シンテッポウユリ‘夢てっぼう’
野菜花き科・生物工学科・開発営農科
シンテッポウユリは、12〜1月に種子をまくとその年の8月には開花するという、他のユリにはない特色を持っています。県内では水田転換作物として昭和50年代から栽培されていましたが、市販されている品種では、切花単価が安く、生産性が低かったため、栽培面積も増えていません。しかし、シンテッポウユリは、(1)種子から栽培できるため、種苗費が安い、(2)露地栽培が主体で施設費がかからない等、多くの優れた点を持っています。そこで、当場では、市場評価の高い、島根県独自のシンテッポウユリの育成に取り組みました。
育成の経過
まず、昭和63年に市場評価の高い系統を導入し、生物工学の手法を用い増殖しました。翌年から、交配を重ね、‘島根交配F12422’を得ました。平成3〜5年に特性調査を行った結果、その優良性が明らかとなったので、‘夢てっぽう’と命名し、現在、品種登録の出願をしているところです。
品種の特性
生育がたいへん旺盛で市販品種より切花長が長いこと、単価の高い2〜3輪花の割合が高いこと、葉が広く立葉であること、花が水平よりも上を向くこと等の特色があります。葉が広く立葉であることは、出荷時の作業性を高め、輸送中の葉の傷みなども軽減されます。また、花が上を向くことで、仕事花やアレンジに用いる場合も使いやすく、高い市場評価が得られます。
栽培上の留意事項
県下では、平坦地から中山間地の全域で栽培可能で、播種期を変えることにより8月上旬〜10月中旬の長期間、出荷が可能となります。ただし、葉枯病に対する抵抗性は、在来種と大差ないため、栽培にあたっては十分な注意が必要です。
今後は、‘夢てっぼう’による周年生産の技術開発や、より優れた品種の育成によって、本県にシンテッポウユリの産地が誕生するよう努力したいと考えています。
(育成者:稲村博子、春木和久、福間靖徳、山田員人、常桧定信、河野良洋、秋光 昇)

