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しまね流ココニアルオンリーワン

自身の戦争体験を基にした「命をみつめて」や、戦争に翻弄(ほんろう)された夫婦3人を描いた「クラウディアの祈り」など、優れた児童文学やノンフィクションで知られる

江津市在住の作家・村尾靖子さん。42歳で遅咲きのデビューを果たして以来、国内外で活動を続けています。


作家村尾靖子さん(江津市)

執筆をする村尾さんの写真

 

 

「書くことは私の救いでした。作家として立っていこうと思ったわけではないんです」

 

村尾さんは、執筆を始めた経緯をこう話します。

江津市で100年続いた寝具店に嫁ぎ、主婦として4人の息子を育てるうちに体調を崩して病に苦しんだ40代。薬剤師をしていた友人が気分転換のためにと、日々の思いを書き留めて新聞に投稿することを勧めてくれたのがきっかけでした。掲載を励みに書き続けるうちに心が癒やされるだけでなく、観察眼や感受性が磨かれて視野が広がり、周囲とのかかわりも改善されていきました。

同人誌へ投稿したところ東京の出版社の目に留まり、1年半に及ぶ推敲(すいこう)を重ねて処女作「命をみつめて」が誕生しました。戦後を生きた少女を主人公に平和や命の尊さを投げかけた作品は、空襲で大やけどを負い、疎開先では姉を亡くした自身の戦争体験が基になりました。出版後に全国の読者から共感の手紙や講演依頼が舞い込むようになり、「私の本に助けられたと言ってくださる。出版後も体調は優れなかったのですが、書き続けることで、長く交流が続く人や描きたいと思う出来事に出会えました」と笑顔を見せます。

平成14年に発表したノンフィクション「クラウディア奇跡の愛」(後に「クラウディアの祈り」に改題)は、ドラマや舞台化された代表作の一つです。スパイ容疑が晴れぬまま戦後も抑留先のロシアにとどまらざるを得なかった日本人男性と、彼の無実を信じて妻になったロシア人女性、鳥取県で彼の帰還を50年も待ち続けた日本人の妻を取り上げた地元テレビ局のドキュメンタリー番組に共鳴して執筆しました。

家業をたたみ、家計が苦しい中で費用を捻出し、テレビの取材に同行してロシアにいる妻クラウディアさんを訪問。幼い頃に両親を亡くしたことやえん罪によるつらい体験、夫の望郷の念を察し「他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはできない」と別れを決断したクラウディアさんの思いに触れたことは、自分自身の人生を見つめ直す転機となりました。

「振り返ると、困難のたびに新しい道が開けていました。つらい出来事は自分を成長させてくれた宝物かな、と今は感じます。人情味ある江津の暮らしに支えられたこともあり、書くことへも導かれました」

現在は執筆の傍ら、講演や文章教室を県内外で行う村尾さん。さまざまな年代の人から、つらい体験や家族への思いを打ち明けられることがあるといいます。「そんな時は、心にかかったことを書いてくださいと薦めるんです。それで元気が出たり、目標ができて頑張ろうと思えたりするんじゃないかしら」

 

 

村尾靖子さんの写真

 

 

 

作品の数々の写真

 

 

 

作品の原稿の写真

 

 

 

 

 

むらお・やすこ
昭和19年生まれ、山口県宇部市出身。1歳の頃に空襲で大やけどを負い、疎開先の江津市に定住。明治大学法学部に進学後、同郷の夫と出会って卒業後に結婚、4児の母となる。昭和62年に発表した処女作「命をみつめて」が全国学校図書館協議会選定図書になり版を重ね、平成6年に島根県文化奨励賞受賞。代表作「クラウディアの祈り」を絵本化した「クラウディアのいのり」により、平成21年に第14回日本絵本賞読者賞を受賞した。作品は「草原の風になりたい」「琴姫のなみだ」「おじちゃんせんせいだいだいだーいすき」など。講演は全国で1000回を超える。江津市都野津町在住。

 

 

 

 


 


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