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絲原議員(自民)

(問)学習指導要領の改訂について

1.教員増が望めない現況下において、学習指導要領改訂が、教育現場を追い込んでしまうのではという危惧の声が強いが、所見を伺う。

2.「しまね教育ビジョン21」に示されている基本的理念からも望ましくないと考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.まず、学習指導要領の改訂についてお答えします。

 今回の改訂案に示されております授業時数増を学年ごとに見てみますと、小学校の、一、二年については約七十時間、三年から六年は三十五時間。中学校では、一年から三年まで、それぞれ三十五時間の増という計画となっております。教科についてはいずれも、国語、社会、算数・数学、理科などいわゆる主要教科を中心としております。

 県内の小・中学校の状況を見ますと、この改訂案で示されています全体としての標準授業時数を、すでに、上回っている学校が、小学校で約七割、中学校で約五割の学校が上回っていることから、比較的円滑な移行ができるというように考えております。

 といいましても、授業時数の増加による教員の負担が増え、教材研究やあるいは指導法の工夫が十分にできなくなることによって、授業の準備ができなくなることが懸念されることから、指導内容のレベルダウンないように、改訂案が具体的に実施されることになれば、移行期間において、改訂案の意図するところを読み込みながら、懸念が払拭できるよう準備を整えていきたいと考えております。

 

2.次に、総合的な学習の時間の時間数が削減されるという案が示されているということについてですが、

 この総合的な学習の時間については、これまで小学校では、概ね一週当たり3時間行われていましたのが2時間、中学校では、一年生が2・3時間行われていたのが1.5時間、二・三年生では2〜4時間のものが、2時間というふうな形で示されております。

 本県においては、この総合的な学習の時間などを活用いたしまして、各学校が、ふるさと教育を実施してまいっております。

 今回の改訂につきましては、こうした学習の成果などがいわば十分に検証されないままに、学力低下を招いたのは、ゆとり教育のせいであると、中でも総合的な学習の時間の導入がこのような結果を招いたという、言わばやや一面的な評価に基づいて学習の時間が計画されているということについては、ややいかがなものかというふうな気持ちがしておるところでございます。

 しかしながら、この時間数の削減があった場合でも、小学校の場合を例にとりますと、総合的な学習の時間が全体では70時間となっておりますので、この時間を活用して、今までどおりのふるさと学習・ふるさと教育の時間を35時間確保できるよう努めたいと考えております。

 

 


(問)不登校について

1.不登校児童・生徒の出現率が全国上位にある要因などと併せ、教育支援センター事業、心のかけ橋支援ツアーの現状とその成果について伺う。

2.中一ギャップ・小一での登校しぶり等の実態について伺う。

3.その対策としての小中一貫校や六三制見直し等に関する将来見通しについて併せて伺う。

 

(答)教育長

1.次に、児童生徒の不登校の現状と対応についてでございます。

 平成十八年度の不登校の状況については、先日発表いたしましたが、小中学校あわせまして千六人、小学校が二百六十人、中学校が七百四十六人ということになっています。平成十三年度以降千人を超えている状況でありまして、特に中学校の生徒の不登校の数が多いというのが憂慮すべき状況にあると思っています。

 要因については、様々であるわけですが、対人関係の不安とかあるいは集団生活に対する強い緊張感というものが調査の結果では報告が上がってきております。

 こうしたことに対応するお尋ねのありました教育支援センター従来の適応指導教室と申しましておりましたものについては、現在八市三町の十二施設が行っておりまして、交付金として、従来の経費の一部を県費で総額二千五百五十万円を助成しております。この教育支援センターでは、集団生活とか学習の機会の場を設けることによりまして、学校への復帰や社会生活に適応できるようにすることを目標としております。平成十八年度についてみますと、不登校児童生徒のうち二十二パーセントが利用しおりまして、その割合は年々増加しております。

 また、心のかけ橋支援ツアー事業と称する事業につきましては、島根大学及び島根県立大学の協力を得ながら県内の各教育事務所で実施しておりますが、概ね月四回のペースでやっておりますが、家に引きこもりがちな児童生徒がいわば教育支援センターにも出てこれないような子どもたちを対象にして活動範囲を外に広げるということで、少しでも他人とのふれあいを深めるきっかけづくりとするということを目的にしております。平成十八年度の場合で申しますと五十九人の利用者がありました。そのうち教育支援センターに通うようことができるようになったのが、十七人であったと承知しております。

 こうした事業によりまして、平成十八年度には、三百五人が徐々にではありますが、登校ができるようになって参っておりました。直接の対象ということではありませんが、千人の中でみますと、約三十パーセントという人数になろうと思います。

 なお、こうしたいじめ、不登校の対応について大変喫緊の課題ということで、今年度は、教育事務所に配置している生徒指導専任主事を従来5名であったものを七人に増員いたしまして現在十二人体制を市町村教育委員会を中心とした学校への指導体制をとっています。

 

2.次に、中一ギャップ・小一での登校しぶりであります。

 中一ギャップと申しておりますのは、中学校一年生に入りますと、教科が担任制にかわるとか、部活動の人間関係のような環境の大きな変化がございます。またちょうど思春期前期ということでの心身のアンバランスをきたす時期と重なっておりまして、中学校一年生で不登校や問題行動が急増する現象のことで、教育界ではいわゆる中一ギャップと呼んでおります。

 こうしたことに対応するため、本県では十六年度から、大規模中学校を中心として一年生のクラスを対象に、非常勤講師の配置を行って参りました。これをクラスサポート事業と称しております。

 その成果として中学校一年生の不登校や問題行動の報告件数は、減少傾向にあります。全体では横ばいでありますが、一年生については減少傾向であります。

 しかしながら、十八年度の状況は、六年生の時と比較すると、六年生のいじめと中学一年生のいじめをみますと三二件に対して一二一、不登校が六三人に対して一六八人に増加し、依然として中一ギャップが存在しており全国の状況と同様の現象が現れています。

 また、小学校に入学する際の一年生の登校しぶりについては、昨年度十九人の児童が報告されています。

 これに対応するためには、いわゆる、三十人学級編制やスクールサポートの施策を行っており、今後ともこうした政策により、更なる改善に努めて参りたいと考えております。

 

3.次に、小中一貫校やあるいは六三制の見直し等に関する将来の見直しについてであります。

小中一貫校の目的といいますか考え方は、小学校から中学校への進学に伴う先ほど申しました中一ギャップというふうな学習や生活面での急激な変化が軽減するという、それでもってスムーズに中学校に対応できるというのが考え方であります。

 逆に今までの小学校六年間、中学校三年間という義務教育制度の中では、小、中学校それぞれが卒業というゴールに向かった教育を行っております。また、小学校一年生から中学三年生までのこの世代の子どもたちの心身の発達や体力、学習に対する意識には、非常に大きな違いがあります。

 従いまして小中一貫校の設置に当たっては、このようなメリットとかデメリットの両方を考慮しながら、発達段階を踏まえた対応を行っていくことが必要となりますので、様々な視点からの検討を重ねる必要があります。

県といたしましては、こうした一貫校としての学校経営とは少し趣を異にはいたしますが、小学校と中学校が学校間の連携を図るということについて、非常に大事だと思っております。子どもたちの発達段階に応じた適切な指導を行うことは今まで少し弱かったと認識しております。

 とはいいましても県内では、例えば中学校の教頭が小学校で授業をしております。既に、松江市や出雲市において、小中連携の取組が始められております。具体的に教員が単なる情報の共有から進み、一定の日数それぞれの小学校が中学校へ、中学校が小学校へ交流するようなことも始まっております。

 こうした取り組みについてはこれからも強化していきたいと考えており、各校長にも意見交換を通じて要請しているところです。また、各主任の研修会や、研修でもそういうことについての働きかけを強めております。

なお、六三制の見直しについては、現時点では特に国の段階でも急ぐべき課題としては取り上げられていませんが、もし、本格的な議論が行われる場合には、先ほど申し上げました点について、十分検討がなされるべきと考えております。

 なお、島根大学については、先ほど発表がありましたように、来年度から、幼稚園から小学校二年までを初等部前期、三年から五年までを初等部後期、六年から中学校三年までを中等部とした三ブロックの組織にかえまして幼小中一貫教育体制づくりのスタートが計画されております。

 

 


(問)メディア時代の青少年健全育成について

1.メディア時代の青少年健全育成について、望ましい方向性を出すべきと考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.次に、メディア時代の青少年健全育成についてお答えします。

 近年、過度なテレビ・携帯・ゲームへの接触が、脳や精神発達に障害を与えることが研究で明らかになってきました。

 議員から御紹介がありましたように、本県でも、ノーテレビ、ノーゲーム運動や携帯の利用方法を含めた、いわゆるメディア対策に力を入れていく必要があると考えています。

 こうした取組を進めるため、本年四月に、「健康づくり推進室」を設置し、心身両面にわたる健康保持の視点に立ちながら、生活習慣対策を実施しております。

 具体的には、夏休み前や十一月の「しまね教育ウィーク」に、各家庭でテレビ視聴時間のチェックを行う「生活リズム改善シート」を幼稚園、小・中学校へ示しましたが、このことが契機となり、松江市では全市をあげてノーテレビ運動を展開しており、県内の気運の醸成に成果をあげております。

 また、本年は、県内二会場で「生活習慣改善フォーラム」を開催しまして、浜田一中のPTAが「学校では携帯電話は不用だ」というふうなPTA活動をスタートしたということも聞いております。

 こうした取組を進めていくには、青少年の健全育成に関わる関係機関はもとより、家庭・地域との連携が必要となります。

 今後、健康福祉部や警察本部との連携を一層密にして、効果的な取組を進めていきたいと考えています。

 


(問)道徳教育について

1.道徳教育の時間が、各種行事のために欠けたり、他の教科に振り替えられたりすることが多いと聞くが、実態を伺う。

2.一人ひとりの個人が自分の内面を深く見つめ、人間としての「ありよう」を考える徳育の計画的推進が必要であると考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.2.次に、道徳教育であります。

 道徳教育の時間につきましては三十五時間というのが示されておりますが、県内ほとんどの学校で、この標準の三十五時間が確保されております。

 その中身でありますが、重点を置いておりますのが、「友達と互いに理解し、信頼し、助け合う」、「生命がかけがえのないものであることを知り、自他の生命を尊重する」、「自己が属する様々な集団の意義についての理解を深め、役割と責任を自覚し集団生活の向上に努める」とか、「約束や社会のきまりを守り公徳心をもつ」等が重点的に指導されております。

 そうではありますが、しかしながら、今日教育課題として、いじめや不登校、あるいは、社会規範意識が低下、公共心の不足といった問題を抱えておるわけでありまして、こうした課題に対応するために徳育につきましては、道徳というよりももう少し広い意味での心の教育が必要だと考えております。この心の教育では、自然や崇高なものにふれ、感動する心でありますとか、弱い者をいたわる心、卑怯を恥じる心などについても、家庭、地域と共に協力しながら、計画的に推し進めていく必要があると考えております。

 

 

 


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