• 背景色 
  • 文字サイズ 

小沢議員(自民)

(問)教育問題について

1.東京地裁は国旗国歌教育に対し、「不当な支配」に当たると判決を下したが、このことについて所見を伺う。

2.判決を受け、北海道人事委員会で「君が代」処分取消しの裁決を決めたが、このことについて所見を伺う。

3.教育基本法改正案において、「国を愛する心」「宗教的情操」の明記を、また「不当な支配」の修正を強く求めるが、所見を伺う。

4.最近のいじめ等の教育の荒廃に対する所見を問う。

5.学校での部活動の指導ができる教員確保のために、教員採用において、スポーツ採用枠を設ける必要があると考えるが、所見を伺う。

6.中学校における柔道部の創設が望まれるが、指導者として、県警機動隊勤務経験者を活用することについて所見を伺う。

 

(答)教育長

1.2.まず、国旗・国歌についてであります。

 本県では、公立のすべての小・中・高等学校において、入学式と卒業式の際に、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱しております。

 これは、従来より、各学校が国旗・国歌を指導することの意義について、十分理解している結果であり、ご指摘の判例等が、本県の公立学校における国旗・国歌の取扱いに影響を及ぼすことはないと考えております。

 国旗・国歌については、今も様々な意見があることは承知しております。しかし、すでに戦後六十年が経過しており、いつまでも戦前の悲惨な記憶や、戦後まもない時期の価値観を引きずった議論は清算し、二十一世紀に向かって新たな位置付けのもとで、国旗・国歌について考える必要があります。

 オリンピックなどの国際的なスポーツ大会において、代表選手が活躍し、表彰式で国旗が掲揚され、国歌が演奏される時に覚える感動は、万国共通のものではないかと感じます。その意味で、「日の丸」と「君が代」は、我が国の象徴として、国民が共有すべきものであると考えます。

 したがいまして、学校という公教育の場で、国旗・国歌を適切に取り扱うことは、その意義を踏まえれば当然のことと考えております。

 

(答)知事

3.次に、教育基本法改正についてであります。

 政府見解によりますと、「我が国と郷土を愛する態度」とは、我が国と郷土の伝統と文化に対する理解を深め、それらを育んできた国民や国土、自然環境なども含んだ我が国を愛し、その発展を願い、それに寄与しようとする態度をいい、議員御指摘の「国を愛する心」を培うことと、一体としてなされるものであるとされており、わたしもそう理解しております。

 また、「宗教的情操」については、人格の形成を図る上で大変重要なこととされつつも、改正法案には盛り込まれておりませんが、宇宙や生命の神秘、自然への畏敬の念などについては、現在でも、道徳教育を中心に行われているところであり、このような取組は今後とも重要であると考えております。

 次に、教育行政の在り方の規定については、従前どおり、不当な支配に屈してはならない旨の理念を掲げつつ、改正法案では、教育は「法律に定めるところにより行われるべき」と新たに加えております。

 国において制定される法律に定めるところにより行われる教育が、不当な支配に従うものでないことを明確にしたものと理解しております。

学校を始めとした教育の現場においても、新しい教育の目標や理念が明示されることから、より充実した指導や取組が行われるものと期待しております。

 なお、法案成立後、国が新たに策定することとなる教育振興基本計画は、現場の実態を的確に反映した地方分権の本旨に則ったものであることが必要であります。

 

(答)教育委員長

3.小沢議員のご質問にお答えします。

「国を愛する心」「宗教的情操」の明記を、ということでございますが、教育基本法改正案にあります「我が国と郷土を愛する態度を養う」につきまして、私は、まず国を愛する心があって、そして、その「心の発露」として「態度」があると考えております。

 そういう意味で、心の在り方を、実際の行動で示していくことが態度でありますから、心と態度は一体のものであると考えております。

 また「宗教的情操」についてでありますが、宗教は、人間としてどうあるべきか、与えられた命をどう生きるか、などを考える上で、また、宗教と深く結びついた他国の文化や、民俗を学ぶために必要であると考えております。

改正案は、主要宗教の歴史や特色、世界の宗教の分布などの、「宗教に関する一般的な教養」を身に付けるという内容が盛り込まれたものであり、適切なものと考えております。

 次に、「不当な支配」についてでありますが、今回の改正は、「教育は不当な支配に服してはならない」とする規定は引き続き残した上で、「法律の定めるところにより行われること」とされており、私としましては、教育は一部の勢力の利益のために行われることがあってはならないとの思いから、適切な内容であると考えております。

 

(答)教育長

4.次に最近のいじめ等の教育問題についてであります。

 新聞やテレビでは、連日のように、学校におけるいじめ、家庭内での児童虐待や児童による肉親への暴力、さらにはホームレスの人たちに対する暴力など、自分より弱い立場の者への人権侵害や生命に関わる事件が報じられており、心を痛めております。

 このような弱者への攻撃は、極めて身勝手な行為であり、許されるものではありません。これは、核家族化や少子化、地域コミュニティーの希薄化などによって、子どもを大切にするあまり、負の体験すなわち自分の意志が通らないとかが少なくなったことが一つあると思います。また、そうした体験を通して、お互いに理解し合う機会が減少したことも要因の一つと考えられます。

 また、ある調査によりますと、小学校の3年生から6年生の3割以上の児童が死んでも生き返るというリセット感覚をもっているという調査結果も報じられております。自然や命とのふれあう場の減少という現状の中で、例えば、うさぎを抱いた子どもが母親に「お母さんうさぎが温かい」と感想を言ったり、死んで動かなくなったカブトムシを見て、父親に「お父さん電池を換えて」といった話がまことしやかに語られています。

 こうした状況を少しでも改善したいとの思いから「ふるさと教育」の中で、自然への触れあいや地域の大人社会への参加体験を通して、生命への畏敬の念や相手を思いやる心を育む教育を進めております。

 

5.次に、教員採用試験におけるスポーツ特別枠についてお答えします。

 ご質問にありますスポーツ特別枠について、本県では設けておりませんが、昨年度より、選考にあたって、スポーツ、芸術、学術、国際貢献等における優れた実績、資格などを十分に考慮するという選考基準の内規を設けております。

 今後も、同様の取扱いにより、優れた実績や資格などを島根の教育に生かせる人材の選考に努めてまいります。

 

6.次に、中学校における柔道部創設と機動隊勤務経験者の活用についてお答えします。

 県内の中学校に設置されている柔道部は、現在、四十一部であり、バレーボールの百十九部、卓球の百四部が順位の一番、二番となっており、これと比較すると少ない状況にありますが、スポーツ十九種目の運動部がある中で九番目となっています。

 こうした中、平成二十二年度には全国中学校総合体育大会柔道競技が本県で開催されることも決定されています。

 本県においては、専門的な技術指導力を備え、かつ、仕事等に支障のない範囲で協力いただける方を外部指導者というかたちで委嘱しており、今年度の場合は中・高合わせて百名、うち中学校の柔道部では六名をお願いしております。

 外部指導者は、運動部活動が学校教育活動の一環という位置付けになっている関係上、顧問に就任することはできませんが、顧問教員と連携しながら、技術的な指導に当たっております。

 御質問のありました機動隊勤務経験者の活用でありますが、中学校における柔道専門の教員は少ない現状でありますので、今申し上げましたような外部指導者として協力していただければ、運動部活動の一層の活性化に繋がると考えております。

 


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp