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池田議員(無)

(問)専門高校について

1.専門高校に求められるものは一体何であると考えているか伺う。

2.離職率が高い原因を伺う。

3.職業意識醸成、地域との協力構築に関する事業の必要性と内容について伺う。

4.専門高校における現在のインターンシップ制度について伺う。

5.インターンシップ制度でどの程度の効果があったと考えるか伺う。

6.専門高校における今後のインターンシップ制度の取組み方針について考えを伺う。

7.地元に就職先が十分に無いことが、「県外就職希望」が多い理由となっていると思うが、所見を伺う。

8.今後配置されるコーディネーターを活用し、地域や産業界との連携、地元就職の促進にどう取り組むのか、今後の展望も含めて伺う。

9.専門高校のカリキュラムで地元企業のニーズに沿った教育を実践することは有効な人材育成の手法と考えるが、工業高校におけるその必要性と今後の取組みについて伺う。

10.松江商業高校のweb店舗等の取組みもあるが、生徒達がじっくり取り組める環境を用意する考えはないか、またそのような取組みを支援する予定はないか伺う。

11.島根にある農林水産関係の専門高校に求められるものを捉え、考え方やカリキュラムに反映することについて考えを伺う。

12.魅力ある高校をつくるため、行政の部局のみならず、学校、企業、地域がもっと知恵を出し、汗を流すべきと思うが、考えを伺う。

13小中学校における社会見学を奨励し、企業訪問の回数を増やすことへの考えを伺う。

 

(答)知事

1.魅力と活力ある県立高校づくり検討委員会の答申案は、平成21年度以降の県立高校のあり方について書かれているが、専門高校については、三つの論点で書かれている。ひとつめは将来のスペシャリストを育成する役割、ふたつめは就職だけでなく、進学への一層の対応、みっつめは若年者の県内定住への対応であり、私もこのとおりであると思う。

 この答申案と昨年まとめられた島根県県総合雇用対策は同じスタンスに立ったものと考えている。

 

(答)教育長

2.平成十九年八月に、「ジョブカフェしまね」へ来所した若者に離職理由を尋ねたアンケート結果によりますと、(1)人間関係がうまくいかなかった、(2)やりたい仕事ではなかった、(3)給与が不満だった、(4)職務内容が違っていた等の回答がありました。

 こうしたことから、離職の主な要因として、本人の希望と現実とのミスマッチがあったことがわかります。

 もう一点としては、社会人としての知識や能力が不足していること、あるいは、職業観とか勤労観が十分でない、コミュケーション能力や忍耐力の低下しておるといったことが要因ではないかと考えております。

 

3.今までも、いわゆるキャリア教育については行ってまいっておりますが、県を上げての産業振興、雇用の確保ということを更に一丸となって取り組む必要性があるというなかで、私ども教育を預かるものと致しましては、新しく「働くことを学ぼう推進事業」、いわば、キャリア教育についての事業を再構築致しました。

 この事業では、従来から進めておりますところの生徒・保護者が県内企業の理解を深めるほか、特に、専門高校に於いては、産・学・官が連携して、企業との共同研究や現場実習、あるいは、高度技術の習得や技能検定などの実践的指導を行うこととしております。

 また、国においても、経済産業省・農林水産省と文部科学省が連携致しまして「地域産業の担い手プロジェクト」事業が実施されます。この事業は、大変採択が厳しいと聞いておりますが、工業関係・農業関係・水産関係それぞれについてこの事業にチャレンジして、採択されるよう頑張っていきます。

 

4.まず、事業所に引き受けてもらうわけですが、昨年度の場合ですが、県内企業780社に協力いただいて実施しました。専門高校では15校すべてが取り組み、長いところで5日間、短いところで3日、単純に平均いたしますと、3.3日でありました。

 事業の進め方ですが、まず事業所に行く前に、企業の概要を事前に学習させ、加えて、マナー指導のほか、インターンシップの目的ということにつきましてもガイダンスなどを行っています。

 事業所では、商品の陳列、包装、接客、建設現場での測量補助といった就業体験を行っております。

 実施後には、生徒や受け入れ事業所に対するアンケートを行い、事業の効果や改善点などを確認を行う。生徒には体験レポートを作成させ、クラスでの体験報告会を開催したというようなことを行っております。

 

4.先程、申しましたように、5日から3日というのは、決して長い期間ではないと承知しております。

 最近の子どもたちは、家庭での手伝いは少ない状態でございます。ある意味で、この3日間は、子どもたちにとっては新鮮な機会となっていると承知しております。

 インターンシップ実施後に生徒を対象として行っているアンケートでは、約9割の生徒が「進路選択につながった」、「貴重な体験で今後の役に立つ」、「仕事に対して責任感を持つことが大切であり、一つのミスが会社に大きな損害を与えることなどを学んだ。」という感想を寄せております。

 また、受け入れ事業所を対象にしたアンケートでは、約9割の事業所からは「事業の趣旨に賛同し、今後も引き受ける」というふうな意向を頂いております。

 事業所の感想では、「礼儀正しく、皆、まじめに一生懸命実習を行ってくれた」等という肯定的な感想をいただいた一方で、「一生懸命取り組んでいたが、疑問に思ったことはもっと積極的に発言してほしい」「元気がない」「服装を正して臨んでほしい」という感想も中にありました。

 今後、継続していくに当たりましては、こういうことを参考にして行ってまいります。

 

6.長期にわたるインターンシップを行うことについては、ご発言のとおり意義があると思いますが、実施するに当たりましては、

 ・受け入れ企業の開拓、日程や受入人数の調整

 ・学校側では、必修科目があり、各教科についての連絡・調整が必要

 今すぐ、すべての専門高校で、大々的に実施することはなかなか困難であると考えています。

 来年度から、教育委員会と商工労働部に一名ずつ産学連携のスタッフを配置して、更に、産業振興コーディネーターを商工労働部で致しました。こうしたスタッフが収集・分析するデータや、産業界からの意向、学校運営などの様々な観点から、こうした長期にわたるインターンシップが、どういう工夫ができるか、あるいは良い知恵がないか、今後検討してまいります。

 

7.私がかねがね感じておりますのは、経済学的に数字だけで、今年度の県内就職が昨年を上回ったとか、あるいは低かったとかいうだけではなくて、もっと掘り下げた議論の中で、いかに県内への就職する高校生の卒業者の受け皿を作っていくかについて検討していくことが大切だと思います。

 私どもが行っております、県内の就職のためには、毎年度、知事、島根労働局、私ども県教育委員会がともに、県の経済四団体に求人の要請を行っております。就職戦線が始まる前の段階です。私自身も個別にも企業を訪問いたしまして、求人依頼を行ってきました。

 また、学校でも、校長をはじめ、教職員が一体となりまして、県内の企業を訪問して、就職先の開拓や求人依頼を行っております。

 県内高校生が県内就職を希望する割合について、この三月卒業予定者についての調査で言いますと、全体の中で約64%が県内就職の希望であります。これは昨年十二月時点です。地域別で言いますと、県東部が78%、西部は40%、隠岐は57%で、地域間の格差が大きいと、特に県の西部と隠岐地域が低いという状況にあります。

 この背景には、それぞれの地域において、希望する働き場が得にくいという状況があることや、地域間の立地とか雇用環境の差もあるというのが原因だと考えております。

 加えまして、近年、県外企業の求人の状況が好転しておるということから、生徒たちが県外に出て行く、そういった状況であると思います。

8.来年度の予算につきましては、商工労働部の予算、それから私ども教育委員会では、再三申し上げております「働くことを学ぼう推進事業」という新しい事業の再構築をしながら、その事業をはじめといたしまして、その他の事業についても、密接な連携、意見交換、意思の疎通をはかりながらやってまいる必要があると考えております。

 その中で、特に、専門高校の進路指導につきましては、よく聞く話でありますが、それぞれの高校においてのいわゆる「お得意様」ですね、毎年度定期的にとってくれる優良な企業というのは、どうしても大事にせざるを得ない状況にあるとよく聞くところであります。だから、県内でのそうした形のものが一社ではできないとすれば、企業連携を図りながらでも、毎年度、ある一定の規模の、県内の受け皿に用意できると、こういったコーディネーター制度も活用しながら少しでも前進すれば望ましいなと思っております。

9.これまでも、さまざまな資格の取得、ということをある意味では目標にしながら、それぞれの学校の教育を行ってきました。

 たとえば、第三種電気主任技術者でありますとか、第一種電気工事士とか、技能検定では機械の加工とか、電気工事など、表彰規定を設けておりますが、毎年、約250人ぐらい、今年度の場合には300強の者が対象になっております。

 また、松江工業高校の場合には、ロボット競技大会で、江津工業高校は低燃費の自動車の走行のコンテストで、全国で上位の成績を収めております。

 こうした高度な技術とか技能を習得する、あるいはものづくりへの興味とか関心を高める活動というのは、企業に就職してからも必要な学習、トレーニングであると感じております。

 昨年、いわゆる「産・学・官」の連携の進め方について、県議会と執行部で山形県の長井工業高校の取組を視察にまいったのですが、ここにつきましては、一橋大学の関先生がずっと私ども島根県にもモデルについて紹介していただいたのであります。

 今回の「働くことを学ぼう推進事業」につきましても、こうした取組みも参考にしながら、先ほど申しました国のプロジェクトについても、チャレンジしながら取り組んでまいります。

10.ご質問の趣旨は、たとえば生徒が空き店舗を活用して、長期間、販売とか実習をするような、そういう場を設けたらどうか、というふうなことではないかと考えております。

本県においても、以前、空き店舗を利用した販売・実習を行った例があるようでございます。その際には、地元の商店との調整をしなければいかん、ということも出てきて、結果的に途中でやめているようであります。

 たとえば、出雲商業高校の「出商デパート」は、私も昨年まいりまして、大変賑やかでびっくりしましたが、これが五ヶ月ぐらいの準備で行いながらやっているものでございますが、販売日数は少ないものです。

また、松江商業高校のWeb店舗についても、これは比較的長期間やっておりますが、より進化した形での取組ということについては、ある意味、内発的に自立的に、各高校でこうやっていきたいという気運の盛り上がりがないと、たとえば私の方から「こうやれ」ということではなかなか長続きしないと思っておりますので、おっしゃいますような趣旨について、それぞれの高校で勉強してほしいなというふうに思っているところであります。

11.今までやってきているような例で申し上げますと、農業高校では、農業直売所の経営でありますとか、バイオの技術を利用した胡蝶蘭の苗とか、花卉とか野菜苗の生産、柚子(ゆず)・さつまいも・ハムなどの加工品の生産の実習、水産高校では、同じような、魚介類の加工品の製造と販売ということをを行ってきたところです。

 こうした学習というのは、植物の栽培とかあるいは動物や魚の飼育というふうなこと、その加工を通じまして命を育むとか、それを加工するということを学ぶことでございまして、いわば生命産業ということを大事にする取組です。

 こうしたことは、これからの我が国の食糧問題というふうなことを、少し大きな視点から見ましても、非常に必要性が高まってくると思っております。引き続き農林水産部とも協議しながら、こうした取組が進むように、

農林水産部とも協議しながら効果的な取り組みが進むように努めていきたいと考えております。

 近年、農林水産業を取り巻く環境は厳しいものがありますが、農林水産業のもつ意義や役割などを学んだ若者が、一人でも多く県内にとどまってくれることを期待しています。

(答)知事

12.私も議員と同じ意見である。魅力ある高校をつくるためには、学校は何をすべきか、学校の外の意見も聞くべきであり、外部の人も協力すべきである。また、保護者も地域の企業について知る必要がある。

 関係者が力をあわせて取り組み必要がある。県はリードするのではなく、背後から支援したいと考えている。人の配置など、積極的に取り組む課題である。

13.子どもの頃に生活の中で、様々な刺激を受け、感動する体験は非常に大切だと考えている。しかし、そういった環境が昨今、失われている現状がある。

 先日、益田のふるさと教育フェスティバルにお招きいただき、参加する機会を得た。

 子どもたちのステージやパネル発表を見て、子どもたちが地域の人たちとかかわりながら家庭や学校以外の他の世界にふれ、自分の世界を広げていることを強く感じた。

 自分の世界が広がることで子どもたちは、多くのチャンスを得ることができ、生き方の選択肢も広がっていく。こういった意味でもふるさと教育は大切だと考える。

島根県では、3年前から、全ての小中学校でふるさと教育を実施している。このような全県をあげての取組は全国的にもめずらしいことだと聞いている。

 このふるさと教育を来年度以降も継続したいと考え、予算措置を講じたところである。

 今後も、ものづくりなど、ふるさとの匠の技に接する体験や、地域の自然、歴史、文化、産業にふれ、学び続けていくことにより、子どもたちの豊かな心が育つことを願っている。


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