地域の特色(西部全域)
1 立地条件
地勢
西部農林振興センター管内は、島根県西部全域であり、浜田市、益田市、大田市、江津市、川本町、美郷町、邑南町、津和野町及び吉賀町の4市5町を区域とし、東は出雲市、飯南町と接し、南は中国山地を境として広島県に、西は山口県に接し、北は日本海に面している。
管内総面積は357,929haで、県内全体の53.4%を占めている。このうち86%を森林が占め、耕地面積は3.7%に過ぎず、わずかである。(県全体耕地面積率は5.8%)
気候
気候は、平坦部から急峻な山間部まであるため、比較的温暖な気候から冷涼な気候まで地域によって大きく異なり、年平均気温12℃から16℃、年平均降水量1,600mmから2,400mm、年間日照時間1,300時間から1,800時間と変化に富み、積雪の多い地域もある。
交通
交通は、国道9号線とJR山陰本線が海岸線を並行して走り、浜田・広島間には中国横断自動車道広島浜田線(浜田自動車道)が、江津・浜田間には山陰道(江津道路)が開通しているほか、吉賀町には中国縦貫自動車道が通っている。
また、南へは、国道375号線が大田市から美郷町を通って三次市経由で呉市へ、国道261号線が江津市から川本町、邑南町を通って広島市へ、国道186号線が浜田市から広島県大竹市へ、国道488号線が益田市から広島県廿日市市へと通じている。
西へは、国道9号線が益田市から津和野町を通って山口市経由で下関市へ、国道191号線が益田市から海岸線沿いに萩市と長門市を経由して下関市へと通じている。
鉄道は、益田市で日本海沿いに下関市へ向かうJR山陰本線と、津和野町を経由して山口市へ向かう山口線に分岐している。JR山陰本線は、近年高速化が図られ、益田市から県庁所在地である松江市まで、特急によって2時間30分以内で結ばれるようになった。
航空路は、益田市に萩・石見空港があり、東京・大阪(伊丹)とを結んでいる。
2 農業の概要
(1)農業の現状
ア 農家数と農業就業人口
管内の農家数と農業就業人口は、2005年(H17)農林業センサスによると16,144戸で、2000年(H12)に比べて2,193戸、12.0%減少している。
また、農業就業人口は13,830人で、5年前に比べ2,582人、15.7%減少する一方、65歳以上の比率は73.8%と高齢化がますます進行し、農業の担い手の確保・育成が急務である。
イ 経営耕地面積と農地の集積
管内の経営耕地面積(販売農家)は7,935haで、ここ5年間で1,511ha減少した。 販売農家1戸当たりの経営耕地面積は82aで、県平均面積と比べて少なく、生産農業所得は1戸当たり42万円で、零細かつ脆弱な経営基盤であることが伺える。
耕作放棄地の面積は、708haと経営耕地面積の8.9%に及び年々拡大してきている。 この要因としては、高齢化、ほ場条件の悪さ、鳥獣被害の拡大等による耕作意欲の減退等があげられる。
ウ 農業産出額
平成18年における管内の農業産出額は235億3千万で、県全体の37.6%である。このうち、米が74億円、園芸が53億円、畜産が106億円で、畜産の比率が最も高くなっている。
市町別では、大田市が最も高く60億円で、特に畜産の産出額は県内で最も高くなっている。これは、全国でも有数の規模である複数の大型酪農経営(メガファーム)によるものである。
エ 担い手・農業生産組織
新規就農者は、新規参入や雇用就農、継承就農を含め、年間およそ70名程度で推移してきたが、平成19年度は44名と伸び悩んだ。
また、認定農業者は、平成20年3月末現在で371経営体(組織67、個人304)が認定されている。
集落営農組織は、平成20年3月末現在で232組織あり、このうち、51組織が特定農業法人である。
しかし、経営所得安定対策等大綱に定める品目横断的経営安定対策の対象となる経営体の担う面積の比率は低く、これら対象となる担い手の育成や面積の集積が急務である。
また、農地・水・環境対策についても共同活動支援についてのカバー率は 県平均を下回るものの、営農活動支援については特色ある米づくり等の推進により県全体の57%(交付金額に占める率)を占め、積極的に推進が図られている。
オ 生産基盤の整備
管内における水田の整備率は68.8%で、県平均とほぼ同様の整備率であるが、地形などの諸条件から市町別の整備率にかなりの格差がみられる。
(2)農業振興の取組
平成17年3月に策定された「新農業・農村活性化プラン(後期施策)」については、19年度末をもって終了したことから、見直しを行い、おおむね10年後における島根の農林水産業・農山漁村の将来像と基本目標及び基本方針等を明示した基本計画と、平成23年度までの4年間を計画期間とし、基本計画に基づく実践計画として重点的、集中的に実施するプロジェクトを明示した戦略プランからなる「新たな農林水産業・農山漁村活性化計画」を20年3月に策定した。
この活性化計画は、地域の創意工夫と多用な主体の参画と協働による「持続的に発展する島根の農林水産業・農山漁村の実現」を基本目標に、「産業として自立する農林水産業」、「暮らしと結びついた農林水産業」の確立を目指し、農業、林業、水産業の各分野を一本化した計画として、「県民の「安心」と「誇り」の実現」、「消費者に買ってもらえる商品づくり」、「地域の実情にあった担い手づくり」、「魅力ある農山漁村づくり」、「環境保全と多面的機能の維持増進」を柱にした施策展開の具体的取組である82本の県及び地域プロジェクトで構成されている。
管内では、以下のとおりの地域プロジェクトを立ち上げ、平成23年度を目標とする成果指標(数値目標)を設定し、その実現に向けて本年度から具体的行動を開始した。
「新たな農林水産業・農山漁村活性化計画」について(計画の基本目標、各圏域の取組概要)
大田圏域
・「石見銀山遺跡」世界遺産登録を活用したブランド化推進プロジェクト
・耕畜連携による農業生産体系の確立及び放牧推進プロジェクト
・地域を支える集落営農組織育成と獣害対策による地域農業維持プロジェクト
・エコロジー農産物・有機農産物の生産拡大と販売促進プロジェクト
浜田圏域
・産直市を核とした地産地消の推進プロジェクト
・新たなビジネスチャンス形成プロジェクト
・地域農業を守る担い手育成システムの構築プロジェクト
・持続可能な農村モデル形成プロジェクト
・浜田圏域農産物パワーアッププロジェクト
益田圏域
・高津川流域保全プロジェクト
・西いわみ農産物の有利販売プロジェクト
・担い手不在地域対策プロジェクト
プロジェクトの推進に当たっては、各プロジェクトチームにおいてPDCAサイクルによる進行管理を実施し、随時その取組状況や成果を検討し、より効果的・効率的な活動を展開してきたところである。
3 林業の概要
(1)林業の現状
ア 森林資源
管内の現況森林面積は、H19森林資源関係資料によると304,227haで、管内面積の85.0%を占めている。そのうち、民有林面積は、279,450haで、人工林の割合は33.4%、国有林面積は24,776haで、人工林の割合は62.5%である。
民有林人工林の樹種構成を見ると、スギ40,378ha(43%)、ヒノキ31,424ha(34%)、マツ21,192ha(23%)、天然林では、マツを中心とする針葉樹15,929ha(9%)、全域に分布するコナラ・クヌギ等の落葉広葉樹、海岸部などに分布するシイ・カシ類の常緑広葉樹からなる広葉樹が160,708ha(91%)を占めている。
また、民有林の人工林齢級構成では、間伐を必要とするスギ・ヒノキの4齢級から8齢級林が全体の48%に相当する44,538haを占めており、これらを着実に間伐する必要がある。
イ 林業の担い手と木質資源の利用促進
健全な森林整備をすすめ安定して木材を供給するためには、造林から伐採までの一連の林業生産活動を確実に実行する労働力が必要不可欠である。その実行は主に森林組合等の林業事業体に雇用された労働力によって担われてきたが、一部にUIターンによる参入は見られものの高齢化により林業従事者は減少している。
同時に、木材価格の低迷による林業生産意欲の低下、林業事業体の経営悪化、製材加工部門に競争力の低下等に対して、生産・流通・加工・利用の一体的総合的な取組(流域管理システム)が一層求められている。
さらに、国産材見直しの全国的な傾向や近県で相次ぐ大規模国産材加工場の建設など、従来の木材の流通構造に一大変革が起きつつあり、地域材の利用拡大に向けた、広範囲な連携・交流の取組がますます必要である。
(2) 林業振興の取組
平成13年3月に策定された、「新しまね森林・林業活性化プラン」については、前期期間が終了したことから、見直し作業を行い、平成22年度までの5カ年を計画期間とする「新しまね森林・林業活性化プラン後期施策」を平成18年12月に策定し、これに伴う新たな地域プロジェクトを策定した。この後期施策は、しまねの「緑豊かな森」を未来に引き継ぐため、「木や森を使う」視点に重点を置き、
1 いつでも木材を安定供給できる森林(もり)森林づくり
2 需要者の声に応える原木流通の仕組みづくり
3 確かな品揃えができる製品(もの)製品づくり
4 環境にも貢献できる木質バイオマスの産業づくり
5 県民が森林を支える環づくり
を柱にした施策展開の具体的取り組みである5つの県プロジェクトと、県プロジェクトと連携しながら地域で重点的に取り組む地域プロジェクトで構成されている。
管内では、以下のとおり地域プロジェクトを立ち上げ、平成22年度を目標とする成果指標(目標数値)を設定し、その実現に向けて平成18年度から取り組んできたところである。
<西部農林振興センター管内の森林・林業戦略プラン 地域プロジェクト>
・ 木材生産団地化推進プロジェクト(県央、浜田、益田地域)
・ 浜田地域産木材需要拡大プロジェクト(浜田地域)
・ 乾燥材製品の供給プロジェクト(益田地域)
・ 石見地区木質バイオマス事業化プロジェクト(西部全域)
・ 石見銀山地域における森林整備・保全プロジェクト(県央地域)
・ 自治会による海岸林の保全・整備推進プロジェクト(益田地域)
なお、従前の「新しまね間伐推進基本方針」「木質資源活用維新計画」はこの後期施策の実行計画と位置づけられた。
さらに、平成20年3月に策定された「新たな農林水産業・農産漁村活性化計画」においては、後期施策の各プロジェクトは戦略プランの中の森林・林業戦略として位置づけられ23年度までの4年間の計画期間として、23年度を目標とする成果指標(目標数値)を再設定し、その実現に向けて継続して取り組んでいくこととしている。
プロジェクトの推進に当たっては、各プロジェクトチームにおいてPDCAサイクルによる進行管理を実施し、随時その取組状況や成果を検討し、より効果的・効率的な活動を展開していくこととしている。

