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野外における危険な植物

 野外における危険な植物には、食べて中毒を起こすもの、触れて皮膚炎になるもの、花粉症の原因になるものなどがある。このうち、もっとも事故例の多いのが、触れることによって起こる皮膚炎です。なかでも、ウルシの仲間によるアレルギー性皮膚炎は、遅延型接触皮膚炎と呼ばれ、1〜2日後に皮膚炎が起る。また、その植物に触れた一部の人だけに発症することも特徴の一つである。この接触性皮膚炎は、よく「かぶれる」といった言葉で表現される。

 島根県内で、この「かぶれ」の原因植物の筆頭はツタウルシとヤマウルシである。

 

■ツタウルシ

 ツタウルシは、ツル科の落葉木で、樹木や岩などに寄りかかるようにして気根を出してはい上がる。葉はだ円形の3枚の小葉からなり、ツタのように一つになることはない。ウルシ科の植物で、野生のウルシのなかまの中ではかぶれる毒性分の強さが最も強い。野外でハゼやウルシにかぶれたという人の多くは、このツタウルシにかぶれた可能性か高いようである。

ツタとツタウルシの見分け方

 

 ツタとツタウルシは、成木の葉を見ると簡単に見分けられるが、ツタの若木の葉はツタウルシのように3枚に分かれることかある。この若木の葉どうしは非常によく似ており、植物にかなり詳しい人でもなかなか見分けがつかない。

 

 3枚の葉を持つ植物がツタかツタウルシか見分けるには、ツルを目でたどってみて同じツルから出ている葉がすべて3枚かどうかを観察すると良い。

 ツタの場合、必ずといってよいほど2枚や1枚になった葉が見られる。このほか、ツタはブドウの仲間で、落葉時に葉(葉身)の部分だけが落ちて柄(葉柄)がかなり遅くまで残っていることが多い。また、ツタウルシは枝のように中空に突き出すことが多いがツタは樹木などにへばりついて中空に突き出すことはない。さらに、ツタウルシなどのウルシ科の植物は枝や葉を切ると白い液が出てくることや、ツタウルシの葉は表面が照り葉となっており、側脈が明瞭なのに比べ、ツタの葉には毛があり照り葉でないこと、側脈が不規則で、あまり明瞭でないことなどの違いがある。これらのことを頭に入れ総合的に判断すれば見分けることができる。

 

ツタ比較 

 

症状は?

 ウルシの仲間に触れることによってかぶれる接触性皮膚炎の特徴は、一部の人だけに発症することや1〜2日後に症状が出ることである。このため、その本人にもその原因が分からないことが多い。毒成分はウルシオールで、顔や首、手、外陰部などにかゆみの強い紅斑を生ずる。

 

対処方法は?

 かぶれを確認したら、専門医の治療を受ける。ここで重要なことは、何にかぶれたかを確認し、今後に生かすことである。しかし、ふつうの場合そのような努力をあまりせず、野外に出ることを必要以上に恐れてしまう。よくかぶれる人は皮膚科の専門医に行ってパッチテストという方法で原因植物などをつきとめておくとよい。自分のアレルギーの原因物質を知っておけば、対応が容易になる。

 

■ヤマハゼとヤマウルシ

 かぶれる木として、ハゼやウルシがあることは多くの人が知識として知っているが、実際にそれらを見分けることのできる人は多くない。島根県内で自然状態でよく見られるこれらのなかまには、ハゼノキ、ヤマハゼ、ヤマウルシの3種がある。

 

 ハゼ類3種の見分け方

【ハゼ類の見分け方】

ヤマハゼ

ハゼノキ

ヤマウルシ

小葉はだ円形または卵状長だ円形、5〜7cm、4〜7対、小葉の長さにかなりの差がある

小葉は広批針形または狭長だ円形、4〜10cm、4〜7対、小葉の長さにほとんど差かない

小葉は卵形または長だ円形、6〜12cm、6〜8対、小葉の長さにかなリの差がある

葉の両面に短毛が密生

葉は両面無毛でやや光沢あリ

葉の両面に短毛あり特に裏面の脈上に多い

 

ハゼ比較

 

【ハゼ類の特徴】

ヤマハゼ

ハゼノキ

ヤマウルシ

裏面は緑白色

裏面は粉白色

裏面は淡緑色

果実は扁球形で黄褐色の光沢あり

果実は扁球形で白い光沢あり

果実は扁球形で黄色な毛を密生

 

 

 ハゼノキは、戦国時代の末期に果皮からロウを採るために中国から移入された栽培植物であるが、今では野生化し、人里近くで普通にみられる。なお、同じウルシ科の植物でもヌルデはかぶれることはほとんどない。ヌルデは中軸に緑色の翼(よく)があるので、簡単に見分けることができる。

 

ヌルデ

 


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