しまね美味満堂12:うずめ飯
豊かな歴史風土の残る島根では、この土地ならではの味も受け継がれています。ご飯の下に隠された具材を混ぜて食べる「うずめ飯」もその一つ。だし汁の素朴な味わいと、津和野町特産のワサビの爽やかな香りと辛みが口の中に広がります。
うずめ飯は一見、お茶漬けのようですが、ご飯をすくうと、ワサビの清涼感のある香りとともに、さまざまな具材が現れるのが特徴です。
江戸時代に、ぜいたくを嫌った津和野藩主の目を気にして、具をご飯に“埋(うず)め”たことが由来の一つとして伝わっています。
津和野町の旧城下町に店を構える「寿司割烹あおき」で、うずめ飯を味わうことができます。細かく刻んだニンジン、シイタケ、カマボコを、昆布とカツオの出汁(だし)で煮含め、少し濃い目にしょうゆなどで味を整えます。さいの目に切った豆腐を加えて一煮立ちさせ、セリを入れた器に煮込んだ具材を汁ごと注いで、ふたをするようにご飯をよそいます。
江戸時代には、ぜいたく品とされていたワサビもご飯の下に隠していたといいますが、同店では、おろしたてのワサビとノリをご飯の上に載せて仕上げます。
熱々のご飯と具材をかき混ぜていただくと、だし汁の優しい味付けにセリのシャキシャキとした食感がアクセントとなり、食欲をそそります。同町特産のワサビは、冷たい渓流で育ち、辛みの中にほのかな甘みが感じられる独特の風味も楽しめます。
宮内庁が実施した全国郷土料理調査によって選定された「日本五大名飯(めいはん)」の一つにもなっているうずめ飯。
店主の青木孝志さんは、「観光客の方が珍しい料理を食べることができたと喜んでくれる」と話します。
うずめ飯の材料
煮込んだ具材に豆腐を加えて一煮立ちさせる
セリを入れた器に煮込んだ具材とだし汁を注ぐ
ふたをするようにご飯をよそう
青木孝志さん(右)と吉松紗千子さん
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「寿司割烹あおき」(TEL:0856・72・0444)
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