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園山議員(自民)

(問)学校教育について

1.義務と責任を果たせない子供に大人と同じレベルの権利が与えられるわけはなく、様々な保護がされている子供と大人は大きく違うと考えるが、所見を伺う。

2.学校においては、まず、児童・生徒は教師の指導に従う、という基本的なルールを確認する必要があるのではないか、所見を伺う。

3.公立中学校の生徒がいじめで自殺するのは、義務教育によって退学の自由がなく、また相手の生徒を退学させることもできず、いじめが未来永劫続くように感じられるからである。義務教育現場での問題事案に対する対応に不足するものがあるのではないか、伺う。

4.高校の部活動で自殺が起こるのは、退部できないような強力な何かが働いているからではないのか、生徒を精神的な監禁状態に置く状況こそ不適切な指導が継続される可能性を大きくさせているのであり、その原因を究明しなければ、問題の本質を見誤ると思うが、所見を伺う。

5.学校や教師間でもっと情報の共有が必要だと考えるが、勤務時間内での対応は不可能ではないか、伺う。

6.児童・生徒や教師の授業、課外活動、部活動などを常に複数の教職員が情報を共有することにより不適切事案の防止等が可能であるが、学校や教師への支援についてどのように考えるか、伺う。

7.教師の有給休暇の取得状況と残業時間の実態把握はどのようになっているか、伺う。

8.ふるまい向上運動に対する県民の認知度についてどのように把握しているか、伺う。

9.会津藩の「什の掟」を現代風にアレンジし、毎日の朝礼時に県内の全小学校で唱和してはどうか、伺う。

10.教師の懲戒権について改めて見解を伺う。

11.教師のモチベーションを低下させることなく、教職員が島根の教育に全身全霊を打ち込めるようにするためには、どのような支援が必要か、見解を伺う。

 

(答)教育委員長

1.2.まず、子どもの権利・義務と教師の指導についてお答えをさせていただきます。

 私は、大人であろうと、子どもであろうと、一人の人間としてその権利が尊重されるということが大前提であると考えます。

 その前提の上で、例えば、子どもには、参政権が制限されるとか、少年法の規定により成人に比べて一定の保護があるなど、いわゆる大人とは違う扱いとなっていると理解をいたしております。

 また、議員からありました「子どもの権利条約」においても、権利にあわせ、家庭や地域社会の一員としてルールを守って行動する義務があるとしております。

 さらに、この条約に関連いたしまして、文部科学省が通知を出しております。その中に意見を表明する権利などに対しまして「教育目的を達成するために必要な合理的な範囲内で児童生徒等に対し、指導や指示を行い、また校則を定めることができる」と示しております。

 私も、当然のことですが、その通りであると考えております。

 話が少し飛びますけれども、東日本大震災の被災地に島根県の中高生がたくさんボランティアとして行きました。被災地から帰ってきた彼らは、口々に「今、自分にできることを精いっぱいやりたい」「だれかの役に立ちたい」と言っておりました。

 明日の日本を作るのは、まさにこの子どもたちでありまして、その子どもたちを育てるのが学校の教師だと思っております。

 次の世代を育成するという、崇高な職務を一身に背負う教師には、ぜひとも自信と誇りを持って教育という職にまい進してほしいと考えております。

だからこそ、いつまでも自分を成長させていく努力が必要だというふうに考えております。

 

(答)教育長

3.4.私の方に大きく三点のご質問がございました。一点目が、不適切事案に関してのご質問でございます。その中の一点目が滋賀大阪の事案に関連してのお尋ねでございます。

 今回の滋賀のいじめ、大阪の部活におきます暴力、体罰の事案これらにつきましては、私どもも、実は報道されている範囲内の情報しか持ち合わせておりません。一般論での答弁になることをお断りいたしたいと思います。

 いずれにしましても今回のように生徒が追いつめられて、自殺にまで至るような事態になったといことは、あってはならないこととだと思っております。

 こうした事案につきましては、本来は関係者がそれぞれの事情、背景、原因、学校等の対応状況等検証いたして、今後の生徒指導等に生かしていくことが大切であると思っております。

 そして、深刻で重大な結果を招かないためには、何よりも、子どもが抱える課題にいかに早く気づき、手を差し伸べるかが大切だと思っております。

 そのためにも、学校、教員はもとより、家庭や地域社会とも十分に連携を図って対応していく必要があると考えております。

 なお、義務教育と高校では、懲戒できる内容が異なっているということは、御指摘のとおりでございます。今回の滋賀の事案につきましては、第三者によります調査委員会の検討報告が出されておりますが、その中で学校の対応について、学校がいじめを認識できたにも関わらず、救いの手を差し伸べなかったという学校の対応の不足が指摘をされております。繰り返しになりますが、これは義務教育、高校教育、通じまして問題の解決に向けまして早期に問題を発見し、適切に対応をしていく必要があると考えております。

 

5.6.それから次のご質問でございますが、教育現場で、そういった不適切な事案について、情報を共有していく必要があるのではないか、そしてそれに対する支援はどうかというご質問でございます。

 児童・生徒や、保護者の方々の考え方も多様化する今日でございます。県内の教育現場におきましては、教員は、学習指導、生徒指導、部活動などさまざまな指導面において多くの課題に直面しながら、一生懸命指導に当たっていると認識をいたしております。

 そうした中で、教師に自信と誇りを持って子供たちの指導に当たってもらうためには、何よりも、学校が組織として、統一した指導方針の下で、生徒指導に当たること、そして、管理職が教員との意思疎通を図り、教員間で情報や指導方針を共有していくということ、たいへん大切なことだというふうに思っております。

 このため、ご質問にございました、毎日の朝礼・終礼、あるいは毎月の職員会議、さらには、随時関係者での緊急会議等で情報の共有に努めております。さらに、定期的に校内での服務規律研修も行っているというふうに承知をいたしております。

 教育委員会といたしましては、先ほど委員長からも答弁いたしましたように、こうした学校、教員への支援をしっかりと行っていきたいというふうに考えております。私の方から具体的に申しあげますと、事案についての指導・助言、それから事例を掲載した研修資料の提供、また生徒指導への支援といたしまして、スクールカウンセラー等専門家の派遣、それから部活動における負担軽減のための外部指導者の派遣、また、教員のメンタル面での支援のための臨床心理士によります巡回相談等を行ってまいります。

 

7.これに関連しまして、教師の有給休暇と、残業時間の実態把握についてであります。

 教職員の年次有給休暇の取得状況でございますが、平成二十三年度、高校・特別支援学校では平均で年間十一日、それから小中学校では、十・六日というふうになっております。

 それから、勤務時間外、いわゆる残業時間の実態でございますが、県立学校につきましては、毎月教育委員会の方に報告を出すようにしております。ただ通常の職員の勤務時間外と違いまして、部活動中でありますとか、あるいは舎監でありますとか、いろいろな要素が入っておりますが、その報告によりますと、高校・特別支援学校で月百時間を超えるもの、いわゆる産業医の面接、これが必要な者でございますが、これが十一・八%を占めております。

 それから、小中学校につきましては、詳細なデータを私ども持ち合わせておりませんが、実態を聞きますと、特に部活動を担う中学校の教員においては、さきほど申しあげました高校の勤務と同様に、いろいろな課題を抱えた勤務実態にあるのではないかと考えております。

 

8.それから大きな二点目でございます。ふるまい向上運動の方針でございます。この運動でございますが、子どもたちに礼儀、作法、ルール、思いやり、規範意識、こういったものを身に付けてもらおうことを目的に三年前から始めた事業でございます。

 そういった観点から、学校教育や社会教育を主に担います学校や公民館等では、様々な取り組みが行われてきているところであります。ただ、ご指摘ございました一般県民への認知度という点では、まだまだ我々の調査でも十分ではないというふうに思っております。

 そういった中で来年度以降、県民の方々に、もっと関心を持っていただくように、さらに工夫をこらしながら取り組みを進めていきたいというふうに考えております。

 

9.その関連でご提案いただきました。

 ご提案いただきましたことにつきましては、大変おもしろいお考えであるというふうに思っております。

 現在、進めている運動の中で、横田町。これ「横田しぐさ七カ条」ということで取り組みをして学校のほうで取り組んでおります。それから飯石小学校では、「ふるまい向上二十カ条」、こういったものも取り組まれております。

 現在、こうしたことを含めまして、各学校でこの三年間取り組んできた内容、成果を整理しているところであります。

 それを踏まえまして、今後、全県的に子どもたちに取り組んでほしいこと、こういうことは整理できればいいなというふうに我々思っておりまして、今のご提案を受けましてどういう内容がよいのか、あるいは学校でどういう活用ができるのか、市町村教育委員会との協議も進めながら検討して参りたいというふうに思います。

 

10.大きい三点目でございます、教師の懲戒権についてでございます。

 改めて、懲戒権に係る法の規定を見ますと、学校教育法第十一条では、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、児童、生徒に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない」と規定をされております。

 この懲戒には、叱責や起立、居残りといった事実上の懲戒、それから退学や停学、訓告といった校長が行う処分がございます。

 いじめや体罰が社会的な問題となってきておりますので、そのこともありまして、教育委員間で教員の懲戒権も含めまして、生徒指導のあり方について、意見交換の場をもってまいりました。

 その中で出た主な意見としまして、まずどうしても体罰というものは容認されるものではない、当然でございますが、それからどこまでが懲戒として教育上必要な行為なのか、どこからが体罰かというのは、明確な境界線を引くことがなかなか難しいのではないかという意見、それから子どもたちや教員が委縮して指導に支障が生じるのを危惧するという意見、それから子ども、保護者、地域住民を含めた社会全体が一人一人の人間を大事にするという、人権教育がやはり大切である、こういった意見がございました。

 懲戒ですが、懲戒はそもそも児童生徒の自己教育力や規範意識の育成を期待してのものでございます。従いまして児童生徒の問題行動に対しては、教師は自信を持って、毅然として指導に当たってもらいたいというふうに考えております。

 ただ申し上げるまでもなく、さきほどの法律の規定にございますように、懲戒に当たっては、体罰があってはならず、教育者として愛情や使命感を持って児童生徒の指導を行い、また日頃から教員、児童生徒、保護者の間で信頼関係を築いておくことが必要であると思っております。

 県内では、現場の教員が、児童生徒のために懸命に努力をしていると承知をしております。今後も、管理職を中心に学校全体で問題に対応し、そうした教員の教育活動を支援していくことが大切であると考えております。以上であります。

 

(答)教育委員長

11.次に、教師への支援策のお尋ねがありました。

 私は、島根県の教師は、真摯に児童・生徒に向かい合い、日々、一生懸命指導に当たってもらっていると思いますし、信頼をいたしております。

 もちろん、暴力や体罰があってはなりませんが、教師は、引き続き毅然とした態度で、自信を持って指導にあたってもらいたいと思っております。

 校長は、学校運営の方針の下、リーダーシップを発揮するとともに教職員と十分に意思疎通を図りながら、学校運営にあたっていただきたいと思っております。

 そして、全教職員が共通認識を持ち、それぞれの得意分野で力を発揮でき、教師が指導に悩んだ時には、互いに相談しあい、保護者からも学校の考え方を理解していただけるような風通しの良い学校にしてもらいたいと思っております。

 今後も、教育委員が学校を訪問して現場の声を聞き、学校現場との連携を密にしながら教師と学校を支援していきたいと考えております。

 

 

 

 


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