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島根県農業試験場研究報告第27号(1993年3月)p19-40

不定胚培養系によるワサビのクーロン増殖

 


 


春木和久、山田員人


摘要

 ワサビにおける不定胚形成、不定胚の増殖、不定胚からの植物体再生について検討した。

 

  1. 種子からの不定豚形成

 

  1. 不定胚は未熟種子の子葉切片及び未熟胚から誘導することができた。不定胚は、ホルモンフリーのワサビ用改変MS培地(MS培地のNH4N03とKNO3の濃度を1/2にしたものにしょ糖20g/Lを添加し、2g/Lジェランガムで固化した培地)で高頻度に発生した。また、BAと2,4-Dを添加した培地ではカルスが発生した。

 

  • 形成された不定胚をホルモンフリーのワサビ用改変MS培地に移植したところ、一部の不定胚から植物体が再生した。また、多くの不定胚ではその表面で二次胚形成がみられた。

 

  • 葯からの不定胚形成

 

  1. 不定胚形成は、0.1mg/LNAA+0.1mg/L2,4-D、あるいは0.1mg/LNAA+0.1mg/L2,4-D+0.02mg/LBAを添加した改変NITSCH培地(NITSCH多量要素+B5微量要素+MSFe+NITSCHビタミン+800mg/LL-グルタミン+100mg/LL-セリン+100g/Lしょ糖を0.8%寒天で固化したもの)でみられた。その場合,不定胚形成には30度Cで2−3日間の高温処理が必要であった。不定胚形成に適した葯のステージは、花弁長/葯長の値が1.0−2.0のものであった。

 

  • 形成された不定胚をホルモンフリー改変MS培地に移植したところ、約20%の不定胚が植物体に再生した。再生した個体は草勢が弱かった。染色体数を調査したところいずれの個体も二倍体(2n=28)であった。

 

  • 不定胚の増殖

 

  1. 不定胚の二次胚形成を利用した増殖が可能となった。不定胚は、ワサビ用改変MS培地を50mL入れた100mL三角フラスコを用い、サンキャップシートで蓋をして液体振とう培養をすると高率で増殖することが明らかとなった。また、培地の窒素成分の代り5mMグルタミンと10mMNH4N03を添加すると増殖率が向上した。

 

  • 植物体再生

 

  1. 不定胚あるいは二次胚形成によって得られた不定胚の塊からの植物体再生率は、ABAを添加することによって10%前後になった。不定胚形成を大量増殖に利用するためにはさらに再生率を向上させる必要がある。

 

  • 不定胚あるいは試験管内で分割したシュートから得られた個体は実生個体に比べて胚芽数が多かった。また、実生個体では葉柄の色に変異がみられたが、不定胚から得られた個体では色の変異、形態的な変異はみられなかった。
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