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公正な選考採用のポイント

○ 選考採用にあたっては「基本的人権の尊重」「適性・能力に適合するかどうか」の2点の基本をしっかり理解・認識する必要があり、従っ

 て「本人に責任のない事柄」や「本来自由であるべきもの」については、「聞かない」「書かせない」「調べない」ことは無論のこと、他の質問

 に関連し、応募者のほうから「家族の職業」「親の勤務先」などについて話し出す場合でも、これらのことについては話さないように十分留

 意する必要があります。

 

○ 応募者の適性・能力のみを基準とした公正な選考採用を行っていただくため、適正な応募書類が定められています。

選考採用にあたっては、本人の責任のない事柄をからませないことが大切です。

 [本籍に関すること]

 選考採用は、応募者の適性や能力を中心に判断すべきであって、本籍地は選考採用になんら関係を持たないものです。本籍地を詳しく質問したり、記述させるなどして調べることは、同和関係者に対する就職差別に大きな影響を与えてきたという歴史的な経過があります。本籍地は都道府県だけ分かれば十分であって、それ以上求めることは、絶対に許されません。

 

○ 不適切な質問例

  ・ 本籍地はどこですか。

  ・ 生まれたところはどこですか。

  ・ お父(母)さんの出身地はどこですか。

  ・ どうして本籍と現住所が違うのですか。

[家族の学歴、職業、収入に関すること]

 家族の状況をいろいろ聞きたいという企業があります。その理由に共通していることは応募者の適性・能力にかかわりのない事柄を採否の判断基準に持ち込んでいることです。

 例えば、親の職業など家族の状態によって判断し、個人としての人間を尊重しようとしない考え方によって評価しようとするものです。このことは、政治的に形成された部落差別によって教育や就職の機会均等の権利を侵害されてきた同和関係者や、恵まれない家庭、母子、父子家庭の子供など特定の人を排除することにもつながるもので、就職差別になります。

 また、意識せずうっかり聞いた事柄の中にも、相手を傷つけ、応募者の人権を侵す場合があります。

 

○ 不適切な質問

  ・ お父(母)さんは、どこに勤めていますか。

  ・ 家族の職業を言ってください。

  ・ あなたの学費は誰がだしましたか。

  ・ 家業はなんですか。

  ・ 両親は共働きですか。

[家庭の資産に関すること]

 資産を調べる(聞く)ことは、採用後に企業に何らかの損害を与えたときの弁済能力、あるいは家庭の生活程度を判断しようとするものです。

 これは、資産のない家庭の人を排除することになり、また、本人の責任でない事柄を選考に持ち込むことになります。

 

○ 不適切な質問例

  ・ 耕地面積はどれ位ですか。

  ・ 不動産(田畑、山林、土地)はどれくらいありますか。

  ・ 家は持ち家ですか、借家ですか。

[住宅環境や家庭の状況に関すること]

 住宅環境や家庭の状況を聞くことは、地域の生活水準、家庭の生活水準等を判断することになり、主観的判断に属する事柄です。本人の努力によって解決できない問題を、採否決定の基準とすることになり、そこに、予断と偏見が働きます。

 たとえ、採否決定の基準にしないとしても、住宅環境や家庭の状況は、応募者によって答えにくい場合があります。応募者を精神的に苦しめると、その心理的打撃は面接態度に現れます。

 このような応募者の言動から受ける印象によって、質問に答えやすい人と比較し、採否決定の判断資料とするのは、公正な採用選考を阻害し、応募者の人権侵害と就職差別につながることになります。

 

○ 不適切な質問

  ・ ○○町の○○はどのへんですか。

  ・ 自宅付近の略図を書いてください。

  ・ 家は国道○○号線(○○駅)のどちら側ですか。

  ・ お父(母)さんは病死ですか。

  ・ お父(母)さんがいないようですがどうしたのですか。 

 

選考採用にあたっては、本来自由であるべきものについては聞かないことが大切です。

[思想、信条、宗教などに関すること]

 思想・信条や宗教、支持する政党、人生観などは、信教の自由、思想・信条の自由など憲法に保障されている個人の自由権に属する事柄です。これらのことを記述させ、また聞いたりして採用選考の場に持ち込むことは、応募者の基本的人権を侵すことになります。

 

○ 不適切な質問例

  ・ あなたの信条としている言葉は。

  ・ 尊敬する人物を言ってください。

  ・ 家の宗教は何ですか・どんな本を愛読していますか。

  ・ あなたの家庭は、何党を支持していますか。

  ・ 政治や政党に関心がありますか。

  ・ あなたの家では、何新聞を読んでいますか。

 

 選考採用時の健康診断

 近年、新規学校卒業者の選考採用時に、労働安全衛生規則第43条に「雇入時の健康診断」が規定されていることを理由に、いわゆる「血液検査」等の健康診断を一律に実施している事例が見受けられます。

 しかし、この「雇入時の健康診断」は、常時使用する労働者を雇い入れた際における適正配置、入職後の健康管理に役立てるために実施するものであって、選考採用時に実施することを義務付けたものではなく、また、応募者の採否を決定するために実施するものでもありません。

 また、健康診断の必要性を慎重に検討することなく、選考採用時に健康診断を実施することは、応募者の適性と能力を判断する上で必要のない事項を把握する可能性があり、結果として、就職差別につながるおそれがあります。

 したがって、選考採用時にいわゆる「血液検査」等の健康診断を実施する場合には、健康診断が応募者の適性と能力を判断する上で真に必要かどうか慎重に検討していただきますようお願いします。

 身元調査

 身元調査とは、応募者の居住する地域あるいは出身学校などを訪問して、出生地、家族状況や家庭環境、思想・信教などを調べることです。また、面接時に自宅附近について聞いたり家庭環境を聞くのも身元調査に当たります。身元調査を行うことは、応募者の適性・能力に関係のないことがらなどを採用基準とすることになります。本人の資質と直接関係のないこのような行為により採否を決めることは、公正な選考採用を求める目的に反するばかりか、憲法に保障された基本的人権、職業選択の自由を否定するもので、典型的な就職差別です。採用内定後においても絶対に行わないことです。また、応募書類として戸籍謄本を求めたり、面接時に本籍地を質問することも身元調査につながります。

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