• 背景色 
  • 文字サイズ 

石見神楽王国

神話の世界を、エンターテインメント性豊かに伝える「石見神楽(いわみかぐら)」は、島根県西部・石見地方に息づく伝統芸能です。
笛や太鼓、チャンガラが奏でる軽快な八調子が聞こえると、引き寄せられるように人垣ができ、きらびやかな衣装をつけた舞い手の登場に観衆は沸き立ちます。
その人気は、ファンが県境を超えて鑑賞に訪れたり、海外公演も多く行われたりするほど。
勇壮で華麗な石見神楽の魅力を紹介します。

 

石見神楽「大蛇」の写真
石見神楽「大蛇」

 

 

石見神楽王国

 

 

古来より神職による神事舞として執り行われていた神楽は、明治初期の「神職演舞禁止令」によって氏子など里人に受け継がれました。
中でも石見神楽は、緩やかな六調子からテンポの速い八調子が主流となって演劇性や娯楽性が磨かれ、
豪華な衣装や躍動感あふれるダイナミックな舞を特徴とする伝統芸能として広く県内外に普及しました。
現在、県西部の石見地方には約130もの神楽団体があり、例祭への奉納はもとより、祭事や祝い事には欠かせないものになっています。

 

石見神楽で使用される衣装は、金糸、銀糸で竜虎などの刺しゅうを施した豪華絢爛(けんらん)なものです。
ちょうちんの蛇腹をヒントに考案された大蛇(おろち)の蛇胴(じゃどう)は、伸び縮みしながらとぐろを巻き、舞をダイナミックに演出します。
軽く丈夫な石州(せきしゅう)和紙製の面は、八調子の勇壮で激しい舞を可能にし、その種類も演目に応じて多彩です。
地元の職人が工夫を凝らして手作りする衣装や蛇胴、面のデザインは、神楽団体それぞれの個性が反映されています。

三十数種におよぶ演目は、神々を呼び招く「採物舞(とりものまい)」と、神話や中世の語り物(ストーリー性のある物語に節をつけて語るもの)を題材に神の出現を演じる「演劇舞」に大別されます。
神楽団体それぞれで演出やストーリーに特色があり、石見神楽の魅力をさらに奥深くしています。

石見人に愛されて発展してきた石見神楽は、今もなお進化しながら受け継がれています。

 

主な演目

【鍾馗(しょうき)】

唐の時代、病に伏した玄宗(げんそう)皇帝の夢に現れて病魔を追い払った鍾馗の中国故事に、スサノオノミコト(須佐之男命)の神話をからめた疫病神退治の人気演目。
病魔退散や家内安全を願う舞で、鍾馗の持つ「茅(ち)の輪」は厄除けのシンボル

【塵輪(じんりん)】

異国から数万の兵を従えて攻め入ってきた、黒雲に乗って翼を持つ悪鬼・塵輪魔王を、タラシナカツヒコ(帯中津日子、後の仲哀天皇)が退治する。
代表的な鬼舞で、2神・2鬼の立ち合いが見もの

【恵比須(えびす)】

松江市美保関(みほのせき)町にある美保神社の祭神であり、商業や漁業の神エビス(恵比須)が、磯辺で釣りに興じてタイをつり上げるおめでたい演目。
コミカルな動きや、まき餌に見立てて菓子まきの演出があり、子どもに人気

【大蛇(おろち)】

出雲を流れる斐伊川(ひいかわ)上流にたどり着いたスサノオが、村を襲っては若い娘をさらう八岐大蛇(やまたのおろち)を酒に酔わせて退治し、イナタヒメ(稲田姫)を救う。
絡みつく数頭の大蛇とスサノオの大立ち回りは迫力満点。
退治された大蛇の尾からは、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)が取り出される

マップ

 

〈主な定期公演〉

●龍御前神社ゆのつ温泉夜神楽

(毎週土曜日午後8時〜、有料)温泉津温泉旅館組合(担当:ますや)TEL0855・65・2515

●有福温泉湯の町神楽殿

(毎週土曜日午後8時半〜、有料)有福温泉観光案内所TEL0855・56・2277

●しまね海洋館アクアスはっしー広場

(4〜11月の日曜日随時、午後1時〜、無料)石央マリン開発TEL0855・28・3388

●道の駅ゆうひパーク浜田

(第2・4日曜日午後1時〜、無料)TEL0855・23・8000

●三宮神社石見の夜神楽浜田会場

(2月末まで、毎週土曜日午後7時半〜、有料)浜田市石見神楽常設公演化モデル事業実行委員会TEL080・6265・2784

●益田駅前ビルEAGA石見の夜神楽

(毎週土曜日午後7時半〜、有料)益田市観光協会TEL0856・22・7120

●道の駅津和野温泉なごみの里

(第1・3日曜日午前11時〜、午後2時〜、無料)TEL0856・72・4122


古式を伝える大元(おおもと)神楽

石見神楽の古式を受け継ぎ、国の重要無形文化財に指定されている「大元(おおもと)神楽」。
江津(ごうつ)市桜江町や浜田市旭町、美郷町、川本町、邑南町といった島根県西部の山間部に残り、神社ごとに数年に一度迎える式年祭でしか見ることができません。
その特徴は、神がかりを起こしてお告げを聞く「託宣(たくせん)」を伝承していることです。

 

大元神楽は地域の祖先神である大元神への信仰から、神木に宿るとされる大元神や土地のあらゆる神を祭る式年祭で舞われます。
神職が舞う神事舞が、明治初期の禁止令以降も受け継がれている点も珍しく、神職と氏子双方が伝統的な六調子(ろくちょうし)神楽を古式にのっとって奉納します。
神事舞や採物舞(とりものまい)が夜通し続き、終盤の託舞(たくまい)がクライマックスです。
託舞は、長さ七尋(ひろ)半(13.5メートル)の藁蛇(わらへび)を神職らが抱え、舞殿(まいどの)を動き回る「綱貫(つなぬき)」から始まり、藁蛇が激しく体をくねらせる様子は、まるで生命が宿ったかのよう。
独特の熱気を帯びた託舞の中で、神がかり役の託太夫(たくだゆう)に神のお告げが託されて託宣が成就するのを、住民や神楽ファンが一心に見守ります。
託宣のある神楽は近年ほとんど失われてしまい、古式を伝える大元神楽は貴重さを増しています。
現在、大元神楽を受け継ぐ21団体が「大元神楽伝承保存会」を組織し、江津市桜江町に「大元神楽伝承館」を開設しています。
伝承館には、実際に使用された神楽面などの道具が展示され、五色の幣(ぬさ)をつるした天蓋(てんがい)のある舞殿が再現されています。
また、神楽の映像を鑑賞することもでき、大元神楽の世界に引き込まれます。

 

 

綱貫の写真
綱貫

 

 

藁蛇の写真
藁蛇

 

 

大元神楽伝承館に再現された舞殿の写真
大元神楽伝承館に再現された舞殿

 

 

○お問い合わせ
大元神楽伝承館(TEL0855・92・1508)※開館は平日のみ

 



お問い合わせ先

広聴広報課

島根県政策企画局広聴広報課
〒690-8501
島根県松江市殿町1番地   
【電話】0852-22-5771
【FAX】0852-22-6025
【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp