3月7日質問項目3

3.ロシアのウクライナ軍事侵攻

○NHK:NHKの伊藤です。よろしくお願いします。

 ウクライナをめぐるロシアの軍事侵攻に関連してお伺いしたいんですけれども、今日、午前中、県議会のほうでも決議が可決されました。この一連のロシアの軍事侵攻をめぐっては、丸山知事、どういったような御所感を持ってらっしゃいますでしょうか。

○丸山知事:私は国際法、詳しいわけじゃないですけど、国際法上、また人道上、やはり許されざる行動だということでありますので、即時に停戦、そして撤退をされるべきだというふうに思います。

 政府の対応というのは、北方領土交渉が頓挫するのではないかといった指摘もあったようですけど、他国の主権侵害を自国の個別の利益のために言うべきことを言わない国家になってしまえば、日本がウクライナと同じような状況に仮になったときに、国際社会の支援は得られませんから、それはやはり、単純に考えて、我々がウクライナの立場になって、日本国としてやられたくないと思うことについては、それはあってはならないことだといって毅然として、そういう撤退、停戦を求めていくべきですし、やはりそういう判断をした政権が反省するような経済制裁にはきちんと参加をしていくべき。そんな、ウクライナを侵攻するような政権が、北方領土の返還交渉を進めるというふうに期待すること自体がもう幻想にすぎない。他国の領土を、主権を侵害しても自分は許されるんだと思っておられる国が、北方領土を、国がというか、少なくともそういう政権がそういう交渉を進めてくれるというふうに期待しないというのは正しい判断だというふうに思いますので、今の政府の対応をきちんと継続してもらうべきですし、国際社会、協調してやはり今の対応を続けてもらう。県議会も同じ認識だと思いますけど、それが必ずしも安定してると言えない東アジアのいろんな、東アジアにおける国際法を無視した行動を抑制する力になると。そういう意味で、我が国の安全保障に役立つと思いますので、こういう他国の主権侵害、領土、主権、それから国民の命を侵害するような行為の代償というのは非常に高くつくということをロシアの政権に理解させるような対応、これが求められているというふうに思います。

○NHK:ありがとうございます。

○読売新聞:読売新聞、林です。

 ウクライナ関係なんですけれども、県関係の影響というのは、今どのように把握していらっしゃいますでしょうか。

○丸山知事:当然ロシア沿海州との貿易も一部あるでしょうけど、仕方ないですよ。そんな個別の利益のために経済制裁を緩めるべきだなんて言うつもりは全くない。それは、そういうビジネスの相手方として適切じゃないところだったということで、それはもう事業リスクが顕在化したということで理解していただくしかないんじゃないですか。

○読売新聞:ごめんなさい、ちょっと聞き方が悪かったかもしれません。今回のロシアの軍事侵攻によって、島根県の、例えば現地にいらっしゃる方への県関係の方の影響だったりとかっていうのは、何か出ているのかなという趣旨の御質問でございます。

○丸山知事:それはもう、在留邦人をどうするかって話は、県単位の話じゃなくて、それはパスポートに基づいて外務省がやる話だから、私は個別の話は聞いてません。県民というか、パスポート、外国にビザ取って在住されてたら、何県人みたいな感じじゃないですもんね。本籍地がどこにあるかとかっていう話なのかよく分かりませんけど。そういう把握はしておりません、今のところ。

 先ほど申し上げた話というのは、結局のところ、国際的な金融決済システムから大幅に排除された国である以上は、結局、貿易しようと思っても、お金の振込がきちんとされるか分からない国になってしまったということは、物を輸出しても代金が振り込まれるか分からない状況なので、やっぱり貿易を継続できるかどうかという意味でいくと、リスクが高いから、自然と控えるということにならざるを得ないですよね。もともとそういう、物を輸出するとか、こっちがお金払う分はいいんでしょうけど、輸出先としては代金の回収ができるかどうかということが保障されない国になってしまったから、そういう輸出が滞るのはもう仕方がない。避けられないんですね。

 それから、もう一つ言うと、島根県というレベルじゃないですけど、それは小麦の輸出が止まったり、食料とか肥料とか、ウクライナだったりロシアだったりベラルーシだったり、そういう国が主要な輸出国となっているような品目の国際貿易、その輸出量が減ってくると、そういうものの値段が上がってしまうということはあるでしょうけど、それを、だからといって経済制裁を緩めるなんていう話にはならないでしょう。それはもう戦争を起こしてもいいんだというふうな国際秩序が出た、そういう国際秩序になってしまうほうがコストが大きいですよ。と思います。

○読売新聞:分かりました。

 もう1点なんですけれども、ウクライナの侵攻でロシア軍が原子力発電所を武力攻撃加えてるという報道もございます。島根県は島根原発が立地しておりますけれども、こういったテロであったり、今回はテロではなく正規軍の攻撃ですけれども、そういった事態が仮に生じた場合の島根原発の対応というのはどう考えていらっしゃいますでしょうか。

○丸山知事:戦争状態を前提にしなきゃいけない国にしないということですよ。東アジアの情勢は不安定な部分がありますけど、一番大事なことは、他国の主権侵害、領土を侵略する、または他国を攻撃するといったことをやっても大丈夫だと思わないようにするのが一番の抑止力でしょう。それが一番ですよ。それは原発に限らない。だって、別に原発とは限りませんよ。命を失うのはね。あとは東アジアという言い方ですけど、そういう戦争状態を前提とした日本社会にしなきゃいけないような状況って、それは発電所だけじゃない。シェルターを造るのか。ものすごい社会コストがかかる。そういうふうにしないために外交なり、自衛力、自衛隊があるんでしょうけど、ともかくそういうふうにならないようにするというのは、原子力発電所のやり方というのは、それは当然、武力攻撃事態とか法律があるけど、それ以前の問題として、そういうふうにならないように政府がきちんと対応するという意味において、今のような対応をきちんとしていくということが一番の対策じゃないですか。

 それは原発のためだけじゃなくて、日本社会全体として、戦時体制を組まなきゃいけないような、そういう社会コストを、この高齢化が進む中で負担していかなきゃいけないようなことにならないように、経済成長を阻害するわけだから。なので、ともかく今回のロシアの行動が結果的にロシアを利するということになってしまったら、自分の国もやって大丈夫じゃないかというふうに思ってしまう国が出たら、それが一番危険なわけですよ。なので、さっきから申し上げている。ともかくこういう武力で問題を解決しようとする、人権侵害、殺人、人を殺す戦闘行為、特に非戦闘員を巻き込んだ形での攻撃を展開しているのであれば、そういったものの代償というのはとても割に合わないものになるということをロシアの指導部が明確に認識して、撤退せざるを得ないような状況に持っていく、そういうことが一番大事だと私は思います。

○読売新聞:分かりました。ありがとうございました。

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