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島根県農業試験場研究報告第25号(1991年3月) p78-82
アブラムシ類のクローン別飼育法

村井保

摘要

 

  • ソラマメ芽出し苗を用いた飼育法により、ソラマメを寄主とするエンドウヒゲナガアブラムシAcyrthosiphon pisum(HARID)、ソラマメヒゲナガアブラムシ Megoura crassicauda MORDVILKO、マメアブラムシ Aphis craccivora KOCH のほか、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ、ミカンミドリアブラムシ Aphis citricola van der GOOT、ジャガイモヒゲナガアブラムシ Aulacorthum solani(KALTENBACH)、ニワトコヒゲナガアブラムシAcyrthosiphon magnoliae(ESSIG et KUWANA)、チューリップヒゲナガアブラムシ macrosiphum euphorbiae(THOMAS)など多寄生性のアブラムシも累代飼育することが可能であった。ワタアブラムシでは、アカネに寄生するいわゆるアカネ型や各種野菜で採集した系統が、また、モモアカアブラムシでは、タバコにも寄生するタバコ型など寄主植物が異なる各種系統も飼育が可能であった。6種のアブラムシの幼虫発育期間は20度Cにおいて1週間前後で、発育は比較的揃っていた。ワタアブラムシでは、寄生していた植物によって発育期間が幾分異なり、体が小型化したが、累代飼育には支障がなかった。
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  • アブラムシ類の累代飼育に当たっては環境条件を考慮しなければならない。とくに飼育温度はアブラムシの増殖率に影響することがよく知られている。アブラムシ類は他の昆虫に比べて増殖率が高いので、累代飼育には15−20度Cの比較的低い温度が適していると思われる。また、短日条件ではアブラムシ類の両性型が出現するので、累代飼育には15時間以上の長日条件が好ましい。さらに、飼育密度が高いと有翅型が出現しやすくなったり、管壁に排出物(honey dew)が付着し、かびが生じやすくなる。本飼育法では、容器当り15−20頭の飼育で、有翅型は出現しなかった。このことから、無翅型を累代飼育するためには容器当りの幼虫密度を20頭以下にした方がよいと考えられる。
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  • 完全合成飼料による飼育法が多くのアブラムシ類で確立しているが、餌に要する費用や無菌飼育の作業上の煩わしさなどが克服されていない。アブラムシの栄養生理学的な研究には人工飼育法が有効であるが、薬剤の効果検定や累代飼育には、寄主植物を用いる飼育が適していると考えられる。
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  • アブラムシ類を累代飼育するには、寄主植物を継続的に確保しなければならず、それにはこれらの植物を栽培するための施設や管理が必要となる。また、多種類のアブラムシを飼育するには、各種植物を常に確保していなければならない。また、このような植物を餌として用いる場合には、系統飼育では絶えず他の系統の混入の恐れが生じる。ソラマメ芽出し苗飼育ではこれらの問題を克服でき、かつ、室内での周年飼育が可能となった。本研究で用いた9種のアブラムシについては、ソラマメを代用餌として各種の研究に利用できると考えられる。また、アブラムシ類を採集するときにも、ソラマメ芽出し苗を入れた試験管を携帯すると、採集後の処理や運搬にも便利である。
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  • 今後、この飼育法は各種アブラムシ及びその系統の維持保存に利用できるだけでなく、薬剤感受性検定をはじめ各種変異性の交雑試験による遺伝的解析を、クローン単位で行う上でも大きく寄与するものと考えられる。
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