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多久和議員(自民)

(問)教育基本法改正について

1.教育は国家百年の計であり、明治以来の近代教育のあり方を含めて根本的に議論していく時期が来ているが、教育基本法改正について、知事の所見を伺う。

 

(答)知事

1.多久和議員の御質問にお答えします。

 まず、教育基本法改正についてであります。

 現在、審議中の教育基本法改正案は、現行法における「人格の完成をめざすこと」や「個人の尊厳を尊重する」といった普遍的な理念は大切にしながら、「我が国と郷土を愛する態度」、「道徳心や自立心」、「公共の精神」、「伝統文化の尊重」など、我が国の、現在及び将来の教育を展望した場合に、特に掲げて強調すべきと考えられる基本的な理念を新たに加えたものと認識しております。

 私は、教育とは、「しまね教育ビジョン21」に示しておりますように、「人を思いやる心」「規範意識や倫理観」などの普遍的な理念を根底におき、知・徳・体のバランスのとれた子どもの育成を図ることが基本であると考えており、豊かな自然や伝統文化を尊重し、郷土や国を愛する心を育む「ふるさと教育」を積極的に推進しております。

 社会の急速な変化に対応し、未来を切り拓いていく子どもを育成していくためには、教育の根本法である教育基本法において、新しい理念や原則を明確にしていくことが大切であると考えており、改正案に盛り込まれた基本理念・原則が共通理解され、地方分権の本旨にそった国民全体による教育改革が、速やかに推進されることを期待しております。

 

 


 

(問)教育再生会議について

1.教育再生会議の浅利委員、海老名委員の発言に対する所感を伺う。

 また、学校を核に、地域・家庭と連携した「道徳教育振興県民会議」なるものを実践してはどうかと考えるが、教育再生会議の議論を踏まえ、所見を伺う。

2.教育再生会議のメンバー十七名中現場からは三名のみで、現場の声が反映しにくいのではないかと考えるが、現場を預かる立場からの所見を伺う。

 また、全国の教育長会議の場などでどのように現場の声を言っていくのか伺う。

 

(答)教育長

1.まず、教育再生会議についてであります。

ご紹介のあった会議での浅利委員の家族や友人間の情愛、海老名委員の親孝行の重要性についての発言は、まさしく社会生活の基本となるもので、当然のことながらいつの時代にあっても人格形成期にしっかりと子どもたちに身に付けさせるべきことであると思います。

 ご提案の「道徳教育振興県民会議」は、教育再生会議の議論の中で紹介のあった、京都市の「道徳教育振興市民会議」を参考にして、本県でも設置してはどうかというご提案であると承知しております。

 本県では、それに類似するものとして「島根県道徳教育推進協議会」を設置しております。この協議会は、学識経験者、警察、福祉、青少年団体、マスコミ、行政、PTA、学校関係者(幼稚園、小学校、中学校)を構成員として、年三回程度開催しております。その中で、本県における道徳教育を推進するための助言を行ったり、道徳教育振興のための諸方策等について検討を行っています。

 京都市との違いは、保護者以外の県民代表が加わっていないことであり、今後、構成員として加えることを検討する考えでおります。

 まずは、この協議会を県民会議としての機能を果たすように充実させていきたいと考えております。

 なお、付け加えますと、道徳教育を含めた心の教育はきわめて重要であると認識している点については、議員のご意見とまったく同感であります。

 

2.次に、教育再生会議へのスタンスであります。

 教育再生会議のメンバーは十七名で、先ほど答弁しました「劇団四季」代表の浅利慶太氏や早寝・早起き運動の提唱者である陰山英男氏などで構成され、現在の日本における経済界や教育研究者など、それぞれの分野での第一人者が揃った感があります。。

 しかしながら、ご指摘のように、現場を知っている人は三名にとどまっている状況にあります。

 過日、発表された「いじめ緊急提言」を見ましても、もっと現場の目線で対応を考えていただきたいとの気持ちがいたしました。

 今後検討が進められる教育委員会制度、教員免許更新制、学校選択制等についても、そうした地方や現場の視点で議論を深めて欲しいと願っております。

 次に、現場の声をどう伝えていくかと言うことであります。

 先月、松江市で開催された、全国都道府県教育長協議会(第四部会:教育財政部会)の場では、知事会と同様、地方側の意見をきっちりと国に伝える重要性を訴えましたし、全国知事会の社会文教常任委員会の活用も考えるべきと発言しました。

 また、全日本中学校長会や全国高等学校長協会などを通じて、現場の実態に基づいた現場でしかわからない情報をしっかり意見として言っていく必要があると考えております。

 

(問)教師への暴力について

1.教師の服装はどうあるべきか、所見を伺う。教室でのジャージ姿についての所見を伺う。

2.学校にも規律が必要と考えるが、その一つとして教職員の服装モデル校を設置することを提案するが、所見を伺う。

3.教師への暴力の現状について伺う。

また対策の一つとして強靱なサポーターを配置する考えはないか伺う。

 

(答)教育長

1.2.次に、教師の服装についてお答えします。

 ご指摘にありました、小・中学校での教員のジャージの着用についてでありますが、特に小学校におきましては、登校した子どもたちが体操服に着替えて一日を過ごす学校が多数あり、教師の校内での服装を、子どもたちにあわせてジャージに統一している学校もあります。子どもたちとともに活動する場合に、動きやすいことや黒板の板書などでの汚れを気にしなくてもよいことなどを考慮して、校内ではジャージを着用することを許容している場合もあります。

 したがいまして、一概に好ましくないとは言えないと考えております。

 しかしながら、学校においても規律は非常に大切なことだと考えており、学校での儀式などTPOに応じた服装は当然のことでありますし、通勤時においてもきちんとした服装を心がけてほしいと思っております。

 また、教員の服装のモデル校についての提案がありましたが、市町村教育委員会の判断で、やる意向があれば実施可能なことと考えております。

 

3.次に教師への暴力の現状についてであります。

 平成十七年度の調査によりますと、対教師暴力は、公立学校、小・中・校全体では七十一件でありました。

 この昨年度の事案については、そう深刻なものはありませんでしたが、特徴的なのは、特定の児童生徒が教師の指導に従わず暴力を振るうケースが多いという報告を受けています。

 本年10月には、家庭訪問した教員が中学生にバットで殴られるという事案が発生しております。このような対教師暴力を含む問題行動に対しては、その子どもの心情をできるだけ聞いてやりながらも、行った行為については毅然とした態度で指導すべきであると考えています。

 子どもの心情を理解する上で家庭との連携をとることは不可欠であり、市町村の関係機関等とも協力しながら、ケースに応じて児童相談所・民生児童委員・市町村の担当者・警察の少年補導員などと連携をとり対応しているところです。

 次に特殊な強靱なるサポーターの配置についてであります。問題行動の対応については先ほど述べましたように、ただ今のところ、そう深刻な事案は発生していないと考えており、市町村独自の考えは別として、議員ご提案のようなサポーターを県が統一的に配置するということは考ておりません。

 


 

(問)発達障害について

1.保育所、幼稚園、小中・高校における発達障害者に対する対応について伺う。

2.学校現場で、親も一緒になった取り組みを行うことについて、所見を伺う。

 また、教育センターで発達障害児の支援のためにどのような研究が行われているか伺う。

 

(答)教育長

1.次に、学校などにおける発達障害のある子どもに対する取組みについてであります。

 発達障害のある子どもに対するきめ細かな教育の充実を図るため、「特別な支援のための非常勤講師配置事業」、通称、にこにこサポート事業を昨年度から新規事業として開始し、今年度は、七〇名を配置しています。

 この配置された教員は、コミュニケーションが不得手な児童と子ども同士の人間関係づくりの仲立ちや、授業での学習のサポートなどを行い、該当する子どもの学習意欲や学習内容の理解の向上に成果を上げています。

 また、校内の支援体制を充実するため、小・中学校や高等学校において、学校内外の連絡調整を行い、保護者からの相談窓口となる「特別支援教育コーディネーター」の指名や、校内委員会の設置を進めているところであります。また、市町村と教育事務所などに、医療・福祉・労働行政等の関係者をメンバーとする協議会を設置し、保育所・幼稚園から高等学校までの発達障害のある子どもの支援について、関係機関との連絡調整を行い対応しております。

 

2.次に、保護者と一緒になった取組みについてであります。

 子どもの障害の状況はそれぞれ異なるため、子どもの生活の場である学校と家庭が密接に連絡を取り、日々の子どもの状況を互いに共有することは、それぞれが子どもの教育に責任を果たしていく上で、重要なことと考えております。

 具体的には、各学校において障害の状況を踏まえ、どのような教育をどのように実施していくのか、保護者の意見や理解も求めつつ、一人一人の教育計画を作成し、教育にあたっております。

 また、子どもの成長において家庭が果たす役割は極めて大きいことから、学校での子どもの状況や支援の内容を保護者にお伝えし、子どもが自立して生活できるよう家庭との連携を図っております。

 次に、教育センターにおける取組みについてであります。

 教育センターにおいて、小・中・高等学校の教員を対象とした研修を実施するとともに、現在、発達障害の特徴や、一般的な指導の方法、生活面での配慮事項などをまとめた手引書の作成を進めております。

 また、障害の状況に対応した個別の指導のあり方など、個々の事案についての相談業務を行うことにより、各学校における発達障害教育をサポートしているところであります。

取組を始めてからまだ日が浅いところでありますが、経験を積み重ね、より一層の教育の充実に努めてまいります。

 

 

 


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