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島根の匠八雲塗松原昭さん

松江藩お抱え塗師が明治初期に生み出した八雲塗(やくもぬり)。
色漆(いろうるし)や銀粉で描いた文様に透(す)き漆を塗り重ね、研ぎ出して仕上げるのが特徴です。
松江市中原町の松原昭(まつばらあきら)さんは、技を磨き続けて半世紀。
その八雲塗は手にしっとりなじみ、時を経るほどに文様の鮮やかさが増す独特の魅力を最大限に放ちます。


八雲塗松原昭さん

 

 

八雲塗は、絵付けしたものに木地蝋(きじろう)漆(透き漆)を塗って一晩乾かし、蝋色(ろいろ)研ぎで漆の下に隠れた文様を研ぎ出します。
もっとも重要とされるこの工程において、松原さんはどれほど小さく繊細に描かれた文様でも、絶妙の加減で鮮やかに浮かび上がらせます。
「指先にも目があってね。それで文様の出具合が分かります」と松原さん。
その後、生漆(きうるし)を手で刷り込んでしみこませ、磨く作業を繰り返して完成。
長年の作業から、その手のひらは厚く、指先は平たくなっています。
松原さんが八雲塗の道に進んだのは、中学を卒業した昭和34年。
父親の知人で、大阪で腕を振るう八雲塗職人に画力を見込まれ、夜間高校に通いながら弟子入りして修業を始めました。
当初は絵師を目指しましたが、漆の美しい仕上がりに心ひかれ、塗りを究めるようになります。
漆の扱いや塗り磨く難しさだけでなく、刷毛などの道具は自分の手になじむよう手作りできて一人前。
のみ込みの早かった松原さんは、迎賓館赤坂離宮で使われる椅子の装飾や、京都の老舗料亭の円卓など、腕が求められる仕事を20代で任されました。
18年間の大阪暮らしの後、親の願いもあり帰郷。
大阪時代に手掛けた八雲塗のたんすが縁を結び、その出来栄えを認められて山本漆器店の職人として再出発しました。
茶人大名の松平不昧[まつだいらふまい](治郷[はるさと])が松江の漆芸の礎を築いただけに、松原さんの技は茶道具や不昧ゆかりの茶室・明々庵の床の間などにも生かされています。
昭和57年、八雲塗は島根県ふるさと伝統工芸品に指定されましたが、県内の職人は年々減り、現在6人。
技術習得に訪れる若者は作家志向が強かったり、座り作業で腰を痛めたりするため、なかなか長続きしないといいます。
一昨年までソフトボールの内野手をしていた松原さんは体力も視力も十分。
年齢を重ねて創作意欲はなお盛んです。
「私はあくまで伝統工芸を受け継ぐ職人。名前ではなく、作ったものが残ります」。
その言葉に、腕を磨きぬいた職人の誇りがにじみます。

 

 

 

イメージ

 

 

嫁が島の夕景を描いた壁飾りの写真
嫁が島の夕景を描いた壁飾り

 

 

手鏡の写真
手鏡

 

 

県花ボタンをあしらった茶びつの写真
県花ボタンをあしらった茶びつ

 

 

なつめの写真
なつめ


○お問い合わせ
県八雲塗振興会(県物産観光館内TEL0852・22・5758)
山本漆器店(TEL0852・23・2525)

 

 

 

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