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 園芸作物における栄養障害診断手法の開発と防止対策に関する研究                                           


 藤 本 順 子


摘要

 園芸作物における栄養障害の原因を明らかにし,できるだけ早い時期に診断を行うことにより,障害発生防止または症状軽減技術を確立する目的で試験を行った.その概要は以下のとおりである.
 

1.ハウスメロンの栄養障害診断と対策
 親づる1本仕立て2果どり栽培のハウスメロンにおける養分吸収特性を明らかにした上で,種々の栄養障害について早期診断法,防止法を検討した.
 1) ハウスメロンは他作物に比較し,カルシウム及びマグネシウム含有率が高い作物であることが明らかになった.また,リン,カリウム,マグネシウムは着果以降急速に果実に移行するが,根からの吸収が十分でない場合や,葉における蓄積量が少ない場合には,これらの欠乏症が発生しやすくなると考えられた.
 2) ハウスメロンにおける葉枯れ症の診断には,第16〜18葉を用いるのが適当と判断した.また,葉枯れ症は葉中マグネシウム含有率が0.2%付近で発現した.着果後1〜2週間目に第16〜18葉のマグネシウム含有率が0.4%程度であれば,この時に症状が認められなくても,あとで葉枯れ症が発生するおそれがあるが,2%硫酸マグネシウム水溶液を葉面散布することにより,未然に防止することができた.
 3) ハウスメロンのカルシウム欠乏症は,まず茎に現れ,症状は摘心位置から5〜10cm程度下の部分が水浸状に褐変し,折れ曲がった.ついで側枝の先端葉が全体に黄化し,その後葉脈間が褐変枯死した.また,株全体が萎れ,最終的には枯死した.カルシウム欠乏症の診断には,葉枯れ症と同様,第16〜18葉を用いるのが適当であった.この葉位のカルシウム含有率が1.3%以下になると茎に症状が発生し,0.9%以下になると葉に欠乏症が発生し始めると考えられた.
 4) メロン‘アムス’のカリウム及びホウ素欠乏症,マグネシウム,マンガン,銅及びホウ素過剰症を水耕法により発現させ,それらの初期症状と進行過程を明らかにした.
 

2.ブドウ‘デラウェア’の葉柄汁液を用いたカリウム欠乏症診断と対策
 ブドウ‘デラウェア’において,葉柄汁液を利用したカリウム欠乏症の診断を試みた.
 1) 葉柄汁液中カリウム濃度は,2〜5mmにスライスした葉柄切片に,4倍量の純水を加え,24時間浸漬した後,その上澄み液を小型反射式光度計で測定するのがよいと考えられた.また,採取葉位は第4〜6葉が適当であると判断した.
 2) 葉柄汁液中カリウム濃度と葉中カリウム含有率の間には高い正の相関が認められ,葉柄汁液中カリウム濃度は作物体のカリウム栄養の状態を現しているものと考えられた.
 3) 開花期における第4〜6葉の葉柄汁液中カリウム濃度が2,400ppm以下であれば,この時に肉眼的な症状が認められなくても,あとでカリウム欠乏症が発生する可能性がある.しかし,診断後にカリウムを吸収させることにより,カリウム欠乏症の発生を回避することができると考えられた.

 

3.ブルーベリーにおける新梢先端葉クロロシスの診断と対策
 ブルーベリーの新梢先端葉クロロシスの発生原因とその対策を検討した.
 1) クロロシスが発生した葉のマンガン含有率
は,正常葉に比較し著しく低かった.また,株元土壌のpHはブルーベリーの好適pHより高く,交換性マンガン含量が低かった.新梢先端葉クロロシスは,土壌pHを上昇させることにより容易に再現することができた.この時の葉中マンガン含有率及び土壌中交換性マンガン含量は,正常のものに比較し低かった.以上のことから,新梢先端葉クロロシスは,土壌pHが高くなった場合に交換性マンガン含量が低下し,その結果発生したマンガン欠乏症であると考えられた.
 2) 新梢先端葉クロロシスは,イオウ華を用いて土壌pHを低下させることにより改善された.

 


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