパーグローバルハイスクールなどの特色ある教育活動に積極的に取り組んでいくこと。

専門高校で取り組む「課題研究」での学びの質を更に高めるため、地域の先進的な技術に触れたり、優れた外部人材から指導を受ける機会を増やすなどして、その充実を図っていくこと。

 また、現在推進しております算数プロジェクトや次期学習指導要領の柱となります「主体的・対話的で深い学び」いわゆるアクティブラーニングでありますが、これらが「教育の魅力化」と同じ方向性を持つものであることを正しく理解して、「チーム学校」としての組織的な授業改善に取り組んでいくこと。こういったこともあげられます。

 従いまして、理念や運動論としての「教育の魅力化」が目指す大きな方向性については、学校の先生方や社会教育の実践者など、教育に関わる幅広い関係者のご理解とご協力を得られるよう、様々な機会を通じて、メッセージを広く発信していきたいと思っております。

 その際、具体的な財政支援スキームである「教育魅力化推進事業」の適用の問題と、理念・運動論としての「教育の魅力化」の大きな方向性について、現場で誤解や混乱が生じることがないよう、丁寧に説明を行っていく必要があると、このように考えております。

 

11.最後に、「学校魅力化プラットフォーム」との連携についてお答えをいたします。

 2月定例会の初日に文教厚生委員会が「学校魅力化プラットフォーム」の関係者を招請され、ヒアリングが行われました。

 当日、「学校魅力化プラットフォーム」からは、「教育の魅力化」に向けた課題意識や基本理念などが表明され、出席議員との間で活発な意見交換が行われたところでございます。

 「学校魅力化プラットフォーム」は、今後、この課題意識や基本理念に基づき、具体的な取り組み内容について企画立案を進めていく予定であると、このように伺っております。

 従いまして、現段階で具体的にどのような連携を図っていくのかということは、まだ見えてはおりませんが、目指す方向性は同様であると考えておりまして、「教育魅力化推進事業」の実施にあたりましても、また、理念・運動論としての「教育の魅力化」の大きな方向性を発信していくにあたりましても、可能な限り、「学校魅力化プラットフォーム」と連携を図っていきたいと考えております。以上であります。

 

(再質問)高校のエアコン設置について、PTAの声が県民の要望であると受け止めるか伺う。また、PTAによる高校普通教室へのエアコン設置は本来あるべき姿なのか、知事の考えを伺う。

 

(答)知事

 お答えします。2点あったわけですけども、父兄の側のお考えというのも、それは検討に値すると思いますね。

 それは2番目の財政の問題とも絡むわけでありますけれども、それから、これまでのいろいろな学校に対するいろいろな助成と申しますか、サポートを、父兄の方々、地域の方々がいろんな面で、高校に限らずやってきて、そこら辺の問題は長年ある問題だろうと思うんですね。

 地球の温暖化が進んだりして、状況が変わっているという事情も或いはあるかもしれませんし、いろんな要素がありますので、よく検討させていただきたいと思います。

 それとの関連で、やはり財政の方も、公平でなければならないとか、或いは財政全体の中で判断をしなきゃいけないとか、これは教育委員会で考えることでもありますが、県全体として私も考えなければいけない課題だと思います。

 今すぐにこの場で結論めいたことはできませんが、ご指摘を頭に入れてよく検討してまいりたいというふうに考えております。

 


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