平成21年度島根県畜産関係機関業績発表会が開催されました
東部農林振興センター出雲家畜衛生部
TEL 0853-43-7900
FAX 0853-43-2801
「平成21年度島根県畜産関係機関業績発表会」が 開催
平成22年1月21日、県職員会館にて島根県畜産関係機関業績発表会が開催されました。
この発表会は、畜産に関する試験・研究等の業績について発表討議を行い、知識及び技術の情報交換及び普及を図ることを目的として、毎年開催されています。家畜保健衛生所(松江、出雲、江津、益田)、家畜病性鑑定室、畜産技術センター、農業技術センター及び中山間地域研究センターから22題の発表があり、当家畜保健衛生所からは次の3題を発表しました。
今回の発表演題のうち3題が、2月18日に愛媛県松山市で開催される、第51回中国・四国ブロック家畜保健衛生業績発表会に県代表として選出されました。
選出された演題
・牛白血病抗体陽性牛リスク評価のためのELISA法の検討 (江津家保)
・高速液体クロマトグラフィーを用いた飼料中のβカロテン測定条件の検討 (家畜病性鑑定室)
・BVDV清浄化およびBVDVフリー牛の県内流通体制構築へ向けた取り組み (家畜病性鑑定室)
当所の発表演題及び抄録
・ 黒毛和種肥育農家における枝肉向上対策(第一報)
平成20年度の肉質格付け等級4以上率が34.8%の農家に対し、県関係機関およびJAで肉質向上対策を実施。血液プロファイリング、発育、飼料給与状況の調査と検討会とを毎月交互に開催。各種調査で得られた課題に対して、ビタミンA(Vit.A)制限開始の目安を導入後月齢から生後月齢へと変更、Vit.A制限時期の盗食防止および個体観察力の向上対策を実施、生後22ヶ月齢以降のVit.A剤の投与方法を変更。結果、取り組み前と後の血液Vit.A値(IU/dl)は、約16ヶ月齢が98.7±32.4と60.0±13.1(P<0.05)、24ヶ月齢以降が22.2±8.0と46.9±8.6(P<0.01)、同様に血中総コレステロール(mg/dl)は、24ヶ月齢以降が139.7±26.9と170.4±24.6(P<0.05)であり、対策の効果を確認(平均値±標準偏差)。詳細な調査、課題の明確な提示、解りやすい成績書の作成により早期改善が可能。今後、調査牛の枝肉追跡調査、効果検証、調査ポイントの簡便化により、管内肥育農家への波及を図る。
・ 牛白血病清浄化対策の取組状況と課題
発症牛・抗体陽性牛の摘発などを理由に12戸(735頭)の農家で清浄化対策を実施。全頭検査を実施し、チェック表に沿って可能な対策を検討。実践後追跡検査も実施。農家負担が過大にならないよう配慮。検査は寒天ゲル内沈降反応(AGP)、受身赤血球凝集反応(PHA)およびエライザ法(ELISA)を活用。ELISA(−)は428例、うちPHA(+・±)・AGP(−)は25例。ELISA(+)は59例、うちPHA(−)・AGP(−)は10例、PHA(+・±)・AGP(−)は9例。清浄化対策の取組事例として、初乳加温処理装置の作成、プローブカバーにビニール製かさ袋活用、BLV勉強会、防虫ネット設置などを指導実施。抗体検査の結果判定は複数の検査法を活用するべき。採材方法により結果が異なる事例があり注意が必要。対策推進には農家のやる気が大切でその維持がカギとなる。農家説明が重要で、農家と担当者間の共通認識の維持が課題。担当者の振り分けなど対応態勢の事前検討が必要で、農家を含めた地域ぐるみの対応が必須。
・ ピロプラズマの感染拡大が認められた放牧場における地域衛生対策の取り組み
平成19年度から新たな耕作放棄地利用を開始した放牧場で、昨年度36頭中34頭がピロプラズマ(ピロ)感染し、放牧事故1例、異常産・分娩事故が3例発生。今年度は殺ダニ剤の定期投与と投与方法を指導、放牧場管理者、市担当者、家畜衛生部で衛生指導会を開催し、放牧牛や放牧場の状況確認、放牧中検査を実施。放牧前43頭中39頭にピロ感染を認め、放牧後13頭が重度感染。放牧未経験牛は6頭中5頭が重度感染。春から夏放牧と秋放牧で重度感染の割合が増加。放牧馴致を行うと、ピロ重度感染による牛への影響が小さい。放牧未経験牛3頭が極度の削痩状態になり、退牧指示と検査を実施しピロ重度感染と重度貧血を確認。その後1頭が死亡、1頭が流産。畜主の入院で緊急的に放牧実施したことが原因。放牧関係者で定期観察と情報交換を行うことで、衛生対策の意識向上や早期対応可能な態勢作り、知識の普及と情報共有が可能となり、放牧の有用性を活用できる。

