中期財政改革基本方針骨子パブリックコメントに対する県の考え方

 本県では、厳しい財政状況を踏まえ、財政再建団体への転落を何としてでも回避するため、今年5月末に「中期財政改革基本方針」骨子を策定し、概ね10年後の収支均衡体質への転換を視野に、当面、平成16年度から平成18年度までの財政再建の取組の概要を策定しました。
この骨子に対して、平成16年5月31日から6月30日まで、県民の皆様から広く意見を募集しました。
その結果、合計30人の県民の皆様から76項目のご意見をいただきました。
お寄せいただいたご意見の概要及びご意見に対する県の考え方は次のとおりです。
ご協力いただきました皆様に厚くお礼申し上げます。なお、お寄せいただいたご意見等は、取りまとめの都合上、適宜要約しておりますのでご了承ください。

総論

1.県財政の危機的状況を招いた原因と責任の所在を明らかにし、知事が県民に謝罪することが必要である。


【知事(政策企画監室)】
本県は、これまで、道路整備など遅れていた社会資本の整備や県勢の発展に資する戦略的なプロジェクトの推進に積極的に取り組んできました。その結果、生活、産業、教育文化など多方面にわたり社会基盤の整備水準は相当程度向上してきたものと考えています。
しかしながら、こうした取り組みの一方で、これらの事業の主要な財源として活用した県債の残高が年々増大し、これに伴う公債費の増こうが財政運営に重くのしかかってきているとともに、収入面では引き続く景気の低迷により県税の伸びが期待できず、さらに平成13年度からは本県財政の生命線ともいえる地方交付税が実質的に減少に転じるなど、本県財政を取り巻く環境は、近年急速に厳しさを増しつつありました。こうした状況を踏まえ、平成15年度から財政健全化に向けた取り組みを行ってきたところですが、平成16年度の地方財政対策を受けた地方交付税の削減は予想の域を大きく超えるものであり、これまでの財政健全化に向けた取り組みが水泡に帰すほど影響が大きいものでした。
この結果、県財政が今日のような危機的な状況に至ったことについての責は、最終的には県行政の最高責任者である知事が負うべきものであり、財政再建団体への転落を何としても回避すべく、財政改革を不退転の決意で進める覚悟です。こうした点について、今後直接県民の皆様にお会いして説明し、御理解を求めていきたいと考えています。

2.財政危機を招いた原因(小泉政権)をより明確にすべきである。県の無謀な財政運営に原因があるとの印象ばかりであり、この様な事態が生じた経緯があまり理解されていない感じがする。

 【政策企画監室】
 現在国で進められている三位一体の改革において、平成16年度の改革内容が地方交付税の見直しのみ突出して先行された結果、地方全体が財政危機に陥っていることは事実であり、このことも含めて、今後あらゆる機会を通じて県民の方へ説明し、理解を求めていくとともに、国に対しても全国知事会などを通じて、本来の地方分権推進のための三位一体の改革が進められるよう働きかけていきたいと考えています。

 

3.財政危機をもっと以前から予測できなかったのか。

 【財政課】

 いわゆるバブル経済の崩壊以降、長期にわたる我が国の景気低迷を受け、公共投資や減税等の経済対策を行ないましたが、全国的に、期待したようには景気回復に繋がらず、近年、県税や地方交付税などの一般財源が大幅に減少してきました。
また、このような公共投資を本県の財政力からすれば高い水準で維持してきたことにより、公債費が増大しました。
このように本県財政が急速に悪化してきたことから、平成14年12月に「財政健全化指針」を策定し、財政改革に取り組んできたところです。
しかしながら、平成16年度の地方財政計画では、地方交付税等が対前年で12%も大きく削減される事態となりました。本県では、約220億円もの一般財源が一気に削減されたことになります。
今回の地方交付税総額の削減幅は、それまでの国(内閣府)自身の試算による見通しをはるかに上回るものであり、本県のみならず、各地方団体も想定できなかったものでした。
このため、本県だけでなく、全国の地方団体(道府県だけでなく、市町村も含めて)では、今後の財政運営についての見直しを行っています。

 

4.職員一同一致団結して、県民の先頭に立ってこの難局を乗り切る気概とその範を求める。

 【人事課】

 厳しい財政状況の中で、全ての職員が行政の役割や目指すべき目標を共有し、それぞれの仕事に全力で取り組むことが重要であると考えています。ご意見の趣旨を踏まえて、研修や新たな人事評価制度の構築などにより、職員の意識改革に取り組んでいきます。

5.自主再建策で当面の収支改善は進むだろうが、職員の健全な姿は期待できないと考えるので、いっそのこと再建団体の道を選択してはいかがか。

 【人事課、財政課】

 厳しい財政状況の中で、全ての職員が行政の役割や目指すべき目標を共有し、それぞれの仕事に全力で取り組むことが重要であると考えています。ご意見の趣旨を踏まえて、研修や新たな人事評価制度の構築などにより、職員の意識改革に取り組んでいきます。
また、いわゆる「財政再建団体」となった場合は、国の管理下で、公債費償還財源の確保が最優先となり、県の自主性・独自性が極めて制限された財政運営を強いられることになり、県独自の事業や施策展開ができず、県民サービスが大幅に低下することになります。
このことは、国の権力的関与に依存して県民に痛みや負担を負わせようとするものであり、地方自治の否定とも言うべきものであります。したがいまして、あくまでも県民が自らの判断と責任において、財政の建て直しを図っていくという意味で、自主的な再建に取り組んでいくべきものと考えています。

6.県民に対する説明は、具体的には何をなされるのか示されたい。

【政策企画監室】

 このたびの改革は、本県がこれまで経験したことのない大きな取組みであり、今後、県行政の守備範囲や行政サービスのあり方、さらには仕事のやり方など、県行政のあり方を抜本的に変革していくことになります。
このことは、県民の皆様に我慢を強いることになりますが、なんとしてもやり遂げなければなりません。
そのためには、県民の皆様に対して、現在の厳しい財政状況を認識いただくとともに、改革の内容について十分御理解いただくよう、ありとあらゆる広報媒体を活用するとともに、知事を始め、幹部が率先して地域に出かけ、直接県民の皆様とお会いし、説明していくことが何よりも重要であると考えています。
すでにテレビ等を通じて知事自らこの度の改革について訴えており、当面は8月に知事、副知事を中心として地域に出向いていくことを計画しています。

7.「県民のために県がある。」という原点に立ち帰り、事業選択の良い契機とすべきである。

【政策企画監室】

 今回の改革は、過去の延長線上での対応では限界があり、新たな発想への転換や、これまでの県行政のあり方の抜本的な見直しが不可欠であります。
このような視点に立ち、今後、相当厳しい事務事業の取捨選択や施策の優先順位付けを行っていくことになりますが、そうした中でも、県民生活に直結する分野の施策で特に県として引き続き行うべきものなど優先順位の高い施策については、他の施策を徹底的に見直すことにより所要の財源を確保していきたいと考えています。

8.危機感と改革意欲の信念が疑われるような行動で計画の信頼を失わないように。

【政策企画監室】

 今後、具体的に基本方針を策定するとともに、当該方針に基づき実行に移していきますが、厳しい中でも県民生活への影響を極力最小に抑えるために、知事をはじめとして職員が危機感と改革意欲の共通認識を保ちながら、一丸となって知恵を出し、工夫を凝らして改革に取り組んでまいります。

9.「財源の確保」の計画は、消極的、小手先の処理計画ではないか。観光や地場産業の振興など県税の増の考察が乏しい。

【政策企画監室】

 観光や産業の振興が財源の確保につながることは十分に認識しています。
「事務事業の見直し・削減」において、施策全体の徹底的な見直しを行うことにより、観光や産業の振興など県税の増につながる施策については、そのための財源の確保を図ることとしています。なお、観光や産業の振興は、今年度から重点プロジェクトとして特別に予算を措置して取り組んでいるところです。

10.人材育成を最重点に、市民主体の地域づくりからやりなおし、国依存から脱却した行政体制をつくるべきである。

【政策企画監室】

 この改革は、行財政運営のあり方を変える機会でもあります。県行政の守備範囲や行政サービスのあり方、これまでの仕事のやり方を抜本的に見直し、県民・企業・NPOなど多様な主体が持ち味を生かして地域づくりに参画する、自立的で持続可能な県政運営の実現を目指します。

11.財政が緊迫している中であるからこそ、事業実施が可能な方法として民間活力(PFI)の活用を提案する。

【政策企画監室】

 現在、湖陵病院を改築し、「県立こころの医療センター(仮称)」をPFI手法により整備することとしています。今後も様々な県事業を進める上で、民間のノウハウを活用し、効率的な整備と運営を推進してまいりたいと考えています。

12.公共事業による一時的な建設業の保護でなく、県民の雇用を最優先にする税金の使い道を考えていただきたい。

【政策企画監室、財政課】

 公共事業は、全国的には遅れている本県の社会資本整備を行うものであるとともに、雇用の場としても大きな役割を担っています。
しかしながら、厳しい財政状況を踏まえますと、公共事業費の削減は避けられないものと考えており、県民の雇用や、さらには県経済への影響も考慮しながら見直してまいりますが、一方で本県産業も自己改革をしていかなければなりません。
こうしたことから、平成16年度当初予算におきましては、新産業の創出など各種の産業振興施策に重点的に予算措置をしたところであり、これらの産業振興施策も活用し、県内企業自らも産業構造の転換に向けて、積極的・能動的に取り組んでいただくことを期待しています。

13.事務事業の具体的な改革手法・個々の削減数値が不明確である。

【政策企画監室、財政課】

 この度お示しした「中期財政改革基本方針(骨子)」は、構造的収支不足を圧縮するための具体策を掲げる基本方針に向けて、そのフレームを示したものであり、最終的な基本方針は10月にお示しすることになります。また、その基本方針に沿って1つ1つの事務事業の規模がどの程度になるかは、秋から冬にかけての予算編成により決定することになります。
今後、県民の皆様の意見も踏まえながら施策の優先順位を判断し、また大規模プロジェクト等については事業ごとに個別に精査するなど、具体的な見直し作業を進め、なるべく早い段階で公表をしてまいります。

14.事業費を概ね半減するに当たり、施策の優先順位と部局調整枠の整理が不明である。

【政策企画監室、財政課】

 現在、「中期財政改革基本方針」を策定中ですが、骨子において各種事業費を概ね半減としており、具体的な方策について、基本方針策定までになるべく早い段階で公表をしてまいります。
部局調整枠の一般施策経費については、全体として半減することを前提に施策の優先順位に応じて傾斜配分を行った上で、各部局に配分する総額を決定し、各部局においては配分された額を基に、施策の優先順位を念頭に置きながら部局の判断で個々の予算編成を行う方向で検討しています。

15.財源不足が大きくなる前から、国や世間の動きを適切に捉え、一歩でも早く先取りしていく姿勢と行動が必要ではなかったのか。

【財政課】

 いわゆるバブル経済の崩壊以降、長期にわたる我が国の景気低迷を受け、公共投資や減税等の経済対策を行ないましたが、全国的に、期待したようには景気回復に繋がらず、近年、県税や地方交付税などの一般財源が大幅に減少してきました。
また、このような公共投資を本県の財政力からすれば高い水準で維持してきたことにより、公債費が増大しました。
このように本県財政が急速に悪化してきたことから、平成14年12月に「財政健全化指針」を策定し、財政改革に取り組んできたところです。
しかしながら、平成16年度の地方財政計画では、地方交付税等が対前年で12%も大きく削減される事態となりました。本県では、約220億円もの一般財源が一気に削減されたことになります。
今回の地方交付税総額の削減幅は、それまでの国(内閣府)自身の試算による見通しをはるかに上回るものであり、本県のみならず、各地方団体も想定できなかったものでありました。
こうした事態を受け、これまでの取組みを大きく上回る歳入歳出全般にわたる改革が不可欠であることから、「財政健全化指針」に替わる中期的な財政改革の基本方針を策定することとし、今回その骨子を公表したところであります。
今後、様々なご意見を踏まえ、10月に「中期財政改革基本方針」を策定し、全力を挙げてこの改革に取り組みます。

16.全国平均的な施策以外はゼロベースでの見直しが必要である。

【財政課】

 「中期財政改革基本方針」の骨子においては、各種事業費を概ね半減としておりますが、このようなこれまでの取組みを大きく上回る財政改革を行うにあたっては、法律等で実施を義務付けられている事業以外は、県単独の事業はもとより、国庫補助事業等についても、ゼロベースでの見直しが必要と考えております。

17.単に事業量を減らすのではなく、原則として事業の再構築により行政の効率性を高めるよう方向づけるべきである。16年度予算のように重点テーマを設定するとか、県単補助金を再構築するとか。

【財政課】「中期財政改革基本方針」の骨子においては、各種事業費を概ね半減としておりますが、このようなこれまでの取組みを大きく上回る財政改革を行うにあたって、県単独の奨励的補助金については、ゼロベースでの見直しを行います。
また、平成16年度から実施している重点プロジェクトについては、引き続き重点的に財源を配分するとともに、その他の事業についても総合計画における施策の優先順位付けを反映し、財源の傾斜配分を図ります。

18.基本計画には、今回の財政改革を事業改革のチャンスと捉えたプラス面の内容も何らかの形で加えてほしい。

【財政課】

 今回の財政改革は、行財政運営のあり方を変える機会でもあります。県行政の守備範囲や行政サービスのあり方、これまでの仕事のやり方を抜本的に見直し、県民・企業・NPOなど多様な主体が持ち味を生かして地域づくりに参画する、自主的で持続可能な県政運営を目指します。

組織・職員

19.県職員を民間企業に派遣して体験研修すべきである。

【人事課】

 厳しい財政状況の中で、全ての職員が行政の役割や目指すべき目標を共有し、それぞれの仕事に全力で取り組むことが重要であると考えています。ご意見の趣旨を踏まえて、研修や新たな人事評価制度の構築などにより、職員の意識改革に取り組んでいきます。

20.職員が早出、自ら清掃、草取り等を行うように推奨すべきである。

21.県職員は役人気質を捨て、経営感覚を持って職務に遂行すべきである。

22.県職員は県民から親しまれ愛される職員になってほしい。

23.サービス向上が、職員一人一人の努力でできるのであればやるべきである。マナーアップ運動では不十分である。

24.警察署、県立学校の統廃合、地方機関の見直しなど、県民にとってどうなのかを考えてやってもらいたい。

【人事課、教育委員会、警察本部】

 県の地方機関については、約30年前に概ね現在の配置・所管区域として以来、県民の生活は交通網の整備などにより生活圏が拡大し、市町村においては権限移譲や合併などにより機能が拡大するなど、大きく状況変化が起こっています。このため、本庁や市町村との役割分担を明確にし、より簡素で効率的な執行体制の構築に向けて、平成16年3月に「見直し検討報告書」を作成し、県民各層から広くご意見を伺ったところです。
今後、県の財政改革による事務事業削減の具体化に伴い、本庁・地方機関を通じて、さらに踏み込んだ組織の見直しを検討することとしています。
県立学校については、平成16年6月に「県立学校後期再編成計画(後期計画)」を策定し、平成16年度から20年度の間に、県立学校の統合再編成を進めることとしています。
このことは、中学校卒業者数が、約8,600人から7,200人と今後5年間で約1,400人の減少の見込みです。学校が一層小規模化していくため、学習面、部活動、学校行事など学校生活の様々な場面で生徒に不利益をもたらすということが背景にあります。こうした事態を回避するためには、統合再編成によって一定規模の学校としていくことが必要と考えています。一定規模の学校にすることによって、多様な選択肢の中から生徒が主体的に授業や部活動を選択することや、生徒がさまざまな場面で多様な個性や価値観と触れあい、切磋琢磨することができる環境など、生徒にとって魅力と活力ある学校づくりが可能となると考えています。
このように、学校の統合再編成は、生徒主体の教育的観点から行うものであることをご理解いただきたいと思います。
警察署の統廃合については、厳しい治安情勢の中、「良好な治安」を広く等しく県民が享受するためには、より力強い警察活動を推進する必要があり、治安の現場強化を主眼とする警察署の再編は避けて通ることができない課題であると考えています。
県警察においては、廃止地域の安全対策を図るため、警察署に代えて必要な機能を有した交番を設置し、地域の治安レベルの維持向上に万全を期すこととしています。

25.県立機関・外郭団体については積極的な見直しが必要である。

【人事課】

 県の地方機関については、簡素化の方向で再編計画案を策定したところですが、今後、事務事業削減の具体化に伴い、本庁、地方機関を通じて、さらに踏み込んだ組織の見直しを検討することとしています。
外郭団体については、昨年度、団体のあり方や県の人的・財政的関与について見直しを行い、2団体の解散及び5団体の事務局統合、県からの派遣や財政支出の削減等を行ったところです。また、今年度からは、「島根県が出資する法人の健全な運営に関する条例(H14年12月)」に基づく経営評価を実施するとともに、「島根県外郭団体に関する指導監督指針(H16年3月)」による適切な指導監督の実施や公の施設への「指定管理者制度」の導入などを機に、さらに徹底した見直しに取り組みます。

26.市町村合併を機会に小規模小学校の積極的な統合により、人件費削減と教育効果向上を推進するべきである。

【義務教育課】

 小学校の統合については、県の施策・方針により画一的に行われるものではなく、設置者(市町村)の主体的な判断により行われるものですので、市町村合併を契機として各市町村で検討が進められていると認識しております。
確かに統合を進めれば教員の定数減による人件費の削減にはなります。しかし、教育効果については、それぞれの学校において、児童一人一人に応じたきめ細かな教育や地域の特性に応じた教育を進めていくことが大切であると考えております。
こうしたことから、学校の統合については、各市町村の実情に応じて、慎重に検討される必要があると考えております。

27.地方機関を見直すべきである。

【人事課】

 県の地方機関については、簡素化の方向で再編計画案を策定したところですが、今後、事務事業削減の具体化に伴い、本庁、地方機関を通じて、さらに踏み込んだ組織の見直しを検討することとしています。

28.県庁内の組織の統合を強く求める。

29.事業がなくなれば職員もいらなくなるので今後は課の統廃合を含めた抜本的な組織の見直しが必要である。

30.職員の勤務形態を多様化を図り、フレックスタイムの導入し時間外勤務をなくすべきである。

【人事課】

 時間外勤務の縮減については、職員の健康及び福祉に与える影響等を考慮し、業務体制の見直しや事務事業の整理・合理化、事務処理の改善等により最小限にとどめなければならないと考えています。ご意見のあった職員の勤務形態の多様化についても、検討していきたいと考えています。

31.職員の余剰人員が生じれば、金のかからないソフト事業を構築することを検討すべきである。

【財政課】

 今回の財政改革は、行財政運営のあり方を変える機会でもあることから、県民・企業・NPOなど多様な主体が持ち味を生かして地域づくりに参画する、自主的で持続可能な県政運営を目指す必要があります。
一方で、事業の見直しに伴い職員配置に余裕を生じた場合には、必要な分野への再配置等について検討していきますが、予算がなくても、あるいは少額でも構築可能なソフト事業(ゼロ予算事業)の展開はもとより重要なことと考えています。

32.総人件費の抑制については、給与カット率のほか定期昇給の取扱いも含めた姿で公表すべきである。

【人事課】

 財政再建団体転落を回避するための緊急措置としての人件費抑制の手法としては、短期間に相当額の削減額が見込め、職員間の公平さがより確保できること等の理由により、昇給延伸よりも給与カットを選択したところです。

財政・削減

33.当面の緊急避難措置の内容は起債での対応であり、早い期間に起債制限が懸念される。

【財政課】

 本県の起債制限比率は、平成17年度以降の普通建設事業を平成16年度当初予算と同レベルで維持した場合には、平成19年度以降当分の間20%を超えると推計しています。
また、平成17年度以降の普通建設事業を相当程度削減したとしても、その効果を発揮するのは据置期間である3年経過後であるため、平成19年度以降の数年間は20%を超えるものと思われます。
起債制限比率が20%を超えれば、実質的に県単独の建設事業ができなくなることから、何としてでも避けなければならないと考えております。
「中期財政改革基本方針」骨子に示している緊急避難措置のうち、地域再生事業債の発行、財政健全化債、退職手当債による資金手当については、当面の収支不足額の一部を起債発行によって手当てしようとするものであり、起債制限比率を引き上げる要因ともなります。
したがいまして、普通建設事業を相当程度削減するとともに、起債の繰上償還や、償還期間の延長などの対策により、起債制限比率がピーク時でも20%を超えないよう取り組んでまいります。

34.投資的経費の見通しについて、どのように推移するのか公表してほしい。

【政策企画監室、財政課】

 本県では、年2回(5月、10月)に中期財政見通しを公表しています。その中で、公共事業費や特別需要経費として投資的な経費の見通しを示しております。
なお、10月に策定する「中期財政改革基本方針」において、県経済や雇用への影響なども含め、公共事業費などの投資的経費の今後の削減についても方針を明らかにすることとしていますが、公共事業費については、平成20年度までの半減を目途に、平成18年度までの2年間で概ね3割減の水準まで抑制を図る必要があると考えております。

35.教育分野での予算削減をしないでいただきたい。また、教育現場にパソコンの1人1台など目に見える形での予算配分をお願いする。

【財政課】

 「中期財政改革基本方針」の骨子においては、各種事業費を概ね半減としておりますが、このようなこれまでの取組みを大きく上回る財政改革を行うにあたっては、教育分野といえども県単独の事業を中心に聖域を設けることなく見直しを行う必要があるものと考えております。
また、パソコンの整備については、教育現場での必要性及び財源等を考慮し、検討します。

36.抜本的な高齢者施策の構築を図るべきである。介護給付費の削減、特養等施設建設費負担の削減により介護予防事業の推進を図るべきである。

【高齢者福祉課】

 介護保険制度がスタートして4年あまりが経過したところですが、制度が定着化する中で、要支援・要介護認定者やサービス利用者は着実に増え、それに伴う介護給付費の負担も年々増加しているところです。
こうした中で、介護保険の対象とならない元気高齢者対策や軽度要介護認定者の介護度を悪化させないための介護予防の取り組みがますます重要になってきており、県におきましても各種事業をとおして、今後とも介護予防に向けた施策を積極的に進めていく考えです。
なお、介護保険給付費の県負担は介護保険法に基づくものであること、また、特別養護老人ホーム等サービスの基盤整備は県民ニーズが極めて高いことから、地域のニーズを踏まえた一定の施設整備は必要と考えております。

37.就農への予算がなくなると、新規就農は非常に難しい(無理)のではないか。

【農業経営課】

 厳しい財政状況の中、農業分野といえども県単独の事業を中心に聖域を設けることなく見直しを行う必要があると考えておりますが、このような中にあっても、今後の農業を担う新規就農者の育成・確保は極めて重要な事柄ですので、島根県で農業にチャレンジしてみようとされる方々に対する農業改良普及員による各種情報の提供や、個々の経歴や農業に関する知識及び技術の習得段階に応じた技術指導などの支援を積極的に行い新規就農者の確保を図ってまいりたいと考えております。

38.医療、福祉、教育などは削減してはならない文字通りの聖域であり、絶対に許されない。

【政策企画監室、財政課】

 「中期財政改革基本方針」の骨子においては、公共事業費などの投資的経費を含む各種事業費を概ね半減としておりますが、このようなこれまでの取組みを大きく上回る財政改革を行うにあたっては、あらゆる分野の行政サービスについて徹底した検証を行い、抜本的な見直しを行う必要があり、医療、福祉、教育分野の予算についても県単独の事業を中心に聖域を設けることなく見直しを行う必要があるものと考えております。
ただし、その際、医療・福祉・教育・安全の確保など県民生活に直結する分野で特に県として引き続き行うべきものなど優先順位の高い施策については、他の施策を徹底的に見直すことにより所要の財源を確保することとしています。

39.外郭団体に委託している事業についてNPO法人などが参加した競争入札で委託者を決め委託費の削減を図るべきである。

【財政課】

 外郭団体に委託している事業のうち、公の施設の管理については、これを委託できるのは、これまでは出資法人、公共団体、公共的団体に限られていましたが、学校教育法等個別法で制限されているものを除き、民間事業者等も参入できることとなりました。これは、指定管理者制度と言い、既に、出雲市に4月にオープンした「しまね花の郷」では、公募によりNPO法人を指定管理者としています。平成17年4月からは、現在外郭団体等に委託している施設にもこの制度を導入することとしておりますので、より経費節減等が図られるものと考えております。
また、外郭団体に委託等をしている事務事業については、事業の専門性、サービスの質の確保の要請等の観点から、全ての事業を競争入札等によることはできないものと考えておりますが、現在取り組んでおります外郭団体の見直しの中で、外郭団体のより効率的な運営に努めるとともに、外郭団体以外でも委託可能な事業については、NPO法人等への委託も検討してまいります。

40.執行段階での縮減は、執行保留で対応すべきではない。

 【財政課】

 平成16年度予算の執行に当たっては、地方交付税等の大幅な削減を受けて、地方交付税の額が決定するまで予算の一定額を執行保留としました。
執行保留は、予算執行段階での縮減努力を促す上で有効な手段であると考えております。今後、予算規模が大きく縮減する中で、その取扱いについても検討してまいります。

節減(組織・職員)

41学校教育は国、県、市町村教育委員会、学校と多段階の階層により運営されている。権限移譲により、この階層を減らすことによるコスト削減、意志決定の迅速化が図られないか。

【教育委員会】

 権限委譲の促進により行政の効率化・スリム化を図り、行政コストを削減することは、重要な改革の視点であると認識しています。
ご提案のあった具体的な個別の事務について権限委譲が可能かどうかについては、法令上の制約の外、事務量・処理体制等を考慮し検討していく必要があります。
現在、国においては中央教育審議会で「地方分権時代における教育委員会の在り方」について議論されていますが、県においては、これら教育行政の動向を踏まえつつ、教育事務所の在り方を検討中で、権限委譲等についても検討を進めていきたいと考えています。

42.母子自立支援員と女性相談員の枠を取り外し、どちらの相談業務にも対応可能な職員の配置により効率化が図れるのではないか。

【環境生活総務課、青少年家庭課】

 母子自立支援員と女性相談員は設置根拠も業務内容も異にするものであり、双方の業務を兼務することは極めて困難と考えられます。
兼務で行う場合、母子、女性、DV相談のもつ問題の困難性を勘案すると、それぞれの業務に関する専門的な知識と相応の資質が求められるため人材確保が難しいこと、また、業務量が多くなるため円滑な活動ができなくなること、相談者のニーズに十分応えられなくなることが懸念されます。
さらに、県で配置する母子自立支援員は県福祉事務所管内の町村を所管し、また各市には市で配置されています。なお、女性相談員は全県が所管区域となります。
以上のことから、母子自立支援員については今後市町村合併に伴う県地方機関の見直しの状況により、その配置を総合的に検討していく必要があると考えています。

43.県職員の年収を民間企業並みに見直すべきである。

【人事課】

 県職員の給与については、民間企業の給与実態調査の結果を踏まえた人事委員会勧告に基づき、条例で定められていますが、現在、国家公務員の給与において、地域における給与のあり方が検討されており、その動向を注視していきます。

 

44.毎月の給料カットも結構だが、県職員のボーナス(期末・勤勉手当)を全廃してはいかが。

【人事課】

 県職員の給与は、人事委員会勧告に基づき、条例で定められていますが、給料カットについては、財政再建団体への転落を回避するため、緊急避難的に実施しているものです。
期末勤勉手当については、民間企業のほとんどで支給されているものであり、県として廃止する考えはありませんが、17年度からは、期末勤勉手当についても、カット率を適用し、減額する方針です。

45.職員給与費を当初予算の一定割合に抑える方針を設定してはいかがか。

【財政課】

 平成12年度以降の5年間の当初予算では、職員給与費を含む人件費の予算総額に対する割合は22.4〜23.2%です。
今後、総人件費の抑制は不可欠ですが、その数値目標としては、平成20年度までに500人の定員を削減すること等を掲げて取り組んでおります。一方で、平成19年度以降当分の間は退職者の増加に伴い退職手当の増大が見込まれること、今回の歳出削減によって予算規模が大きく縮小することなどから、あらかじめ職員給与費を当初予算の一定割合に抑えるといった目標を掲げることは困難であると考えています。

46.定年退職者の補充は行うべきではない。

【人事課】

 若者の雇用の場の確保と組織活力の維持のため、最小限の新規採用枠を確保することとしていますが、平成14年4月から平成20年4月までの6年間で500人の職員を退職不補充により削減することとしております。

47.定年退職者を、嘱託職員・臨時職員を含めて再雇用すべきではない。

【人事課】

 定年退職者の能力、経験を県行政の場面で活用することも必要であると考えていますが、職員の500人削減を達成しながら新規採用枠を確保するため、500人削減対象部門においては、当面、原則として再雇用(再任用制度)を停止したいと考えています。

48.県職員の数が多い。夫婦県職員など県職員の早期退職勧奨を実施すべきである。

【人事課】

 簡素で効率的な行政運営を進める意味で、平成14年4月からの6年間で職員500人を削減することとしています。また、平成14年度から今年度まで、早期退職特例制度を設け、早期退職者を募っているところですが、来年度以降の取り扱いについても検討することとしています
臨時・嘱託職員についても、当面、必要最小限の配置とし、削減を行いたいと考えています。

49.人件費の減額や人員削減の計画があるが、人員削減がベストだと思う。臨時・嘱託職員も多すぎる。

50.運転手が多い。土木事務所に行くと運転業務を待っている状態である。

【人事課】運転業務については、現在見直しを検討しており、今後は、職員自らが運転することを原則としたいと考えております。

51.庁舎清掃等施設管理について、時間の余裕があれば職員で対応可能な部分もあるのではないか。

【人事課、管財課】庁舎の清掃等については、「民間にできることは民間に委ねる」との考え方に立って、専門業者に委託し、職員はそれぞれの本来業務に専念することにより、全体として効率的な事務の執行体制をとることとしています。
これを前提として、職員の人員配置については、業務量に応じた適切な配置に努めていますが、厳しい財政状況の中で、全ての職員が行政の役割や目指すべき目標を共有し、それぞれの仕事に全力で取り組むことが重要であると考えており、御意見の趣旨を踏まえて、職員の意識改革に取り組んでいきます。
なお、清掃警備の委託料については、平成15年度は清掃の回数やグレードの見直しにより、平成14年度比約1,100万円、平成16年度は警備委託積算の見直し及び複数年契約の導入により、平成15年度比約2,500万円の節減を行っております。
清掃警備など施設の維持管理費の節減については、今後とも一層の努力を行いたいと考えております。

52.被服貸与等福利厚生経費は削減が可能である。

【職員課】

 平成16年5月に策定した「中期財政改革基本方針」骨子にも「内なる改革の徹底」として、「被服貸与等福利厚生関係諸費」のさらなる効率化・スリム化を具体的取組として挙げております。
今後、各方面の意見を聴きながら、見直しと必要な措置をとってまいります。

53.職員の県内出張に係る日当を廃止すべきである。

【人事課】

 職員の出張の際の日当につきましては、現地交通費や通信費等の経費に当てるものであり、基本的に実際に経費が必要な場合に支給することとしています。なお、平成16年度から、公用車を利用して出張する際は、日当の支給を廃止しました。

節減(施設等管理)

54.財政改革案として、知事公舎の売却、知事の退職金全額カット、利用の少ない1月4日や盆期間の閉庁による維持管理費の削減を提案する。

【管財課、人事課】

 知事宿舎には、公務来客用としてのいわゆる「公邸」部分が必要であり、これを考えると一戸建て住宅が必要と考えております。また、退職手当については、特別職を含め適切な額が支給されるべきものであり、閉庁日の増加については、県民サービスの確保の観点から慎重に対処する必要があると考えています。

55.松江城を中心として、県関係の建物の整理統合を推進すべきである。また、駐車スペースを確保してもらいたい。

【管財課】

 県庁周辺の県関係庁舎や付随する駐車スペースの整備については、現在、県の事務事業ひいては組織体制自体のあり方について抜本的な見直しを図っていること及び現在の厳しい財政事情を勘案すると、当面直ちにこれに取り組むべき段階にはないと考えています。

56.県立図書館の勉強室が減ったが、次代を担う若者のために、県庁周辺で、老人ボランティアを活用し、勉強室の提供ができないか。また、使用頻度の低い蔵書を保管する部屋の提供ができないか。

 【生涯学習課(管財課)】

 御意見のありました県庁周辺での学生の勉強室等の提供については、調べてみた範囲では困難な状況です。
県立図書館内での提供については、施設の利用計画等の整理を行って、この夏休みや土・日など可能な限り、学習できるスペースの提供に努めてまいります。

57.職員宿舎の料金見直し以前に、職員の単身寮はニーズも少ないので廃止し管理費を削減すべきである。

【管財課】

 単身寮とあるのは、独身寮のことと思われます。
独身者が食事等の心配をすることなく、職務に専念できる宿舎タイプとしての寮も、選択手段の少ない地域では重宝されているものの、他の選択手段が多い都市部では、そのニーズが減少しているのも事実です。
このため、現在でも1地域に複数の寮を有している場合で、双方とも空き部屋がある場合は統合するなど進めていますが、今後とも整理が必要なものについては、統合、廃止等も検討し、管理費削減に結びつけたいと考えています。

58.職員宿舎の売却・民間管理を検討すべきである。

【管財課】

 宿舎の売却について、(1)毎年の人事異動において、短期間のうちに個々の職員が異動先で民間アパートを確保しようとする負担は相当なエネルギーが必要と考えられること、(2)民間アパートの少ない地域での対応等の課題を内包しており、現時点においての売却については、慎重な対応が必要であると考えております。
民間管理について、入居者貸付調整事務は業務委託になじまないと考えていますが、施設の修繕、貸付料の徴収などの業務委託については、今後事務事業の改善・整理合理化の中で検討を続けたいと考えています。

59.電子システム運用経費は今後益々増加することが懸念されるので対策が必要。

【情報政策課】

 ご指摘のように電子システム運用経費は行政事務の電子化の推進とともに増加していくことが見込まれる状況ですが、この度の中期財政改革基本方針骨子においては、行政の効率化・スリム化を目指す中で、電子システム運用経費の縮減も取り組むべき課題として掲げております。
行政事務の電子化は、県民の利便性を向上させるとともに、行政の全体コストを縮減することを目的に進めてきており、その中で電子システムの運用に当たっても、運用形態や運用経費の見直し等可能な限り取り組み、県全体のシステム運用の効率化に努めることとしております。
また、新たな電子システムを導入する際にも、県と市町村共同でのアウトソーシング等の新たな手法の検討や、導入経費に毎年発生する電子システム運用経費を含めたトータルコストとしての費用対効果や県全体のコストの縮減の観点からの検討を徹底して進めてまいります。

節減(公共工事)

60.土木予算は減ってきたといってもまだ多い。どんどんカットすべきである。

【財政課】

 平成16年度当初予算においては、土木費は1,168億円余であり、予算総額の19.3%です。土木費が最も多かったのは、経済対策が行われていた平成10年度の最終予算で、1,986億円余であり、予算総額の27.2%でした。したがって、土木費は、ピーク時からは予算額で41.2%の減となっています。
土木費のうちの多くが公共事業費です。公共事業は、全国的には遅れている本県の社会資本整備を行うものであるとともに、雇用の場としても大きな役割を担っております。
しかしながら、厳しい財政状況を踏まえますと、他の事業と同様に公共事業費についても見直し・縮減は避けられないものと考えております。

61.城山北公園線拡幅工事など、無駄な公共事業は、一日も早く廃止するべきである。

【土木総務課】

 継続中の公共工事につきましては、平成10年度から公共事業再評価委員会を設置し、事業着手後一定期間を経過した事業について、その必要性や費用対効果を徹底して検証し、事業の継続や中止などの判断を行っており、従来から、効率的、効果的な事業実施に向け種々の取り組みを行っておりますが、限られた財源の中で、今後はさらに事業の取捨選択に対する取り組みを強化してまいります。

62.民間との比較で高すぎると考える公共工事の単価を見直すべきである。

【技術管理室】

 公共工事の積算は、工事の施工に必要な「直接工事費」と工事に伴い必要となる「諸経費」により構成されています。
「直接工事費」はそれぞれの工種ごとの数量に施工単価を乗じた工種金額を合計したもので、施工単価は主に資材、労務費、機械損料で構成されています。
資材単価、労務費単価、機械損料及び施工歩掛は民間工事を含めた市場の実態調査を行い、一番多く使われている価格を採用しており、適正であると考えています。またその単価等については公表しています。

63.土木工事に係る経費率を削減し、工事量を増していくべきである。

【技術管理室】

 土木工事の経費率(諸経費)は工事に伴い必要となる運搬費等の「共通仮設費」、現場の労務管理等の「現場管理費」、請負会社の運営費用等の「一般管理費」から構成されており、実態調査に基づき定め、公表しています。(一般的な土木工事では直接工事費の50%〜60%程度です。)
公共事業は、社会資本を整備する目的で行われており、安全性や耐久性等の基本的な機能や品質を確保するうえからも、必要な諸経費を削減することは適切ではありません。

節減(議会)

64.県議会議員の政務調査費360万円/人はムダであり、そんなに使う用途はないので、大幅カットすべきである。

【議会事務局】

 議会が県政の重要課題の解決に向けて、積極的な調査研究を行うためには、とりわけ議員の活動基盤の充実強化が不可欠であります。政務調査費はこの県政の調査研究のため、会派及び議員に対し、月額30万円が交付されており、現行の交付額は平成13年に改正したものです。また、その使途基準も明確に定められ、収支報告書についても県内に住所を有する者の閲覧ができることとしています。

65.鳥取県が提案した「県知事・県議会議員選挙特区」を導入し、選挙経費を削減してはどうか。

【市町村課】

 選挙の執行にあたりましては、もとより経費の節減に努めてまいっているところです。
ご提案の県知事・県議会議員選挙特区の導入につきましては、今後、鳥取県の提案に対する国の関係省庁間の調整状況及び特例措置化の可能性を注視するとともに、本県において導入する場合の効果等を検討してまいりたいと考えております。

節減(環境・福祉・文化・公用車)

66.ゴミ拾いのための袋などは各家庭で余った買い物袋で済ませるべきである。印刷までして作るから赤字が膨らむ。

【教育委員会(廃棄物対策課)】

 このことについては、大社高校をはじめとした地元の皆様方が毎年実施されている「みんなで守ろうきれいなふるさと運動」の一環として取り組まれたものです。例年、稲佐の浜を清掃されているようですが、今年は「中国04総体」の開催に合わせて観光スポットや競技会場周辺を清掃されたものです。(山陰中央新報社H16.6.16掲載記事を要約)
このような地域活動に高校生が参加することは、教育的に大変有意義であると考えております。
ご指摘のありましたように、経費節減の観点からは既存のゴミ袋等を活用した清掃活動が望ましいとは思いますが、今回の清掃活動においては、「出雲広域圏ポイ捨て禁止推進協議会」が作成されたゴミ袋が利用されたようです。

67.乳幼児医療費や福祉医療費助成金など、財政改革だからといって県民に密接に関わる福祉分野も一律に見直すべきではない。

【医療対策課、障害者福祉課】

 福祉医療費助成事業につきましては、重度心身障害児・者等の福祉の増進に寄与していることを踏まえ、今後とも安定的に継続できる制度にするという観点から、単に一律ということではなく、幅広く検討のうえ見直しを行いたいと考えております。
乳幼児等医療費助成制度につきましても、乳幼児の健康維持や子育て世帯への支援に大きく寄与する極めて重要な制度と考えており、今後、制度のあり方について県民の皆様からの意見に配慮するとともに、実施主体である市町村と充分に協議し、様々な角度から幅広く検討していくこととしております。

68.芸文センターと歴史博物館はムダである。今すぐ作るべき施設とは思えない。

【政策企画監室】

 現下の厳しい財政状況を考えれば、大規模プロジェクトの実施について賛否、様々な意見があることはもっともなことと思います。
そうした意見を踏まえつつも、特に芸術文化センターと古代出雲歴史博物館については、地域発展や住民の期待、産業振興、観光振興、教育機会の充実、さらには島根の将来の礎を築くなど様々な観点から検討した結果、建設を実施することとしました。
なお、管理運営費等については、さらなる見直しを行い、開館に向けた整備を進めているところです。

69.文化関連施設の管理費はある程度削っても仕方ないが、文化・芸術関連事業費を削るのは大反対である。

【文化振興課】

 ご意見の趣旨はよく分かりますが、なるべく短い期間で財政再建を果たすことを最優先の課題と考えておりますので、今後は、幅広く県民のご意見を聞くとともに、県庁内の議論もふまえ、その上でこれからの文化事業の方針を考えていきたいと思います。

70.県の公用車を全部軽自動車にしたり、出張用の交通チケットを大量一括購入するなどの細かな費用削減と公共事業などの大きな面からの費用削減と両面で取り組んでいただきたい。

【財政課、会計課】

 現在でも、業務の内容によって公用車の車種(乗用車、バン、軽自動車など)を決めておりますが、業務量の減少や組織の再編などを踏まえ、より効率的な公用車のあり方について検討しています。なお、業務の必要性から全ての公用車を軽自動車にすることは現実的でないものと思いますが、台数の適正化や車種の小型化、軽自動車化について、検討を進めてまいります。
また、旅費の支給方法についてもより効率的な方策を検討しており、内部管理的な経費はもとより、公共事業費を含めたあらゆる事業について見直し・削減を図ってまいります。

増収(県税)

71.県内に支店や営業所を持つ法人は、本社集中管理により法人税を本社所在地で納めているが、島根県に納税することにできないか。

【税務課】

 法人税は国税であり、その納税地は本店又は主たる事務所の所在地となっているところであり、県内に支店や営業所がある場合は、本店所在地の税務署に納税することとなり、その税収は国の収入となります。
ところで、法人の所得に対しては県税である法人事業税がかかります。この税金は本店又は主たる事務所の所在地以外に支店や営業所がある都道府県も課税しています。納税する額は、一般的には従業員数で按分することにより算出します。
また、法人に対しては、県税である法人住民税(県民税と市町村民税)がかかります。この税金も法人事業税と同様に本店又は主たる事務所の所在地以外に支店や営業所がある都道府県も課税しています。納税する額も、従業員数で按分することにより算出します。

72.島根県を通過するだけの大型トラックに対し、環境協力税を徴収できないか。

【税務課、環境政策課】

 島根県の大気環境は全国的にみて良好な状況にあり、沿道地域の大気汚染状況を監視している自動車排ガス測定局での常時監視結果を見ても、黄砂などの影響を除けば、大気環境基準に適合する状況にあります。
島根県が行っている自動車騒音の常時監視結果によれば、騒音環境基準の超過地域においては、昼間超過する地域が夜間も超過する傾向にあり、大型車の夜間交通が沿道の騒音環境の悪化を招いているとは、必ずしもいえません。
また、道路交通に係る大気汚染・騒音・振動等の公害苦情件数は、全体の1%以下の状況にあります。
このような状況を考えると、環境対策の面から島根県を通過する大型トラックに対し税金を課することについては、その課税方式、対象物件の把握などを考えると、現段階では、必要性についての合意形成は難しい状況にあると考えます。

73.課税自主権の活用は慎重に行うべきである。

【財政課、税務課】

 平成12年度の地方分権一括法の施行により地方の課税自主権が拡充され、本県においても課税自主権の活用について検討を続けてきたところです。
課税自主権は、新たに税目を起こして課する法定外普通税と法定外目的税が特徴的ですが、そのほかに法定税目の標準税率について独自に税率設定して課する超過課税あるいは不均一課税もあります。さらに税の課税免除制度や減免制度も広義には課税自主権に含まれています。
今回のご意見にある課税自主権は、法定外普通税、法定外目的税又は超過課税などの財源確保に結びつくものと考えられますので、これらの手法による財源の確保についてお答えいたします。
本県では、平成13年1月に設置した島根県税制検討会が平成14年1月に島根県における独自課税の報告書で「産業廃棄物に関する税」と「水源かん養に関する税」の構想を公表しました。
このうち、「産業廃棄物に関する税」については昨年の10月に島根県地域環境税制懇話会を設置し、導入の是非を含めて検討を行っていただきました。懇話会からは「産業廃棄物の環境への負荷を抑制するという観点からは、原因者負担を基本とすべきであり、経済的手法としては法定外目的税が適当な方法である。」という結論をいただき、本年3月から県下28会場での説明会を含め、県民の皆様から幅広くご意見をいただきました。本年6月県議会において「産業廃棄物減量税」を導入することが決定されたところです。
また、「水源かん養に関する税」については、本年6月に県議会総務委員会等で、「水と緑の森づくり税(仮称)」の骨子案を公表したところですが、7月からは地域広公聴会を開催したりパブリックコメントを実施し県民意見を募集しているところです。また、「しまね水と緑の森づくりフォーラム」やシンポジウムを開催し本県の考え方についてお聞きいただくと共に、県民の皆様と意見交換などを行っていきたいと考えています。
これからの地方自治は住民と正面から向き合って自らの責任と負担で施策を進めていく必要があると考えています。ご意見にありますように、課税自主権の活用に対してご理解がいただけるかどうか、本県では県民の皆様と十分に話し合い慎重に判断して参りたいと考えております。
なお、歳出削減の努力を徹底した上で、どうしても必要とされる県単独の県民サービスを行う場合、他の財源によることが不可能であれば、超過課税も検討せざるを得ないと考えております。

74.税収アップを図るため、交通アクセスを活かした企業誘致や地場産業を複合化した企業の育成を図ってはいかがか。

【産業振興課、企業立地課】

(1)交通アクセスを活かした企業誘致について

 企業の誘致は、県内における雇用の拡大と税源の涵養のために、最も即効性のある施策として、昭和36年度から本格的に取り組んできました。
平成14年の工業統計調査によりますと、誘致企業は、本県製造業の製造品出荷額の約2分の1を占めています。
ご指摘のありました交通アクセスを活用した企業誘致については、従来からも重点的に取り組んできましたが、空港、高速道路などの高速交通網や浜田商港の5万トンバースなどの交通インフラが整備されてきておりますので、本県の立地条件、特に整備が進んだ交通インフラを企業に積極的に売り込みむとともに、企業が求める立地条件を的確に把握して、立地優遇制度などの条件整備や誘致活動の手法を工夫するなどにより誘致活動を更に強化して企業進出を促進し、税収のアップを図ることとしています。

(2)地場産業を複合化した企業の育成について

 地方分権の時代にあって島根県が安定・持続可能な地域経済を行うためには、地域経済の自立に向けた産業振興施策の展開が不可欠と考えています。
そのためには、島根に根ざした産業である地場産業の育成、発展に向けた施策展開が重要と考えており、事業の複合化などを含めた様々な経営革新に取り組む地場産業企業の支援に努力してまいります。

 

増収(県有財産)

75.県職員宿舎家賃の早急かつ大幅な引き上げをすべきである。

【管財課】

 国家公務員宿舎の家賃が平成16年4月に改定されたため、県職員宿舎についても早急に改定を行う方向で作業中です。

76.受益者負担の適正化は積極的に行い、特に公の施設は管理運営費を収入で賄うべきである。そうでなければ、使用料の増額、事業内容の見直し、売却、閉鎖を真剣に検討すべきである。

【財政課】

 使用料・手数料は3年に1回見直しをすることとしており、平成16年4月に改定しています。今後、県営住宅や職員宿舎の駐車場などについて見直しをしてまいります。
分担金・負担金や受益者が限定された事業に係る受益者負担などについても見直しや導入の検討をしてまいります。
公の施設につきましては、県民サービスの充実を目的とし、必ずしも利用料金によって全ての管理運営費を賄うことを想定していない施設が多いですが、それぞれの施設のあり方を検証するとともに、利用料金についても見直しをしてまいります。
また、公の施設の管理を委託できるのは、これまでは出資法人、公共団体、公共的団体に限られていましたが、学校教育法等個別法で制限されているものを除き、民間事業者等も参入できることとなりました。これは、指定管理者制度と言い、既に、出雲市に4月にオープンした「しまね花の郷」では、NPO法人を指定管理者としています。平成17年4月からは、現在外郭団体等に委託している施設にもこの制度を導入することとしておりますので、より経費節減等が図られるものと考えております。


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