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岩田議員(民主県民)

(問)いじめについて

1.県内のいじめの認知件数は、昨年が二百十二件、今年は四月から九月で二百六十五件となっているが、この現状をどう捉えているのか伺う。

 また、いじめが顕在化したのか、または純粋に増えているのか、認識を伺う。

2.いじめは昔から存在していたと考えているか、また、昔からあったという考えならば、今と昔で違いはあると認識しているのか、伺う。

3.いじめ問題について、県としてどのような対策を考えているのか、伺う。

4.いじめ問題について、学校現場以外での対策というのは考えているのか、伺う。

5.いじめの問題や体罰が報道等で取り上げられているが、多くの教員はまじめに向き合っているのではないか、それとも教員の質にも変化がみられるのか、伺う。

6.現代の教員の抱えるストレスが多いのではないかと考えるが、ストレスによる鬱などで休職している教員はどれくらいいるのか伺う。

7.長時間の労働や大きなプレッシャーの中で職務に当たる教員へのサポート体制はどうしていく考えか伺う。

8.教員を孤独にせず、多くの教員の持っている知識やノウハウをいつでも気軽に共有できるようなプラットホームが必要だと考えるが、教育委員会としての見解を伺う。

(答)教育長

1.今お尋ねのございました認知の件数ですが、これは文部科学省が昨年九月に全国の状況を受けまして緊急に行った調査に基づくものでございます。で、この増加した理由でございますが、そもそもいじめについては文部科学省で定義をしておりますが、なかなか具体的にどの行為がいじめにあたるかというのは、現場では判断が難しいことがらでございます。そうした中で、各学校ではいじめ問題への社会的な関心非常に高まっております。そういった中で、これまでたとえばいじめとしてカウントしていなかった行為。そういった行為についても幅広くいじめととらえて報告されたもの、というふうに承知をいたしております。したがいましてこれまで学校でいじめを放置していた、見過ごしてきたということではないというふうに理解をいたしております。

2.昔をいつととらえるかということと、昔の状況を私もつぶさに承知しておりませんのでなかなか単純な比較難しうございますが、先ほど申し上げたいじめの定義でございますが、具体的に申し上げますと文部科学省では、いじめとは、当該児童生徒が一定の人間関係のある者から心理的物理的な攻撃を受けたことにより精神的な苦痛を感じているもの、というような定義をしております。したがいまして先ほど申し上げました、なかなか判定が難しいというふうにしておりますが、そういう定義はともかくといたしまして、客観的な行為としては、おそらく昔からあったものというふうに考えております。ただ、生活環境あるいは価値観が変化する中で、こどもたちの間の精神的な関係も含めまして、関わり方が変化をしてきていると思います。それからまた、最近インターネットの普及によりまして、ネット上での誹謗中傷、こういったことも起きておりますので、いじめの実態は多様化してきているというふうに承知をしております。

3.まず、いじめを起こさないためには、そういった学校づくりが重要だというふうに思っておりますが、そのためにも、こどもたちには他人への理解や思いやり、規範意識、あるいは自己肯定感、こういったものを身につけてもらいたいと思っております。そのために、授業や学級活動はもとよりでありますが、これまで進めて参りましたふるまい向上プロジェクト、あるいは読書活動の推進、こういうものに今後とも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、いじめが発生した場合、この場合にも早期の発見と適切な対応が必要だというふうに思っておりまして、心理アンケートの実施でありますとか、ネットパトロールの実施、あるいは相談機能といたしまして、スクールカウンセラーの拡充、あるいは電話相談窓口の充実、あるいはスクールソーシャルワーカーの拡充、こういった対応を行って参りたいというふうに考えております。

4.議員おっしゃいましたように、いじめは学校現場だけではなくて、地域とか、あるいはその他の場面でも起こりうるというふうに思います。で、このいじめの問題ですが、やっぱりそもそも学校だけではなくて、家庭、地域、三者が一体となって取り組んでいく。それぞれ役割を果たしていただく、ということが大切だというふうに思っております。特に家庭の役割、大変重要だなというふうに思っております。で、保護者への具体的な働きかけですが、現在、いじめ発見のための家庭用チェックシートというのを作っております。で、これをもう少し、家庭のほうで活用していただく。あるいは、先ほど申し上げましたネットトラブル等、これも家庭でこどもたちが携帯等よく使いますので、こういったことに対する保護者に対する研修会。それから、保護者向けのいじめアンケート調査。こういうことも具体的にやっていきたいというふうに考えております。それから地域によりましては公民館で、こどもの通学合宿でありますとか、様々な体験活動、こどもが集団で活動する、こういった活動も各地域で取り組まれております。こういったことも、もっと積極的に取り組んでいただきたいなと思っております。

5.今、議員から大変心強いお言葉をいただきましたが、おっしゃるとおり教育に係ります課題は山積いたしておりますが、多くの教員はそれらに正面から向き合って、教職に対する情熱とか強い使命感を持ちまして子どもたちのために、一生懸命取り組んでもらっているというふうに承知をいたしております。

 質の変化というお話でございましたが、当然時代は変わっております。気質は変わってきていると思いますが、申し上げた一生懸命取り組むという姿勢は従来といささかも変わっていないというふうに思っております。

6.現在、精神疾患によります休職者数ですが、昨年度ですが、全校種で三十九人おります。これは全体教員数の0・五一%ということであります。ここ数年、この数字は横ばいで推移をいたしております。

7.こういった教員を支援していくということは我々も大切なことだと思っております。そのために管理職には、日常の声掛けでありますとか日常的な観察で職員の状況をしっかりと把握をし、できる限り個別の相談にも乗るなど、教職員が悩みや相談を打ち明けやすい風通しのよい職場環境づくり、それから一部の教職員に過重な負担がかからないように、組織として教育課題に対応することを要請をしているところであります。

 また、教育委員会といたしましても、スクールカウンセラー等専門家によります生徒指導の負担の軽減、あるいは部活動におきます負担軽減のための外部指導者の派遣、教職員のメンタル面での支援のための臨床心理士による巡回相談等を行っております。そしてなによりも教員が、自信と誇りをもちまして業務に推進することが重要だというふうに思っております。そのためにがんばった教員を表彰する制度、あるいは生徒たちの活動を表彰する制度、こうした制度を積極的に活用いたしまして広く県民の方々に教育の成果を広めていくと、こういったことも大切だというふうに思っております。

8.ご紹介いただきましたサイトを私もまだ承知しておりませんで、今後どういう形になるのか関心をもって見守っていきたいと思います。

 プラットホームという話がございましたが、それぞれの教員が孤独を感じない、ということは大変大切なことだと思っております。先程申し上げましたが、やはり基本は同じ学校の中で管理職、あるいは教員同士を含めまして情報や知識を共有していける、そういう学校づくりがやはり大事だなというふうに思っております。繰り返しになりますが、学校の中で教職員が悩みや相談を打ち明けやすい環境づくり、それから教員同士が相談をしたり、あるいは教科指導でお互いに磨き合います、そういった学校づくりに向けて管理職を中心に頑張ってもらいたいなというふうに思っております。

(問)ふるまい向上について

1.ふるまい向上プロジェクトが始まって三年目で、今年が最終年だが、これまでの成果と課題をどう認識しているか伺う。

2.子供たちに日常生活を含めたふるまい向上をしっかり身に着けてもらうためにどのように取り組んでいくのか伺う。

3.教育関係者や公民館など地域でも一定程度ふるまいに対する取り組みが認知されたと考えるが、一般県民に対する認知が課題と認識しているようだが、その原因は何だと考えるか伺う。

4.第二期に入るふるまい推進のなかでどのような取り組みをするのか伺う。

5.第二期に入るふるまい推進の中でどのような効果を狙うのか伺う。

(答)教育長

1.ご紹介頂きましたこのふるまい向上運動ですが、三年前から子どもたちに礼儀でありますとか作法、ルール、思いやり、規範意識、こういったことを身に付けてもらいたいということで始めた事業でございます。

 この三年間、学校教育それから社会教育、それから乳幼児の親御さんを対象とした研修会、こういったことで様々な取組が行われてきてそれなりの成果が出ているのではないかというふうに思っております。

 ただ、課題といたしましては、一般県民への認知度という点ではまだまだ十分ではないなというふうに感じているところでございます。

2.議員もおっしゃいましたように、このふるまい、これはこれで終わりということではございませんので末永くこういう意識をもって取り組んでいかなければならないというふうに思っておりますが、特に来年に向けまして、地域の人たちと子どもたちがかかわりながら、ボランティア活動あるいは宿泊体験、職場体験、こういった様々な体験活動を行うなかでこういったふるまいというのが身に付いてくるのではないかなというふうに思っております。

 そのための子どもたちがそういったことに取り組む機会、これをさらに公民館なども協力しながらそういった機会を充実していきたいというふうに思っております。

 

3.このふるまい向上運動ですが、なかなかこういった精神的な運動、難しいことでもあります。この運動がまだ十分に浸透していないというふうに申しあげました。いろいろな原因が考えられると思いますが、やはり世の中、核家族化などによりまして家庭環境が変化いたしております。それから価値観、生活様式も多様化しております。こういった中でなかなかこの運動を一挙に浸透していくというのが現状ではなかなか難しいということだろうと思います。

 それからそういった中で、様々な広報活動を展開して参りましたが、まだまだ県民の方々に目にふれ、認知を頂くための周知のやり方、あるいは関心をもって頂くためのやり方、こういったこともまだ十分ではなかったというふうに考えております。

 今後ともその点につきまして、もうひと工夫必要だなというふうに思っております。

 

4.学校とか先ほど申しあげました各現場でいろんな取組がなされておりますが、学校とかあるいは就学前の親御さん、あるいはPTAあるいは地域、こういったところで今やっている取組をさらにブラッシュアップするといいますか、いろんな事業をもうひとつ工夫をして取り組んでいきたいと思っております。

 その中には先ほど申しあげました子どもたちの体験活動をもう少し充実なものにするとか、あるいは地域で、公民館の方で親子一緒になった活動をやってもらうというような取組も進めたいと思っておりますが、一番先ほどの課題で申しあげました一般県民の方々への周知でございます。そのために実は県のケーブルテレビ協会、今年も一緒になって取り組んで頂いております。

 特に来年度は、各ケーブルテレビ局にふるまい向上担当者を設けるというふうにお聞きいたしておりますので、この協会との連携をさらに図って広く県民にこの運動が知られるように取り組んでいきたいと思っておりますし、また、企業との連携、これも大切なことだと思っておりますので、企業の方とも話し合いをしながら進めて参りたいというふうに思っております。

 

5.抽象的になりますが、これまで同様、子どもたちがふるまいを身に付けることで、自立して生きる力でありますとか、人とかかわる力、あるいは地域に貢献できる人材、こういったことにつながればいいなというふうに思っております。

 

(問)学力向上について

1.学力向上プロジェクトはいま三期目に入っているが、現時点での成果と課題をどう分析しているのか伺う。

2.学力向上プロジェクトを通して、どういった力をつけさせたいと考えているか伺う。

3.キャリア教育の取り組みが普通科の進学校では取り組みが弱いのではないかと以前議会で質問したが、その後の取り組み状況を伺う。

4.夢実現進学チャレンジセミナーは県外の公立高校の教諭が講師として指導に当たっているが、敢えて県外の教員を講師に招く理由を伺う。

 また、逆に島根の教員を県外へ講師として派遣する事はあるのか伺う。

5.教員のレベルアップにどのように取り組んでいくのか伺う。

6.改正離島振興法では、ハード面の整備だけでなく、例えば教員の加配など、ソフト事業も認められているが、教員の定数について、県からは国へどのような要望をしているのか伺う。

7.国の予算案には離島の教員を増やすことが盛り込まれているが、その状況を伺う。

8.国の予算が成立してから加配の教員を配置したのでは遅くなると考えるが、県としての対応を伺う。

 

(答)教育長

1.学力向上プロジェクトは、今年から第三期目となっております。

成果と課題ですが、簡単に、二、三申し上げますと、成果でございますが、小中学校では、学力調査の結果ですが、基礎・基本の定着に成果が見られると思っております。それから、家庭の学習時間に改善の傾向が見られております。高等学校では、特に近年、医学部への進学者は、定着してきていると思っております。

 一方課題ですが、小中学校では、知識や技能を活用する力、あるいは、「書く力」がまだまだ不十分であるということと、先ほどの家庭学習は増えてはきていますが、全国に比べると少ない状況にございます。それから、高等学校では、今取り組んでおりますが、地域に貢献する人材の育成ということで、キャリア教育を今後とも進めていく必要があると思っております。。

 

2.最終的には、「生きる力」の一つである学力の向上ということでありますが、この学力向上プロジェクトの直接的な目的ですが、一つには、基礎的な知識・技能を身につけさせる。それから、これからの社会で特に必要とされる、学んだ知識を活用し、自ら考え、判断し、表現していく力を養う。それから三つ目に、主体的に学習に取り組んでいく意欲・態度を身につけさせる。こういった大きな目的で取り組んでいます。

 

3.今年度から、全ての高校でキャリア教育全体計画を作成し、キャリア教育担当者を置いて校内体制を確立し、学校全体でキャリア教育の推進を図っております。

 特に、ご質問にありました普通科高校では、これまで不十分でありました外部との連携を進めてきております。例えば、インターンシップの拡充でありますとか、産学官連携の問題解決型の学習。あるいは、企業見学とかを進めてきております。

 このような取り組みを更に浸透させまして、大学等への進学後も、地元島根に貢献していく気概持った生徒を育てていきたいと思っております。

 

4.夢実現進学チャレンジセミナーの中で、いろいろとやっておりますが、特に3教科のセミナーでは、県外講師とあわせまして県内教員もコンビで授業を行っております。

 県外教員を招く理由でございますが、生徒が普段経験できない県外の教員の授業を受けることで、刺激を受ける。あるいは、参加した県内教員がただ授業を見学するだけでなくて、優れた取り組みや授業方法等の情報交換をする中で自分の指導力の向上につなげていく。あるいは、この機会を契機として、県外教員とのネットワークを作っていく。こういった目的で、県外の教員の方には参加をいただいているところである。

 島根県の教員はどうかということですが、もちろん島根県でも、各教科で指導力のある教員がおります。そういった教員に対して、県外からの依頼にもとづきまして、他県の学校の授業を行ったり、講演会の講師を行ったりということも県内の教員もやっている実情であります。

 

5.当然のことながら、指導者である教員のレベルアップは必要でございます。次の三点に重点をおいて取り組みを進めております。一つが、教員個人のレベルアップ。それから二つ目が、県内教員の連携の強化。三つ目が、中学校・高等学校の連携。この三点を重点におきまして、例えば、教科リーダーの養成事業でありますとか。あるいは、各教科ごとに先生方がチームを作って、指導方法でありますとか、教材の研究を行っている。それから、中高連携ということで、中高の教員が相互に公開授業をしたり、お互いの教材を研究して作るというような取り組みを進めている。

 

6.秋の重点要望におきまして、今回の離島振興法改正に伴いまして、教員の加配をするという法律改正がなされましたので、国に対しましては、これまで少人数指導など、そういった加配もございますが、そういった加配とは別枠で、新たにこの離島振興枠として、教員数を増加させるように、必要な財源措置を要望してまいりました。

 

7.今国会に上程されておりますが、国の予算案では、離島振興法に基づきます教員の加配として、全国枠で百十七名が措置をされているというふうに聞いております。

 

8.先ほど申し上げました加配にも、実は生徒指導とか少人数加配とかいろいろございます。それから基本的な定数もございます。

 そういったことをあわせまして現在、国の方と最終的な調整をしているところでございますので、ご心配ございました教員の配置に支障がないような準備を現在進めておりますので、最終的な調整もう少しかかると思いますが、支障がないように準備を進めてまいりたいというふうに思っております。

 

 

 

 


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